こちらは祐市視点。火災警報が鳴ってすぐに、祐市は史緒里の肩を抱いて出口へと向かった。だが振り向くと、人波に逆らうように舞台へと向かうみやびが見えた。この火災がフェイクだと知らない祐市は、みやびが出口を見失ったのだと本気で思った。「ちっ、あのバカ」祐市は傍にいた笠間に史緒里を押し付ける。「笠間、彼女を安全な場所へ」「社長! どうなさるつもりですか!」「俺は……妻を助けに行く!」祐市は身を翻し、人波を押し分け、掻き分けしながらみやびの元へと向かう。「みやび、そっちじゃない! こっちだ!」しかしその叫びが届くよりも早く、刃物を構えた男がみやびの前に飛び出したのが見えた。「ええっ、なになに、なにぃ!」驚きに目を見開いている間に、ダイナマイトなお姉さんが飛び込んできて男を蹴り飛ばす。あまりにも電光石火、何が起きているのか理解する隙もない。お姉さんがさらに男の襟首を掴み上げて顔面をボコボコに殴りつけてゆく。それを見ている祐市の膝は恐怖に震えてガクガクと鳴る。「あうっ、ウソ、マジで何、ここは地獄か……」すっかり腰が抜けた祐市は、膝で這いながらも必死でみやびに近づこうとした。「みやび、ここは危ない……みやび、逃げよう……」その時だ。ギリギリ、バツンという不吉な音に気づいたのは。天井を見上げればシャンデリアがゆっくりと揺れている。再びギリギリ、バツンとねじが吹っ飛び、シャンデリアは大きく傾いた。みやびはそのシャンデリアの真下にいる。「危ない、みやび!」まるで戒めがとかれたかのように体が動いた。「みやび――――っ!」祐市はみやびに向かって落ちるシャンデリアの、無数の煌めきの中に猛然と突っ込んだ――「……のに、なんでこんなことに?」祐市はみやびにお姫様抱っこされている。彼女の背後には落ちて床に突き刺さったシャンデリア。そう、シャンデリア落下に巻き込まれそうになったまさにその時、みやびが祐市を抱き上げて落下点を飛び出し、彼を救ったのだ。みやびの腕の中は、しっかりとした安心感があった。彼女自身は小柄だが、なにしろ男一人をお姫様抱っこできるほど鍛え上げているから、触れれば服越しにみっちりと詰まった筋肉の弾力を感じる。「祐市さん、大丈夫ですか!」顔を覗き込まれて、祐市の心臓がキュンと跳ねた。「ああああああ、好き、結婚して
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