偽装死スタッフたちはのちに語った。「爽介さんは演出過剰なんですよ。前回も見てくれ重視で血糊の量増やすし、今回の別荘炎上作戦も……俺らは、必要以上の火力は良くないって止めたんですよ、でも、死体まで焼き尽くすほどの火力を演出するには必要だって、大量の着火剤を……」そのおかげで、別荘はあっという間に真っ赤な炎に包まれた。最初に炎の中から脱出を果たしたのは取り巻き御曹司軍団。転がるように建物の外に飛び出した彼らは、振り向いて叫ぶ。「アニキ!」続いて脱出を果たしたのは爽介に抱きかかえられた祐市。爽介の腕の中から飛び出した彼も、振り向いて叫ぶ。「みやび、史緒里!」しかし二人は炎の中から出てはこなかった。熱膨張を起こした窓ガラスが砕ける音。「みやびーっ、しおりーっ!」燃え盛る別荘に飛び込もうとする祐市を、取り巻き御曹司たちが止めた。「ダメですよ、祐市アニキ!」「”おかしも”です、戻っちゃダメです!」「うるさい、放せ! 二人を助けなくちゃ!」この騒ぎを見た爽介は、冷静にインカム越しに司令を出した。「第三班、消防車のサイレンを鳴らせ、ただし、音だけだ」山の下から、かすかに消防車のサイレンが聞こえてくる。もちろん爽介が仕込んだ偽の消防隊だ。この山の全てはいま、爽介の演出の内にある。「アニキ、消防車だ! ここはプロに任せた方がいい!」「そうそう、素人が火事場に突っ込んでも、何の役にも立ちませんって」「うう、みやび……史緒里……」すでに軒下を舐めるほど大きくなった炎を見上げて、祐市は力無くその場に膝をついた。――そのころ、別荘の中では。燃える廊下の真ん中で、史緒里とみやびが激しい攻防戦を繰り広げていた。「近寄らないで!」「ちょ、暴れないでください、史緒里さん、ちょっとおぶるだけですから」「そう言って、私を火の中に放り込むつもりでしょ! たーすーけーてー」炎が狭い廊下の壁をつたい、勢いをさらに増す。もはや時間的猶予はない。「いい加減、落ち着いて!」みやびは史緒里の横っ面に鋭い平手を喰らわせた。「ぶった……私を……ぶったの?」「やっとおとなしくなった。いいですか、もう一度説明しますね、これは芝居ですから、実際には誰も死にません!」「誰も、死なない?」「そう、誰も死なない、そもそも死んだことになるのはあなたではなく”霞ヶ
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