✱ ✱ ✱「舞美絵さん、お待たせしました」「四之宮……さん?」迎えた誕生日の日、仕事終わりの四之宮さんと待ち合わせをしていた私だったが、なんだか妙に緊張してしまっていた。 二人でこうして食事をするのは初めてだし、しかも誕生日を一緒に祝ってもらうのも初めてなので、余計に緊張している。「待ちましたか?」「いえ。 私もさっき着いたばかり、なので」仕事終わりだと言う四之宮さんはスーツ姿で、黒いメタルのウェリントン型のメガネを掛けていた。「今日はメガネ、なんですね」四之宮さんのメガネ姿、とても素敵だな。よく似合っている。「はい。 まあ元々視力はいい方なので、メガネしなくてもいいんですけどね」「え、そうなんですか?」「今日は雰囲気を変えようかと思って、メガネにしてきたんです。 伊達眼鏡ってヤツですけど」「でも、メガネよく似合ってます」四之宮さんは「本当? じゃあ、掛けてきて良かった」と微笑んでいた。「私は普段からずっとコンタクトなんですけど、結構度数が強いので、メガネにするとどうしても目が小さく見えてしまうので……メガネって、正直苦手です」コンタクトしてると疲れるのだけど、外でメガネを掛けるのはなかなかハードルが高い。 厚みも気になるけど、目が小さく見えることの方が私にとっては問題なのだ。「でも俺は見てみたいですよ、舞美絵さんのメガネ姿」「……え?」そんなことを言われたのは、初めてだ。 自分ではメガネ姿がとてもコンプレックスなので、雪輝にもメガネ姿を見せたことは一度もないのに。「メガネ姿もぜひ見せてください。 もし目が小さく見えるとしても、笑ったりはしませんので」「……本当、ですからね? 笑ったり、しないでくださいね」恥ずかしそうに隣を歩く私に、四之宮さんは「そんなことしませんよ。 むしろ、そういう姿を見せてもらえると、距離が縮まると思っていますよ」と言ってくれた。「そ、そうですかね……?」「そうだと思いますよ。不安なことがあっても、俺は決して舞美絵さんのことを笑ったり、貶したりはしません。……ちゃんと、そういうところも愛おしいと思えると思います」愛おしい……? 愛おしいか……。「やっぱり優しいですね、四之宮さんは」「俺は一人にしか、優しくしませんけどね」「……え?」一人にしか? それって……私のこと?「さ、お腹空
Last Updated : 2026-07-03 Read more