All Chapters of 婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。: Chapter 11 - Chapter 20

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✱ ✱ ✱「舞美絵さん、お待たせしました」「四之宮……さん?」迎えた誕生日の日、仕事終わりの四之宮さんと待ち合わせをしていた私だったが、なんだか妙に緊張してしまっていた。 二人でこうして食事をするのは初めてだし、しかも誕生日を一緒に祝ってもらうのも初めてなので、余計に緊張している。「待ちましたか?」「いえ。 私もさっき着いたばかり、なので」仕事終わりだと言う四之宮さんはスーツ姿で、黒いメタルのウェリントン型のメガネを掛けていた。「今日はメガネ、なんですね」四之宮さんのメガネ姿、とても素敵だな。よく似合っている。「はい。 まあ元々視力はいい方なので、メガネしなくてもいいんですけどね」「え、そうなんですか?」「今日は雰囲気を変えようかと思って、メガネにしてきたんです。 伊達眼鏡ってヤツですけど」「でも、メガネよく似合ってます」四之宮さんは「本当? じゃあ、掛けてきて良かった」と微笑んでいた。「私は普段からずっとコンタクトなんですけど、結構度数が強いので、メガネにするとどうしても目が小さく見えてしまうので……メガネって、正直苦手です」コンタクトしてると疲れるのだけど、外でメガネを掛けるのはなかなかハードルが高い。 厚みも気になるけど、目が小さく見えることの方が私にとっては問題なのだ。「でも俺は見てみたいですよ、舞美絵さんのメガネ姿」「……え?」そんなことを言われたのは、初めてだ。 自分ではメガネ姿がとてもコンプレックスなので、雪輝にもメガネ姿を見せたことは一度もないのに。「メガネ姿もぜひ見せてください。 もし目が小さく見えるとしても、笑ったりはしませんので」「……本当、ですからね? 笑ったり、しないでくださいね」恥ずかしそうに隣を歩く私に、四之宮さんは「そんなことしませんよ。 むしろ、そういう姿を見せてもらえると、距離が縮まると思っていますよ」と言ってくれた。「そ、そうですかね……?」「そうだと思いますよ。不安なことがあっても、俺は決して舞美絵さんのことを笑ったり、貶したりはしません。……ちゃんと、そういうところも愛おしいと思えると思います」愛おしい……? 愛おしいか……。「やっぱり優しいですね、四之宮さんは」「俺は一人にしか、優しくしませんけどね」「……え?」一人にしか? それって……私のこと?「さ、お腹空
last updateLast Updated : 2026-07-03
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「あ、ありがとうございます」「舞美絵さん、お酒は飲めますか?」「はい。お酒は大好きです」タブレットを片手に「良かったら、お酒飲みませんか? 今日は誕生日ですし、せっかくなのでどうですか?」と四之宮さんから言われたので、「じゃあ、何か飲みますか」と答えてメニューに目を通す。「シャンパンなんてどうですか?」「いいですね、シャンパン。飲みたいです」シャンパンもメニューに追加してタブレットで注文し、メニューが運ばれるのを待つ。先にシャンパンとグラスが二つ運ばれてくると、店員さんがシャンパンをグラスに注いでくれた。「ごゆっくりどうぞ」「ありがとうございます」店員さんが立ち去っていくと、四之宮さんが「舞美絵さん、乾杯しましょうか」とグラスを持ち上げる。「はい」私もグラスを持ち上げ「乾杯」とグラスをカンと鳴らした。「うん、美味しい」「美味しいですね」シャンパンなんて久しぶりに飲んだけど、こんなに美味しかったけ?と思う。「香りがいいですね」「はい。すごく飲みやすいです」「舞美絵さん」「はい?」名前を呼ばれて四之宮さんの方を見ると「お誕生日、おめでとうございます」と言ってくれた。「……ありがとうございます」私は今日で三十歳になった。 もう三十になったのかと思うと、とても早い。「こうして誕生日を祝えて、俺は嬉しいです」   「私もです。……すごく、嬉しいです」四之宮さんは私の言葉を聞いて安心したのか、「良かった」と嬉しそうに微笑む。「お待たせいたしました」その時、頼んだメニューが運ばれてきた。「では、いただきましょうか」「はい」二人で「いただきます」と手を合わせ、注文したパスタに手を伸ばす。「……うん、美味しい」私が注文した菜の花とサーモンのクリームパスタは、クリームが濃厚でコクがあるし、パスタによく絡んでる。 菜の花のシャキシャキとした食感が程よくあってとても美味しいし、塩味もちょうどよくて食べやすい。「美味しいですか?」「はい。すごく美味しいです」四之宮さんは「そうですか。良かったです」と微笑んでいた。「四之宮さんのも、美味しいですか?」「美味しいです。 こっちのは、割とサッパリしてます感じがします」「そうですか」四之宮さんは美味しそうにパスタを食べている。「あの……一口、食べますか?」「え?」
last updateLast Updated : 2026-07-04
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「喜んでもらえて良かったです」「まさか結婚指輪をもらえると思ってなかったので、びっくりしました」「いきなり結婚指輪って言うのも、どうかと思ったんですけど。……なんか、結婚するなら渡したいなと思って」まさかそんな風に言われるとは、思わなかった。「本当に、ありがとうございます。……私、大切にします、ずっと」「……あの、舞美絵さん」私は指輪を眺めながら「はい?」と四之宮さんを見る。「その指輪……俺が嵌めても、いいかな?」私は「それは、もちろんです」と微笑む。「ぜひ、お願い出来ますか?」「……じゃあ、左手出して」「はい」私は左手を四之宮さんに出すと、四之宮さんは指輪を箱から出してそっと、左手の薬指に指輪を嵌めてくれる。 「……キレイ」「ごめん、ちょっと指輪緩かったかも」少し指輪のサイズは大きかったけど、そんなことも気にならないくらいキラキラと輝いていて、キレイだった。「すごく、キレイです」「……そっか。良かった」私はその指輪を眺めながら「どうしよう……キレイすぎて、ずっと見てたくなります」と呟く。「舞美絵さんに、すごくよく似合ってます」「四之宮さん……ありがとうございます」四之宮さんからもらった結婚指輪がキレイで、とても素敵だ。「勝手に選ぶのは、どうかとも思ったんだけど……俺がどうしても選びたくて」「……その気持ちだけで、充分嬉しいですよ」私たちはこうして少しずつでも、距離が縮まっていくのを感じた。 ちょっとの距離が縮まるだけでも、私は嬉しく感じた。 「そっか」「ずっと付けます、指輪」「はい」ーーー私は多分、四之宮さんに惹かれている。 私の直感で、そう感じた。「俺……必ずあなたを幸せにします」「え……?」四之宮さんは私に「あの時、あなたにそう約束しましたから」と言ってくれる。「……私、四之宮さんとだったら幸せになれるって、そう思ってます」「必ず、幸せにします」私は微笑みながら「はい」と答えた。「あ、婚姻届……私はもうサインしましたので、お渡ししておきますね」私はカバンから記入済みの婚姻届を取り出すと、四之宮さんに渡した。「ありがとうございます。 俺も記入して、すぐに出せるようにしておきます」「よろしくお願いします。……一応、私は四之宮さんの名前に変えますので」「わかりました」まだ四之宮さんと
last updateLast Updated : 2026-07-04
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四之宮さんが幸せになることを、ご両親はきっと喜んでくれるはずだ。子供の幸せを喜ばない親なんて、いないと思う。「舞美絵さん、ありがとう」優しく微笑む四之宮さんは、嬉しそうにシャンパンを口にした。「……こちらこそ、ありがとうございます」私もシャンパンを口にすると、四之宮さんと一緒に微笑んだ。これがきっと、幸せと言うんだろうな。……こんな幸せを、私は夢見ていたのかもしれない。 「食べたら、少し歩きませんか?」「はい」その後食事を終えた私たちは、お店を出た。 支払いは四之宮さんがしてくれた。「誕生日なんだから、今日くらい甘えてください」と言われ、甘えることにしたのだった。「あの、ごちそうさまでした。 お料理、とても美味しかったです」「いえ。美味しかったですね」「はい」 なんとなく、私は四之宮さんの左手に目がいった。 隣を歩いてるのに触れそうで触れない、微妙なこの距離にドキドキして、もどかしくなる。この手に触れてみたいと、そう思ってしまう私がいる。気づいてほしい、でも気づいてほしくない。 そんな想いが交差していくのを感じた。「……舞美絵さん?」ふとそんなことを思い、立ち止まった私に気付く四之宮さんが静かに振り返る。「どうか、しましたか?」「いえ、あの……」この手に触れてみたいと思うのはきっと、私が四之宮さんのことを好きだからなのだと、直感でそう感じた。「すみません、俺何かあなたに気に触ることでもしましたか?」四之宮さんはそんな私の様子に気付いて「だとしたら、謝ります。すみません」と謝ってくる。「……違います」「え……?」私は「違います。……四之宮さんは、何も悪くないんです」と伝えると、四之宮さんは「じゃあ……なんですか?」と私の目を見つめる。「あの……手を、繋ぎませんか?」「え?」「……あ、すみません。変なこと言って」私がこんなにガツガツとした女だと、そう思われるのもイヤだと思った。 でも、正直に言いたかった。四之宮さんと「手を繋ぎたい」と。がめついと思われてもいいから、言いたかった。「せっかく夫婦になるんですし……今から練習しませんか? その……夫婦になる、練習」どんな答えが返ってくるかはわからない。 でも、伝えたかったから満足だ。「……ありがとう」「え?」それは思ってもなかった「ありがとう」だ
last updateLast Updated : 2026-07-05
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「今日からよろしくお願いします、四之宮さん」「あなたも今日から四之宮じゃないですか、舞美絵さん」「……そうでした」月が変わり六月に入ってすぐの大安吉日の日を狙って、私たちは婚姻届を提出した。 無事に受理もされ、私たちは晴れて正式に夫婦となった。「今日からば賢哉゙と、名前で呼んでくれると嬉しいけど」「賢哉……さん?」「なんで疑問形? まあいいけど」夫婦になったばかりの私に、賢哉さんは「舞美絵さんは、かわいい人だね」と笑っている。「え? か、かわいい?」突然の「かわいい」はびっくりしてしまうので、やめてほしい。「舞美絵」「……えっ?」今……舞美絵って、呼び捨てにしたよね?「今日から、舞美絵って呼んでいい?」「……あ、お好きにどうぞ」いきなりの「舞美絵」呼びもびっくりしてしまった。 でも……なんか嬉しい。   「じゃあ、舞美絵って呼ぶことにするね」「はい」    舞美絵……なんか、賢哉さんに呼ばれるのはちょっと特別な感じがある。 雪輝にも舞美絵って呼ばれてたけど、それとは違う呼ばれ方に聞こえる。「あのさ、舞美絵」「はい?」「ううん、呼んでみただけ」「えっ?」賢哉さんという人が、私は未だにわからないなあ。 クールなように見えかと思えば、ちょっとお茶目なところがあったりするし。    「四之宮、舞美絵か。……いい響きだね」「確かに。 ちょっと漢字の画数が多くて大変ですけど」「そのうち慣れるさ」「……ですね」私はもう早瀬舞美絵じゃない。 今日からは、四之宮舞美絵だ。 早瀬舞美絵という私は、もう過去の人間になった。「あの、四之宮……じゃなくて、賢哉さん」「ん?」私は賢哉さんの方に身体を向けると、「今日、何か食べたいものはありますか? 私、なんでも作ります」と賢哉さんに問いかけてみる。「本当になんでも?」「はい。なんでもです」私に作れるものだったら、なんでも作ると約束したので、張り切って作りたい。「そうだな……」「もう、どんとこいです」覚悟は出来てるし、喜んでくれるように頑張る。「じゃあ……舞美絵の得意料理がいいかな」「私の得意料理、ですか?」私の得意料理か……。なんだろう?「舞美絵は何が得意なの?」「そうですね……。まあなんでも作れますけど、強いて言うなら……」「強いて言うなら?
last updateLast Updated : 2026-07-06
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やっぱり広い部屋だし、私の部屋も用意してもらったけど、本当にそれでも充分に広いと感じる。「あの、私部屋の荷解きしてきます」「何かあったら手伝うから、遠慮なく言って」「はい」一旦私は賢哉さんの向かいの部屋に行き、扉を開ける。 私は積み重なったダンボールを持ち上げ、カーペットの上に下ろしてテープを外す。「こんなに重かったけ……」意外とダンボールって、重いんだな……。腰痛くなりそうだ。 前住んでたアパートにはもう六年くらい住んでて、引っ越しもしばらくしてなかったから、久しぶりのダンボールの重さにびっくりする。   黙々と作業をしていると、部屋の前から「舞美絵、入るよ」と声がする。「はい」「大丈夫?何か手伝おうか?」「あ、いえ、大丈夫です」と答えたけれど、賢哉さんは「遠慮しないでって言ったろ。 俺、そこにあるダンボール片付けようか?邪魔じゃない?」と言ってくれるので、「あ、じゃあ……お願い出来ますか」と返事をする。「もちろん。 ちょうど明日ダンボール回収の日だから、捨ててくるよ」「ありがとうございます」「はい、そのダンボールももらうよ」「あ、はい」賢哉さんにダンボールを渡した時、ちょうど賢哉さんの手が私の手に触れた。「あ……すみません」びっくりした……手が当たっちゃった。「大丈夫? 痛かった?ごめん」「ち、違うんですっ!」何か誤解させてしまったようで、申し訳ない気持ちになる。「ん?」「その、嬉しかった、だけです」賢哉さんの手が触れた時、その優しい温もりが心地よく感じたから。「やっぱりかわいいね、舞美絵は」「え……?」ダンボールを壁に掛けた賢哉さんは、私の目の前に歩いてくると、座っている私の前にしゃがみ込む。「あの、賢哉……さん?」「まあ、舞美絵のそういうところが、好きなんだけどね」「……え?」その瞬間、賢哉さんの身体が私を優しく包み込むように抱き締める。「俺、舞美絵と結婚して良かった」そう言われたら、私も同じだ。 賢哉さんと結婚して、良かったと思うから。賢哉さんの優しい温もりが、心地よくて癒やされる気がする。「舞美絵の髪の毛、いいニオイするね」「あ……シャンプーのニオイ、ですかね」「なんか、甘くて可憐なニオイがする。 舞美絵にピッタリなニオイだ」「そ、そうですか?」シャンプーの香りを褒められ
last updateLast Updated : 2026-07-07
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「これなら俺、毎日食べたいかな」「じゃあ、毎日作りますね」賢哉さんは、本当に美味しそうに食べるな。賢哉さんのそこが、いいなと私は思う。「舞美絵の料理、毎日食べれるの嬉しい」「料理、もっと上手くなるように頑張りますね」賢哉さんは「ほどほどに、でいいから」と言ってくれる。「はい」ほどほどに、か。確かに、頑張り過ぎは良くないよね。「このスープも美味いね」「良かったです」賢哉さんはあまりにも美味しかったのか、全部ご飯を完食した。「ごちそうさまでした」「こちらこそ。完食してくださって、ありがとうございます」「洗い物は、俺がやるからゆっくりしてて」「いえ、私がやりますよ」「いいの、いいの。 このくらいは、俺にやらせて」「……じゃあ、お願いします」私は洗い物を賢哉さんに頼んだ。「お風呂沸かしてあるから、先に入ってきたら?」「いつの間に、沸かしてくださったんですか?」「舞美絵が夕飯作ってくれてる時にね」「ありがとうございます」賢哉さん、普段シャワーだから湯船浸からないって言ってたのに、わざわざ沸かしてくれたんだ。「さ、ゆっくり入ってきな」「はい」私がお風呂に入ろうとすると、賢哉さんが「あ、舞美絵」と名前を呼ぶ。「はい?」   「舞美絵に、渡したいものがあるんだけど」「渡したいもの?」賢哉さんは「ちょっと待ってて」と寝室の方へ歩いていく。「はい、俺からのプレゼント」「え、プレゼント……?」渡されたのは、紺色の袋だった。「開けてみて」「うん」   私はすぐにその袋を開けた。「これって……前に言ってたパジャマですか?」「そう、シルクのパジャマ。 俺とお揃いのね」本当にお揃いのパジャマ、買ってくれたんだ……! 「嬉しいです。ありがとうございます」「俺は青で、舞美絵はピンク。 これ着て一緒に寝よう」「一緒に……」   改めて一緒に寝るのかと思うと、緊張するしドキドキする。「それ、すごく寝心地良くて最高だから」「そうなんですね。 それは、楽しみです」「さ、お風呂行っといで。 バスルームにバスタオル置いてあるから、好きなの使っていいから」「はい。 行ってきます」私はバスルームへ向かう。「本当に、一緒に寝るんだよね……」でも寝室が一緒でいいと言ったのは私だし、後戻りは出来ない。 夫婦なんだから、
last updateLast Updated : 2026-07-07
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賢哉SIDE〜二人の初夜〜「ピンク……だったよな」 さっきバスルームで舞美絵の着替えが置いてあるのを見てしまったんだが、かわいらしいピンク色の下着だった。もちろん、わざと見たんじゃない。 見えてしまったというのが、正しいんだが。 「舞美絵、ピンクが好きなのかな」俺が舞美絵にプレゼントしたシルクのパジャマも、ピンク色にしたし。 グレーよりピンク色があいと思って、ピンク色にしたけど。確かに舞美絵は、ピンク色のイメージがある。よく似合うと思う。「まさか、俺のことを意識して……?」いやいや、そんなわけないだろ。 たまたま、ピンクだっただけだと思うし。でももし俺のことを意識してると、したら……?「って、何考えてんだ、俺……」さっき舞美絵のことを抱き締めた時に感じたのは、舞美絵のシャンプーの香りでクラクラしそうになったことだ。俺好みの香りというか、舞美絵の髪の毛から香ったあのシャンプーの香りにドキドキして、気が狂いそうになった。舞美絵を抱き締めた時も、心地良い抱き心地だった。「にしても……」舞美絵の料理、全部美味かったな。 唐揚げは本当に美味くて、あれを食べたら明日から仕事が頑張れそうだと思った。もちろん全部美味かったけど、唐揚げは格別に美味かった。 また、近いうちに食べたい。「お風呂、ありがとうございました。いい湯加減でした」洗い物をしていると、舞美絵がバスルームから出てきた。「そうか。なら良かった」ーーーっ! ふと舞美絵に視線を向けると、濡れた髪の毛と少し赤みの出ている頬が色っぽく見えて、思わず顔を背けてしまう。「……賢哉さん、どうかしましたか?」「あ、いや……なんでもない」なんだ、この色っぽさは……? さっきまで俺が見ていた舞美絵だと思えないくらい、色っぽく感じる。メイクを落としたからか? それとも、元々か?「あの、パジャマ……どうですか? 似合ってますか?」そんなことを普通に聞いてくる舞美絵に、俺は平然を装わないとならないと思い、「……ん、似合ってる」とだけ答えた。「このパジャマ、すごく着心地いいですね。やっぱりシルクってすごいですね。よく眠れそう」「そうか? なら良かった」想像以上に、パジャマが似合いすぎている。 想像の三倍は似合っている。さらにパジャマのせいで、色っぽさが増しているのかもしれないと、俺
last updateLast Updated : 2026-07-08
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「いや、さすがに今日は無理だろ……」俺が舞美絵に嫌われるようなことをしたら、それこそ離婚したいと言われてしまう。 絶対にダメだ……耐えないと。俺はバスルームに行き、急いでシャワーを浴びる。 さっき舞美絵に渡したシャンプーで髪の毛を洗うと、舞美絵を抱き締めた時のことを思い出してしまった。ちょっとだけいつもより短めに髪の毛を洗い、すぐにシャワーで洗い流す。 トリートメントも軽く付けてすぐに洗い流すと、急いで身体を洗う。「……落ち着け、俺」舞美絵に嫌われるようなことをしてはダメだ。こうして夫婦になったとはいえ、時間をかけてじっくりと距離を縮めていくのが正解だ。  いきなりグイグイいくのは、あまり良くない。 夫婦とは、ある意味マトリの仕事と一緒だ。 時間をかけて丁寧に捜査をして、証拠を掴んでから踏み込むんだ。とにかく生き急いではダメだ。じっくりと距離を縮めてからだ。 そもそもそこからだ、俺たちのスタートは。「よし、平然とするんだ」変に気を遣わせるのは、良くない気がする。全体的にシャワーを浴びた後、五分くらい湯船に浸かり気持ちを整える。 バスルームから上がりタオルで髪の毛を拭いていると、舞美絵の後ろ姿が目に入る。「おかえりなさい、賢哉さん」「あ、ああ」やっぱり……色っぽいな。 すっぴんなんだよな?今。  あんなにかわいいのか、すっぴん。「……あのさ、舞美絵」「はい?」「先に寝てていいから。俺明日の仕事のことで、ちょっと調べてから寝るから」一緒に寝てしまってはマズいと思い、何か理由を付けることにした。「……えっと、じゃあ、それが終わるの待ってていいですか?」「えっ!?」「せっかくなので……一緒に寝たいなと」舞美絵、君は本気で言ってるのか? いや、気持ちはわかるんだけど……。「……わかった。じゃあ、一緒に寝よう」「はい」しかし舞美絵の気持ちを無下には出来ず、一緒に寝ることになってしまった。   「多分、大丈夫なんですけど……」「ん?」「私、寝相悪かったらすみません」俺はそれを聞いて思わず笑ってしまった。「え、なんで笑うんですか?」「ごめん、ごめん。 そんなこと気にしてるのかと思ってさ」「だって……気になるじゃないですか。寝る時はもう、一人じゃないので」そう言われれば、俺も自分で寝相がどうなのかとか、わか
last updateLast Updated : 2026-07-08
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「じゃあ……唇にも、キスしてくれますか?」「……ん? はっ!?」突拍子もないことを言われてしまった俺は、反応に困ってしまう。   これは、なんて答えるのが正解なんだ……? 俺には、その答えの正解がわからない。「……俺をからかうな、舞美絵」これはきっと、突き放さないとヤバイと直感で感じた。 だけど舞美絵は「からかってなんて、いません」と俺のパジャマの袖を掴む。「私……本気です。 本気で、言ってます」舞美絵のそのキレイな目に見つめられたせいか、俺は舞美絵から目が離せなくなる。「……わかったよ。 わかったから、離してくれ」「あ、ごめんなさい……」俺は舞美絵の頭を優しく撫でながら「髪乾かしてくるから、待ってて」とバスルームへ再び向かう。「おいおい、マジかよ……」舞美絵、酔ってるわけじゃないよな? 今日は酒は飲んでないぞ? まさか、風呂で逆上せたとか……? いや、ちょっと待てよ。キスしてほしいってことは……俺との行為を望んでるってことか? だとしたら、キスしてほしいって言葉もまあ、頷けるんだけど……。「ああ、わからねえ……」女心って、マジで難しいな……。俺の自惚れだったら、恥ずかしいってのもあるけど。とりあえずドライヤーで髪の毛を乾かし、歯磨きを済ませる。 よくわからない気持ちのままリビングへ戻ると、舞美絵はいつの間にかメガネを掛けていた。「舞美絵、メガネにしたのか?」「はい。コンタクト外してたので」「そっか」舞美絵から「でも、私の目小さく見えませんか?」と聞かれたけど、俺はそんなに小さいとは思わなかった。「俺はそんなに、気にならないけど」「そうですか?」舞美絵は「私はこれでも、結構目の大きさ気になるんですけどね」と言っているけど、俺は目の大きさより舞美絵のかわいさに見惚れてしまっている。「でも約束通り、賢哉さんは笑わなかったですね」「笑わないよ。俺はそんな男じゃない」俺は純粋に、舞美絵に見惚れてただけだし。……まあ、そんなこと言えないけど。「ありがとうございます。報われます」俺は舞美絵のメガネに手を掛けると、メガネをそっと外して、テーブルに置いた。「……え?」舞美絵の目をそのまま見つめると、舞美絵の頬にそっと手を伸ばす。「舞美絵は今、どこにキスしてほしい?」「え……?」「さっき言ったろ?俺にキスしてく
last updateLast Updated : 2026-07-09
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