All Chapters of 婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。: Chapter 51 - Chapter 60

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私は朝からなんだか食欲がなくて、あまりご飯を食べられなかった。 普段二人でもちゃんと朝ごはんを食べているのだけど、今日はあまり食べられなかった。 「んー……お茶が美味しい」 ソファでお茶を飲んでいると、なんだかホッとする。 この温かさがいい。 今日は少し体調不良ということもあり、仕事を休ませてもらうことにした。 季節の変わり目でちょっと疲れているだけだと思うのだけど、休めば良くなるとは思う。 「少し休もう……」 ベッドに入り少しだけ眠ったけど、お昼になり何か少しでも食べたいと思い、冷蔵庫の中を物色するけど、なんかすごく気持ち悪い感じがする。 胃がムカムカするような、そんな感じがする。なんだろう、この変な感じ……。 「ん……なんか、気持ち悪い……」 急に吐き気がし急いでトイレに駆け込む。 「っ……」 もしかして、知らない間になんか変なもの食べちゃったのかな……。賞味期限はちゃんとチェックしているつもりだったんだけど……。 困ったな……すごく気持ち悪い。 でも変なものを食べたような記憶がない。 もし仮に食べてたとしたら、きっと賢哉さんも同じものを食べているはずだから、賢哉さんもきっと体調不良になってるかもしれない。 「どうしよう……」 賢哉さんまで体調不良になったら、絶対に私のせいだ。いや、参ったな……。 賢哉さんに連絡したいけど、気持ち悪さが抜けなくてトイレから出れそうにない。 あいにくスマホもリビングにあるので、取りに行くしかない。 なんとか気力を振り絞りリビングへとゆっくり歩いていき、スマホを手にして賢哉さんに電話をかける。 「もしもし、舞美絵? どうした?」 電話越しに賢哉さんの声が聞こえるけど、気持ち悪さでなかなか声が出せない。 「舞美絵?」 「賢哉さん、あの……」 「どうした?何かあったのか?」 「体調……大丈夫?」 賢哉さんは「体調? いや、俺は大丈夫だけど」と電話越しに言ってくれるけど、その後に「舞美絵、もしかして体調悪いのか? なんかしんどそうだけど……」と心配してくれる。 「なんか……さっきからずっと、気持ち悪くて……」 「え? 大丈夫か?」 「なんか、変なもの食べちゃったのかな……」 でも変なもの食べた記憶なんてないな。 「病
last updateLast Updated : 2026-08-01
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心当たりか……やっぱりない。「いえ……でも知らない間に、何か食べちゃったのかもしれません……」「昨日一昨日で食べたもの、思い出せる範囲でいいので教えてもらえますか?」「……わかりました」担当の先生に色々と食べたものを覚えている範囲で答えたけど、先生は「特に怪しい食べ物とかは、なさそうですね……」と答えた。「旦那様も、同じものを召し上がられましたか?」「はい。同じものを食べました」「そうですか。 旦那様には、症状は出ていませんか?」賢哉さんは「俺はなんともないです。全然、大丈夫です」と答えたけど、その心配そうな顔は変わらない。「そうですか。 今日は念の為一日入院して、また様子を見ましょうか」「……はい」「先生、妻のこと、よろしくお願いします」「はい。お大事になさってください」   先生が出て行った後、賢哉さんは「舞美絵、大したことなくて良かったよ。……本当、心配したんだぞ」と頭を撫でてくれる。「ごめんね、心配かけて……。仕事、抜け出して来てくれたんだよね……?」賢哉さんは「そんなこと、気にしなくていいよ。妻が一大事って時に、駆け付けない旦那はいないだろ?」と言ってくれた。「ありがとう……賢哉さん」「とにかく、ゆっくり休んで。俺のことは気にしなくていいから」「……うん」賢哉さんは「俺、飲み物買ってくるな」と一旦病室を出て行った。「心配、かけちゃったな……」無理はしてるつもり、全くなかったんだけどな……。やっぱり、ちょっと疲れていたのかな?賢哉さんに迷惑かけちゃったな……なんか、申し訳ない。「舞美絵、水置いとくからな」「ありがとう、賢哉さん」「お礼なんていい。 今はとにかく、ゆっくり休んでくれ」「……うん」賢哉さんはおでこにキスを優しく落とすと、「明日また、迎えに来るからな」と微笑む。「うん」賢哉さんが病室を出て行った後、私は血液検査などを行ったけど、血液検査には問題がないということだった。先生からは、恐らくウイルス性の胃腸炎ではないかと言われた。 きっとどこかで感染してしまったのだろう、ということだった。その日の夜ご飯には、病院食が出された。「いただきます」だけどその病院食を口にしようとした時、私は再び吐き気に襲われ、急いでナースコールを押すと、すぐに看護師さんが病室に来てくれた。「四之宮さん、どう
last updateLast Updated : 2026-08-02
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でも極めつけは「生理がちゃんと来ているか」という質問だった。 よく考えたら、生理が遅れていることに気付いた。 元々生理不順なのもあり、月によって変動していたから、あまりその辺のことを深く気にしていなかったけど……。 「四之宮さん、先ほど伺わせていただいた感じだと……これは胃腸炎ではなく、恐らく妊娠による初期症状だと思われます」 「……妊娠、ですか?」 【妊娠】という言葉を聞いた時、ピンときた。 確かに生理が遅れていることを考えても、私はそれに当てはまる。 「妊娠……」 私、妊娠してるの……? お腹に、赤ちゃんが? 「恐らく四之宮さんは、悪阻のせいで気持ち悪くなっているんだと思います」 「悪阻……?」 これが悪阻ってこと……? この気持ち悪い感じが、悪阻? 胃がムカムカしたりするのも、悪阻の初期症状? 「まだ確定ではないけど、多分間違いないと思います。 明日また詳しく検査しますので、今日はこちらでお休みになってください」 「……わかりました」 まさかこの体調不良が、妊娠によるものだったなんて……。でも良かった、何か変なものを食べたわけじゃなさそうだから。 胃腸炎とかだったら、賢哉さんに移してしまうかもしれなかったから。 そんなことをしては、大変だと思ったから。 「妊娠……」 私のお腹に、本当に赤ちゃんがいるの……? まだ信じられない。 こんなに早く妊娠するなんて……ちょっとびっくりだ。 私自身、すぐにでも子供が欲しいわけでもなかったけど、いざ妊娠したとなると……やっぱり嬉しい反面、不安になる。 喜んでもらえるのかなとか、子供いらないとか言われたらどうしようとか、そんな不安が頭をよぎる。 二人での暮らしも楽しいだろうなって思うけど、やっぱり三人での生活は、もっとワクワクするだろうな……と思う私がいる。 大好きな人の子供が出来るのは、とても嬉しいことだし、幸せなことだと思う。 私自身、いつか子供は欲しいと思っていたから、正直嬉しいのはある。 「四之宮さん、おはようございます。 体調、いかがですか?」 次の日の朝、看護師さんが病室へと入ってきて声を掛けてくれた。 「昨日よりは、少し楽な気がします」 「そうですか。良かったです」 看護師さんは私の体温を測りながら「今日は
last updateLast Updated : 2026-08-03
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「ゼリー買ってきたんだけど、食べられるか?」 「ありがとう。 ゼリーなら、食べられそう」 「良かった。袋に入ってるから、食べな」 私は「うん」と微笑むと、袋からゼリーを取り出した。 恐る恐る口にしたけど、ゼリーは食べられた。 「……美味しい」 「良かった」 家に着くと、賢哉さんは私の身体を支えながらリビングのソファへと座らせてくれる。 「お茶飲むか?」 「うん。……あ、ノンカフェインのお茶がいい」 私がそう話すと、賢哉さんは「ノンカフェインのお茶な。わかった」とキッチンへと向かう。 お茶を淹れてくれる賢哉さんの後ろ姿が、なんとなくかわいく見えて、クスっと笑ってしまった。 「お待たせ、お茶どうぞ」 「あ、ありがとう」 温かいお茶の入ったマグカップを渡してくれる賢哉さんは、私の隣に座ると「無理するなよ」と頭を撫でてくれる。 「うん、ありがとう」 「……で、話って?」 私はお茶を一口飲むと、マグカップをテーブルに置く。 「あのね、賢哉さんに大事な話があるの」 私はカバンからエコー写真を取り出すと、それを賢哉さんに見せた。 「これ……見てほしくて」 写真を受け取った賢哉さんは、私に「舞美絵、これって……」と私を見る。 「エコー写真。……私、妊娠してたみたい」 「妊娠……? え、本当か?」 「うん。 あの体調不良の原因は、妊娠してたから……だったみたい」 賢哉さんは驚きながらも、私をそっと抱き寄せた。 「賢哉、さん……?」 「本当か? 本当に、お腹に子供がいるのか?」 「うん。検査してもらったから、間違いないよ」 賢哉さんは私のおでこにキスを落とすと「俺……すごく嬉しい」と笑ってくれた。 「……本当に?」 「だって俺、父親になるって……ことだよな?」 「そうだよ。 賢哉さんは、パパになるんだよ」 賢哉さんは「パパになる」という一言が、嬉しかったんだと思う。 「賢哉さん、子供が欲しくないとか……ない?」 「え?」 それでも、不安になる。 「私、正直怖いの……。もし賢哉さんが子供欲しくないとか、そういう気持ちがあったらどうしようとか、思ってて……」 賢哉さんはそんな私の手をギュッと握り締めると、不安を取り除くかのように優しい声で「そんなわけ、ないだろ?」と言ってくれた。 「本当に……?」 「本当だよ。
last updateLast Updated : 2026-08-03
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【夫としての支え】父親として〜賢哉SIDE〜「舞美絵、体調大丈夫か?」「うん……大丈夫だよ」ベッドに横になる舞美絵に、「なるべく早く帰るから」と告げると、舞美絵のおでこにキスを落とす。「気を付けてね」「ああ、行ってくるな」つわりで体調が悪い舞美絵を一人にするのは心苦しいが、なるべく早く帰れるようにしたい。「舞美絵、辛かったら電話して」「うん、ありがとう」舞美絵は俺に少し微笑み、手を振った。 「行ってきます」寝室から出てそっと家を出ると、俺は仕事へと向かう。「舞美絵、大丈夫かな……」舞美絵から「妊娠している」と告げられたのは、つい一週間前のことだった。 舞美絵が体調不良で病院に運ばれた時、妊娠がわかったようだった。舞美絵自身、妊娠しているとわかった時は驚いたみたいだったけど、「産みたい」と言ってくれた。俺はその一言が本当に嬉しかった。 親になるという実感なんて、俺はまだこれっぽっちもない。だけど舞美絵のために支えになりたいから、俺は俺が出来ることを全うする。 舞美絵がちゃんと、母親になれるように。「お!おはよう、相棒」「おはよう、寺巻」寺巻は出勤してきた俺に「四之宮、大丈夫か?なんか疲れた顔してるな」と問いかけてくる。「別に大丈夫だよ」単純に舞美絵のことが、心配でたまらないだけなんだが……。「奥さん元気か?」「ん? ああ、まあな」兎にも角にも、舞美絵のそばになるべくいてやりたい。「奥さんの手料理、マジで美味かったなー。また食べに行っていい?」「妻の体調が落ち着いたらな」「体調? え、なんか奥さん体調悪い感じ?」……しまった。余計なことを口にしてしまったか?「……ちょっとばかし、体調が悪くてな」「そうなのか。 それは心配だね」寺巻は「体調、早く良くなるといいな」と俺に言ってくれる。「ああ、そうだな」舞美絵の体調が落ち着くまでは、俺がそばにいてやらないと。 一番今が辛い時だからこそ、俺が支えないとならない。俺は舞美絵に頼られないとならない存在だから。 「……大丈夫かな、舞美絵」「奥さんのこと、心配だよな」しばらくはおとり捜査から外して守らないとな……。張り込み捜査の頻度を少しでも減らしてもらえると助かるけど……。「まあ、今はそういう時期だから仕方ないさ」「ん? そういう時期……?」しまっ
last updateLast Updated : 2026-08-05
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でも寺巻はきっと、大切な人を失ったからこそ、人の幸せを誰よりも考えられる人なんだと思う。 自分の幸せより人の幸せを願うのが、寺巻という人だ。「子供かあ。 いいよな、子供」「まあ……今は辛い時期だから、俺が支えてやらないとな」「頑張れよ、パパ」寺巻は俺の肩を叩く。「……そうだな。頑張らないとな」俺は舞美絵のためにも、子供のためにも頑張らないとならない。「寺巻、四之宮、ちょっといいか?」「はい」上司に呼び出された俺たちは、上司の元へと駆け寄った。 ✱ ✱ ✱ 「ただいま、舞美絵」仕事を早めに終わらせて家へと帰宅すると、リビングの電気が付いていた。「あ、賢哉さん……おかえりなさい」舞美絵はリビングのソファで寝転がっていたが、すぐに起き上がった。「舞美絵、体調どうだ……?」「んん……あんまり良くないかな」確かに舞美絵の顔色は、あまりいいとは言えない。 顔が色白い感じだ。「そうか。なんか食べられそうか?」舞美絵はクッションを抱えながら「……うーん、わからない」と答える。「お茶でも飲むか?」「ノンカフェインのお茶……飲みたい」「わかった。ちょっと待ってて」舞美絵のためにノンカフェインのお茶を淹れる。「舞美絵、お茶だ」「……ありがとう、賢哉さん」舞美絵はマグカップを受け取ると、フーフーしながらお茶を飲む。「飲めそうか?」「うん……大丈夫みたい」「良かった」舞美絵の顔色がだいぶ良くないので、すごく心配になる。「今日、何か食べられたか?」「ちょっとだけ梅干し食べたけど、あとはほぼお水だけ……」   「そうか」     舞美絵はほぼ水しか飲んでいないと言っていたが、飲んでも吐いてしまうせいかほぼ痩せていく一方になる。「梅干し、食べるか?」「梅干し……でも、なんか違う」「違う?」何が違うんだ……? 違うってなんなんだ?「もずく……」「も、もずく?」「もずく……食べたい」もずくが食べたい? もずく……。変わったものを食べたくなるんだな。「冷蔵庫にもずくはあるか?」そう聞くと、舞美絵は首を横に振る。「もずくないのか……。買って来ようか?」「……いいの?」そんな目で見つめられたら、買いに行くしかないだろう……。「もずくの他は何か食べたいものあるか?」「……レモン」「レモン?」もずくにレ
last updateLast Updated : 2026-08-06
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「ゆっくり、無理しないで食べれるものを食べてみよう」「うん」  レモンを食べていたことで少しだけつわりが落ち着いたのか、ちょっとだけ笑顔が戻った。「レモンって、こんなに美味しいんだね」「……良かったな。食べられて」当分、舞美絵のためにレモンを冷蔵庫にストックしておいたほうがいいかもしれないな。いつでもきっとレモンがあれば、きっと安心するだろうし。「酸っぱいものなら、パイナップルとか、食べられそうなら買ってくるけど」「パイナップル?……え、それも食べたい」とにかく酸っぱいものならなんでもいいって、感じなのか? とにかく酸っぱいフルーツなら食べられそうってことなのか?レモンにパイナップル、念の為グレープフルーツもストックしておくことにしよう。 舞美絵が少しでも食べられるものを、増やしていかないと……。   「もずくにレモンのおかげか、ちょっと楽になったよ」「良かったな。 また後で食べられそうなら、食べていいからな」「……うん、ありがとう」舞美絵が今つわり中なので、自分の分の夕食はつわりが落ち着くまで、舞美絵がいない時に食べることにした。 食べ物のニオイで気持ち悪くなる今、俺が普段食べているものを見たらそれだけで気持ち悪くなるはずだ。今はご飯のニオイがダメらしく、炊きたてのご飯はNGとなっている。 ニオイの強いニンニク系も絶対に避けなければならない。もちろん、カレーとかニオイの強いものもなるべく舞美絵の前では食べないように心掛けないと。「とりあえず、洗濯物洗わないと……」「いいよ、洗濯なら俺がやるから」「でも……」俺は舞美絵をソファに座らせると、「いいから、舞美絵は無理したらダメだろ? 俺が出来ることは俺がやるから、舞美絵は休んでて」と舞美絵の頭を撫でる。「……ありがとう、賢哉さん」「舞美絵、無理は禁物だからな? わかったか?」俺の言葉に舞美絵は「うん、わかった」と微笑む。 俺はそんな舞美絵のおでこに、キスを落とした。
last updateLast Updated : 2026-08-07
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妊娠が発覚してから一ヶ月、私は悪阻に悩まされている。 そんな中でも、賢哉さんがそばにいてくれるおかげで、一人じゃないと思える。賢哉さんは仕事中もずっと心配してくれるせいか、頻繁に連絡をくれる。 そんな私は、賢哉さんの支えもあって、なんとか乗り越えられる気がしている。   「うぅ……気持ち悪い……」      悪阻にも個人差があるとは聞いているけど、私はどうなんだろうか……?  今のところまともに食べられているレモンやグレープフルーツなどで、上手いこと悪阻と戦えているような気もするけど……。「レモンが……欲しい」レモンを口にするだけで少しマシになるけど、またすぐに悪阻に襲われ、結局起き上がれない日が続く。 最近では家事も疎かになってしまっているので、賢哉さんには申し訳ない気持ちになる。「……はぁ」   賢哉さんは優しいから「そんなこと、気にしなくていい。自分のことだけ考えて」と言ってくれるから、私はその言葉に甘えさせてもらっている。   「うぅ……っ」食べたいのに食べられないって、こんなにももどかしいのか……。   「まだ帰ってこないかな……」悪阻のせいなのかはわからないけど、一人でいると寂しくなるし、辛くなる。 とりあえず動くこともままならないので、寝ていることしか出来ない。【もう少しで帰る】こうして賢哉さんから連絡がくると、ちょっとだけホッとするんだ。【うん、気を付けてね】気持ち悪さに耐えながら賢哉さんが帰ってくるのを待っていると、ガチャと玄関が開く音がした。「ただいま、舞美絵」「賢哉さん……おかえりなさい」   賢哉さんは起き上がろうとする私に「あ、寝てていいから」と言ってくれた。「体調はどうだ?」私は首を横に振ると、「無理っ……」と答える。「パイナップル、食べるか?」「……食べれるかはわからないけど、挑戦してみる」賢哉さんは「わかった。用意するから待ってて」とキッチンでパイナップルを用意してくれる。パイナップルのニオイがふんわりと漂ってくるけど、パイナップルのおかげか気持ち悪さが少しだけ緩和された気がした。「舞美絵、パイナップルだよ」「……ありがとう」身体を起き上がらせて、パイナップルを一つ口にする。「どうだ? 食べられそうか?」「これなら……食べられそう」「そうか。良かった」パ
last updateLast Updated : 2026-08-09
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「寝てていいよ、舞美絵」私は静かに頷く。賢哉さんは優しく隣で頭を撫でてくれる。「辛いよな? 代わってあげられなくてごめんな」「ううん……大丈夫」賢哉さんと一緒に乗り越えていくと決めたんだ。私はここで負けたくない。「俺に出来ることなんて、ちょっとしかないな」「……そんなこと、ないよ。 私、賢哉さんがそばにいてくれるから、頑張れるんだよ」頭を撫でながら、賢哉さんは「そっか」と呟く。「これからも、こうして看病してくれると助かります」「もちろんですよ、奥様」賢哉さんは優しく微笑んだ。 ✱ ✱ ✱あれから賢哉さんに支えてもらいながら、なんとか悪阻を乗り越えていた。 病院の診察でも体重が減っていることを指摘されたが、なんとか食べれるものを食べて過ごしている。「いただきます」今私が一番食べられているのは、フライドポテトだった。 フライドポテトなんて絶対に無理だと思っていたのに、いざ口にしてみたら普通に食べられてびっくりした。唐揚げとかチキン南蛮は無理だけど、フライドポテトだけはなぜか食べたくなって、今はよく食べている。「今日もポテトか?」「うん、ポテトしか無理……」賢哉さんは「そっか。ポテトしか無理か」とポテトを眺めている。「あ、でもね、ハンバーガーも食べたよ」「ハンバーガー食べたのか?」「うん、なんかすごい食べられたの」賢哉さんも「そんなこと言うから、俺もハンバーガー食べたくなってきたな」とソファに座る。「実は、ハンバーガー賢哉さんの分もあるよ」「え、あるのか?」賢哉さんにあのファーストフードの袋を見せると、賢哉さんは「マジか、あるのかよ」と嬉しそうに笑った。「もちろん、あるに決まってるよ」賢哉さんにはもちろん、照り焼きバーガーのセットにした。「しかも俺の好きな照り焼きバーガーじゃん」「そうだよ。私はベーコンエッグバーガーにしたけど」「ずいぶんジャンキーだけど、大丈夫なのか?」私が「それがね、不思議なことにこれはすごい食べられるの」と話すと、賢哉さんは「そっか。食べれるものを見つけたのは良かったよ」と言ってくれた。「うん、本当に。今は毎日これが食べたいくらいだよ」「毎日? そうかあ」賢哉さんも「いただきます」と照り焼きバーガーにかぶりつく。「うん、相変わらず美味いな」 「うん、美味しいよね」どう
last updateLast Updated : 2026-08-10
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私たちなら、この幸せをずっと守れる。愛おしい家族が増える喜びも、これから一緒に親になっていく覚悟も、全部二人で分け合えるから。この愛おしい気持ちを、私は彼と二人で噛み締めていきたい。「俺には、舞美絵とこの子がいれば充分だ。 他にはもう、何にもいらない」「……私も、賢哉さんとこの子がいれば、もう何にもいらないな」「そうだな」私たちは、この子が産まれて来るのを今から楽しみにしてるんだ。 新しい家族が増えることを、心待ちにしている。「悪阻、平気か?」「うん、今のところ大丈夫」「ゆっくり休んでて、舞美絵」「ありがとう」私は、彼と家族になったあの日から、私の心に灯を灯してくれている。✱ ✱ ✱「舞美絵、行ってくるな」「あ、ちょっと待って」 「ん?」  私は賢哉さんに朝握ったばかりのおにぎりを手渡した。「はい、おにぎり。 今日もお仕事頑張ってね」「いつもありがとう、舞美絵。助かるよ」仕事に向かう賢哉さんに「行ってらっしゃい」と手を振った。「よし、洗濯しよっと」 あれから数ヶ月が経ち、私のお腹は以前よりも大きくなった。 無事に安定期を迎えることも出来、お腹の子の経過も順調だ。最近ではお腹の子の鼓動を感じるようになり、動くのがわかるようになってきた。 もちろん、出産まではまだまだなので、油断は禁物だ。  悪阻に耐えながらの数ヶ月は本当に辛いことも多かったけど、賢哉さんが隣にいてくれたから頑張って乗り越えることが出来た。私は一人じゃないからこそ、頑張れたと思う。「赤ちゃん、元気ですか? 居心地はいい?」  鼓動を感じるようになってから、こうやってたまに赤ちゃんに話しかけたりしているけど、聞こえているのかはわからない。   だけどちゃんと感じるその鼓動は、私たちが一番嬉しい。 この子がちゃんと生きているって、一番近くに感じる。 「ママとパパは、あなたが産まれて来るのとても楽しみなの」お腹の中で動くたび、そう思う。 お腹の中で動いている時、この子はちゃんと生きているんだと感じる。 賢哉さんにとっても、それはとても嬉しいことみたいだ。悪阻も落ち着いたところで、私はまた家事を再開し、料理もまた作れるようになった。 ご飯のニオイで吐きそうになることもなくなったので、賢哉さんのためにまた料理が作れることの嬉しさを感じていた。 
last updateLast Updated : 2026-08-11
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