All Chapters of 婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。: Chapter 21 - Chapter 30

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やっぱりピンクの下着を着ているから、そう言っているのか……? ピンクの下着のせいなのか? そもそも、これは本気で言ってるのか? 俺にはその心が読めなくて、わからない。「だって今日は……初夜、ですし」「まあ、一応そうだけど……」   これはなんて言うべきなんだ? なんて答えるのが正解なんだ? わからねえ……。「もう遅いし、無理しなくても大丈夫だから」「無理……じゃないです」舞美絵は俺にそっと抱きついてくる。「……舞美絵?」「初夜……したくないんですか?」したくないと言ったら、それはウソになるかもしれない。 でも……いきなり手を出すのはちょっと、引かれたらイヤなんだが……。「いや……したくないとかじゃ、ないけど」「けど……なんですか?」この上目遣いは、反則だ。かわいすぎてしまう。「いきなり君に手を出すのはどうかと、思ってるだけだ」「……そんなこと、考えてたんですか?」「考えるに決まってる。 舞美絵に嫌われるようなことは、したくない」それを聞いた舞美絵は、「嫌わないですよ。 そんなことで、嫌いになるわけないじゃないですか」と言った。「……そっか。 ならいいけど」嫌わないと言ったと言うことは、そういう雰囲気になっても問題はないということだよな? 俺はそう解釈したのだが……違うのだろうか。「舞美絵、ベッドに行こう」「はい」舞美絵の手を引き、ゆっくり寝室へと向かう。「あの……賢哉さん?」寝室の扉を閉めると、舞美絵のことをもう一度抱き締める。 舞美絵から香るあのシャンプーの香りが、鼻から抜けていくのを感じた。「なんか、緊張しててさ。 二人で寝るの初めてだから、ドキドキしてるんだ思う」「……私も、ドキドキしてます」舞美絵は俺の背中に腕を回すと、抱き締め返す。「俺の寝相悪かったら、本当にごめんだけど」「いえ、気にしないです。 私も多分、寝相悪いですし」「きっと俺のが悪いかもね」なんて会話をしたら、少しだけ落ち着いた気がした。「舞美絵は……したい?」「えっ?」舞美絵をベッドに座せると、そう聞いてみる。「初夜……したい?」俺がそう聞いたのは多分、俺も同じ気持ちだからだと思った。 そう聞いたら「したい」と答えてくれるのではないか、そう思ったからだった。   「私は……正直、したいです」その一言で、もう後戻
last updateLast Updated : 2026-07-09
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私があんなことを言ってしまったばかりに、賢哉さんを困らせたと思った。 だけど、賢哉さんも同じ気持ちだったと知って、嬉しかった。 「ん……賢哉さん」賢哉さんとのキスは、甘くて優しいのに、情熱的にも感じた。 こんなに優しいキスに、私の心は賢哉さんだけに向いている。「あっ、ん……」賢哉さんのゴツゴツとしたその大きな指が、私の左手をギュッと握りしめる。 あの時もらった結婚指輪は、今ちょうどサイズを直してもらっているため、今はまだない。「ピンクの下着……かわいいね」「え……? あ、ありがとう、ございます……」「舞美絵に、よく似合ってる」良かった……ピンクの下着、褒めてくれた。 気合い入れすぎだと思われたらどうしようかと思っていたけど、そんなことなかったみたい。 でも「似合ってる」は、正直に言うと嬉しい。だけどそのピンクの下着は、すぐに賢哉さんの手によって外されていく。 ベッドの横に落ちた下着がなくなると、急に激しく緊張してドキドキする。 そのドキドキが賢哉さんに伝わってほしくないと思いつつ、伝わっていてほしいとも思う。「大丈夫、舞美絵?」「大丈夫です。……なんか、ずっとドキドキしてて」賢哉さんも同じ気持ちだと嬉しいなと、思う。「俺もずっと……ドキドキしてる」それを聞いて思わず「良かった……」と呟く私に、賢哉さんは「かわいいね、舞美絵」と今度は私のおでこにキスを落とす。   「賢哉、さん……」「舞美絵……」今度は賢哉さんの唇が深く重なると、私は目を閉じて賢哉さんの体温を感じていく。 賢哉さんの心地良い体温に溶かされていく私は、賢哉さんの背中に腕を回した。「あっ……っ、んっ」賢哉さんの身体が徐々に熱くなっていくのがわかって、急に恥ずかしくなる。「かわいい、舞美絵。……もっとよく見せて」優しく髪を撫でられるだけで、私のドキドキはピークに達した。 だけど、私自身賢哉さんのことが欲しくてたまらなくなっている。「賢哉さん……ダメッ……もう」賢哉さんの理性に狂わされ、私は自分から賢哉さんの唇を奪っていく。「っ……舞美絵」賢哉さんと深く深く口付けを交わすと、私は「賢哉さん……もう欲しいです」とねだった。「俺も……もう君が欲しい」賢哉さんはベッドのそばにある引き出しから避妊具を取り出すと、それをペリッと開ける。その瞬間に、少し
last updateLast Updated : 2026-07-10
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激しく揺れるそのベッドで、私たちはお互いの理性を飛ばすように激しく抱き合った。初めての行為が終わった後、賢哉さんは私の身体を抱き寄せる。「身体、痛くない? 大丈夫?」「大丈夫です」正直、賢哉さんとの行為はとても気持ち良かった。 雪輝とも付き合っている時は何度もしていたけど、雪輝としている時の私は、我慢していたのかもしれない。雪輝との行為より、賢哉さんとの行為の方がずっと気持ち良かった。 幸せだったし、名前を呼んでくれたし……。「今日は、本当はしないようにしてたんだけどな」「え、どうして……ですか?」夫婦になったんだから、初夜はするものだと思っていたんだけど。「結婚してすぐに手を出したら、舞美絵に嫌われると思ったし。……それに、舞美絵の嫌がることはしないって、あの時約束したし」賢哉さんはあの時、確かにそんなことを言っていたのを思い出した。 でもそれは、嫌がることでもなんでもないし、自然な行為だと思っていた。「全然、イヤじゃないです。 むしろ、夫婦なら当たり前のことだと思いますし」「まあ……それもそうか」私は賢哉さんにピッタリと身体を寄せて「イヤだったら私……結婚してません、賢哉さんと」と伝える。「……ありがとう、舞美絵」優しく頭を撫でてくれる賢哉さんは、私のおでこにキスを落とし「おやすみなさい」と微笑む。「おやすみ、なさい」私たちは身体を重ね合ったその姿のまま、ベッドの中で眠りに付いた。✱ ✱ ✱あの幸せな初夜から二週間ほどが経った。現在賢哉さんは仕事で、数日ほど家を開けている。 どうやら麻薬密売組織のアジトを突き止めたとのことで、ここ数日は張り込み捜査をしているようだった。今回の麻薬密売人は、海外からとあるルートを使って日本に密かに麻薬を密輸しており、それを密売人たちが売り捌いているそうだ。その密売組織を捕まえるため、賢哉さんは数日張り込みをしている。 賢哉さんが張り込みをするというので、私は張り込みの時に食べられるように、おにぎりを賢哉さんのために作った。【舞美絵、おにぎりありがとう。美味しかった】賢哉さんはおにぎりのお礼を送ってくれた。【良かったです】おにぎり、喜んでもらえたみたいだ。 おにぎりの中身は鮭と昆布で定番のにしてみたけど、それが良かったみたいだ。【張り込み、頑張ってください】【ありがとう】
last updateLast Updated : 2026-07-10
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【妻の手料理】〜賢哉SIDE〜「四之宮、お前結婚したって本当なのかよ?」「ああ、本当だけど」「なんで俺に言わないんだよ、結婚のこと」俺にそう話してくるのは、俺の相棒である寺巻だ。「わざわざ、お前に言う必要ある?」「はあ? 相棒には報告するだろ、普通」寺巻は不満そうな顔を俺に見せる。「そもそも、いきなり結婚とかなんだよ。そんな予兆なかったじゃん」「なんだ、俺の結婚が羨ましいのか?」寺巻は「はあ?そんなことねえよ」と言っているが、本当は羨ましいんだと思う。「俺がお前に結婚したことを報告しなかったのは、めんどくさそうだったからだ」「おい、めんどくさいってなんだよ。ひどくないか?」「色々突っ込んでくるだろ? 妻との馴れ初めとか、どんな相手なのかとか」  「まあ、それは聞きたいよな、普通」俺はコーヒーを飲みながら「お前には教えてやらないけどな」と口にすると、寺巻は「お前、マジで意地悪いな」と言い返してくる。「なあ、教えろよ。どこで出会ったんだよ、奥さんと」「お前に教える義理はない」   コイツ、言ったそばから聞いてくるし……。俺の話、聞いてねえ。「そのくらい教えてくれてもいいだろ、ケチだな」「ケチで結構だ」コーヒーを飲む俺に、寺巻は「でもさ、なんか幸せそうだな、お前」と俺を見る。「まあ、幸せなことは否定しないけどな」実際、俺は舞美絵と暮らしてると幸せだし。「お前、その幸せを少しは俺に分けてやろうとか、ないわけ?」   「はあ? そんなものはない」寺巻のヤツ、ひがんでるな……。「相棒なのに?俺ら」「今相棒は関係ないだろ」「なあ、奥さんの写真とかないの?」俺は寺巻に「ない。 まああったとしても、お前には見せないけどな」と答えた。「お前、マジでケチだな」寺巻は諦めたのか、「奥さんの愚痴言いたくなったら、相棒の俺が聞いてやるからな?」とニヤニヤしている。「お前に妻の愚痴を聞いてもらうつもりはない」「なんだよ、俺が親切にしてやってるのに」寺巻がそう言うので、俺は「別に頼んでない」とだけ返しておいた。「……おい、寺巻。アイツじゃないか?」「え?」今捜査している麻薬密売組織の一人を、アジトで見つけた。「ああ、アイツだな」「アジトはやはり、ここで間違いないみたいだな」「ああ」調べたとおり、
last updateLast Updated : 2026-07-10
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「俺は舞美絵と約束したんだ。……絶対に死なない、舞美絵を守ると約束したんだ」「じゃあ、頑張らないとな、この仕事」「……そうだな」俺は舞美絵のために生きる。 舞美絵の笑顔を守るために、生きるんだ。「悪い、寺巻。後任せていいか? 今日、もう帰らないとだから」舞美絵が俺の帰りを待ってるんだ、早く帰らないと。 「奥さんが待ってるんだろ? 今日くらい、早く帰ってやれ」「ありがとう。 じゃあ、お疲れ」カバンを手に席を立つ俺に、寺巻は「はいはーい。 奥さんと仲良くねー」とニヤニヤしながら俺に手を振る。「お前は一言いつも余計なんだよ」「お疲れー」俺はみんなに「お先失礼します」と伝え、家へと向かった。✱ ✱ ✱「ただいま」玄関を開けて家に入ると、舞美絵が「あ、賢哉さん、おかえりなさい。 お仕事、お疲れ様でした」と出迎えてくれる。「……舞美絵、ありがとう」俺はそのまま、舞美絵の身体をギュッと抱き締める。「あの、賢哉さん?」「……寂しい思い、させてごめん」結婚したばかりなのに、こんなに数日家を離れるだけで、舞美絵に寂しい思いをさせているのではないかと思ってしまう。「いえ。ちゃんと帰ってきてくれましたから、もう大丈夫です」舞美絵は俺にそう言ってくれるから、俺は「そっか」と舞美絵の頭を撫でる。「思ったより早かったなって、思いました。 もう少し張り込み捜査かかるのかなって、思ってたので」「そっか。 じゃあ良かった」舞美絵は「夕食もう少しで出来るので、良かったら先にお風呂でもどうぞ」と言ってくれた。「……じゃあ、そうしようかな」「はい。 湯船沸かしてあるので、ちゃんと湯船に浸かって身体を休めてくださいね」「ありがとう」俺は一旦寝室へと行き、服を着替える。ふと舞美絵の後ろ姿を見ると、舞美絵の料理をしている姿が見えて、それだけで嬉しくなる。「風呂、入ってくる」「はい」バスルームで服を脱いで、シャワーを浴びると気持ちがリセットされる気がした。 髪と身体を洗い流し、湯船に浸かるだけで疲れが取れる気がした。「……ふう」舞美絵、寂しくなかったかな? 張り込み捜査に行くと伝えた次の日、舞美絵は朝家を出る前に「張り込み捜査、頑張ってください」と手作りのおにぎりを持たせてくれた。そのおにぎりの中身は鮭と昆布で、あれは美味しかった。 俺のため
last updateLast Updated : 2026-07-11
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数日ぶりに帰ってきた賢哉さんは、私の料理を美味しいとたくさん食べてくれた。 賢哉さんが好きだと言う鶏の照り焼きも作ったら、めちゃくちゃ喜んでくれた。数日家にいなかっただけで、この家の広さをより感じた。 一人だと持て余すと賢哉さんは前に言っていたけど、確かにそうだなと思った。 一人でこの家にいると広いから、過ごし方がわからない。でも賢哉さんがいると、やっぱり空気も潤う気がする。 なんとなく、温かい空気になって優しい気持ちになる。「舞美絵、髪乾かした?」「はい」「じゃあ……こっち来て」賢哉さんに手を引かれ、ソファに座らせられる。「賢哉さん、どうしたんですか?」「これ、取ってきた」賢哉さんはカバンから小さな箱を取り出す。「はい、結婚指輪」「え……? 取って来てくださったんですか?」   「さっき、帰りにね」   指輪のサイズ直してもらっていたけど、出来たんだ。「嵌めても、いいか?」「はい」指輪を箱から取り出した賢哉さんは、私の左手の薬指にそっと結婚指輪を嵌めてくれた。「……やっぱり、キレイですね」「よく似合ってる」「サイズ、これならピッタリです」この前みたいに抜けないし、緩くもない。「……良かった。ピッタリになった」「ありがとうございます」賢哉さんは「舞美絵、寂しい思いさせてごめん」と抱き締めてくれる。「いえ、気にしないでください。 お仕事、大変ですし」「寂しかったら、寂しいって言っていいんだからな」賢哉さんがそう言ってくれるから、私もつい「はい。本当に寂しかったら、ちゃんとそう言いますね」と伝えた。「舞美絵……好きだよ」賢哉さんは私のおでこに、ちゅっとキスを落とす。「……私も、あなたが大好き」私はもう、賢哉さんという人柄に惹かれている。すると賢哉さんは、私の髪の毛にも優しくキスを落とす。「舞美絵、久しぶりに見ても、やっぱりかわいいね」「……嬉しいです」賢哉さんはいつもおでこにいつもキスしてくれるんだけど、おでこや髪の毛だけだとちょっと物足りないなと感じてしまう。そう思いながら賢哉さんのことをジッと見つめていると、賢哉さんが「その顔……もしかして唇にキスしてほしかった?」と意地悪そうな顔を見せる。「えっ」え、バレちゃった……?「わかりやすいね、舞美絵は」   「え……?」「でもそう
last updateLast Updated : 2026-07-12
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避妊具を付けた賢哉さんが、私の中に入り込むだけで、すぐに気持ちよさと快感が襲ってくる。「っ……んっ、あっあっ」身体がこうして繋がっていると、心も繋がっているような気持ちになってしまう。 「賢哉さん……もっと、奥までしてっ……」賢哉さんのことを大好きな気持ちが溢れて、止まらなくなる。「舞美絵……かわいいこと言うな」知らないうちに私は、こんなにも賢哉さんのことを愛しているんだ。 「賢哉さん……んんっ、んぁっ」「舞美絵……」    賢哉さんと身体を重ねながら繰り返すキスに、私の心と身体は思考が止まる。 何も考えられなくなるくらい、賢哉さんとの行為に溺れてしまった。「っ、気持ちいいっ……」「ん……嬉しい」賢哉さんが私との行為を気持ちいいと思ってくれていることが、すごく嬉しい。 「舞美絵の中、熱くて……離れたくない」「私も……離れたくない」賢哉さんの中はとても熱くて、いつもすごく気持ちいい。私が賢哉さんの背中にしがみつくと、賢哉さんはさらに私の中で激しく腰を揺らし始める。「あ、あんっ……いやっ……気持ちっ」あまりにも気持ちよくて、どうしようもなくなる。「っ、舞美絵……イクッ……!」避妊具越しに伝わる賢哉さんのその理性は、私の気持ち良さを絶頂まで運んでいった。「賢哉さん……キスして」賢哉さんはおでこにちゅっとキスを落としすと、頭を撫でてくれた。賢哉さんと長い時間身体を重ねた私は、幸せに浸りながら眠りに落ちた。 包み込まれるように抱き締められながらーーー。✱ ✱ ✱「じゃあ、行ってきます」「行ってらっしゃい。……これ、今日のおにぎり。お仕事、頑張ってね」「ああ、ありがとう。いつも助かる」「うん」あれから少しずつ時は流れて、結婚してから早三ヶ月が過ぎた。 今日もまた張り込み捜査のために、数日家を開けることになった賢哉さんのため、おにぎりを作って渡した。 賢哉さんには相棒となる人がいるようなので、その人の分も一緒に作った。 賢哉さんはそんなに気を遣わなくていいと言っていたけど、張り込み捜査の時は神経を研ぎ澄まして張り込むいうこともあり、なかなか買い出しに出る時間もないそうだ。 そんな賢哉さんのために作ったおにぎりだけど、賢哉さんは喜んでくれるから嬉しいんだ。「頑張ってね、賢哉さん」麻薬取締官という仕事のことは、
last updateLast Updated : 2026-07-13
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「じゃあ、行ってきます」家事を一段落させ、私も仕事へと向かう。最近私の方は結婚したということもあり、時短勤務へと変更した。 賢哉さんを支えるために、自分がそうしたくてそうしたのだけど、賢哉さんには「申し訳ないことをした」と言われてしまった。私が自分から選んでその道にしたのに、気を遣わせてしまったような気がする。 私の中では正しいことをしたと思っているので、何にも間違ってはいない。 ただ、賢哉さんを支えたいから。「おはようございます」「おはよう、早瀬さん」職場では名前を変更したりとめんどくさいので、旧姓の早瀬と名乗っている。「早瀬さん、最近また一段とキレイになったんじゃない?」「え、そうですか?」小木嶋さんが私の方を見て「なってるよ! 旦那さんのおかげかな?」と微笑む。「えー、どうですかね?」小木嶋さんは「元々早瀬さんはキレイだけど、前よりもっとキレイになったと思うよ。 ほら、鏡見てみな、肌のツヤすごいよ」と鏡を私の前に見せる。「メイクのせいだと思ったんですけど、そうなんですかね?」「早瀬さん、それは旦那さんに愛されてる証拠だよ。もっと自信持ちなよ」「……え、そうですか?」愛される証拠、か……。もちろん私は、賢哉さんのことが大好きだし、愛おしい。「そうだよ!新婚さんなんだから、二人の時間大切にしなきゃね。 じゃないと、私みたいになっちゃうよ」「えっ?」「ほら、うち去年離婚したじゃない?」「あ……」小木嶋さんは去年の夏、旦那さんのモラハラが原因で離婚したと言っていた。 旦那さんは小木嶋さんに対して過度なモラハラをしていたそうで、小木嶋さんはそれに耐えきれなくなり離婚した。だけど離婚してからの小木嶋さんは、結婚してた頃よりも生き生きしている感じがしている。 多分、自分の生き方を見つけられたからなのかもしれない。「私さ、離婚して良かったって本当に思ってるの」「え?」「私はさ、あれがモラハラだって思えなかったじゃん?当たり前のことだと思ってたし。 でもその時に早瀬さんがそれはモラハラです。人権侵害ですって言ってくれた時、あの時初めてあれがモラハラだってわかったし」小木嶋さんはずっと我慢していた。それがモラハラだと気付かず、当たり前のことだと思っていた。 私からしたら、普通はありえないことなのだけど、それが普通じゃないこと
last updateLast Updated : 2026-07-14
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【麻薬取締官になった理由】相棒の過去〜賢哉SIDE〜「そこを動くな! お前ら全員、麻薬所持の疑いで逮捕する!」同僚の張り込み捜査とおとり捜査のおかげもあり、とある麻薬密売に関与していた容疑者らを逮捕することに成功した。「こら、大人しくしがやれ! 暴れんなっ!」「はい。公務執行妨害で現行犯逮捕だ」なんとかして逃げようとする容疑者を逮捕した俺たちは、応援に駆けつけた警察に容疑者たちを引き渡した。「連行してください。 後はよろしく頼みます」「はい。ご苦労様でしたっ!」パトカーで容疑者たちが連行していく姿を見送った後、俺たちは張り込みしていた現場を再びチェックした。「にしても、よくここがアジトになってるってわかったな」「詳しく調べてたら、コイツの名前がヒットしたんだよ」俺はスマホを開き、その男の写真を見せる。「おい、コイツって……」「三年前に逮捕した、特殊詐欺グループのメンバーだった男だ」「それって、トクリュウか?」「ああ。 その特殊詐欺グループのメンバーの中に、大麻所持で逮捕されて起訴された男がいた」俺の同級生の中に警察関係者がいて、少しだけ話を聞いたことがある。 特殊詐欺グループのメンバーの中に一人だけ、詐欺ではなく大麻使用で逮捕した男がいると。「で、この男が今回の麻薬密売と何か関係あるのか?」「コイツ、あの時の特殊詐欺グループのメンバーの弟だったんだよ」「なに? それ本当かよ?」「ああ。 あの二人は兄弟だったんだよ」まさかここで三年前の特殊詐欺グループと繋がりがあったとはな……。「兄弟? でも苗字が違うよな?」「幼い頃に両親が離婚したことで、離れ離れになったんだよ。 だから苗字が違うのも頷ける」「……そういうことか」寺巻は「兄弟揃って犯罪者かよ。救われねーな」と嘆く。「親の育て方に問題があったんだろ。 二人とも別々で引き取られたみたいだしな」 環境の違いがそういう犯罪を生むことは、珍しいことじゃない。「二人は別々に引き取られたけど、育った環境が良くなかったんだろう。 兄は父親の方に、弟は母親に引き取られたけど、互いに違う道を歩んだ結果がこれか。……どうしようもないクズだな」「……ま、飛行に走る子供の多くは環境が悪かったり、親のせいにするよな。 親のせいで自分はこうなったと、人のせいにするし」何年か前に、大
last updateLast Updated : 2026-07-14
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「……四之宮、どうした?」「え?」「なんか考えごとか?」「ああ、いや……別になんでもない」寺巻が麻薬取締官になった理由を、俺は一度聞いたことがあった。それで、寺巻は俺にこう答えた。「俺の姉ちゃんが、大麻を所持していた疑いで逮捕されたんだ。 そのことが原因で、死んだ」寺巻のお姉さんは、大麻の所持などしていなかった。 しかしその疑いをかけられたせいで、寺巻家は非難に晒されたそうだ。 あることないこと言われてバッシングを受け、寺巻自身も辛い思いをしたそうだ。 そのことが原因で心を病んだ寺巻の姉ちゃんは、遺書を残して自ら命を絶ったそうだ。寺巻が麻薬取締官になったのは、姉ちゃんのためだった。 姉ちゃんの無実を証明するため、そのために麻薬取締官になったんだ。 そのしばらく後で、寺巻の母親もそのことで心労がたたって、心不全で亡くなったそうだ。寺巻は、大切な家族を二人も無くした。寺巻の父親は今介護施設に入居しているが、不慮の事故にあい記憶障害を発症してしまい、今では寺巻のことを覚えていないそうだ。 寺巻は今でも、そのことを気に病んでいる。「……なあ、寺巻」「ん? どうした?」俺はハンドルを握る寺巻に向かって「もうすぐ……お前の姉ちゃんの命日だよな」と呟いた。 寺巻は少し間を置いてから「……ああ。もう六年になる」と短く答える。「そっか。もうそんなになるのか……」「……早いよな。 もう六年だ」当時寺巻の姉ちゃんには、恋人がいた。 その恋人は、姉ちゃんの無実を訴えていた。 もう一度捜査してくれと、警察に何度も頭を下げていたそうだ。 しかし警察は取り合ってはくれず、結局再捜査されることもなかった。   でもその恋人は、寺巻の姉ちゃんの事件を担当していた警察官を待ち伏せし、ナイフで刺してしまい、その場で現行犯逮捕された。警察官はなんとか一命を取り留めたものの、刺されたことが原因で麻痺を起こしてしまい、二度と警察官として働くことは出来なくなったそうだ。容疑を認めたその恋人は、殺人未遂容疑で送検されたが、留置所の中で自殺したらしい。 寺巻自身、その恋人がそんな事件を起こすだなんて思ってもいなかったようで、驚いたようだった。「姉ちゃん……生きてたらきっと、あの人と幸せに暮らしてただろうな」   「え……?」あの人とは、きっと今はなき姉ちゃん
last updateLast Updated : 2026-07-15
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