All Chapters of 婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。: Chapter 31 - Chapter 40

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「大学の時に離れ離れになったらしいんだけど、その親友は大学の授業のことや人間関係が原因で、薬を大量に服薬するようになったらしい。 それを繰り返すようになって、その子は亡くなったそうだ」寺巻は「そっか。そうなのか」とだけ呟く。「俺は、そういう人を減らすためにこの仕事をしている。 舞美絵のように親友を失くす人が一人でも減るようにするのが、俺たちの仕事だ。……だから俺は、この仕事を続ける」「……俺もお前も、目指すべきは同じってことだな」「そうだな」そんなことを思いながらも、寺巻は「でも奥さんのこと、悲しませたらダメだぞ」と俺に言うので「わかってるよ、そんなこと」と言い返す。「やっぱり今度、お前の家遊びに行っていい?」「はあ? 絶対にイヤだね」「ケチくさいなー、四之宮は」「お前が来るとあれこれ聞くだろ、色々と」「そんなことはしないよー」本当かよ……。信じられないな。「四之宮の奥さんにも、会いたいし?」「いや、会わせたくない」「もう、なんでそんなこと言うかなー。俺たち相棒じゃん」そんなことを言う寺巻に、俺は「プライベートまで相棒になったつもりはないけどな」と言い返す。「そんな固いこと言うなって。料理上手な奥さんにも聞いてみてよ」「はあ? お前図々しいな」「だって、俺も奥さんの手料理、食べたみたいなーと思ってさ」寺巻のヤツ、何かと口実付けようとしてるな……。「……まあ、聞いといてやるよ」「お、さすが四之宮」全員舞美絵のことを紹介したくないけど、舞美絵なら優しいし、多分OKすると思う。「俺、今日はこのまま直帰するから、そこで降ろしてくれ」「家まで送るけど?」「いい。 少し歩きたい気分なんだ」寺巻は「わかった」と近くに車を止めて、俺を降ろした。「じゃあ、お疲れ」 「はいはーい。お疲れー」再び車を走らせた寺巻の車を見送ると、俺は歩き出した。歩きながら辺りを見回していると、オシャレなケーキ屋が目に入る。「ケーキか……。ケーキでも、買って帰るか」数日家を開けてしまったし、舞美絵に喜んでもらいたい。「いらっしゃいませー」ケーキ屋に入り、いくつかショーケースの中のケーキを眺める。「すみません、これとこれと、これをください」「かしこまりました」ケーキをいくつか選び、俺は会計をしてケーキ屋を後にした。✱ ✱ ✱【今
last updateLast Updated : 2026-07-16
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「すぐにご飯食べる?」   「じゃあ、食べようかな」「ちょっと待ってて」舞美絵は冷蔵庫の冷凍室から、いくつかタッパーを取り出していく。「生姜焼きと鶏チャーシュー、どっちがいい?」「そうだな……今日は生姜焼きかな」「わかった」「目玉焼きいる?」「あ、ほしいかも」「わかった。目玉焼き作るね」   舞美絵は支度をしながら「賢哉さん、着替えてきたら?」と声をかけてくれる。「そうだな。着替えてくるよ」俺は寝室へと向かい、部屋着に着替える。「洗ってくれたのか……?」舞美絵が使ってる柔軟剤のニオイがする。洗濯してくれたのか、俺の部屋着。 ありがとう、舞美絵。クローゼットを見ても、俺のとっ散らかってた服がキレイに畳まれていて、ちゃんと整頓されている。 舞美絵はこういうところしっかりしてるから、俺自身すごく助かる。その反面、俺もしっかりしなければと思い知らされる。「舞美絵、服畳んでくれたのか? ありがとう」「ごめん、勝手に」「いや、すごく助かる。見やすくなったし」舞美絵は「なら良かった」と微笑む。「もう出来てるから、座ってて」張り切り中は大したものを食べられないからこそ、こうして舞美の料理を食べられることが何より嬉しいし、明日の活力になる。「はい、どうぞ。 ご飯ちょっとだけ多めにしておいたよ」「ありがとう。……美味そう」テーブルに並べられた夕食たちは、どれも俺が好きなものばかりだった。 栄養バランスもそうだし、彩りもちゃんと考えて作ってくれている。「お味噌汁のおかわりもあるから」「ありがとう。 いただきます」         数日ぶりに食べる舞美絵の料理は、どれも美味しくて、身体に染み渡った。「……美味しい?」「かなり美味い」舞美絵はそんな俺を見て「良かった」と微笑んでいた。「毎日献立考えるの、大変じゃないか?」「そんなことないよ。……私、賢哉さんのために作る料理が、本当に楽しいから」料理が楽しいか……それは嬉しい。「ありがとう。 毎日献立考えてくれて」「ううん。 こちらこそ、毎日美味しく食べてくれて、ありがとう」舞美絵の料理を食べることが、今の俺にとって何よりの幸せだ。 どんなに大変でも、元気になれる。「なあ、舞美絵?」「ん?」「今度、俺の相棒が、舞美絵の料理を食べたいから家に来たいって言っ
last updateLast Updated : 2026-07-17
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✱ ✱ ✱賢哉さんに欲望のままに求められると、私は嬉しくなる。 「ん……あ、あんっ」賢哉さんと会えない時間の分だけ、身体を重ねる時間が濃密で濃厚で、甘く刺激的なんだ。「いやっ……賢哉、さんっ」賢哉さんに「舞美絵」と名前を呼ばれるだけで、幸せになるし、愛おしい気持ちが込み上げて来る。「舞美絵、そんなに気持ちいい?」私の一番気持ちいいところを責めてくる賢哉さんは、そう聞いてくる。「うん……すごく気持ちいい……」「俺も気持ちいいよ」そう言って私の首元に唇を這わせながら、ベッドを揺らしていく賢哉さんの動きに合わせて、私の甘く濡れた声が漏れてしまう。「んぁっ……あっ、ダメッ……」「ダメ? ダメじゃないくせに」私が賢哉さんの背中にしがみつくと、賢哉さんの腰の動きがますます激しくなっていく。 「ああっ、あっ……んぁっ、あんっ」賢哉さんとこうして身体を重ねる時の私は、きっととても淫らだと思う。 でもそんな私のことを、賢哉さんはいつも「かわいい」と言ってくれる。やっぱり私は、賢哉さんのことが大好き。愛おしくて、大切な人だ。「舞美絵……っ、イキそっ……」「うん……イッていいよ」賢哉さんが私の中を激しく動き出せば、私も自然と賢哉さんのことを求めてしまう。「待って……私も、イキそっ……」「ん、一緒にイクぞ」でも賢哉さんと会えない時間が、私たち二人の時間を強くするし、濃厚にする。「賢哉さん……大好き」「俺も、大好きだ」賢哉さんと、これからもずっと一緒にいたい。本気でそう思う。「離れたくない……」「離れないよ、絶対」「……うん」賢哉さんの隣でこうして眠ることの幸せが、私にはすごく意味があるものになってる。「賢哉さん……キスして」賢哉さんは私の唇に、そっと甘くて優しいキスを落とす。「俺、風呂入ってくるな」「うん」 そっとベッドから抜け出した賢哉さんは、バスルームへと歩いていく。今日の賢哉さんは、いつもより情熱的だった気がする。いつもと同じくらい優しいのに、情熱的に感じた。もちろん、たくさん求められて嬉しかった。愛されると思えて、幸せだったから。「好き……賢哉さん」  私は、賢哉さんとの幸せを守りたい。 この幸せを、ずっとずっと守り抜きたい。 ✱ ✱ ✱それから二週間ほどが経った時のことだった。「お先に失礼し
last updateLast Updated : 2026-07-17
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さっきから言っている意味がわからない。「だからさ、俺たちは今まで通り結婚出来るってことだろ? だから、やり直そうぜ。な?」「っ……ふざけないでっ!」私の態度に驚いたのか、雪輝は「いや、何を怒ってんだよ? 俺たち、元々夫婦になる予定だったんだぞ?そんなに怒ることないだろ?」と宥めようとする。「ねえ、今何を言ってるかわかってる? あなたは今、最低なことを言ってるのよ?」浮気したくせに、そのことすらも許してもらえるみたいな顔して……腹立つ!「だから、全部水に流してやり直そうって言ってるんだろ? なあ、わかってくれよ、舞美絵」「わからない! 婚約者がいながら浮気しておいて、今さら水に流してやり直そう? ふざけるのもいい加減にしてよっ!」浮気したことは、なかったことになんてならないから。「私のことなんだって思ってるの? 雪輝にとって、私は都合のいい女ってこと?なんでも言えば許してくれるとか、そう思ってるの?」「でも舞美絵は、俺との結婚望んでただろ? プロポーズされて嬉しかっただろ?」「はあ? いつの話してるのよっ!」過去の話持ち出すのはやめてよ! もううんざり。ここから離れたい。   「悪いけど私、あなたとは結婚出来ないの」「は? どういう意味だよ?」「私、もう結婚してるから」「……は? 結婚?」雪輝は「何冗談抜かしてんだよ。結婚?お前が?」と聞き返してくる。「そうよ。 私、もう別の人と結婚したの。だから、あなたとの結婚は無理」そう言えば諦めてくれるかと思ったのに、雪輝はなかなか引きそうになかった。「結婚? 誰と結婚したんだよ?」「あなたには、関係ない人とよ」「ちょっと待てよ、俺以外の男と結婚しただと? どういうことだよ」私は雪輝に向かって「どういうって、そのままの意味だけど」と言い返す。「私、もう結婚してるの。 あなたよりもずっといい人よ。あなたより賢くて、強くて思いやりのある人だし、あなたよりイケメンなの。あなたよりずっとセックスも上手いし」「はあ? お前……とんだクソビッチかよ!」「なんとでも言えばいいわよ!……わかったら、私の前から消えて」そう言って立ち去ろうとした時、雪輝が「おい、待てよ!」と私の腕を掴んでくる。「ちょっと、離してっ!」なんとか逃れようとするけど、力が強くて逃げられない。「お前、俺のこと
last updateLast Updated : 2026-07-18
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「今さら妻になんの用だ? お前は所詮元カレだろ? 今のお前に彼女は相応しくない。さっさと俺たちの前から失せろ」「………」「聞こえなかったのか? さっさと失せろと言ってるんだ」雪輝は舌打ちをすると、私たちの前から立ち去って行った。「舞美絵、大丈夫か?」すぐに賢哉さんは私の顔を覗き込む。「ケガしてないか?」「……うん」正直、すごく怖かった。 私の知ってる雪輝は、あんなんじゃなかった。「賢哉、さん……怖かった」「一人でよく頑張ったな」賢哉さんは私の震える身体を、優しく抱き締めたくれた。「賢哉さん……っ」自然と涙が流れてしまった。「大丈夫。もう大丈夫だからな」涙を優しく拭ってくれる賢哉さんに、私は「うん……」と頷いた。「怖かったよな、ごめんな」「ううん……もう大丈夫」賢哉さんが来てくれたから、もう怖くない。「ありがとう、賢哉さん。……来てくれて、嬉しかった」「妻がピンチの時に駆けつけるのは、夫の役目だろ?」賢哉さんは私の肩を抱き「さ、帰ろう、舞美絵」と歩き出す。「あの……どうして、ここがわかったの?」「念の為、舞美絵のスマホにGPSを仕込んでおいたんだ」「え、GPS……?」いつの間に……。気付かなかった。「守るって、約束したからね」「……そうだったんだ」賢哉さんは「勝手なことして、ごめん」と謝ってくれたけど、そのおかげで私は助けてもらえたし、気にしてない。「ううん、平気だよ」「さっきのアイツが、元婚約者なんだ」「……うん」「アイツ、なんて?」私は話すか迷ったけど、話すことにした。「浮気した女性との間に出来た子供は、俺の子供じゃなかったって……そう言ってた」「え?」「俺の子供じゃなかったから、もう一度やり直そうって、さっきそう言ってきたの」私がそう話すと、賢哉さんは「それであんなことを言ったのか、君に」と心配そうな顔を見せる。「結婚したって言っても、なかなか信じてもらえなくて……どうしようって思ってた時、賢哉さんが来てくれたの」「……舞美絵」私は、賢哉さんが来てくれた時、奇跡だと思った。「雪輝にね、賢哉さんは雪輝よりいい人だし、イケメンで強くてセックスも上手いって言ったら、クソビッチって言われちゃった」「はっ!?」え、そんなに驚くこと言ったかな……?「え、なんかおかしなこと言ったかな?」
last updateLast Updated : 2026-07-19
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✱ ✱ ✱ 「いただきます」「いただきます」家に帰って夕食を食べていると、賢哉さんのスマホが鳴り出す。「ごめん、ちょっと電話出てくる」「うん」賢哉さんは「もしもし」と電話に出ると、一旦寝室の方へと歩いていく。 数分間電話した後、賢哉さんは戻ってきた。「ごめん、仕事の電話だった」「仕事、大丈夫?」「大丈夫だよ」「そっか」今日の夕食は、オムライスにした。 さっきのせいで買い物に行くことも出来なかったので、冷蔵庫にあるもので作れたのがオムライスだった。 後は作り置きしていたおかずを少しだけ出した。「オムライス、美味いね」「良かった」「普段オムライスってあんまり食べないけど、たまにはいいな」「うん、いいよね」オムライスをあっという間に完食した賢哉さんは、「悪い。ちょっとだけ仕事をしてくる」と自分の部屋へ入っていく。「ごちそうさまでした」夕食を食べ終えた私は、先にお風呂に入った。お風呂から上がると、リビングで賢哉さんが誰かと電話していた。「わかった、わかった。 その代わり、お前妻に絶対に余計なこと言うなよ」え、私……? え、私……何かしちゃった!?「本当にわかったのかよ。 余計なこと言ったら、お前のこと殺すからな」   電話の相手から察するに、おそらく相棒だという人かな? 前に私の料理が食べたいと言っていた、あの相棒さんな気がする。「わかったよ。……じゃあな」電話を切った賢哉さんは、私に気付いたのか「お、風呂出たのか」と声をかける。「電話、もしかして相棒さん?」「ああ。 いつ舞美絵の料理食べさせてくれるのかと、急かされた」「ああ、なるほど」賢哉さんは「最近、早く嫁に会わせろってうるさいんだよアイツ」と愚痴を漏らす。「そうなんだ。 じゃあ、いつにするか決めないとだね」「ああ」「賢哉さんの仕事が早く終わる日にしたらいいかな? それとも、休みの日がいいかな?」賢哉さんは「寺巻にも聞いてみるよ」とだけ答えた。「相棒さん、寺巻さんって言うんだ」「ああ。 俺が結婚した時もなんで俺に報告しないんだよって、アイツに言われたし」「え、言わなかったの?」相棒なのに……?「まあタイミング見て言おうとは思ってたけど、その前にバレた感じかな」「へえ……そうなんだ」私は賢哉さんの隣に座る。「そしたらアイツ、舞美絵に会
last updateLast Updated : 2026-07-20
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「どっちも似合いそうだけどな」「そうかな?」「似合うと思うよ、どっちも」賢哉さんにそう言われると、やっぱり嬉しい。「ありがとう、賢哉さん」「買えば? なんなら、俺がプレゼントするよ」「え、それは申し訳ないから……大丈夫」私はスマホを充電器に差し込み、ベッドに深く潜った。「似合うと思うけどね、どっちも。 着てるところ、俺は見たいかな」「……じゃあ、考えとくね」「ああ、考えてみな」隣で髪の毛を撫でながら、優しくキスをくれる賢哉さんに、私は「さっきの続き……しないの?」と聞いてしまった。「したいのは、舞美絵の方だろ?」「そ、そんなこと……ないもん」さっき、あんなに激しいキスをされたんだから……とつい期待してしまう。「あんなに俺を誘っておいて、その気はないって?」「ち、違っ……誘ったわけじゃなくてっ」隣にいる私の背中をグッと掴んで引き寄せる賢哉さんは、「その気にさせたんだから、逃げるなよ」と私の唇を塞いでくる。「ん……んっ」賢哉さんはその唇を首元に這わせながら、シルクのパジャマの中に手を伸ばしていく。「そんなにかわいい顔して煽られると、止められなくなる」「っ……賢哉、さんっ……止めないでっ」私自身も、その日は賢哉さんのことを熱く求めてしまったようで、賢哉さんの理性は何度も崩壊してしまった。あの時雪輝に賢哉さんはセックスが上手いと言ったけど、それは私の本心だ。 何度も何度も、気持ち良くさせられてしまうからだ。雪輝としてる時は、その気持ち良さを感じたことなんてなかった。✱ ✱ ✱「賢哉さん、ニュース見たよ。女優の三神まゆが逮捕されたって、本当?」ある日、私は仕事から帰宅した賢哉さんに、すぐそう問いかけた。「ああ、実は数ヶ月前からマトリがマークしてた女だ」今人気の女優の三神まゆが、大麻を所持していたとして逮捕されたと、先ほどニュースで流れていたのを見てびっくりしてしまった。三神まゆが逮捕されたことにより、どのメディアも速報で流していた。「マーク……してたの?」「ああ、三神まゆに似た女がとあるバーに入っていくのを目撃されていた。 表は普通のバーだが、そこは実は、麻薬取引が行われているというウワサがあったバーだったんだ」 賢哉さんはソファに座ってネクタイを緩める。「麻薬……取引?」「そうだ。 つまり、普通のバー
last updateLast Updated : 2026-07-21
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え、三神まゆを置いて逃げたの……? 最低じゃない。「恋人なのに、置いて逃げたの? ひどいね、それ」「ま、三神まゆのことをおとりにしたんだろうけどな。 まゆを麻薬取引の証拠にすることで、まゆを逮捕させれば自分は捕まらないって考えが、あったんだろうよ」「……何それ。最低すぎる」もちろん麻薬取引をすることも最低だし、所持することも最低だけど、恋人をそそのかしておいて自分だけ逃げるとか、男して終わってる。 最低すぎる……! 「密売も売買も、基本的には組織で動くことが多い。 でもいざとなったら、自分のことだけしか考えない輩が多いんだよ」「自分だけ、逃げ切りたいから……?」「仲間を売って自分は逃げる。それがこの世界の組織ってヤツだ。 裏切る者は容赦なく切り捨てるし、平気で仲間を裏切るのがこの世界の組織だよ」なんとも言えない、残酷な組織だ。 そんなことが本来あってはイケないのに。「……ひどい世界なのね」「俺たちは潜入捜査してる時、絶対に身バレしてはイケない。 だからうまく組織と付き合っていくためには、そういう組織にいかに紛れ込むかが大切なんだ。 組織に紛れて集めた証拠が手に入れば、後はガサ入れして逮捕するだけだからな」賢哉さんの仕事は、思ってたよりもずっと危険で大変な仕事だった。 私には想像出来ないくらい、きっと大変なんだろうな。「だから一応、ちゃんと仲間として行動する。もちろん怪しい動きをすればすぐに疑われるから、絶対に組織には逆らわないようにするんだ」「そこまで、徹底するんだ……」「悪いヤツらを逮捕するためなら、なんだってするさ。 時には汚れ仕事もするしな」え、汚れ仕事……? なにそれ、怖いんだけど……。「汚れ仕事って……なに?」私がそう聞くと、賢哉さんは「知りたいか?」と聞き返してくるので、私は「う、ううん。やっぱりいい! 言わないで!」と言い返した。「基本的にこういう組織の人間っていうのは、上下関係で上で成り立っている。 上下関係は厳しいから、少しでも逆らったら容赦なく切り捨てられる」「容赦……なく?」「それだけじゃない。 そうなったら、その存在すらも゙なかったこどにされるんだよ」「なかったことに……される?」それ、どういう意味なんだろう……?「簡単に言うと、その組織に雇われた輩に゙抹殺される゙ってことだ」「ま、ま、抹殺
last updateLast Updated : 2026-07-22
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「あ、おかえりなさい、賢哉さん」「三神まゆの事務所の社長、三神まゆのこと解雇したんだってな」「みたいだね。 ドラマも映画も全部配信停止だし、残念だね。 観たかったのにな」賢哉さんは「まあ、素直に認めているみたいだしな」とネクタイを緩める。「まだ二十五歳で若くて、これからだったのにね」私がスープを温めていると、賢哉さんは「ちなみに、三神まゆの恋人も見つかったみたいだぞ」と私に言った。「え、見つかったの?」「ああ。非番の警察官がその恋人を見つけたらしくて、逃走した恋人を追い掛けて、その場で逮捕したらしい」   「そっか。逮捕したんだ」悪いことをしたのに逃げようだなんて、普通に考えたらあり得ないんだけどね……。「ご飯出来るから、着替えてきたら?」「ああ、そうする」賢哉さんは着替えるために寝室へと入っていく。「今日はチキン南蛮とコンソメスープにしたの。賢哉さん、この間チキン南蛮食べたいって言ってたから」リビングに戻ってきた賢哉さんは、出来たてのチキン南蛮を見て「お、めっちゃ美味そう。 チキン南蛮、嬉しいな」と目を輝かせている。「ふふふ。 ご飯大盛りにする?」「もちろん、大盛りで」「了解です」賢哉さんの茶碗にご飯をいつもより少し多めによそい、テーブルへと運んだ。「はい、ご飯大盛りね」「ありがとう。……食べていい?」「どうぞ」賢哉さんは「いただきます」と手を合わせると、右手にお箸を持ち、チキン南蛮を口にした。「ん、めっちゃ美味い」「本当? 良かった」賢哉さんは「肉も柔らかいし、この上に乗ってるタルタルも美味い」と喜んでくれた。「たくさん食べてね」「ありがとう。 やっぱり舞美絵の料理は、美味いな」「そう言ってもらえると、作り甲斐があるよ」賢哉さんは本当になんでも美味しく食べてくれるし、好き嫌いもほとんどないので何を作っても喜んでくれる。「チキン南蛮ってさ、時々無性に食べたくなるよなー」「確かに。たまに、なんか食べたくなるよね」もちろん、唐揚げもとんかつも時々無性に食べたくなるし、カレーも食べたくなる。「やっぱり肉はいいな。 肉食べてるだけで満足感がある」「そうだね。 賢哉さんは、お肉好きだもんね」「肉でまずいものなんて、ないからな」「確かに、そうだね」夕食のチキン南蛮をぺろりと平らげた賢哉さんは「悪い。
last updateLast Updated : 2026-07-23
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「俺は、ずっと舞美絵の味方だからな」「……うん」 優しく頭を撫でてくれるこの手が、私は一番誰よりも安心する。 愛おしいこの手を、私はずっと離したくない、そう思う。「舞美絵、一緒に風呂でも入る?」「んん……賢哉さんがどうしても、って言うなら」私がそう答えると、賢哉さんは「舞美絵、その答えはずるいなー。俺にどうしてもって言わせたいって、ことだろ?」と私に問いかけてくる。「ええー、そんなことないけど」「ほら、どうしてもって言わせたい雰囲気出してる」「そんなことないのにー」でもなんだかんだ、賢哉さんは正直な気持ちを私に伝えてくれるから、私はそれが嬉しい。 こうやってたまにジョークを言い合えるのも楽しいし、好きなんだ。「よし、舞美絵がどうしても入りたいって言うから、入ってやるか」「それはこっちのセリフなんですけどー」そう言いつつ、賢哉さんと一緒に他愛もない話をしながらお風呂に入るのは楽しい気持ちになる。 やっぱり二人だけの空間って大事だと思うし。「舞美絵、髪の毛乾かしてあげるよ」「いいの? ありがとう」「じゃあ、ここに座って」   「うん」私の髪の毛をドライヤーで乾かしてくれる賢哉さんの手が優しくて、心地良くてたまらない。「熱くない?」「うん、大丈夫」自分でドライヤーするより、賢哉さんにしてもらう方が何倍もいい。「はい、乾かせたよ」「ありがとう、賢哉さん。 私も、乾かしてあげるね」「お、ありがとう」私も賢哉さんの髪の毛をドライヤーで乾かしていく。「風、熱くない?」「大丈夫だよ」賢哉さんの髪の毛は短いから、割とすぐに乾いてしまった。「終わりました」「サンキュー」私はパックを一枚取り出すと、顔にパックを貼り付けていく。「俺もパックしていい?」「どうぞー」賢哉さんは普段からスキンケアに力を入れているようで、私がふだん使っているパックを使ってから肌の調子が良くなったらしく、最近では二人で愛用するようになった。確かに賢哉さんは元々肌質がいいのか、肌もキレイだし、肌荒れも起きにくいみたいだから私としては羨ましいのだけど。最近では、家では苦手だったメガネも掛けるようになった。 賢哉さんがメガネ姿の私をかわいいと褒めてくれたし、目の大きさも気にならないと言ってくれたおかげだ。   休みの日で外出しない時は、最近
last updateLast Updated : 2026-07-24
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