All Chapters of 五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!: Chapter 91 - Chapter 100

121 Chapters

90話 占いの館への珍客

 私が占い部で準備を終えてしばらく経った頃、顔見知りのお客さんが来た。初めてここに来たのは、にこにこといつも通りの笑顔を浮かべた金髪の青年。良く来る彼とは違った透き通った青い瞳を持つフィリップ殿下だ。「やあ、シルヴァレーン嬢。お邪魔して大丈夫かい?」「はい。大丈夫です」 何の用かしら? と、緊張しながらもフィリップ殿下に椅子を勧める。お茶を淹れて出してから定位置に座りなおした。正面に座って改めて見ると、彼の目もサファイアという宝石のようだと思った。「今日は占いをご所望でしょうか?」「国についての予知ができるなら」 占いをしに来たのか別の要件なのかの問いをしたつもりだったけど、軽口が返って来た。やっぱりライオネル殿下と血がつながっているだけあるわ。「それは先日お断りさせていただきましたよね? ライオネル殿下に釘を刺されてから、ここでは恋愛以外のご依頼は承っておりませんよ?」 ライオネル殿下相手のように反論することはできないので、恋愛関係以外を受け付けてない旨を伝える。 フリィップ殿下は困ったように眉尻を下げた。恋愛の相談ではないようだ。まあ、ケイティとのことは時間が解決してくれるものね。私から何かアドバイスできるとしたら、ケイティを信じて待つことぐらいなんだけど。「恋愛か……兄弟の話でもダメかい?」 あら、兄弟間で何かあったのかしら? ライオネル殿下とのことなのか、はたまたその下のご兄弟なのか……。 ライオネル殿下に深入りしている身からすると、内容は非常に気になる。王城の人間関係のことについて話を聞けることなんて滅多にないだろう。恋愛しかダメと言ったのは、国に関わるような重大な話は止めてほしいということからだ。それはわかってるから、兄弟の話を出して来たのだろう。相手は話をしたい、私は話を聞きたい。それなら、聞いてもいいんじゃないかしら? 私は話を聞くことを決める。「……私に何を聞きにいらしたのですか?」「レオのこと、どう思ってるのかと思って」 何故アウレリア様と同じことを聞くのだろうか。本日
last updateLast Updated : 2026-07-28
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91話 兄弟喧嘩

「それで、ライオネル殿下のことで何かご相談が?」 彼の名前を出すということは、フリィップ殿下は今ライオネル殿下のことで悩んでいるのだろう。ライオネル殿下の毒殺未遂の件かしら? 私は身構えた。「実はさっきレオと喧嘩をしてしまってね」「はっ?」 頭が処理しきれなくて、声が漏れた。さっきまで仲良いアピールしてませんでした? いや、喧嘩するほど仲が良いとも言うし、だから喧嘩したってこと? 頭が混乱する。「なんだかその驚き方、レオと似てるね」 喧嘩したというのに、なんとものほほんとした感想を述べられた。笑ってはいるが眉尻は下がったままで本当に困っている様子ではあるんだけど。 口調と表情が一致してない。「こほん。似てません」 咳払いをしてから、否定だけはしっかりとしておく。だって似てないし。 本題のが大事だから、それ以上突っ込まずに話の先を促した。「喧嘩の原因はわかっているのですか?」「レオがしようとしていた王位継承権の放棄を私がしたいと相談したんだ。そしたら怒りだしちゃって。ものすごい怒り方だったな。最後には泣かせちゃったし」 泣いたの!? いや、それほど気持ちが高ぶってたことでは? 驚きしかなくて数回目を瞬く。 いや、でも、それはそうでしょ。だってライオネル殿下はフィリップ殿下をどうしても王位につけたくて頑張ってたんだから。たぶん毒殺未遂の話もあったから余計に幼い頃から頑張って来たとは思うけど、兄を語るあの話しぶりは尊敬を感じるし、そんな兄に手のひら返されたら、それは……泣くかも。「だから、慰めにいってくれないかな? と思って」 さっきからフィリップ殿下は驚くことばかり言ってくる。私に? 彼を慰めに? なんで?「仲介役をやれということですか?」「違うよ。話を聞いてやってほしいんだ」 ますますわけがわからない。私がライオネル殿下の話を聞いて何になるというのか。
last updateLast Updated : 2026-07-28
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92話 反省してください

率直に聞くことにした。「……何故です?」「婚約者だから。とは違うな。レオが君に心を許してるように見えるからだよ」 ライオネル殿下が私に? 心臓が大きく鳴ったけど、心を落ち着ける。人からそう見えてるなら婚約者のフリはばっちりってことよね。と思考を変える。「レオには背中を見せられる相手がいない。毒殺未遂も未来だけじゃなくて実際に何度かあったことだ。だから、いつもひとりで頑張っていた。でも、君と一緒にいる時は、なんていうか昔のレオを見ているようなんだ」 記憶を取り戻していないから、昔と言われてもわからない。少し気まずさとお腹にもやっとしたものを感じた。 自分の感情に振り回されてはいけない。「……様子は見てみます」 私はかろうじてそう答えた。 弱ってる時は誰かが傍に居た方がいいだろう。いつ毒殺未遂が起こるかもわからないし、喧嘩相手のフリィップ殿下が傍にいることは不可能だろうし。様子を見るだけ。それならできる気がしたから。「ただし、話の決着はご兄弟でつけてくださいね」 釘だけは厳しい口調でフリィップ殿下に刺した。喧嘩の仲裁はごめんである。その責任は喧嘩の原因を作ったフィリップ殿下にあるのだから。「わかったよ。シルヴァレーン嬢は手厳しいんだな」「フィリップ殿下に甘くする必要性はありませんよね? アウレリア様も、ノクタリウス様もライオネル殿下も、フィリップ殿下には甘いことですし?」 ライオネル殿下の気持ちをわかってるくせにそんな相談をしたフィリップ殿下が悪い。その思いをぶつけてしまった。「レオを泣かせたのは悪かったよ」「……反省してください」 ふうっと息を吐く。両手をあげて申し訳なさそうにしているので、とりあえずは許すことにする。「想い人は、貴方に相応しくなろうと頑張っています。待つ……ただそれだけが貴方には必要だと、占い結果をお伝えしておきますね」 反省をしていた相手に、言いすぎたことを帳消しにしてもらうため、占いというアドバイスを伝える
last updateLast Updated : 2026-07-29
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93話 喧嘩して泣いたライオネル

 フィリップ殿下と別れてから、私は城内へと足を運ぶ。落ち込んでいると聞いたから寝室にいるかと思えば、ライオネル殿下は自分の執務室で仕事をばりばりとこなしていた。 泣いてるっていうから心配してたけど、執務室で仕事って元気ね。って普段なら思うけど、おかしいでしょ、この状況。 私が入ったことにも気づかずにもくもくと仕事をしてライオネル殿下は顔をあげない。食堂からもらってきた紅茶とお菓子を中央の低いテーブルに置いてから、そっと近づいて声をかけた。「ライオネル殿下?」「……なんだ、どうした」 いったん驚いたように肩が跳ねたけど、顔は上げない。でも、返答と、仕事の手を止めてくれた。拗ねて返答もないかな。と思ったけど、話を聞いてくれる気はあるらしい。良かった。「いえ、フィリップ殿下からライオネル殿下と喧嘩して泣かせたと聞いたもので」 ガタガタという音を立てて、ライオネル殿下が椅子から落下した。なんだギャグ漫画か? っていうものすごい動揺ぶりだ。「兄上がお前のところまで行ったのか……」 顔を手で覆いながら、耳を真っ赤にして呟かれた。まあ、喧嘩して泣いたなんて誰にも知られたくないし、恥ずかしいよね。机の横から覗き込み、からかってやろうかとうずうずしてしまう。けど、さすがにそこまでやるのは人情が無さ過ぎるだろうと、普通に彼に手を差し伸べた。いつまでも地べたに座り込んでるわけにも行かないでしょ。 近づいて手を差し伸べると、その手を取って立ち上がる。やはり落ち込んでいるようで、片腕で顔を半分隠しながら横を向いてる。たしかにほんのり目元は赤い。「あんまりこっちを見るな」「……では、こちらで少し休みましょう」 じりじろ見すぎたようだ。私はライオネル殿下の腕を引いて中央のテーブルがあるソファへと引っ張っていく。いつもと違って力なくついてくる姿はちょっと可愛い。 ソファに座らせたので、真向かいへ向かうつもりだった。けど、裾を引かれる。仕方がないので隣に座る。肩に頭を預けて来たので、動けない。気が弱い時って人肌恋しいのよね。 落ち着く
last updateLast Updated : 2026-07-29
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94話 吐露

「国よりあの平民が大事なのか?」 苦々し気な、悔しい声。そして心底わからないと拗ねているような幼さを感じる。いままでで一番子どもっぽい。「……理解できないと?」「……どうだろうな。わからん」 子どもっぽさは一瞬だった。いつもと変わらない、でも落ち込んでいる声でライオネル殿下は話を続ける。「俺は兄上が王となり、その補佐をすることに憧れた。兄上の役に立てるならと思った。幼い頃からそうなるとしか思ってなかったんだ。だが、実際は俺の独りよがりだったのかしれないな」「……期待を裏切られたと思ったりしないんですか?」「勝手に期待して、絶望したのは俺の方だろう。兄上には、幸せになってほしい。それは別に王になるだけが道じゃないだろ」 フィリップ殿下に怒ってたわけじゃないのね。自分の不甲斐なさに怒りが込み上げて来たというわけか。これ、喧嘩じゃないわね。 ライオネル殿下はできるだけフリィップ殿下の希望を優先させたい感じだけど、幼い頃からの憧れとの乖離にショックを受けてる。そんな感じね。「でも悔しいと」「……当たり前だろう。いきなり出て来た女に取られたんだぞ」 それは貴方が言う言葉なのかしら? と疑問に思ったし、頭の片隅で泥棒猫という単語が出て来た。相当フリィップ殿下が好きらしい。私、これなんて言うか知ってるわ。「ブラコン……」「どうとでも言え」 思ったことを口にすると、息を吐きながら自暴自棄に言い放たれる。完全に拗ねてるようだ。少しは慰めた方がいいかしら……。気の毒になってきて、フォローを口にする。「いいじゃないですか、ライオネル殿下がフリィップ殿下を好きというだけなんですから。嫉妬というヤツですよ」「嫉妬……」 感情を明確に言葉にしたら、困惑した声が返って来た。「焼きもちと言ってもいいですよ。まあケイティに焼きもちをやいても無駄ですね。なんたって、ケイティは可愛
last updateLast Updated : 2026-07-29
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95話 ラルフを尾行

 フリィップ殿下びっくり作戦の話は煮詰まってしまったので、今日も放課後ライオネル殿下と練るつもりだった。場所は占い部だ。「何度話し合っても同じところに着地するな」「そうですね……」 けれど煮詰まってるものを煮詰めても答えはでない。「はぁ、別の話をするか」「では、ジュリアナ様についてお伺いしたいですわ」 生誕祭が終わったあと、彼女は学院にいっさい来ていない。その後どうなったのかはお触れでも出ているのか噂にもあがってこないのだ。「ああ、謹慎中だな。お前に近づかないように接近禁止命令が出されている。お前が直訴するというから、お前の家から直訴内容が届いて裁判の最中だ。しばらくかかるだろう」「なるほど」 今後はジュリアナ様に悩まされなくてもいいわけね。直訴すると言っても、やり方がわからなかったのでお兄様に投げてしまっていた。裁判にもなるわよね。 杞憂もなくなったことだし、気分転換でも提案しようかしら。「他に話がないのであれば、どうでしょう占いの実地をしてみませんか?」 アウレリア様の恋人を探すことを優先させることにした。 私とライオネル殿下は下町に降りることにした。「ラルフについてケイティに聞くんだったか」「正しくは、ラルフさんがパンを買いに行くのを尾行するんです」 尾行。これもまた定番である。尾行することで何かしらを目撃、ないし新しい情報が手に入ること必須。現代だと探偵のような恰好や刑事のような恰好をしてるのがデフォルトだけど、普通にこの前の下町風の恰好でいいかな。 ラルフさんについては、どういう人なのかわかっていない。ただ飄々と躱す愛想のいい大人というくらいだ。ちなみに尾行に関してはケイティに話してある。ケイティにはラルフさんにアウレリア様のことをどう思っているか聞いてほしいとお願いしているのだ。「ほら、ラルフさん出て来ましたよ」 ラルフさんがフィリップ殿下と交代でケイティと一緒に生徒会室から出てくる。ケイティを彼女の家まで送り届けるのだろう。彼らの後をそっとつけていけば、ライオネル殿下も大人しくついてくる。
last updateLast Updated : 2026-07-30
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96話 ラルフVSノクタリウス

「あれ? ケイティとノクタリウス様は仲良しでしたっけ?」 ノクタリウス様が無視を決め込んでいるというのに、ラルフさんは彼に声をかけた。面白いものを見つけたみたいにからかいの声色が強い。「僕とケイティはアウレリアのことで意気投合しただけだ。良き話相手だと言えよう」 腕組をしてふんっと鼻を鳴らしながらノクタリウス様はラルフさんに応える。「ああ、坊ちゃんはアウレリア様にご執心でしたね」 ラルフさんはさらに余裕のある微笑みを浮かべて、ノクタリウス様の恋心を暴露する。と言っても、傍から見てて誰もわかっているのか、ケイティは驚いていない。むしろ目を輝かせている。 でも、私はラルフさんのにこにこ笑顔が気味悪くてしょうがない。だって、目が笑ってないんだもん。ライオネル殿下が言ってたのはこのことね。「だからどうした?」 ノクタリウス様は額に皺を刻みながらラルフさんを睨みつけている。今ここでどうしてその言葉を吐くのか理解できないという顔だ。「オレは応援してますよ」 ラルフさんも笑顔のまま、答える。やっぱり目は笑ってない。圧さえ感じる。感じ取っているのか、ノクタリウス様も少し身を引いている。「アウレリア様の騎士として忠告しますけど。お嬢は隣国に嫁いじゃうから気持ちだけじゃなんとも難しい話ですよ? オレは騎士ですからねぇ。お手伝いしてあげたいですが、お嬢の言うことが一番ですから。嫁ぐというなら、それを優先します。まあ、望み薄いけど、頑張ってくれたまえ宰相の孫くん」 ラルフさんの返答は意外にシビアだ。淡々とノクタリウス様を否定していく。最後には意地悪く笑った。ノクタリウス様は深くため息を吐いてから眼鏡を直した。「不愉快ですね。やはり、貴方がアウレリアの傍に居続けるなど到底受け入れられない。嫌悪すら感じる」 火花が散る。ノクタリウス様から睨みつけられて、ラルフさんは口笛をふく。「そう~? オレはわりと好きだよ、面白くて」 にこっと笑うラルフさんにさらに頭に来たのだろう、ノクタリウス様はふんっともう一度鼻を鳴らしてから歩いて行ってしまった。 ノクタリウス様がいなくなったことでケイティがあわ
last updateLast Updated : 2026-07-30
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97話 尾行見つかる

 パン屋前の路地裏で、私とライオネル殿下は二人の様子を眺める。「変わり映えしないな」 ライオネル殿下の言葉が胸に刺さる。王城から街へ行くまで二人は他愛ない会話をしていた。特に収穫のない会話を。要するに、尾行にあまり意味がない。「では他に方法があったというのですか?」 収穫がないのは仕方ないじゃないという意味も込めて、ライオネル殿下を一瞥する。「それは――」「みーつけた」 ライオネル殿下の言葉を遮って、軽い口調の大人の声が降って来た。大きな影がで視界が暗い。「ひぇ」「……ちっ」 私の小さな悲鳴に、ライオネル殿下の舌打ち。ラルフさんが笑顔で私たち二人を見下ろして、その後ろでケイティが困ったような顔をしていた。 ケイティがパン屋裏手の自分の家へ私たちを案内してくれた。家の中は基本木製で暖かい感じが漂う。私を含めた四人は、リビング中央にある木のテーブルを囲んで座る。一番奥がラルフさん、時計回りにケイティ、私、ライオネル殿下の順だ。 ケイティが淹れてくれたお茶を目の前にしながら、緊張が走る。「それで、お二人はどうしてこちらへ?」 にこにこ温和な表情を浮かべて、ラルフさんは私たち二人を交互に見てくる。さて、なんて答えようかしら。バラバラな返答だと面倒くさいことになるのは目に見えている。私が最初に場を制するのが早そうね。「私はケイティに会いに来たの。前にも一度来てますし、その時に買ったパンが美味しくてまた買わせていただこうかと」 付き添いで来たというカードをライオネル殿下に渡す。「俺も前回同様、ミラの付き添いだ」 ライオネル殿下はパスしたカードをちゃんと使ってくれた。よかった。「それなのに路地裏にいたと?」 ラルフさんの目が細められて疑っているのが丸わかりである。「道に迷ってしまっただけです」 これ以上話すと余計にボロが出そうだし、ここは話を変えてしまおう。
last updateLast Updated : 2026-07-30
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98話 ラルフから見たアウレリア

 これ以上話すと余計にボロが出そうだし、ここは話を変えてしまおう。ラルフさんが何か言う前に私はそのまま話し続けた。「私、ラルフさんに聞きたいことがあったんですよね。アウレリア様がお慕いしてる人とか知りませんか?」「お嬢が?」 ちょっと強引過ぎたかもしれないけど、アウレリア様の話題だけあってラルフさんも食いついてくれた。このままアウレリア様の好きな人を聞き出せたらいいのだけど。「恋愛話をしている時に何度かお話してくださるですが、お辛そうで……誰だかわかれば私、応援したいんです」「私もです!」 視線を下げて、少し悲しそうにしてみる。ケイティも乗っかってくれた。これなら相手も何かしら答えないといけないと思うだろう。「そうだねぇ……ちょっとオレにはわからないかな。傍にはいるけど、オレの役割はアウレリア様を守ることだからね。そういう恋愛ごとの面倒までは見てないんだ」 ラルフさんは、ごめんね~と両手を合わせながら謝るアピールをしてくる。いや、でも傍にいる騎士なら何かしらアウレリア様の変化に気づいているはず。ここは、ケイティと一緒に攻めるべし。「もしもの話ですが、誰かを目で追ってたりとかはわかりません?」「いやあ、それならフィリップ殿下かライオネル殿下じゃないですかね」「え!?」「え!?」 私とケイティの声がはもる。ラルフさんは面白そうににこにこしてて、目はいつの間にか笑っていた。「いつも二人の心配してますもん」 付け加えられた言葉に、アウレリア様の言葉を思い出す。幼馴染だし弟みたいなもんだって言ってたもんね。でも、三人とも幸せになってほしいと言ってたのに、ノクタリウス様の名前が出てこないのは意外ね。「しかし、あの坊ちゃんも大変な恋をしたもんだよなぁ」「ノクタリウス様のことですか?」 ラルフさんは私が首を傾げてたのを見て、わざとらしくこぼす。だから、私もそれに乗って、さっさと話を続けるように促す。「そうそう、お嬢が一番気を遣ってるって言うのに気づきもしないし」「ノクタリウス様のことを
last updateLast Updated : 2026-07-31
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99話 なんなのよ、このノリ

「アウレリア様は素晴らしい女性です!」「そうそう、ケイティちゃんはよくわかってるよね~!」 ケイティは相変わらず、ラルフさんの意図などお構いなしにアウレリア様が立派な大人だと主張する。ラルフさんもそれにはにこにこで返して、陽気に声をあげている。ケイティにアウレリア様のこと言われると、負けてられないと思ってしまうのよね。「心配してるのもアウレリア様らしいわ。あの方、優しいもの」「ミラちゃんは一二〇点満点です!」 私も負け地と感想を言えば、ラルフさんが嬉しそうに大声で評価してくる。大人のくせに、おちゃらけがすぎるわね、この人。ジト目でラルフさんを見てみるも、にこっと笑顔を返されただけだった。「ノクタリウスも、突然アウレリアの騎士になったお前のことを嫌ってるしな。どうしていきなり出て来たヤツがって、怒ってるのを何度か聞いた」 ノリにはついてこないものの、ライオネル殿下は納得したように頷く。それからどこか遠い目をしている。ノクタリウス様、わりと厄介だったりする? いや、日誌の内容を考えれば、イメージはまったくその通りなので、本質がそうなのかもしれない。「いやあ、嫌ってるヤツに応援されるってイヤでしょ?」「やっぱりお前、嫌みでやってたのか」 ラルフさんもライオネル殿下には普通に吐露する。ライオネル殿下が冷めた目でラルフさんを見るも、目をそらして口笛を吹き、さらに嫌みを連ねる。「いやあ、がんばりたいだけがんばればいいと思いますよ。どうせ叶わない恋じゃないっすか」「隣国に輿入れするのは決まっているから、それはそうだが……」 たしかにどう頑張っても報われないのよね。ゲームでもだけど。ちょっと可哀想な人なのよね。 ここでちょっと話題が重かったのか、ケイティがラルフさんに話しかけた。「ラルフさんから見たアウレリア様ってどんな感じなんですか? 一番近くで見守ってきたんですよね?」「うん? お嬢は気が強くて負けず嫌いだけど、とっても優しいよ」「わかります! 気丈な立ち振る舞いがかっこよくて、でも、いろいろ教えてくださる優しいアウレリア様って美しいですよね!
last updateLast Updated : 2026-07-31
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