All Chapters of 五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!: Chapter 101 - Chapter 110

121 Chapters

100話 ミシェルの可愛さ

「アウレリアの話しかしてなくないか?」 ライオネル殿下がため息を吐いて、ノリを止めようとする。ライオネル殿下は飛び火って言葉知ってます? そんなことしたら、絶対自分に話がとびかかってきますよ。「じゃあ、ミラさんの話でもいいですよ? ミラさんもめっちゃ可愛いじゃないですか。ね、レオさん?」「なんで俺に振るんだ」 言わないこっちゃない。私にもしっかり飛び火してるので、しらーっとした目をライオネル殿下にむけておく。「ミシェル――ミラさんはとっても可愛いですよ!」「ちょっと、私の話はやめてちょうだい」「いいじゃん。可愛いものは可愛いと言うべき」「そうですよ! 魅力ある人のことはちゃんと褒めないと! ね、ライオネルーーレオさん!」「……だからなんで俺に振る」 いい加減、可愛いと連呼するのやめてもらえないかしら。むずむずして手をすり合わせてしまう。 まあ、ライオネル殿下に可愛いとか言ってほしいわけじゃないし。可愛いと思ってないのは重々承知だから、本当にそろそろやめてもらえないかしら。「ええ? レオさんはこんなに可愛いミラさんが可愛くないと?」「言ってないだろっ!」「え、レオさんミラさんの魅力をご存じではない……?」 頑なに可愛いと言わないライオネル殿下にケイティがドン引きしていた。なぜそんな可哀想な人を見る目で見てるんだろう。 仕方なく助け船を出す。「レオさんには小憎らしい小娘ぐらいに思われてますよ」「誰もそんなこと言ってないだろ!」 ライオネル殿下は少し落ち着いたらどうだろうか。ラルフさんにからかわれているの、わかってるでしょ? だいたい話がずれ過ぎているのよね。もう元に戻せそうにないし、私の話をいつまでもしてるのはこっぱずかしいし、私も話をずらさせてもらおうかしら。「私は、ケイティのことが可愛いと思うわ。笑うとお花が咲いたようで好きよ」「ミシェル――ミラさん!」 ぱっと表情を明るくさせるケイティは本当に可愛らしい。隣に座ってるケイティは私にぎ
last updateLast Updated : 2026-07-31
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101話 可愛いと思ってる

 前回同様、ライオネル殿下は馬車を呼んでくれていた。今回は私を見送ってから王城に戻るらしい。という建前で、実際は相談する場所を設けてくれたのだろう。王城に行くのも私の家で話すのも時間的には難しい。それであれば短い時間でも馬車で話をするのが早い。他に人が乱入することなく安全だしね。 目の前の席に座ってるライオネル殿下は、話を切り出さずに口元を抑えて、外を見ている。相談することいっぱいあるよね? 私が話を切り出した方が良い? 悩んでいると、ライオネル殿下は眉根を寄せて私を見た。姿勢を正してしまう。「可愛いと思ってる」 どきっと心音が大きく鳴って、一瞬何を言われたのかわからなかった。 いや、待って、いきなりなに……? ライオネル殿下は私の反応に顔を背けふてくされながら付け加えた。「さっきは言えなかったからな……」 どうやらさっきの会話で言えなかったことをずっと気にしていたらしい。みんなで可愛いって言いあっていたから、自分だけ言わなかったのが気になったのか。なんだ、びっくりした。でも、それなら私も答えておこう。「……私もお兄様大好きなライオネル殿下は可愛いと思いますよ?」「忘れろって言っただろっ」 握りこぶしを作って強く否定される。可愛いと言われたかったのではなかったのか。と出かかったけど、飲み込んでおいた。これ以上煽っても話は進まないし、ライオネル殿下の気分ももう晴れただろう。 ただ、言うならその場で言ってくれた方が私の心的にはダメージが少なかったな。と思う。話を終えるべく口を開く。「では、ありがたいお言葉だけ受け取っておきますね」「……ああ」 ライオネル殿下は肩の力を抜いて、腕を組む。本題に入るつもりだ。
last updateLast Updated : 2026-08-01
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102話 ラルフの印象

「ラルフの印象はどうだ?」 ラルフさんの最初のイメージと乖離があるところといえば、ノクタリウス様とのやりとりだ。どちらも相手を威嚇しているように見えた。「そうですね、ノクタリウス様と相性がよろしくないようで」「お互いあまり好ましく思ってないみたいだな」 認識に齟齬はないようだ。でも、あの飄々としたラルフさんがアウレリア様のことになると少し意固地になるというか、感情を見せてくるのよね。「ラルフさんって、思ったよりアウレリア様好きですよね」「ああ。ラルフはアウレリアに拾ってもらって専属にまでしてもらってるからな。恩人であれば過保護にもなるだろ」 あの二人って過保護VS過保護だから仲悪いのね。納得。 恩人に悪い虫がつかないように威嚇してたと取れば、あの態度もわからなくもないか。他はケイティときゃぴきゃぴしてた以外は普段と変わらず、のろりくらりとこちらの様子を見ながら対応されたイメージね。「結局、考えてることがいまいち読めませんわ」「煙に巻くからな」「会話では見事に煙に巻かれてしまいましたわね」 どんどんとずれていく会話だった。結局ケイティが可愛かったわ。という感想しか浮かんでこないので、しょうもない。「今日は尾行がバレてしまうし、新しい情報も特になかったように思いますわ」「そうだな。収穫としてはいまいちだった」 そう、何度確認してもラルフさんから目ぼしい情報が出てこなかったのよね。これは絶対にラルフさんが意図的に情報を出さないようにしてるってこと。「逆に、それだけラルフさんが警戒しているということですわ」「騎士として主人を守るのは当たり前だ。滅多なことでは何もこちらに掴ませないだろう」 ライオネル殿下も頷いて同意する。一回ですべてを引き出すのは難しいだろう。「こちらは手数を打つしかありませんね」「占いで使っているという法則をいくつも使うのか?」「はい。よくあるシュチュエーションをいくつか試しましょう。何かヒットするかもしれません」「……変なことに巻き込まれなければいいけどな」
last updateLast Updated : 2026-08-01
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103話 デバガメ作戦パート二

 時間は放課後、場所は教室。昨日の打ち合わせの通り、ライオネル殿下と使われていない倉庫代わりの教室に来ている。 こういうところは人の出入りが少ない分、何かが起きやすいので今回の場所に抜擢した。「前回の尾行はまったく役に立ちませんでした」「ラルフが怖かった以外に感想はない」 前回の反省をすると、ライオネル殿下も頷きながら感想を零した。怖かったのか。たしかにたじろいでたもんね。 ただ、話を長引かせると誰かと鉢合わせする可能性も高いので、今日はどんどん話を進めて行くことにする。「収穫があるまでリベンジするというお話でしたね。今回はまた覗き見――いえ、デバガメをします!」 題して、デバガメ作戦パート二。パート一ではケイティとフリィップ殿下の告白シーンに遭遇した。二度同じパートナーでの遭遇率は低い。つまり、順当な場所に隠れていれば、きっと今度は別の恋愛シーンが見れるはず。 私は意気揚々と教室の用具入れを指さした。「ここに入ります。そうすれば何か大事なイベントが起こるはず!」「…………」 ライオネル殿下から疑わし気な視線を感じる。掃除用具に入るヤツなんかいねえだろと言われればその通りだけど。でも、なぜかデバガメ、もとい目撃者が掃除用具に入っている漫画は数知れず。そういうものだと思っていただきたい。「いいんです、私がひとりでやりますから。狭いですし」 だいたいこんな狭い中にライオネル殿下と一緒に入るわけがない。いや、なんでかこの掃除用具、前世と違って広いから入ろうと思えば二人入れそうだけど? お約束かもしれないけど? 私は別に彼と良い雰囲気になるつもりはないので、ご遠慮願いたい。 なので人が来る前にライオネル殿下にはご退場いただきたい限りである。「では、ライオネル殿下、後ほ――」 早く外に出るように促そうとしたら腕を掴まれた。パタンという音とともに前が暗くなった。ふんわりとした甘いいい匂いがする、どこか懐かしい。これどこかで嗅いだような……。 私にもわかるくらい足音が近づいて来てはっとする。
last updateLast Updated : 2026-08-02
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104話 アウレリアの嫉妬

 狭い視界から教室の中を見た。掃除用具は教室の奥の方にある。まだ入って来た二人は教室のドアの前にいるようで姿が確認できない。 ツカツカとヒールの音を響かせて窓際まで歩いてきたのはアウレリア様だ。え、これって……大当たりなんじゃ。 彼女に腕を引かれて来たのは男性。背が高くて顔までは見えない。でも大人だとわかるがっしりとした体形に見たことがある護衛用の剣。「ラルフ、わたくしに言うことがあるんじゃなくて?」 やっぱり、一緒にいるのはラルフさんだ。アウレリア様はラルフさんの胸元に人差し指を突きつけて、怒ってるような口調だ。何かあって叱っている?「お嬢、怒ってます?」 へらっと笑うのがわかるのんきな口調に、アウレリア様はラルフさんの胸倉を掴んだ。ビンタかな? と思ったのもつかの間、アウレリア様はラルフさんの体をぐっと自分の方に引き寄せた。よろめいたのか、抵抗もなくラルフさんの顔が前のめりになって見えた。 次の瞬間、アウレリア様はラルフさんの唇に自身の唇を重ねるのが見えた。「――!?」 はっ!? なんで!? 思わず身体が固まる。私は何を見せられてるの!? 私の混乱など置いて、目の前の人物たちの行動は進む。タップ押してない! と思ったけど、これはゲームじゃない。だいぶ混乱して、頭の中だけ忙しない。 唇が離れて、アウレリア様が顔を真っ赤にしてラルフさんを睨みつける。「怒ってるわよ! あの女はなんですの! 貴方は、私のモノでしょう!」「あれは商館の子ですよ。護衛してただけ」「ぜったいぜったい許しませんわ!」 目元に涙を浮かべて感情的に叫ぶアウレリア様を初めて見た。小さな手でぽこぽこラルフさんを殴っているアウレリア様に、ラルフさんは見慣れてるのか謝りながらアウレリア様の頭を撫でて諫めている。「はいはい、ごめんて」「うぅ~! 許しませんわ~!」 涙を流してなおも怒っているアウレリア様に、ラルフさんは困ったように眉尻を下げた。 ゆっくり彼女の身体に手を回して、ラルフさんはいつもの調子とは違い壊れ物を扱うみたいに優しく抱きしめたように
last updateLast Updated : 2026-08-02
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105話 アウレリアの独占欲

 アウレリア様は抱きすくめられて、体重を預けてるようだった。大きかった泣き声も、収まって来て、鼻をすする音が微かに聞こえる。「……わかってる。でも、許せないのっ……」「なんで疑うんだよ」 ぽつぽつと零す、アウレリア様の弱気な言葉に、ラルフさんは宥めるように涙を唇で拭う。「疑うのではなくて、私以外の女に触るのも話しかけるのもイヤなの!」 アウレリア様はまたわっと声を上げて、感情を露わにした。ぷっと頬を膨らませて怒っている様をラルフさんに伝えてる。 けど、その子どもっぽさにラルフさんは、口元に手を置いて笑う。「くくっ、相変わらず独占欲が強いね」 そう言うラルフさんの顔は嬉しそうだ。頬が緩んで、細められた翠眼の瞳はエメラルドのように光り、アウレリア様だけを映している。 けど機嫌が治らないアウレリア様を、ラルフさんは軽々と片手で抱き上げた。アウレリア様を見上げながら、もう片方の手を取り手の甲にキスを送る。「オレはリリーに全てをあげるって誓ったよ。嘘はない」「……うん」 首に腕を回してアウレリア様は抱き着いて頷く。そして強く、激しく、はっきりと感情をぶつけた。「絶対一緒よ」「死ぬときまでも。だよな」「ええ」 詰まることもない会話。二人だけの絆を見た気がした。 アウレリア様が手を離して落ち着いたのを確認するとラルフさんはアウレリア様を降ろした。「落ち着いたな。それなら生徒会行っても大丈夫でしょ」 頭をぽんぽんと叩かれ、アウレリア様はまた少しむくれた。ラルフさんの服を握ったまま離さず、じっと上目遣いで彼を見ている。「……貴方からキスして」「はいはい」 アウレリア様の拗ねたような口調に、ラルフさんは笑いながら、軽くついばむようなキスを送る。アウレリア様は気が済んだのか、ラルフさんの手を離していつもの済ましたような表情に戻る。 ツカツカと音を響かせながらドアの方まで歩いていってしまう。
last updateLast Updated : 2026-08-03
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106話 幸せを願いたい

 ぜーはーと荒い息をして私は裏庭のベンチに座り込んだ。  まだ頭の中がぐるぐるしてる。ライオネル殿下が飲み物を手渡してくれて、それを飲んで一息つく。 「……なん、だったの。今の……」 「……いや、まあ、本当になんというか……」  雰囲気が気まずい。  心の中では、ああああ、なんてとこ見たの!? っていうかラルフさんあれを誰かに見せようとしてた!? いや、デバガメする私たちが言えたことじゃないけどっ! って叫んではいた。 「まさかアウレリア様の好きな人がラルフさんなんて、核心を! あんなデバガメしちゃうなんて!」  結局、私にしては声を張り上げてしまう。だって、あんな場面目撃して平常心でいられるわけがない。恥ずかしいがすぎる。さっきからずっと耳が熱くて耳の奥がキーンとしている。 「大当たり過ぎて笑えないな」  一息ついたのか、ライオネル殿下が遠くを見ながらふっと鼻で笑った。諦めたような雰囲気はやめてほしい。 「まさか、ここまで核心ついた出来事を見ちゃうなんて思わなかったのよっ」 「そうだろうな……しかし、お前の占いは当たり外れが大きいんだな」  哀れみの目をむけられた。それも止めて。こほんと咳払いをする。  ライオネル殿下と話したおかげで少し冷静になってきたように思う。  アウレリア様の好きな人はラルフさんだった。ここから考えられる予測を整理しなきゃ。 「……ラルフさんって、もし戦争が起こったら出兵するんですか?」 「武勲を上げているからな。真っ先に収用されるだろうな」  じゃあ、やっぱりラルフさんはケイティを庇って死ぬのね。あの様子見るに、自殺の原因絶対にそれじゃん!  あ、ゲームの五角関係の話ってケイティ目線の話ってことなのね。でも実際、恋愛で世界滅ぶじゃん!? どうすればいいわけ?  結局心の中は忙しない。重要な核心を見せつけられて情報がキャパオーバーしてるせいだ。 「俺を毒殺しようとする犯人を捕まえて、謀反するヤツらを炙り出せば無事輿入れはするだろうが……」 「知ってしまった手前、私、アウレリア様の輿入れを支持していいのか……」  隣国へ
last updateLast Updated : 2026-08-04
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107話 髪結い女子会

 特に何もなく過ぎていく日々。ラルフさんがあの掃除用具事件デバガメ事件のことを何か言ってくるかもと最初の頃は身構えていたけど、今のところそのことについて話に来ない。しかも、ラルフさんの態度が変わったかというとそんなことなくて。何事もなかったように相手も私たちも接している。たまに探るような視線や会話があるものの、ケイティを盾にして逃げることに成功している。 そして今、私は恒例となった生徒会休み時間の女子会を楽しんでいる。入学式からだいぶたって髪がだいぶ伸びて来たから、今日の女子会は髪飾りをお互いに着けたり、髪を弄ったりすると数日前から約束していたのだ。「あの、私のは本当に貝殻とかそういう安いのしかないんですけど……」 ケイティが自分で拾って綺麗に洗浄し、アクセサリーにてくれた髪飾りをテーブルの上に置く。申し訳なさそうに私とアウレリア様を見るけど、魔法を使って作ったというその髪飾りはとても綺麗だ。「手作りでしょ? 嬉しいわ」「拾うというのも楽しそうよね。この赤い貝殻、ミシェルに似合うのではないかしら?」 いろいろな色に目が映ろっていると、アウレリア様が大き目な赤い貝殻の髪飾りを指さした。赤い石や紐で統一感のある髪飾りね。私に似合うかしら?「あ、じゃあ私がミシェル様の髪アレンジしてつけたいです!」 ケイティが手を挙げて嬉しそうにはしゃぐので、頬が緩む。ここは遠慮しちゃダメね。「お願いするわ。うんと可愛くしてちょうだい」「任せてください!」 ケイティがふんふんと両腕を振って張り切る。笑いながら座る位置を変更しようとすると、ケイティが立ち上がって私の後ろに立つ。このまま髪の毛を整えてくれるようだ。 櫛を持って髪を梳いてくれる。前髪を梳いたところでケイティの手が止まった。「あ、ミシェル様……額のその、隠します?」 ケイティが遠慮がちに聞いてくる。 そういえば、髪はメイドがずっとやってくれていたし、日常が楽しすぎたのもあって、しばらく忘れていた。額の痣のことだ。トラウマである赤髪のジュリアナ様が謹慎中で思いだすこともなかったっていうのあるけど
last updateLast Updated : 2026-08-05
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108話 ミシェルを綺麗に

「そうねー……」 いくらジュリアナ様がいないからと言って、令嬢が傷や痕を表に出すのは避けるべきだとわかっている。「あら、でしたらわたくし良い白粉を持っているわ」 アウレリア様が意気揚々と化粧道具から箱を取り出した。開けると肌色をしている白粉が入っていた。「わたくしもふとももに傷があるのよ。それを隠すのに使ってるの。ですから、ミシェルのその痣も綺麗に隠せると思うわ」「アウレリア様のお墨付きならばっちりですね!」 髪の毛はケイティ。痣についてはアウレリア様が化粧を施してくれて、私はただじっとするしかない。けど、むずむずする。「出来たわ」「わぁ、ミシェル様似合ってます!」 アウレリア様が満足げに鏡を手渡してくる。覗けば、いつもと違う血色の良い私が映し出されている。ふわっと結わかれた髪が引き立てるように髪飾りが赤く輝いている。痣も綺麗になくなっているし、血色のよくなった私は、赤い髪飾りに負けておらずでたしかに似合っていた。綺麗だとも可愛いとも思う。「二人とも、ありがとうございます……」 鏡の中の私がふわっと笑った。むずがゆくて恥ずかしかったけど、友達に綺麗にしてもらえるのは嬉しかった。「次はアウレリア様の髪をやらせてください!」 ケイティが張り切っている。せっかくだから、私はやりたいことを口にする。「私、みなさんと色違いをつけてみたいわ……」「いいわね! ピンクパール色の貝殻にしようかしら。ケイティはパールの貝殻にしましょう」「はい!」 私の案に二人とも笑顔で快諾してくれる。ほっとして、胸元が温かくなった。 ピンクパールの貝殻に着いているのは緑色の石と紐、パールは青色の石と紐でちょっと笑ってしまった。 アウレリア様の髪はケイティによって私とお揃いに編まれ、ケイティの髪は私がケイティに教えてもらいながら編んだ。
last updateLast Updated : 2026-08-06
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109話 メイクアップ

 休憩はあっという間に終わってしまった。私たちは残りの業務をするべく、そのままの恰好で生徒会室へと戻る。 生徒会室にはフィリップ殿下とノクタリウス様がいた。見回しても休憩前は居たライオネル殿下はいない。「今日はみんなで髪飾りをつける日か。お揃いにしたんだね、可愛いよ」 最初に声をかけて来たのはフィリップ殿下だ。ちゃんと全体を見て、感想を言ってくれる。私とケイティは頭を下げた。 一方、ノクタリウス様はアウレリア様の傍に歩いていく。「アウレリア、綺麗ですね」「ありがとう、ノクス」 彼の眼前にはアウレリア様しか見えてないようだ。表情は緩んでいて、見惚れているのがわかる。 ケイティは微笑まし気に見守っているが、いろいろと知ってしまった私にとっては非常にいたたまれない。「ですが、帰る時にはちゃんといつもの恰好に戻しておいてくださいね? 侯爵令嬢としての威厳がありますから」「わかってますわ」 理由をつけているけど、他人には見せたくないという雰囲気がびしばし伝わってくる。他人というよりは、ラルフさんなんだろうけど。でも、ラルフさんがこのタイミングで来ないわけないんだよなぁ。 予想通り、扉が開いてラルフさんがひょっこり顔を出す。「お嬢、下町の見回りに行ってもいいっすっか?」 中も見ずに要件を口にしながら部屋に入ってくる。全員の視線がラルフさんに集中する。ノクタリウス様がアウレリア様の前に進み出たのが視界の端に映った。 ラルフさんは周りを見回して目を瞬いたあと、にこっと柔和な笑みを浮かべた。「あれぇ~、みんな可愛いね。どしたの?」「ラルフさん! みんなで髪飾りをつけあおうって約束してて、今回はお揃いにしてみたんです」 ラルフさんへ返答したのは興奮したケイティだった。ラルフさんの目の前でくるっと回ってみせ、「どうですか!?」と迫っている。「いいねぇ、ケイティちゃんの栗色の髪にパールが際立ってて可愛さが増してるね~! アウレリア様は青い髪に可愛いピンクパールが輝いてますね~。ギャップがいいんじゃないですか? ミシェル様は淡い髪だから赤が目立っていいですねぇ、
last updateLast Updated : 2026-08-07
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