All Chapters of 五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!: Chapter 71 - Chapter 80

121 Chapters

70話 兄弟は譲らない

「こうなるから話したくなかった。ミシェルを政治には関わらせません」 フィリップ殿下を見る表情は珍しく厳しい。お兄さんに対してはだいぶ甘いというか尊敬してる犬って感じだったのに、珍しく反抗的な態度だ。「しかし、占いの力が恋愛以外でも使えるのであれば、国にとって有益だろう?」 お母様は恋愛しか占いをしない。と明言しているけど、実際に恋愛のみしか占いをしない、もしくはできないのね。だから、フィリップ殿下は、第二王子の暗殺という予見を聞いて、国にとって有益な力だと感じたに違いない。けど、この予見は実際は占いじゃないし、今後使えるものでもない。国のために使えといっても土台無理な話。ライオネル殿下が止めてくれてありがたい。「駄目です。だいたいミシェルの占いがなくても兄上は国を治めるのに問題はないでしょう?」「使えるものは使っておいた方が良い。何があるかわからないのだからな」 平行線になりそう。フィリップ殿下は人当たりの良い優しい顔しか知らなかったけど、国に対しての考え方は結構シビアなのね。ケイティに告白するくらいだから、国にそこまで未練はないかと思ってたけど。その国とケイティを天秤にかけてもケイティが好きというのなら、これはケイティにもいい知らせね。「そういうことを言うなら、これ以上の情報提供は拒否します」「レオっ!」 強気なライオネル殿下に対して珍しく大きな声を出すフィリップ殿下。どちらも譲らないという雰囲気が強い。「あの、フィリップ殿下。この占いは母上と違って見たい時に見れるものではありません。ですので、現段階の情報提供はできますがその他については、今後いっさい見れないこともありますので、ライオネル殿下はお断りなされているのです」 私がライオネル殿下の方を味方すると、フリィップ殿下はうぅむと唸って黙ってしまう。私の気持ちを無下にするなら、今わかっている情報も提供できない。ということが伝わっているようだ。「わかった。君の占いについては公表しない方がいいということだな」「ご理解いただけて何よりです」 私はフリィップ殿下にスカートのすそを持って深々とお辞儀をした。さて、フィリップ殿下にはどこまでお話するべきか
last updateLast Updated : 2026-07-21
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71話 部屋の前に居た人物

「ミシェルは魔王復活を予見している」「なんだって!?」 そうか、フリィップ殿下は魔王を封印する力を持っているんだから、そっち方面から協力を仰げばいいわけね。二人が話している間に特に私から言うことはなさそうなので、視線を部屋にさ迷わせた。 重要な話をしているのにフリィップ殿下が入って来たドアを誰も閉めていない。私は話を邪魔しないようにこっそりとドアへと寄り、ドアを閉めようとする。人影だ。誰? 廊下を覗くと、令嬢の後姿。深い青い髪色、アウレリア様だっ。今の話聞かれた……? 私は扉を閉めて、落ち着こうと息を吐く。聞かれてまずい話、魔王についてはきっとアウレリア様もわからないだろう。それであれば聞かれても問題はないはず。私の占いについては? 説明からしてお母様とは別の力だと言ったけど、どう思われたかしら。「ミシェル?」 訝し気に名前を呼ばれて思考の海から浮上する。どうやら話終わって私がドアの前に突っ立ったままだから不思議に思ったみたい。「すみません、話は終わりましたか?」「ああ、国に危機が起きるとは壮大だね。これだけでもだいぶ功労賞ものなのだけど、シルヴァレーン嬢は公にはしたくないのだよね?」「はい。百パーセント事態が起きるかと言われても困りますし、起こったとしてもそれ以上の占いができない可能性が高いので、内々でお願いしたいです」 私が頷くと、フィリップ殿下は残念そうに眉尻を下げた。心底残念なのか、だいぶ渋ってはいたけど私の意を了承してくれる。「ありがとうございます」「それで、扉の前で何をしてたんだ?」 話が終わったのを見計らって、ライオネル殿下が問いかけてくる。私はちらっと扉を見る。話していいものか。でも、話しておかないと収拾がつきそうにないのよね。私からアウレリア様にその話を振ったとして、事実を話して結末のように自殺されても敵わない。「実は、ドアの外でアウレリア様を目撃しまして……」
last updateLast Updated : 2026-07-22
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72話 城内を出入りする令息、令嬢

「実は、ドアの外でアウレリア様を目撃しまして……」「アウレリアか。話を聞く限り彼女の精神状態は一番気にしなくてはならないからね。私の方で話をしてみるよ。もちろん深い話まではしないから安心してくれ」「はい……」 ほっと胸を撫でおろす。フィリップ殿下なら上手く話してくれるだろう。それにしても城内に出入り出来る令嬢や子息がいるなら、そこも調べておいた方がいいんじゃないかしら? ライオネル殿下は調べてくれると言ってはいたけど、気になるのよね。アウレリア様が毒を入れる状況も考えようによってはある。のかしら?「あの、アウレリア様は城内に出入りされてるんですか?」「ああ、アウレリアとノクタリウスは長い年月の付き合いで信頼がおけるし、私の仕事を手伝ってもらっているからね。城内の出入りは自由だよ。仕事関連でいろいろと資料も必要だしね。おっと、そういえばノクタリウスと仕事の打ち合わせ中だったんだ」「兄上、その前にアウレリアと交わした契約書を見せてくれないだろうか。彼女が何を大事にしているか知りたい」 ライオネル殿下に視線で謝られた。さすがにフリィップ殿下とアウレリア様が交わした契約書を手に入れることはできなかったようだ。たしかに事情を話したのだから、フリィップ殿下に協力してもらうのが一番だろう。私は軽く首を横に振って謝罪を拒否した。「いいよ。ただし、これは外に持って行ってほしくないから、ここで読んでいってね。私はいったんノクタリウスと話してくるから」 フィリップ殿下は鍵のかかった戸棚を開き、閉じられた資料をライオネル殿下に手渡した。ライオネル殿下が頷いて返答をするとフィリップ殿下は部屋を後にした。 私とライオネル殿下は、兄弟二人で打ち合わせをしているという机にその契約書を広げて、額を突き合わせる。
last updateLast Updated : 2026-07-22
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73話 ラルフの生い立ち

 私とライオネル殿下は、兄弟二人で打ち合わせをしているという机にその契約書を広げて、額を突き合わせる。 婚約解消と隣国へ嫁ぐという条件に対して、アウレリア様が出した条件の項目に目を滑らせる。「嫁ぎ先へ直属の騎士を連れて行くことだけだな」 契約の内容はいたってシンプルだった。「直属の騎士と言えば、ラルフさんですよね。彼を連れて行くのがアウレリア様の望みということでしょうか?」「名前は記載されていないが、そうだろうな」 ラルフさんについてならライオネル殿下の方が詳しいかもしれない。なんといっても殿下は指揮官として戦場に出ている。騎士のことについてはよく知っているだろう。 無難な質問から攻めてみよう。「ラルフさんが騎士になったのはいつ頃なんですか?」「あいつが入団したのは俺が十一歳の時だな。約六年前だ。ロセリウス家から推薦があって、従者から騎士団へ入ったんだ」「ロセリウス家の従者だったんですか? じゃあ、元々アウレリア様とは関係が深いんですね」 たしかにゲームでも良き主従として描かれていた。絆は固いという情報はあったけど、詳しく載ってはいなかったはずだ。過去について話していた視点がケイティだったから、幼い日のアウレリア様の話をラルフさんに聞いたとかそういうエピソードしか出てきていないのだろう。「ラルフを拾ったのがアウレリアだからな。六歳頃までは身体が弱かったんだが、元気になってから街に出たことをよく話してくれたんだ。七歳か八歳頃に目が綺麗な子を拾ったとラルフを紹介されたからな」「お気に入りじゃないですか」「だな」 それを聞いて思いだした。ラルフさんもたしかケイティに話していた。 戦禍で家族を失い、王都に逃げ延びて来たところアウレリア様に拾われて、恩人として尊敬していると。 お互いがお互いに大切な存在か。でも恋という感情なのだろうか?「あれ、ラルフさんって今はアウレリア様の護衛騎士をしてますよね? 六年前に入団したってことは騎士団に所属してるんじゃないんですか?」「あいつは、めきめきと頭角を現してな、二年前に俺が初めて指揮した戦場で勲章を得て騎
last updateLast Updated : 2026-07-22
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74話 ラルフの感情

そんな真剣に打ち込むような性格なのかしら、あののれんに腕押しのような人が……?「今の雰囲気からは想像できませんね……」「表では飄々としていたが、練習場所に行くといつも居たからな、練習相手になってもらっていた」 ライオネル殿下が練習するのは、とても想像がつく。ひとりででも死に物狂いで真面目にやってそう。それでフィリップ殿下とかが見に来たら、目を輝かせて駆け寄りそうよね。 いや、そんな想像はいらない。ラルフさんと一緒に練習するような仲だったってところが重要なところよね。「ラルフさんと仲がいいのでしたら、アウレリア様のことを聞いてはいないんですか?」「恩人って話ぐらいだな。すぐはぐらかすんだよ、あいつは」 やっぱりゲームとの情報に差異はなさそうね。ライオネル殿下が頬杖をついて、眉根を寄せている。何か、気になることでもあるんだろうか。口を挟まずに、待つ。「でもなあ……アウレリアの話をするとあいつ目が笑ってねえんだよな」「どういう感情なの……」「わからん」 目が笑ってないって、第二王子を前にした表情じゃないと思うけど。ライオネル殿下が余計なこと言って怒らせてるんじゃない?「普通にアウレリアから花もらったとか、幼い頃何で遊んでたとかそういう話だからなっ」 視線が物語っていたようで、特に変な話はしていないと主張されてしまった。 これは、ラルフさんと直接話してみた方がいいかしら。でもあの人、今まで生徒会室で話しかけてものらりくらりと躱すのよね。ケイティと仲良かった気がするから、ケイティに相談してみようかしら。 ライオネル殿下は読み終わった書類を元の場所に戻し、鍵を閉める。それから私は城内から家に戻るように馬車へと案内された。ライオネル殿下はフィリップ殿下の執務室へ行くらしい。
last updateLast Updated : 2026-07-23
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75話 短い短い夢

 馬車へ向かう途中、ノクタリウス様が食堂でメイドに茶を入れるように指示をしているのをちらりと目撃した。話をしていたというし、フィリップ殿下に持っていくのだろう。 馬車に揺られながら考える。 当初の目的、アウレリア様と仲良くなることは、徐々に進行できてると思う。ケイティとはばっちり意気投合できてると思うし、フィリップ殿下とライオネル殿下には未来のことを話せたから対処をいろいろとしてくれている。 今回浮上したラルフさんについても私は関りが薄く、情報も少ない。もっとよく知らないと。現時点で一番影が薄いのはノクタリウス様だけど、ゲーム内の日誌とかもあって不穏。フィリップ殿下に振り回されてるようだけど、国のことやアウレリア様のことについては真剣そのものと言った様子だし。 恋愛関係については、確定してるのはフィリップ殿下とケイティの両想いってところだけね。後はノクタリウス様からアウレリア様への熱愛だけかしら。アウレリア様の気持ちと彼女を支えている騎士のラルフさん、この二人についてもっと知っていかなきゃ。それに、ライオネル殿下を誰が毒殺しようとしたのかも調べて……。 考えていたらウトウトとしていた。短い短い夢。「その痣、地図みたいでかっこいいな!」 とても嬉しかった。嬉しくて涙が出た。 意識は朦朧としてるけど、誰かが言ってくれた言葉が嬉しかったのだとぼんやり思う。 あれはいったい誰? 知っているような気がする。高い子どもの声だった。 夢が気になってるうちに私は家へと帰りついた。
last updateLast Updated : 2026-07-23
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76話 第二王子の生誕祭

 あっという間にライオネル殿下の生誕祭がやって来た。 舞踏会に出たことがない私は、踊りの練習や準備に辟易してしまった。ドレスとかアクセサリーはライオネル殿下から一式届いてほっとしたけど。私、生誕祭上手く立ち回れるかしら……? 不安になる。 生誕祭でライオネル殿下と婚約発表をする方向でもう話が進んでいるので、ドレスはライオネル殿下に合わせた色になっているようだ。基調はお祝い事だから白。挿し色に金色、アクセサリーに赤色。といったところだ。どちらかと言えば細見な私は上部が小さく、すそに向かって広がる形のドレスで、華奢が目立たないようにひらひらした短い袖がついている。長いドレスの裾は地面に擦れやすいので歩くときは注意が必要だったりする。 着付けや髪はメイドがすべてしてくれて、私はお兄様と城内の待機室にいる。お兄様は私とは違って、白基調に銀の挿し色、紫のアクセサリーといった我が家の色合いの服装を着ている。 まだ婚約発表はしていないので、ライオネル殿下とは別々に入場をする手筈になっているはずだったが、なぜかライオネル殿下が待合室に顔を出してきた。「邪魔をする……ミシェル、綺麗だ。似合っている」 私と同じ色合いの服装で、アクセサリーは私の髪の銀色を基調に目の色である薄い紫を挿し色に使っている。いつもよりもかっちりとした服装に、金色の髪と赤い瞳がよく合っている。改めて見ると、整った目鼻立ち、若干釣り目な赤い瞳は意思の強さを感じさせる。顔がいい、かっこいいと思う。さらに私を見て頬を緩められては、見惚れて返答がワンテンポ遅れてしまう。「……あ、ありがとうございます。殿下も大変お似合いですよ」 私の社交辞令な返答にライオネル殿下はお兄様をちらりと見やる。話しづらいのだろうか。 お兄様に殿下と話があるからと、部屋の外に移動してもらった。「何かご用でしょうか?」「ハートフォード嬢のことだ。婚約を発表すれば大人しくなるだろ? 前に言っていたことまでやる必要があるのか?」「あります」 大いにある。婚約発表しても嫌がらせはなくならないと思うのよね。婚約者に
last updateLast Updated : 2026-07-23
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77話 絶対に勝ちます

 入れ替わりでお兄様が戻ってくる。「ミシェル、大丈夫かい?」 お兄様は私よりも心配そうだ。 そうよね、ここら辺で気合を入れておかないと。敵はトラウマの元凶であるあのジュリアナ様なのだから。「はい、絶対に勝ちます」「何と戦うの……?」 私の宣言にまったく事情を知らないお兄様は、目が点になっている。見てればわかるので説明はせずに、私は立ち上がった。「では、行きましょう。お兄様」「ええ~、ミシェル~!」 不満そうなお兄様の手をとって、待合室から出る。待合室から出てしまえば、お兄様は周りの目も気になるのか情けない声を出すのを止めた。そのまま手を引かれて、城内にあるパーティ会場へ案内してくれる。 大きな扉が近づいて、私の心臓は緊張で早鐘のように鳴っている。 大丈夫かしら。いえ、学校での居心地の悪さを解放するために、私はやるわ。他にもやることがいっぱいあるんだから。「ノエル・シルヴァレーン様、ミシェル・シルヴァレーン様のお入りです」 名前を読み上げられて扉が開く。煌めくシャンデリア、色とりどりの豪華な料理、綺麗に着飾った貴婦人たち、小説や漫画に出てきそうなパーティ会場そのものだった。 第二王子の生誕祭ということもあって、ご子息、ご令嬢を連れている人が多い。私の父と母は、王様とお妃様の近くで側近として腰を降ろしている。 アウレリア様もフィリップ殿下の元婚約者であり重要な隣国へ嫁ぐ立場だから、フィリップ殿下の隣に腰を降ろしている。フィリップ殿下の服装は王家の金色と青のアクセサリーをつけている。アウレリア様もフィリップ殿下に倣ったような服装だ。アクセサリーだけは黒もつけていたので、誰かから贈られたのだろうと察しがついた。 お兄様に手を引かれて、私は王様とお妃様、フィリップ殿下、ライオネル殿下に挨拶をして下がる。 地位の低い順番に入り、王様たちに挨拶をするのだ。辺境伯の次に呼ばれるのは侯爵たちだ。ジュリアナ様が父親に手を引かれて入場する。 きゅっと手を握りこむ。できるだけのことをしよう。 案の定ジュリアナ様は王様たちに挨拶を済ま
last updateLast Updated : 2026-07-24
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78話 花言葉

「あら、今日はおひとりですのね?」 ジュリアナ様が話しかけてくる。口元を扇で隠しながらも目は軽蔑の色を示していた。お兄様が反応したので、後ろ手でそっと制して止める。「ええ、婚約者の晴れ舞台ですから」 名前は言わないが、ふっと鼻で笑ってライオネル殿下のことを示唆する。前回ライオネル殿下が行った婚約者という言葉を借りることで、お互いに婚約者同士だと認めていると提示した。 私の強気な態度にジュリアナが一瞬怯む。いつの間にか集まっていた取り巻きがざわざわとお互いに何かを言い合っている。「あら、妄想もそこまで行くと甚だしいですわね。今日も殿下に合わせた格好をしてくるなんて、なんて愚かなんでしょう」 そういうジュリアナ様も白基調に金色の刺繍。赤いリボンなど意識している恰好だ。私よりもボリュームがあるドレスは華やかで眩しいくらい。二人並んでると私の方が貧相に見えるだろう。 でも、こっちにはライオネル殿下がついているのだから問題ない。「いえ、これはライオネル殿下に贈っていただいたものです」「まさか! 貴女がライオネル殿下に贈物などしていただけるわけないでしょう。わたくしは、ライオネル殿下からキンモクセイを贈ってもらったことがありましてよ」 いきなり贈物の牽制を始めてくる。 でも、花言葉はもう私は知っている。 キンモクセイね、”初恋”とかの意味もある時はあるみたいだけど、この場合はどれかというと……。「謙虚という意味もありますわね。その意味の通り、少しは謙虚になった方がよろしいのではなくて?」 ライオネル殿下が様子を見に来て固まったのが目の端に止まる。 お前、花言葉知ってたのかとでも言うような視線に、苦笑ってしまう。いままで送られた花について特に触れなかったし、だいたい花言葉についてはアウレリア様に言われてから、勉強したのだし。知らなかったのよ。「私はワスレナグサを送っていただきましたのよ」 花言葉は”私を忘れないで”もしくは”真実の愛”。どちらかというと、私が忘れているので思い
last updateLast Updated : 2026-07-24
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79話 婚約発表

 私は、ライオネル殿下の方へ歩き出す。手を差し出されて、その手に手をそっと重ねた。やっぱり緊張していたみたいで、私の手は冷たい。ライオネル殿下の体温に安堵したのか、すっと手に血が通ってくる。だから、つい彼の手をぎゅっと握ってしまった。一瞬肩が跳ねて驚いた様子があったけど、ライオネル殿下が握り返してくる。暖かさにほっとしたのもつかの間、手を握ってしまったことを意識してしまって緊張してしまう。自分から握ったくせに。 ライオネル殿下に連れられて壇を上る。パーティ会場がざわっとする。人々の視線が突き刺さって、背筋が震えた。ライオネル殿下の手に力が入る。彼も緊張しているのだとわかった。私もしっかりしないと。背筋を伸ばす。 ライオネル殿下が手を上げれば、会場はシンと静まり返った。「今日は集まってくれて礼を言う。めでたい場にふさわしい発表をしたいと思う」 私の喉もことりと鳴った。「私、ライオネル・カイリスはミシェル・シルヴァレーンと婚約することをここに発表する」 再び会場がざわめく。 うん、見せつけるのはバッチリ。これで大丈夫だよね? 大勢の前で婚約者ごっこするのは思った以上に恥ずかしい。こんな思いしてまでがんばってるんだから、ジュリアナ様は引いてくれるよね!「婚約者を皆に紹介しよう。……ミシェル」 ライオネル殿下は私の手を引いて隣へと促す。一歩前に出て、私はカーテシーをしながら名乗ろうとした。「ミシェル――」「うそよ!!」 大きな声が邪魔をした。案の定、ジュリアナ様が髪に負けず劣らず真っ赤な顔をして、中央に躍り出て来た。「私との婚約はどうなるのですか!?」「すでに破棄しているはずだが?」 必死な声色にぴしゃりと答えるライオネル殿下。「……殿下、どうしてですの! たかが伯爵家の令嬢に殿下の婚約者が務まるとでも!?」 けど、ジュリアナ様は負けずにライオネル殿下に食って掛かった。 侯爵家のプライドが傷ついたとでも言いたげに行ってくる。でも、私の家はただの伯爵家じゃなくて、辺境伯なんだけど? 王族の隣に私の親たち
last updateLast Updated : 2026-07-24
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