Semua Bab 五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!: Bab 11 - Bab 20

121 Bab

10話 ライオネルとの契約内容

 整えられた草木、季節関係なく色とりどりの花が咲き誇っている。中には薬草に使える草も生えているのがなんとも学院らしい。学院の一角にある庭園のさらに奥にある鍵を持っていないと入れない温室の中。白いガゼボに設置してあるテーブルと椅子のひとつに座りながら、私は目の前に淹れられた紅茶のカップに手を添える。目の前には学生服を着た第二王子ライオネルが座っている。「まずは先日の非礼をお詫びしよう。シルヴァレーン嬢」「こちらこそ、先日はお見苦しい姿をお見せいたしました」 ライオネル殿下が王子の笑みを浮かべるので、私もにこりと貴族令嬢の笑顔を張り付ければ、沈黙が支配する。「……茶番だな。これが契約書だ」 すぐに笑顔を崩して眉根を寄せ、ライオネル殿下は一枚の書類をテーブルの上に置いた。茶番だと思うなら初めからやらなければいいのに。最初の印象が悪いだけに、つい内心で毒づいてしまう。 私は紅茶を一口飲んでから心を落ち着かせ、置かれた契約書を手に取って中身を確認する。「私がライオネル殿下に協力をする」という誓いの契約書だ。内容は「協力するにあたって、私がすることは何をとっても不敬罪にはならない」「成功した場合は報酬を支払う」など、私にとって良い条件が書かれている。期限も一年と決められているし、失敗したとしても関係は白紙に戻すと書いてあるから、王家といざこざになったとしても白紙に戻させていただこう。最後に大き目の空白もある。ここは私が追加で記載する欄だろう。 契約は初めが肝心。私は、絶対に譲る気がない項目、「ライオネル殿下に協力をする際に私から得た情報は許可がない限り誰にも漏らないこと」、「成功報酬として聖域への立ち入り許可」を追記した。 サインの場所にペンを置き、私は顔を上げて彼の赤い瞳を見つめる。内容は書いてる最中に見えているだろうけど、顔色一つ変えないところを見ると、通らないということはなさそうだ。 条件が問題ないのであれば、サインの前にしっかりと私がするべきことを確認しておかないといけない。「協力内容をお伺いしても?」 契約書に協力内容の記載はない。あえて記載しなかったということだろう。「こっちの書類だ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-01
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11話 どうして私と貴方の婚約になるのですか?

「お前に協力を仰ぎたいのは俺の兄の恋愛模様についてだ。お前も知ってる通りいろいろな噂があってな。それが事実かどうかを見極めたい」 ある意味私の目標に最適な条件だった。でも、第一王子フィリップ殿下の恋愛模様と私との婚約がまったく結びつかない。「それがどうして私と貴方の婚約になるのですか?」「恋愛模様の状況を報告してもらいたいが、今のお前は兄上とも、まして噂になっている侯爵令嬢、平民とも接点はない。だから、お前には兄上が運営している生徒会に入ってもらう。そこならお前がメモしていた噂の元になってる人物が多くいる。平民の保護も活動の一部になっているだろうしな。ただし、いくら辺境伯の娘だからといって生徒会に入るのは困難だ。生徒会長の認証制度があるからな。だから、婚約を機に俺も生徒会へ入る。その俺の手伝いとして生徒会に入るよう申請するわけだ」 生徒会へ入るための婚約ね。たしかに生徒会へ入ることができれば、五角関係の人間と接点は持てる。後はそこから関係性を築いていけばいい。私にとってもいい条件だ。「お前の占いを見たが、状況を把握してからでないと力を発揮できないだろ?」 たしかに、漫画やゲームに当てはめるにしろ状況をしっかりとわからないといけない。曖昧な状態や一方からの情報で判断できない場合は日を改めてもらうこともある。そんなことまで調べているのね。「たしかに生徒会に入るのは、私にとってもありがたいです。が、婚約ではなく貴方が裏で推薦するのではいけないのですか? 私は貴方と手を結んだと表沙汰にされるのはあまり好ましくありません」 第二王子派閥に入ってしまうとそれこそ五角関係で一番重要な侯爵令嬢――アウレリア様と良い関係を結ぶのが難しくなる可能性がある。それに、私のトラウマである第二王子派閥の赤い髪の侯爵令嬢ジュリアナ様が頭にちらついて、恐い。 だから、はっきりと抗議の意味も込めて言った。「派閥について気にしてるなら無駄だぞ」 私の言葉にライオネル殿下は紅茶を飲みながら、一番気にしている部分を否定する。無駄なわけがない。すでにその派閥のせいでいろいろ大変だったんだから。 第一王子派に霞色のご令嬢って影で言われてるのを知ってる。綺麗な銀髪
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-02
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12話 アウレリア様とお話できないじゃないですか!

「放棄してるって……?」「公にはしていないがな。将来的に公表されれば派閥などなくなるだろ」 まったく気にしないような口調。いや、将来的にはそうかもしれないけど……! 私はぐわっと沸き起こった感情のまま口を開く。「私は”今”の話をしているのであって、未来的に派閥がなくなったからなんだというのですか。いいですか、私が貴方と婚約するということは、私の家は中立派から第二王子派にならざるを得ないのですよ? ただでさえ第一王子派に目の敵にされてるのに、これ以上悪化したくはありませんっ」「目の敵にされてるのなら変わらないだろ」 はっと鼻を鳴らされて馬鹿にされているのがわかる。 何もわかってない! アウレリア様の行動ひとつで世界が滅亡するのに、第一王子派閥との関係が悪化したら、それこそ彼女と関係が持てなくなる。私は立ち上がって、婚約契約書を王子の前に叩きつけた。「変わります! アウレリア様とお話できないじゃないですか!」「…………ははは」 ライオネル殿下は私の勢いに身を引いて驚いていたかと思えば、片手で口を押えて笑い出した。今、笑うところあった? ねえ、ちゃんと話しなさいよっ。「何故笑ってるんですか?」「はは……いや、そんなことを心配しているのか。と思ってな」 はあ? そんなことじゃないんだけど!「フィリップ殿下とアウレリア様の噂も確かめるんですよね!? そのためには必要な――」「安心しろ。俺の婚約者という体ならむしろ世話を焼いてくれるはずだ」 笑いを辞めて、私の腕を軽く叩いて落ち着くように促される。言われた言葉が理解できなくてぽかんとしてたら、「笑って悪かった」とさらに付け加えられて、怒鳴るわけにもいかなくなった。不完全燃焼の怒りがくすぶって気持ち悪い。「……なんでそんな自信満々なんですか」 せめてその話が本当だという理由を聞かせてほしい。私は、座ってからフィリップ殿下に説明しろと目を
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-02
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13話 契約成立

「そうだ。だから、その婚約者を無下にはしないだろ。派閥といっても周りが騒いでいるだけのことだ」 周りでも、私にとっては大変なんだけど。でも、アウレリア様と接点が持てるなら、今よりはマシ? でも、弟として見られてるならライオネル殿下がアウレリア様とお話すればいいのでは?「仲が良いのであれば、ご自身でお話なさらないのですか?」「誰もがお前ほどわかりやすくはっきりと物を言ってくれれば簡単なんだがな」 癪に障る物言いだ。さっきから失礼すぎて、協力するべきか躊躇するくらいよ。 抗議を込めてジト目で見つめれば、咳ばらいをして別の言い訳をする。 「……人の恋の悩みを聞くというのは難易度が高い。だからこそ、占い師のお前に声をかけたんだ。占い師な上に婚約者がいれば、恋の相談もしやすいだろう」 私に適性だと、彼は言う。そうね、傍から見れば占いでバンバン恋の橋渡しをしてるものね。私自身は前世も今世も恋愛したことはないけど、前世の小説や漫画カルチャーを参考にすれば百万力。実際それでどうにかなってきたし、今回だって接点さえ持てればそれで行けるはず!「……内容は解りました」 内容は把握したし、条件は悪くない。けど、不安要素が一つだけ消えない。私は追記欄にさらに「ハートフォード家に対しての一切はライオネル殿下が責を負うものとする」と付け加えた。そして私の欄にサインをする。「こちらの条件が飲めるのであれば、協力いたします」 私が書類を渡せば、ライオネル殿下は受け取って私が追記した箇所を確認する。眉根を寄せ、困惑しているようだ。「……ハートフォード家がお前に何かしたのか?」 そこは把握してないのね。ジュリアナ・ハートフォードに学院で初めて会った時、トラウマがフラッシュバックして私は倒れてしまった。だから、彼女がもし突っかかってきたら私は対処できそうにないよね。ただ倒れたことを話せば私のトラウマまで話さなきゃいけなくなる。知らないのなら、わざわざ教えなくてもいい。であれば、派閥でのいざこざという話をしておきましょう。「貴方の派閥だと喧嘩売ってきまし
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-02
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14話 貴方、友達いないでしょ

 婚約の書類、生徒会への参加申請などがあり、私がライオネル殿下に生徒会へ連れていかれたのは契約を交わしてから一週間ほど経った日のことだった。 婚約については公に発表するつもりはなく、親しい間柄のみが知っている。つまり、私とライオネル殿下の家族に、知らせただけ。私の家族にはこれが契約による婚約であると伝えたし。一方、ライオネル殿下の親しい間柄――第一王子のフィリップ殿下には、婚約したという話のみが伝わっている。生徒会の面々はフィリップ殿下に近しい人間で構成されているから、婚約について漏れる可能性は事故か故意でなければ低いだろう。 生徒会に向かう廊下で人がいないことを確認して、私は先ほど不満に思ったことを小さな声で抗議した。「なんで今になって同じクラスに来たんですか?」 今朝、ライオネル殿下が同じクラスで授業を受けることを先生が紹介した。私に一言もなく、目の前で王子スマイルをしているライオネル殿下にどんだけ血の気が引いたことか。「学院に来る必要はなかったが、生徒会に入るために通学することにした。婚約者がいるクラスになるのは当たり前だろ」「せめて私に一言先に言ってください」「言ってどうなる」 私の抗議に憮然と言い放ってくる。 後手後手で対応させないでほしいのだ。言ってくれたら私も毅然と対応してみせました。私は思いのままライオネル殿下の瞳を睨みつける。「心の準備ができます。それに、ジュリアナ嬢の視線が怖かったんですよ。どうして私に初めに話しかけたんです?」 知り合いという関係を隠してくれればそれでよかったのに。なぜ、婚約を公にしてないのに公然と私に笑顔で親しく話しかけてきたのよ。相手との価値観の違いに半ば辟易する。 私の言いたいことは伝わらないようで、ライオネル殿下は肩を竦めるだけだ。「ハートフォード家についてどうにかしろと言ったのはお前だろう。傍にいなければ対処が難しい。それに、お前の驚く顔は面白かったし、俺は良しだ」 口端を上げてさっきとは違うニヒルな笑みを浮かべている。勝手に動かないでほしいのに、勝手に動いて嘲笑してくるとは、さすがに頭にくる。だから言ってやった。「貴方、友達いないでし
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-03
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15話 悪役令嬢モノで見たことある

 生徒会の部屋の前に着くと、私はいったん落ち着くために立ち止まって深呼吸する。ライオネル殿下が小声で話しかけてきた。 「緊張しているか?」 「……当たり前です。確認されると余計緊張するのですが?」 「そうは見えないがな」  足踏んづけてやりたい。さっきから人をからかってくるのなんなの。普通に話せばまともなくせに。  私の憤りをぶつける前に、ライオネル殿下が一歩前に出てノックをしようする。しかしその手がノックをする前に扉がバタンと空いて、私に何かがぶつかった。衝撃。勢いが良くて私はよろめく。しかも、踏ん張りがきかずに後ろへと倒れてしまった。 「――っ! 大丈夫ですか!?」  床に着いた手が痛くて視線を落としてると、大きな声が間近で聞こえた。びっくりして顔を上げると、目の間には栗色のふんわりとした髪を緩く編み込み、大きな琥珀色の目が印象的な少女――ケイティが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。  その琥珀色の目は明らかに赤みを帯び涙の雫がついていて、泣いていたのが明白だった。ぎょっとして思わずまじまじと見てしまう。 「…………だ、大丈夫って。貴女こそ……」 「あっ……」  私の視線に気が付いて、ケイティは目を手で拭ってから顔を背ける。目の前の生徒会室からカツカツというヒールを鳴らす音が近づいてきた。上から振ってくる凛とした声。 「ちょっと、いつまで入口にいるつもりなの?」  凛とした声で棘のある台詞を吐く人物を見た。サファイアの長い髪が歩くたびに靡き、瞳は光で虹色に光る。吊り上がった目と眉からは意思の強さを感じられるが、小さな赤い唇は色気が漂っていた。彼女は――侯爵令嬢アウレリア様だ。堂々と姿勢の良く立つ姿は、いまだに座り込んでしまっている私には圧巻に見えた。口元は扇子で覆い隠しているものの眉根は寄っており不愉快さを露わにしている。  見たことあるよ、そういう顔。悪役令嬢モノの小説で見たことがある。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-03
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16話 自己紹介

「あら? 学院に来てたのね、ライオネル」 私を助け起こそうと屈んで手を取ってくれたライオネル殿下を見て、アウレリア様は表情を変えた。眉を上げて、観察するようにライオネル殿下を見ている。 ライオネル殿下は私の手を強引に引いて起こしてから、アウレリア様と向き直る。雑すぎるし、ちょっと手が痛いんだけど、あとで文句言おう。今は二人の会話に入るべきではないだろうし。「久しぶりだな。今日から学院に通うことにした」「ふーん……それでそちらは?」「俺の婚約者だ」 アウレリア様の視線はいぶかしげだ。ライオネル殿下に背中を押されて一歩前に出る。私は一週間練習したカーテシーをしながら自己紹介をした。「ミシェル・シルヴァレーンと申します」 一通り勉強はしたものの、引きこもって夜会とかに行っていない私はマナーや令嬢の仕草に慣れていない。だから、お母様から再び先生をつけられたのである。「わたくしはアウレリア・ロセリウスですわ」 アウレリア様の見事なカーテシーは、学生服だというのにドレスのように美しく見えた。薄く微笑みを浮かべているが、私を品定めするような視線を感じる。「シルヴァレーン嬢……辺境伯ね。お母様が有名な占い師だったかしら?」 やはり侯爵家。他の家のこともしっかりと把握しているのね。私も令嬢の微笑みを張り付けながら、自己紹介を口にする。「はい、母が王族直属の占い師です。私も僭越ながら学院で占い師をさせていただいております。まだまだ修行の身ではありますが、何か困りごとがありましたらご相談ください」「あら、頼もしいのね」 よし売り込みは上々ね。興味深そうな視線をアウレリア様から受ける。ケイティもばっと顔を上げて私を見たから、興味があったのかもしれない。いつでも相談に来ていいから!
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-03
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17話 侯爵令嬢と平民との間は不穏

 私はケイティに笑いかけようとして、アウレリア様が冷たい視線を彼女に送っていることに気づいた。ピタッと動きを止める。これは、私が言葉を挟むとややこしいことになる。「貴方はいつまでそこで人の話を聞いていらっしゃるの? ミシェル様に謝罪はなさったのかしら?」「あ、えと……」 アウレリア様は声を張り詰めてケイティに詰め寄る。ケイティは何を言っていいのかわからないのか、私に何度もお辞儀をする。 アウレリア様が注意したのだから、私からさらに催促することは余計だろう。ケイティを見たまま彼女の言葉を待つしかない。「あの……その……シルヴァレーン様、すみません、前を見ずに飛び出してしまって」「大丈夫よ、怪我もしていないから」 やっと謝罪の言葉が出せたケイティに、安心してほしいと笑って見せる。本当は腕が痛いんだけど、ここで言ってはケイティが気にするし、アウレリア様がさらにケイティのイメージを悪くするかもしれない。「本当にすみません……! 私、ここで失礼しますっ」 ケイティは目に涙をためてもう一度お辞儀をすると、踵を返して廊下を駆けて行ってしまった。「まったく廊下を走るのではありませんと言ってますのに」 アウレリア様がため息を吐いてから、零す。その声には先ほどの問い詰めるような厳しさではなく、じんわりと心配が滲んでいるように聞こえた。アウレリア様は表情を引き締めて切り替え、「どうぞ」と私たちを生徒会の部屋へと案内してくれる。 ケイティと何があったんだろう。ケイティは目に涙があったし、アウレリア様は厳しい口調だったし、侯爵令嬢と平民、しかも能力値の高い平民との間でのいざこざとか、不穏でしかない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-04
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18話 騎士ラルフ

 生徒会室には、大きな応接用のソファーが二つ、テーブルを挟んで向かい合わせに置いてある。奥には、一人用の机と椅子がある。生徒会長用の机だろうと予想ができた。壁には棚がいくつか並んでいて、資料が入っている。 ソファーの左側に一人、 茶色のくせっ毛に翠眼を持つ明らかに学生ではない男が座っていた。服装は綺麗な白基調のシャツにズボンというカジュアルなものだが、清潔感はしっかりとある。腰には青の文様が彫られている剣を携えていて、胸元に騎士の紋章のネックレスをしていることからかろうじて騎士なのがわかる。ガタイが良く、大人の雰囲気が出ている。「おやあ? 生徒会にお客様二組目なんて珍しいですね。お嬢」 私たちを見てからアウレリア様を見ると、たれ目を綻ばせて目じりに皺が寄る。この人が騎士だ。顔を見てもゲームの内容が思いだせないから自信はないけど、たぶん五角関係のひとりだ。「お黙りなさい、ラルフ。貴方には関係なくてよ」「へーい。人が来たんなら、オレは行きますね~。また後でお迎えに来ます」 アウレリア様がツンっとした態度を取るも、ラルフさんはにこにこ笑いながら立ち上がる。立ち上がると身長の高さが引き立つ。 いつものことなのか、アウレリア様はツンとしたままラルフさんを見もせずに声だけで応える。「ええ。遅ければ貴方を置いて帰りますわ」「いやあ、それじゃ護衛にならんでしょ。ちゃんとオレが帰るまで待っててくださいね。それじゃあ、お嬢をよろしく頼みます~」 ラルフと呼ばれた男はへらへらしながら私たちに頭を下げて部屋から出て行っていった。しまった、普通に見送ってしまった。かと言って、二人の会話で止めるようなことはできなかったし、もう少しあの騎士について知りたかったな。 私が騎士が去っていた方を見ていると、ライオネル殿下に腕を引かれた。アウレリア様に席を勧められたようだ。私とライオネル殿下は勧められるままに隣同士で席に座る。「今のはわたくしの専属の騎士ですわ。チャラついてはいますけど、腕はたしかなの。ライオネルはよく知ってると思うけど」 アウレリア様はお茶の準備をしながら先ほど去って行ったラルフさんについて説明をしてくれた。ライオネル殿下に話
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-04
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19話 生徒会の面子

 アウレリア様が紅茶をライオネル殿下と私の前に出してくれる。向かい側にも一つ置き、そこに彼女は腰を下ろした。ゆっくりとライオネル殿下との会話の続きを始める。「落ち着いてよかったわ。貴方もラルフもゆっくりと過ごすことができているみたいですもの」「ああ……おかげで学院に通えることになったしな。アウレリアの婚約のおかげだ」「ええ……」 アウレリア様とライオネル殿下は紅茶に口をつける。私も真似て口をつけた。花の香りは上品で、甘い。 アウレリア様の婚約について質問を口にしたかったけど、私は初対面。まだ突っ込んだ話をするには早すぎる。ライオネル殿下に任せるしかない。 ライオネル殿下は紅茶から口を話すと、目的の人物について尋ねた。「兄上は?」「フィルはさっきの女生徒の面倒を見るはずよ。だから、もう少し遅くなるかと。ノクスはそろそろ来ると思うわ――ほら」 アウレリア様が言い終わらないうちに扉がガラっという音を立てた。視線を向ければ黒髪で眼鏡をした宰相の孫ノクタリウス様が入って来た。黒い髪と一緒で瞳も黒く、切れ長なのが印象的だ。 ノクタリウス様はアウレリア様を一番に見て、そこから部屋を一瞥する。「……アウレリア、ラルフは?」「ライオネルたちが来たので、おでかけしてますわ」 私たちに挨拶するより先に、アウレリア様に近寄るノクタリウス様。彼の表情は眉尻が下がっていて心配そうだ。あからさまな態度だと思う。しかし、アウレリア様は慣れたようにさらっと返答する。いつも似たような感じなのかしら。「そうか……ライオネル殿下なら問題ないですね。それでシルヴァレーン嬢を連れて何しに?」 ノクタリウス様がやっと私たちの方に視線を向けて、ひとり納得をする。彼の視線を受けて、ライオネル殿下が立ち上がったので、私も一緒に立ち上がる。「俺の婚約者を紹介しに。後はミシェルも一緒に生徒会に入るので、挨拶をしに来たんだ」 ライオネル殿下の挨拶に倣って、私もノクタリウス様にお辞儀をする。お辞儀を返されて、
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