Semua Bab 五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!: Bab 21 - Bab 30

121 Bab

20話 宰相の孫と侯爵令嬢の関係

 私たちが腰を下ろすと、ノクタリウス様はアウレリア様の隣へと腰かけた。 そして彼は会話を再開する。「生徒会に入っていただけるとは助かります。人手不足でして、アウレリアも忙しくしているのです」「人数も少ないと聞いているからな。兄上を待つ間、生徒会についてご教授願えないだろうか」「僭越ながら、私が務めさせていただきます」 ライオネル殿下とノクタリウス様の会話が終わると、アウレリア様が立ち上がって私の方へと来る。「では、ミシェル様にはわたくしが生徒会のお仕事についてお教え致しますわ」「よろしくお願いいたします」 アウレリア様の申し出にこれはチャンスと心が躍る。しかし、腰を浮かせかけたアウレリア様の手をノクタリウス様が取って、話が止まる。「いや……そうだな、ミシェル嬢はアウレリアに任せよう。しかし、荷物などは私が持ってくる」 言いかけてやめる。その動作にひっかかりを覚えた。ゲームのイメージだったら、「自分が両方面倒見る」とか一言二言あってもいいくらいだ。「女同士ですから」とアウレリア様が丸め込むとこまで想像できる。けど、あっさりと引き下がったのだ。「資料がある隣の部屋には、私とライオネル殿下が移動する。君は座ってシルヴァレーン嬢と話すがいい。欲しい書類があるなら取るから言ってくれ」 ノクタリウス様の圧にアウレリア様は顔を曇らせた後、小さく息を吐いてから再び私の前に腰を下ろした。結局は過保護な様子に私はどうするべきか視線を漂わせる。ライオネル殿下が立ち上がるので、彼らが生徒会室の隣の部屋に行くことは決まったことなのだろう。 アウレリア様がノクタリウス様に何かを言って、いくつかの書類をテーブルに出してもらっていた。それから、ノクタリウス様とライオネル殿下は隣の部屋へ移動して行った。 聞いてもいいのかわからない雰囲気に、私は紅茶を嗜むアウレリア様をちらりと見た。 「ノクスは心配性なのよ。幼い頃、私が病弱だった時に面倒を見てくれたから……そのままだと思ってるみたい。今はもうなんともないのに、ああやって面倒焼いてくるの。幼い頃の名残だから、私も強
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-05
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21話 ライオネルとはいつ出会ったの?

「ライオネルとはいつ出会ったの?」 アウレリア様の言葉に私は心臓が飛び出るかと思った。出会いといえば占いの館にいきなり来て協力を仰がれたんだけど、それをそのまま話すわけにはいかない。ライオネル殿下とそういうところの打ち合わせはしてないし、これ後でしっかり認識すり合わせておかないとボロが出ちゃう。「えっと、占いの館に来てくださって。それからよくお話するようになったんです」 嘘で塗り固めると後々、別のこと言っちゃったりしそうだから、事実を交えて話す。まだ設定も練ってないから、あまり深く突っ込まれませんように。「ライオネルは占いの力が欲しかったのかしら。それとも貴方が好きだったから婚約したのかしら?」 詰められてる。視線が痛い。明らかにライオネル殿下の婚約者に相応しいかどうか見定められている。アウレリア様はライオネル殿下のこと弟扱いしていると言ってたものね。心配よね。 どうしたものかしら。会って間もない婚約なのだから、お互いにメリットがある政略結婚に近いと思われてるっぽい。実際、契約で婚約者になったので合ってはいるのだけど。でも、ここでもし私が恋愛の話をすれば恋バナの話に持っていけるのでは? 漫画とかの修学旅行とかでよく見るヤツ。恋バナとは誰かが始めれば他の人の恋バナも出てくるもの。これを機にアウレリア様の好きな人がわかるかもしれない。「ライオネル殿下のお気持ちは聞けておりませんが、私はお慕いしておりますの。聡明ですし、しっかりと周りを見ているというか……」 ちゃんと好きなポイントを入れるのは肝ね。後でアウレリア様は? って聞きやすくなるもの。でも、ちょっと言ってて恥ずかしくなる。羞恥心を隠すために顔を下に向けてしまった。「ふふ、少し安心したわ。ライオネルを使って王女の座を狙おうとするようなお馬鹿さんもいたものだから」 頭に赤髪のジュリアナがすぐに浮かんだ。アウレリア様もジュリアナに手を焼いたのだろう。「応援してるわね。ライオネルのことなら昔からの付き合いだからよく知っているわ。だから、私に相談してちょうだい」「ありがとうございます、アウレリア様」 とりあえず、アウレリア様から及第点は
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22話 第一王子フィリップ

 しばらくして扉が叩かれる。そしてすぐに開いた。ひとりの青年が顔を出す。長めのストレートな金髪が動作によって揺れ、爽やかな碧色の瞳は優しく微笑む。細長くてひょろっとした優男という風貌で、彼は入って来た。「やあ、アウレリア。新しい子がいるね」 口調も穏やかで優しかった。アウレリア様を呼び捨てにするところから、すぐに第一王子のフィリップ殿下だと察しが行く。「ええ、ライオネルの婚約者のミシェルですわ」「君がライオネルの……!」 ぱっと大輪が咲くように朗らかに笑うので、一瞬固まってしまった。どうやら、邪険にはされていないようで一安心だ。 私は、一拍遅れてしまったものの立ち上がってカーテシーをする。「初めまして、ミシェル・シルヴァレーンです」「ああ、フィリップ・カイリスだ。よろしく」 にこにことした笑顔は圧がある。頬がひきつりそうだ。でも、彼も五角関係の重要人物のひとり。ちゃんと情報を集めなければ。「それで、ライオネルのどこが気に入ったんだい?」 いきなり質問をされて、動揺する。初対面の相手、しかも異性の相手に食い気味に質問とは、よほど気になっているようだ。「フィル! 初対面で聞くような内容ではなくてよ」 アウレリア様が止めてくれてほっとした。まだ上手く設定を詰められてないので、あまり深く突っ込まないでほしい。 フィリップ殿下は「そうか」と軽く頭を掻いて、少し残念そうに眉尻を下げる。「フィルにはわたくしから話しておきますわ。ミシェルはライオネルを呼んできてちょうだい」「は、はい!」 アウレリア様はてきぱきと指示をする。私はフィリップ殿下に頭を下げると、ライオネル殿下を呼びに隣の部屋へ行った。隣の部屋は真ん中に長机が二台セットされ、椅子が囲むように置かれている。会議室みたいな作りだった。「ライオネル殿下、フィリップ殿下が参りました」「ああ、わかった」 ライオネル殿下は頷くと立ち上がってドアまでやってくる。ノクタリウス様も一緒に立ち上がってついてきた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-05
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23話 第一王子と第二王子の関係

 ライオネル殿下が生徒会室へ戻ってきて、フィリップ殿下に挨拶をする。「やあ、ライオネル来たね」「兄上。ご無沙汰しております」 並んで見るとライオネル殿下とフィリップ殿下は雰囲気がまるで違う。同じ金髪ではあるが、フィリップ殿下は肩まで伸ばしたストレートだ。ライオネル殿下は短髪のせいかところどころ跳ねている髪をしていて、髪が太い。何よりも目の色は正反対だ。フィリップ殿下は碧眼で、優しそうなたれ目。眉も細くて、女性のように綺麗だと思う。ライオネル殿下は赤い瞳に少しツリ目だと思うし、眉もきりっとしている。要するに印象が正反対なのだ。身長は若干フィリップ殿下の方が大きいかな。「おや? 私の弟はいつの間にそんなにかしこまれるようになったのかな」「いつまでも子供扱いは止めてください」 仲良さげな会話をしている。フィリップ殿下はこちらまで綻ぶような柔らかい表情でライオネル殿下を見ている。これが演技とかだったらものすごい腹黒だ。ライオネル殿下が慕っているし、この猫可愛がりは素だと思うけど。 一通り弟を愛でたら、フィリップ殿下は私の方にその笑顔を向けてきた。「シルヴァレーン嬢、改めて生徒会へようこそ。その占いの力を生かしてくれると信じてるよ」 笑顔なのにプレッシャーをとても感じる。アウレリア様にいろいろと言われたのだろう。 私は貴族の笑みを浮かべたままカーテシーで一礼をする。 フィリップ殿下は頷いて、今度はアウレリア様とノクタリウス様に本日の業務内容を聞いている。私はライオネル殿下の裾を引き、屈むように示唆する。「今後についてもう少し話しを詰めたいんですけど」 耳元に口を近づけて小声で言う。「わかった。時間を決めたら手紙を送る」「はい。では、私は占いの館の営業がありますので、一度失礼します」 小声で要件を伝えあい、私はライオネル殿下から離れた。フィリップ殿下たちにライオネル殿下が私が占いの館に戻ることを伝えてくれたので、私は三人にお辞儀をする。「それでは、私は占いの館におりますので、ご用がありましたらおいでください」 そういって生徒会を後にした。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-06
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24話 悪役令嬢総モテというやつでは?

 占いの館に戻り準備をしていると、カーテンを開けて誰かが入って来た。まだ布を顔にかけていない。慌てて隠れようとしたが、お客の顔を確認して私はそのまま立ち尽くしてしまった。 きょろきょろと室内を見渡しているのは、先ほども見た栗色の髪、ケイティだった。「ケイティ……?」「シルヴァレーン様! 私……私……!」 私の声に反応してこっちを見たかと思えば、勢いよく飛びつかれた。落ち着くように背中を撫でながら、私はケイティに椅子に座るように促す。 彼女の目はさっきよりも赤く腫れていた。私は裏に行ってハンカチを濡らし、ケイティに差し出した。目を冷やし、少し落ち着いただろうケイティの前に腰を下ろす。「ケイティ。どうしたの?」 まさか、フィリップ殿下が好きになったとかの相談だったりする? アウレリア様に厳しく何か言われたみたいだし、それで傷ついてるとか? 私の声にケイティは顔をあげてうるっと目を潤ませた。「私、私……フィリップ殿下とアウレリア様の仲を取り持ちたいの!!」 目が点になるとはこのことかしら。驚きすぎて、一瞬頭が真っ白になった。どうして、なんで、その結論に達したのかしら?「ちょっと待って、アウレリア様にひどい事言われたんじゃ……?」「え? そんなことないですよ! アウレリア様は私が令嬢としてのマナーや仕草をしらないからそれを教えてくれただけです。とても優しい人です!」 ケイティはきょとんとした表情をしてから、私が勘違いしているのを理解したのか、熱弁を奮ってくる。 今度は完全に理解した。これは、悪役令嬢総モテというやつではないだろうか。ヒロインもべた惚れしてるやつ……!「アウレリア様見た時に、すごく綺麗で見とれちゃって」 わかる。「仕草もとっても美しいじゃないですか」 わかる。「それでいてキリっとしながら注意してくれるんですよ、推すしかないじゃないですか、アウレリア様には幸せになって
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-06
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25話 ケイティ仲間になる

 ケイティが取り出して掲げている本は、ご令嬢たちの噂の的である本だった。内容は婚約者同士だったが、隣国の力によって引き裂かれ、最後には駆け落ちをする。というよくある話である。立場がアウレリア様とフィリップ殿下そのままみたいな設定なので、実はアウレリア様のことなのでは!? と噂になっている。アウレリア様も結ばれない恋みたいなこと言ってたし、あながち間違いじゃないのかもしれないのだけど。でも、あくまでこれは創作、フィクションなのよ。現実と混同してはいけない。 ケイティは言い終わってから主張しすぎたのを自覚したのか、曖昧な表情になっている。その表情にどこか既視感を覚えた。どこかで見覚えがある気がする。でもどこだったかはわからない。 私はこの創作がフィクションだということを伝えた。「あのね、ケイティ。私もアウレリア様には幸せになってほしいわ。けど、アウレリア様が誰を好きか、本当のところはわからないじゃない?」「……でもっ」「隣国との婚約も、フィリップ殿下との婚約解消も理由があるかもしれないわ。でも、噂は噂なの。貴方はフィリップ殿下からアウレリア様が好きだと聞いたの?」「……いいえ」「じゃあアウレリア様からそう聞いたの?」「……いいえ」 だとしたら、やっぱりフィリップ殿下とアウレリア様のことは噂の域を出ない。私の言葉にケイティはすっかり落ち込んでしまった。顔を俯かせて、肩を震わせている。 どうしよう、このまま部屋から返してもケイティとは仲良くなれないだろうし、もしかしたら五角関係がさらにひどく崩れるかもしれない。アウレリア様のことが好きなケイティとは協力関係にありたいところね。 ケイティにフィリップ殿下とアウレリア様について調べてると言おうか。その前にライオネル殿下に相談してからのがいいかしら……。でも、ダメと言われてもこれが最善だと思うし、話を進めてしまいたい。それに、ライオネル殿下も勝手に突っ走るんだし、私だって後から報告でもいいよね? よし、後で言い負かさそう。 私は決意して、ケイティに話しかける。「
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-06
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26話 ライオネル困惑

 さて、ライオネル殿下はどういう反応をするかしら。 ケイティは、フィリップ殿下が優しくて魔法を教えるのが上手いことや、アウレリア様が日頃どれだけ優しいかを話してくれる。完全に惚気なような話しぶりで、私は相槌を打つしかなかった。その後、小説の話に移行したら、私もついつい白熱してしまった。 しばらくして、カーテンが再び開いたので手を前に出してケイティを制止し、入って来た人物を見やる。赤い瞳が見えて、すぐにライオネル殿下だとわかる。「ようこそ、ライオネル殿下」 ライオネル殿下は私たちのところへ来るも、ケイティがいることに戸惑いが隠せないようでちらちらと彼女を見てから私に視線を送ってくる。「ケイティですわ」 ケイティは立ち上がって慣れないカーテシーをする。足がふらついてて危なっかしいほどだ。「……相談していたのか?」 ケイティに座るように促してから、ライオネル殿下は私に聞いてくる。その表情はしかめ面で、不安がにじみ出ている。私同様、フィリップ殿下のことでも相談に来たのかと疑っているようだ。「ええ、アウレリア様の恋路について相談を受けておりましたわ」 私が答えると、ライオネル殿下は目を瞬く。代わりにケイティが慌てたように私の口をふさごうとするものだから、笑ってしまった。「ふふ、ケイティ大丈夫ですわ。ライオネル殿下は私たちと一緒です」「ではライオネル殿下もアウレリア様のことを……!」「待て、何の話だ?」 誤解があるようだが、ライオネル殿下が気にしてるのはフィリップ殿下の方だと思う。でも、私が説明する早く、ライオネル殿下が話を止めて来た。 私はライオネル殿下にケイティにも協力してもらうことになったこと、ケイティにライオネル殿下と契約をして恋愛事情を調べていることを説明した。「相談もなく決めたのか?」「あら、ライオネル殿下も私に相談なさらず決め事をするではありませんか。今朝のクラスのこととか」「ぐっ……」 責め立てるように言われたので、嫌みを返せばライオネル殿下も黙った
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-07
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27話 今後について

 私がケイティに釘を刺すと、はっとしてケイティは顔を赤くし身体を縮こませた。私はケイティをそのままにライオネル殿下に顔を向ける。「こういう事情です。彼女はアウレリア様とフィリップ殿下の恋仲を応援したいという気持ちおわかりになって?」「そうです! 私はお優しいフィリップ殿下の幸せも望んでいます!」 暗に彼女がフィリップ殿下への恋心がない。という旨を伝える。ケイティも肯定してくれた。ライオネル殿下は口元に手を持っていってしばらく考え込む。「……そうか。よろしく頼む」 伝わったようで、ライオネル殿下はケイティのことを認めてくれた。けど、恋愛がそんな簡単なものだったら物語にならないのよね。本人が気づいてないことだってある。それに、ケイティがフィリップ殿下へ好意を持っているのは、ゲーム内で明かされていた。でもそれをライオネル殿下に言うつもりも、ケイティに発破をかけるつもりもない。 五角関係の解消が肝だけど、何より私の死亡フラグはアウレリア様が無事隣国へ嫁いでくれればそれで解決するのだ。結ばれないけど強い思いがある相手、相手のことで死ぬほどの心残りをどうにか消し去っておきたい。「あ、私そろそろお暇します。家の手伝いに行かないと……!」 ケイティは心の整理がついたようで眩しい笑顔を浮かべながら立ち上がった。いつもなら帰っている時間だしね。それほどアウレリア様とフィリップ殿下のことが気になってここに駆けこんできたのだろう。「家、パン屋なんです。よければお二人とも遊びに来てくださいね!」 元気に挨拶だけして、彼女は去っていった。残された私はライオネル殿下に席を勧め、後ろでお茶を入れて彼の目の前に置く。「さて、ライオネル殿下。今後についてしっかりと話をしましょうか」「望むところだ」 そう、今日しみじみと思った。何も想定をしていなかったし、婚約者としてのふるまいも、まったく認識のすり合わせができてない。このままでは協力関係としてやっていけないわけだ。 その日は結局ライオネル殿下と今後についての話し合いに終始した。 婚約については政略での婚約で問題はな
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-07
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28話 トラウマの令嬢ジュリアナ

 朝、馬車から降りようとすると金髪が目に入った。同時に入り手を取られる。びっくりした。いままでずっと独りで登校していたので、反応が遅れる。転ばないようにエスコートされて私は馬車を降りた。「え、ライオネル殿下?」「迎えに」 短く言われた内容を頭の中で繰り返す。もしかしてクラスまで一緒に行くとか、そういう? 冷や汗が出た。イヤな予感がする。「朝から絡まれてもイヤだろう」 そういって、私が了承する間もなく歩き出す。手を繋がれたままだったので、半ば強制的に歩かされる。 手を離してほしいと声をかけようとした時、視界に赤い髪が映る。反射的に手が震えそうになってぎゅっとライオネル殿下の手を握った。「あらぁ、ライオネル殿下。朝からおいでになるのであれば一報いただければよろしかったのに」 ねっとりとした声色で、近寄ってくる。吊り上がった赤紫の瞳にねめつけられて、ひゅっと喉の奥が鳴った。慌ててライオネル殿下の手を振り払う。 幼い頃のジュリアナ様の悲鳴が頭に反芻される。「ミシェル?」 心配そうに名前を呼ばれるも、私は彼から一歩下がった。汗がどっと噴き出して、心臓が早く鳴っている。「あら? シルヴァレーン嬢もご一緒でしたの?」 今気づいたとでも言うように言われた。ムカツクよりも吐き気のが強くなる。私はぐっと胸に力を入れる。「いえ、たまたま会っただけですわ。私、具合が悪いので失礼します」 まともに視れもせず、二人に頭を下げて早足に歩き出した。気を抜くとその場に蹲りそうだった。ライオネル殿下が追ってこようとするのを、ジュリアナ様が腕を絡めて留めているのが視界の先に映って、距離が開くことに少しほっとした。すっと気持ちが楽になる。 ライオネル殿下には申し訳ないけど、少し相手をしておいてほしい。私は早足でクラスへと向かう。 今朝のことがあってからか、クラスにいる間はライオネル殿下がジュリアナ様の相手をしてくれた。距離を開けてくれるのでありがたかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-07
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29話 お忍びで街へ

 あっという間に放課後。生徒会でアウレリア様と仕事をした後、私は街に繰り出していた。 王都は辺境の地に比べてお店が立ち並び、大通りも広くて華やかだ。お店の飾りつけはそれぞれ特徴があって、つい立ち寄ってみたくなるほど。ただ、予想外のことは隣を歩く彼だ。「なんでライオネル殿下がついてくるんですか?」 制服のまま街へおりようとしたら、ライオネル殿下に止められた。平民の服に着替えろと教えてくれたのはありがたかったけど、付いてくるなんて思わなかった。「はあ? お前が護衛もつけずに平民街へ行こうとしてたから、付いてきてやったんだろ」 ライオネル殿下も質素な服に着替えている。わざわざそこまでして一緒に付いてきてくれなくてもいいんだけど。平民街ってそんなに治安が悪いのかしら?「だいたい、具合悪いんだろ? 大丈夫なのか?」 どうやら朝の様子も気になっているらしい。ジュリアナ様さえいなければ大丈夫ですとは言えず、頬がひきつる。「ええ、もう大丈夫です。朝のは立ち眩みです」 さらっと流してほしくて、手をぱたぱたと動かす。眉を顰められた。「とりあえず、ひとりで行くのはダメだ」 頑なに護衛だと言い張る。私は仕方ないと首を竦めた。 「ライオネル殿下が護衛なんて恐れ多いのですけど」「街の中で殿下はやめろ”レオ”でいい」 街中に殿下がいらっしゃるとか、やっぱり大事なのね。だから、頷いておく。しかし、ライオネル殿下の眉は上がったままだ。「……お前、自分の立場を理解しているのか?」「立場って、ちゃんと平民の格好してるし問題ないのでは?」「お前……俺も似たような恰好してるがどう思う?」 私が質問で返したら質問で返してきた。ライオネル殿下の恰好といえば、質素な色をしたシャツにベスト、いつもよりは格段に下がる品質のズボンだ。でも、手入れがされている金髪の髪も、綺麗な白い肌も、その品の良さは消すことができない。そこら辺を歩いている人とはまったく世界観が違うように見える。「まったく平民に見えませんが?」
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-08
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