Semua Bab 五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!: Bab 41 - Bab 50

121 Bab

40話 もうひとつの案

 こほんと咳払いしてから「悪かった」と言われたので、謝罪は受け入れておく。そして、ズレてしまった会話を軌道修正する。「ケイティと話ができるのであればもうひとつの案として、魔法を教えている現場に私が参加することも考えてます」「占いの魔法の開花を目指す名目ならいけそうだな」 案外、こちらの案の方がライオネル殿下はよかったらしい。すんなりと許可が出そうだ。ただ懸念点はあった。「占いの力の素質はないのですが、それでも可能なのですか?」「力はなくとも占いで当てているという実績があるから、それでごり押しだな。見学なら別に魔法が使えなくても、問題ない。ただ、俺が付き添うことにはなる」 問題ないならよかった。この口ぶりならライオネル殿下が手配してくれそうだ。ただ、ライオネル殿下付きらしい。どうせ平民街へ行くにしてもまたついて来そうだったし、今話した内容以外でケイティとしゃべるとしたら小説やアウレリア様のことだけだから、ライオネル殿下が居ても問題はない。フィリップ殿下が居るのに恋バナとかはさすがにしないだろうし。けど、どうして付き添うことになるのかは気になる。「……何故、ライオネル殿下が付き添うのですか?」「仮にも婚約者を兄上と一緒に居させるのは、外聞が悪くないか?」 そっちの心配か。でも義理の兄と仲良いのは良いんじゃ? ただフィリップ殿下はご令嬢の注目の的、ケイティとの噂はすでに耳にタコできるほど蔓延っているから、その中心地にひとりで突っ込めば、それはそれで噂に新たなネタを提供することになってしまいかねない。「で、あればいいですけど……ライオネル殿下は魔法を使えないのですよね?」「ああ、俺は使えない。使えたら俺が教えればいいってことになるだろ」「たしかに。であれば、後はライオネル殿下にお任せしますね。見学だけでもいいのでよろしくお願いいたします」「解った」 不満もなさそうにあっさりと了承してくれた。これでケイティと話す時間が持てる。良かった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-11
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41話 その……ありがとうございました

 さて、私はライオネル殿下にお礼を言うべきことがたくさんある。手紙でいいかとも思ったけど、それはそれで失礼では? と思ってしまう。ビジネス的なやりとりをする分には冷静でいられるけど、心配をかけたことや気遣ってくれたことにお礼を言うのはなんだかむずがゆくて……会話中は頭の片隅に追いやっていたけど、話も終わってしまったのでやっぱりちゃんと言うべきだとは思う。でも、口を開けては閉じてしまう。 心を落ち着けるために、もう冷めた紅茶を飲んだ。そう、お礼を言うのはビジネスでは当たり前のこと、恥ずかしくなんてない。「ライオネル殿下、その……ありがとうございました」「……あ、ああ。何がだ?」 違う、お礼だけじゃ何に対してかわからないじゃないっ。ライオネル殿下も驚いた表情のまま聞き返してきてるし。「で、ですから……」「うん?」 私が詰まっていれば、目の前の相手は聞く体制になって促してくる。嫌みのひとつでも言ってくれた方が言いやすいのにっ。 私はふっと息を吐いて、頭に言うべきお礼の内容を思い描く。そして、口を開いた。「――っ。先日馬車を用意してくださいましたし、休んでいる間お手紙をいただきました。それに、今朝はアウレリア様にジュリアナ様のことお願いいただいてましたし、生徒会では私の分のお仕事もなさったとかっ! それら含めてすべてですわ!」 ぜーぜーと肩で息をしてしまう。一気にまくしたてるように言ってしまった。お礼なのにっ。なんて失礼なことしてるの、私っ! あんまりな言い方に恥ずかしすぎて顔があげられない。「はは、元気そうで何よりだ」 笑いだされて、固くなっていた肩が落ちた。今度はさらっと言葉が滑り出た。「……ありがとうございます、おかげ様でいろいろと助かりました」「ああ、なら良かった」 柔らかく言われた言葉に、顔を上げれば頬を緩めて微笑んでる表情を目視して、喉がひゅっと鳴った。心臓が激しく鳴って、一瞬固まった。なに今の表情。見慣れないモノを見て動揺してしまう。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-12
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42話 第一王子と平民の魔法訓練へ参加

 ライオネル殿下に頼んでから、しばらくは大きなこともなく過ぎ去った。もちろん手紙は形式上で返しておいたし、それから何故か手紙のやりとりが発生しているのだけど。顔を合わせて話をするというのも生徒会の仕事をしていたら難しい日もあるから、報告書として役目を果たしている。  数日前、手紙でフィリップ殿下とケイティの魔法訓練に参加できる日取りが決まったと連絡があった。だから、今日は放課後、生徒会には行かずにライオネル殿下とともに校舎の裏にある庭園へと来ている。  フィリップ殿下とは学年も違うし、生徒会でもケイティとの魔法訓練の後に来るのであまり深い話をしたことがない。私は主に生徒会ではアウレリア様と一緒に行動しているので、ライオネル殿下と話している印象が強く、兄弟の仲は意見を言い合えるほど良好だ。  挨拶をお互い交わした後、フィリップ殿下は笑顔でケイティに今日が特別だと告げた。 「今日は、シルヴァレーン嬢とレオが一緒に魔法の練習をするよ」 「わぁ、ミシェル様と一緒に練習ができるんですね!」 「ええ、ケイティよろしくね」  ケイティは目を輝かせて私の手を取って来たので、私もぎゅっと握り返す。ライオネル殿下が無礼だというように眉をひそめたけど、無視した。だって、やっぱり接点がなさ過ぎて今日までケイティとまともに話せてなかったのだから、仲良くやりたい。 「はあ、三人も麗しいお顔が揃うなんて、なんて眼福……」  目がうっとりとしていて、ケイティは自分の世界に入り込んでいる。そういえば、綺麗な顔が好きなのよね、貴方。でも、その顔のまま練習続行は無理じゃないかしら? 「ケイティ、もう少し顔を引き締めた方がよろしくてよ?」 「は!」  こっそりと耳打ちすると正気に戻ったのか、頬をぺちぺちと叩いて表情を引き締めていた。 「しっかりしてちょうだい。ケイティが先に魔法練習をしているのだから、ここでは先輩なのよ」 「センパイ……!」  目がキラキラと輝いて興奮しているケイティは可愛らしい。  私たちの話を聞いていたフィリップ殿下が、会話に入ってくる。 「先輩か。それじゃあケイティがどこまで魔法を使えるようになったか二人にも見
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-12
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43話 ケイティの魔法

 ケイティは真剣な表情になると手のひらから水を出現させ、空に手を振り上げ霧のように撒いた。日の光に照らされて虹ができる。神秘的で綺麗だ。「わぁ。綺麗……」「すごいな、こんなに細かく操れるのか……」 私とライオネル殿下から感嘆の声があがる。「へへ、フィリップ殿下のおかげですよ! 大雑把な魔法は元々できるんですけど、繊細なことが難しくて、教えてもらいました」 ケイティは照れたように頭を掻きながら、笑顔でいままでの過程を話す。フィリップ殿下が教師として優秀だというがそれをこの数か月でできるようになってしまうのだ、ケイティはやはり素質があるのだろう。 ふと思い出したけど、これゲームだと氷柱とか降ってくる攻撃エフェクトだった気がする。大魔法使いの片鱗が見える。「水魔法はケイティが得意とする魔法だよ。ケイティは読み込みも早いんだ」 フィリップ殿下もべた褒めだ。将来のケイティに得意分野という枠はないから、きっと魔法がバレた時の名残ね。 大魔導士が語った過去では、ケイティが火事を魔法で消火したところを国で保護されたのよね。それまでは魔法を隠して過ごしてたから、待遇で揉めた。ケイティは家族と離れるのが嫌で、貴族ばかりの学院に行くことで国と話をつけたんだったはず。「得意ということは他の魔法も?」 ライオネル殿下が食い気味だ。ケイティの優秀さがわかってきたらしい。「は、はい。特殊な魔法以外は適性があるみたいで……」 ケイティはかしこまって、手をもじもじとしている。 なんといっても生活の中でも魔法を駆使するくらいだものね。風も火もお手の物だったはず。「じゃあ、そろそろシルヴァレーン嬢の魔法練習をしようか」 いよいよ私の番ね。でも、教え上手なフィリップ殿下に教えてもらうべきか将来の大魔法使いのケイティに教えてもらうべきか、悩みどころね。ライオネル殿下は何か意見あるかしら? ちらりと彼を見れば、肩を竦められた。どうやら好きにやれということらしい。「私、ケイティに魔法教えてもらおうかしら」「え!
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-12
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44話 ケイティの取り合い

 反応したのはフィリップ殿下の方だった。「基礎は元々できてからさらっとしかやってないし、ちゃんとわかってるかどうかのテストにもなるね」「フィリップ殿下!?」「優秀だと聞いているからな、教育的なこともできるならぜひ城で働いてもらいたいものだ」 まさかライオネル殿下が追い打ちをするとは。それほどケイティの魔法の実力はすごかったのだろう。だから優秀だって言ったじゃない。内心、鼻高々になる。「おや、私の優秀な生徒をレオに取られてしまいそうだ。私は譲る気はないのだけど」 柔らかくも少しお茶目に泣いたふりしているフィリップ殿下は、生徒会では見ない顔だ。生徒会では優しいのは変わらないが、いつもきりっとして作業をしているし、指示だしのせいか声を張っている。こっちの方が素なのかしら。「兄上の側近ですか? しかし、この力であれば戦闘能力も十分期待できるのですが」 おや、兄弟でケイティの取り合いかな? フィリップ殿下は政治関連、ライオネル殿下は戦いの指揮関連を担当しているから、どっちかにしか行けないということね。でも別に王城で働かなくてもいいわよね。 これは私も参加しなくては。「ケイティ、私のところへいらっしゃいよ。一緒におしゃべりしたいわ」「ミシェル様までっ!」 おろおろしていたケイティは、私の言葉に頬を膨らませる。何故私だと抗議するのかしら。「辺境伯爵の元に行って何をさせるんだ?」「私の専属メイドかしら」 ライオネル殿下まで突っかかってくるとは。ケイティとお話するのであればメイドが一番だと思う。気持ちのまま答えたけど、ライオネル殿下はすごく不満そうに唸った。「これだけの力を持つ魔法使いが、どれだけ貴重かわかってるのか?」「なぜライオネル殿下が熱くなってるんです? 平民だって馬鹿にしてたじゃないですか」「馬鹿にしていない。平民に王族があまり関わってもいいことはないだろうと思ってだな……」「はいはい。でもケイティは私と仲良しさんなので、私はメイドとしてほしいんですよ」 ライオネル殿下は真面目に返すから、手をひらひらとし
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-13
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45話 前世の記憶

「では、ケイティ。シルヴァレーン嬢とレオに魔法の説明をお願いしようかな」「はい! では魔法の基礎ですね。魔法が使える人は、魔力という力を感知して操作することができます。目を瞑って、自分の身体にある魔力を感じます。人によって感じ方は様々ですが私は自分の周りを膜が泳いでるように感じます」 魔力を感じたことがないので、やっぱり魔法は無理かもしれない。その後も説明は続く。「手のひらに集めて、自分が適性のある――私の場合は水です。その力を使うイメージをします」 ケイティの手のひらに透明な水のボールが浮かんだ。ぷかぷかと浮いたままその場に留まっている。「これが基礎ですね。ミシェル様もライオネル殿下も目を閉じてやってみてください」「わかったわ」「わかった」 私は目を閉じた。身体に膜のようなものは見えない。「わからないわ……」「俺もわからないな」「では、私が補佐しようか」 誰かに手を取られる。声をかけてきたフィリップ殿下だろう。取られた手から熱さを感じた時、目の前がフラッシュがたかれたようにスパークした。目を閉じているのに眩しくて、ぎゅっと力を入れてしまう。 フラッシュが止むと、目の前にいくつかの画像が浮かんでいた。あれ、これって前世の記憶だ。ん? もしかして前世の記憶って魔法だったりする? どうしようか悩んでいると、勝手に一つの画像が光った。映像が再生された。過去の、ひどい記憶だった。 家族四人には狭すぎるワンルームの家。ゴミ袋が端に積み上げられていて、シンクには洗い物の山。紛れもなく、あたしの幼い頃の家だ。「お姉ちゃん、お腹空いた……」「何か作ってよ!」 三つ年下の妹が、五つ下の弟が、辺り前のように私に命令する。世話は誰もしない。あたししかしていない。あたしが世話をしなければこの子たちは、何も食べれない。「…………」 あたしはコンロに火をつけてお湯を沸かす。妹たちの面倒を見ろと、母に命令されていたから。普段は心を無にしてすべて
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-13
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46話 火傷の痕――額の痣

「ミシェル!!」 映像が消えてはっとする。目の前には見たくもない見窄らしい実家なんかじゃなくて、緑豊かな庭園。目の前に金髪で赤い目の誰かがいる。揺さぶられて、ああライオネル殿下だと思いだす。「だ、大丈夫ですか?」 汗が止まらなくて、手が震えている。大丈夫だ、私はもうあたしじゃない。ずきりと火傷の痕――額の痣が疼く。ああ、そうだ。この傷が出来た時にあたしは決意したんだ。生きてやるんだって。絶対に負けないって。 私は答えられずに、浅く息を吸っては吐いてを繰り返す。 ケイティが背中を撫でてくれて、少しずつ落ち着いてくる。「兄上、魔力は人体に害があるんですか?」「いや、こんな症状は聞いたことないけど……」 ライオネル殿下の声は少し焦っているようだ。魔力に反応したのは明らかだけど、今の状況を話す気力がない。頭の中であたしがまだ悲鳴を上げているように感じて、頭がちかちかする。 なんとか息を吐いていろいろ押し込める。これ以上心配をかけてはいけない。「医務室に連れて行く」 私がなんとか落ち着いて大丈夫と言う前に、身体が浮いた。 何? ライオネル殿下の顔が近くて、ひゅっと喉が鳴る。まつ毛が長い。じゃなくて、これは抱き上げられている。いわゆるお姫様抱っこだということが私を余計に混乱に陥れる。「お、降ろしてくださいっ!」「立てもしなかっただろ。大人しくしてろ」 口で反抗してみるも、すぐに否定される。暴れたら危ないことはわかるので、身体を固めるしかない。 さっきの黒い感情よりも心臓のうるささのが勝っている。思考が上手く回らない。 その間に視界は庭園から渡り廊下へと差し掛かった。心臓が徐々に落ち着いてくるけど、懐かしい香りがするとか、頭の片隅でどうでもいい情報が出てくる度に、再び胸が忙しくなる。なんでこういう時に限って意識飛ばせないのかしらっ。 ズザッという大きな足音を立てて誰かがライオネル殿下の前に立ちはだかった。真っ赤な髪に、赤紫の瞳は吊り上がって私の方を見ている。嫌悪の感情をぶつけられて鳥肌が立つ。 今の状況で一番会いたくない相
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-13
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47話 お姫様抱っこで遭遇

「シルヴァレーン嬢、これはどういう状況ですの?」 ライオネル殿下がいるのに、この女――ジュリアナ・ハートフォードは、なぜ私に聞いてくるのだろう?「ハートフォード嬢、ミシェルは具合が悪いんだ。通してくれないか?」「まあ! そうなんですの? この間も倒れておりましたし、よっぽどお身体が悪いんですのね?」 ライオネル殿下の手前か、それ以上言うこともなく体を横にずらして道を作ってくれる。しかし、鋭い視線は私に刺さったままだ。大げさな口調も私を非難しているのがわかる。でも、体調が悪いと言っているのに言い返すなんてできない。私は唇を噛んで黙るしかなかった。 早くこいつの傍から離れてほしいと何度も心の中で思う。ライオネル殿下が歩き出すも、この女はあろうことか後ろをついてくる。「ライオネル殿下も、ご迷惑を被っておられますのね」 後ろからねちねち言ってくるスタンスらしい。私はライオネル殿下をちらっと見た。前を向きながら早足で歩いている彼の表情は、無表情を張り付けていてまったく何を考えているのかが読めない。普段はわりと読みやすいのに。「体調が悪い人間を医務室に運ぶのは普通のことではないか?」「ですけど、頻繁ではライオネル殿下の大切なお時間を奪ってしまうではありませんか。殿方のサポートもままならないのではないのでは? 生徒会では窓際で黄昏ているとか、お荷物なのではなくて?」 根も葉もない話をされている。生徒会に出た時はそれなりに仕事してるわよっ。「はあ……」 ライオネル殿下が心底イヤそうなため息を吐くのは初めて見た。小さく吐かれたけど間近なので、怒りを感じて身を竦めてしまった。「ミシェルに関しては俺が好きでやっている。それに、彼女は生徒会に参加する時はしっかりと仕事をしてくれている」「ですが、生徒会に参加できるのもその体調では稀なのではないでしょうか? 私なら――」 ライオネル殿下は立ち止まり、ジュリアナの言葉を遮る用に振り向いた。「私の婚約者を悪く言わないでくれないか」 はっ? なんでここで言うの!? 口から、暴言が飛び出しそうになったのを口を押えて止
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-14
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48話 ……すまない

 昨日は結局家に帰されてしまって、主治医に見てもらった。問題はなさそうなので、今日も学院に登校したのはいい。目を話した隙に教科書と鞄がズタズタ。歩けば通りがかりに足を引っかけてくる。どの世界でもやることは同じなのね。最終的には、食堂でお昼ごはんに虫をぶっこまれて辟易してしまう。 さすがにひどいので、ケイティやアウレリア様とは距離を取っている。この手のものが二人に降りかかっては罪悪感があるからだ。 ライオネル殿下がいない時を狙ってくるのだから、本当に浅ましいの一言だ。「……すまない」 隣に座ったライオネル殿下からの何度目かの謝罪。人気がない校舎の裏側で、私は空を見る。もぐもぐと、購買でライオネル殿下が買ってきてくれたサンドイッチを食べながら。「いえ、どうせいつかはこうなってましたし」 ジュリアナ様はことあるごとに睨みつけてくるだけだが、その取り巻きが率先して私に嫌がらせの矛先を向けてくるのだから困ったものだ。「俺の方でどうにかするという契約だったのにすまない。時間がかかってしまうが、どうにか止める」 止めてくれるというなら、嬉しいが現状ライオネル殿下がこれ以上どうにかできるとは思えない。いっそ私が突きつけてやろうかしら。やられっぱなしは今の私の性には合わないし。「期待はしてませんが、よろしくお願いします」 遅くなった昼食を済ませて、私は立ち上がる。皮肉に対して「ああ」としか返答しないところを見ると、本当に落ち込んでいるようだ。これ以上喧嘩を吹っ掛けるのも気が引ける。だいたいあの状況になったのは私が倒れたせいでもあるしね。「さて、気を取り直して生徒会へ行きましょう。今日こそはお仕事をします」 なんだかんだで生徒会の仕事をできていないのはたしかだ。まずは生徒会でしっかりと仕事をしてジュリアナ様が文句を言う口実を減らさせないと。 何より、アウレリア様が誰を好きなのか一番肝心なところをノクタリウス様やフィリップ殿下、ラルフさんに聞いてみないと。「……無理はするなよ」 私の顔を見るライオネル殿下の表情はいつもの強気さがなく、どうも本気で心配
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-14
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49話 アウレリアの涙

 生徒会に到着すると、アウレリア様が扉を開け放って飛び出してきた。その目には涙が浮かんでて茫然としてしまう。え? アウレリア様が泣く? 私たちが何もできないでいるとノクタリウス様が後から出て来た。何? 何かトラブル?「……ああ、見苦しいところを見せましたね。申し訳ない」 ノクタリウス様が私たちを認めて、頭を下げる。どうもアウレリア様が出て行った原因はノクタリウス様にあるようだ。どうしたものか、私が頭を突っ込んでも話をしてくれるだろうか。ちらりとライオネル殿下を見れば、眉尻に皺を寄せている。「アウレリアは俺が見てくる」「いえ、僕とアウレリアの問題です。ここは僕が行きます」「どうせいつもみたいにややこしくなるのが目に見えている。お前は生徒会の自分の仕事を片付けろ。ミシェルはノクタリウスのことを見といてくれ」 ライオネル殿下は厳しく言い放つと、ノクタリウス様と私の言葉を待たずに背を向けてアウレリア様を追いかけてしまう。 気まずい雰囲気。ノクタリウス様は一瞬手をぎゅっと握りしめたけど、くるりと踵を返して生徒会室へと戻る。「貴方も早く来てください」 冷たい口調に、私は慌てて生徒会室へと入る。中にフィリップ殿下かラルフさんが居ればいいんだけど……。 はい居ません。ライオネル殿下に貸し一つです。今度代わりに何かしてもらわないと気がすみません。「さっさと生徒会の仕事を片付けましょう。書類仕事の方をご対応いただけますか」 テーブルに紙が積み上げられている。部活に必要な経費が掛かれた書類や、イベントの開催の有無などの書類らしい。本当に事務仕事だ。前世の記憶がある私には難しくはないけどね。 私はノクタリウス様の前に座って書類に目を通す。わからないところは聞きながら仕事を進めて行く。「……ずいぶんと慣れていらっしゃいますね」 思わず没頭していたら、ノクタリウス様が紅茶を入れて目の前に出してくれた。よくアウレリア様が淹れてくれるので、すっかり忘れていた。礼を言って口をつける。 さて、どう応えよう。慣れて
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