All Chapters of 五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!: Chapter 61 - Chapter 70

121 Chapters

60話 ライオネルの設定

 ライオネル殿下の項目だ。『戦場の獅子と呼ばれ、指揮官としても戦士としても優秀で戦況をひっくり返す力を持つ。勇者としての圧倒的力を引き継いでいる人間。十六歳の時、何者かに毒を盛られる。強力な毒だったが、一命をとりとめた。しかし、右足の麻痺という障害が残り戦場には立てなくなった。彼の戦力を失ったことがすべての始まりだった』 最後の言葉に私はぞっとした。「なんて書いてある?」 書いてあるままを言っていいのだろうか? どこまで幼い私は彼に伝えているの?「…………」「俺は十六歳になった今年、毒を盛られて戦場に立てなくなる。そして、その後国が亡ぶことまで聞いている」「聞いてる通りです。誰が毒殺しようとしたのか、どんな毒なのかは書いてません。でも――」 記録の内容を見て、ライオネル殿下について記載されていた資料を思いだした。内容の記載とともに毒を盛られた青年が倒れているシーンの絵が描かれていた。今ならわかる。あの部屋は寝室に違いない。ベッドは描かれてなかった。でも、服装、そしてかすかに描かれた古いナイトテーブルにはカイリス王国の紋章が入っていた。「ライオネル殿下が倒れている絵を思い出しました。憶測になりますが、ライオネル殿下が倒れるのは王宮のいずれかの寝室かと……」「どこの寝室かはわからないのか?」「王国の紋章が入った古いナイトテーブルがある寝室ですが、心当たりは?」「……兄上の部屋だな」 まさかフィリップ殿下の寝室で毒を盛られるの?「兄上とは情報交換をするのに、決まった日取りで夜に話をする。そのタイミングかあるいは、遅効性の毒か……」 私よりも冷静に分析するライオネル殿下。落ち着きすぎてない……? 毒を盛られるのよ?「であれば、その日は解毒作用のあるものを飲んでおく方がいいか……倒れている俺の姿に今の俺と違う要素はないか?」 聞かれて、ライオネル殿下をまじまじと見る。カラーでの
last updateLast Updated : 2026-07-18
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61話 魔王復活までの流れ

「そうなると誰が狙ってくるのかもわからない……」「犯人を捜しだすにも敵が多くてな。調べられることは調べていたんだが、収穫はない。そんな折、お前が占いを始めたと聞いて、記憶が戻ったのかもしれないと思ったわけだ」 だけど私は幼い頃の記憶は戻っていなかった。ライオネル殿下と初めて会ったような反応をしたから、様子を見てたわけね。「大きな目標としては、ライオネル殿下が毒を盛られるのを防ぐこと、アウレリア様が無事に隣国へ嫁いでいただくことの二つでしょうか」 私の言葉にライオネル殿下は大きく頷く。「幼い頃の私がこれ以上、毒についてのことを記載していないなら、ここから情報は望めないでしょう。私、この件について試してみてほしいことがあるのですが」 小さい声でしてほしいことを話したが、ライオネル殿下は私の提案に顔を曇らせる。「大事になるな……時期はもう少し後のがいいだろう。情勢的にもまだ隣国との不和は報告されていない」 毒殺されるよりも早く手を打つ必要がある。アウレリア様の噂話が隣国に漏れ聞こえたらタイムリミットだ。「わかりました。では、引き続きすり合わせを行いましょう――」 私は幼い頃の私が書いた記載をライオネル殿下に共有した。 内容は簡単に言うと世界が滅びるまでの一連の流れが記載されていた。「アウレリア様とフリィップ殿下が恋仲という噂を、隣国ヴァレリアン帝国が聞きつけたことが始まりです。隣国は、不貞疑惑から講和条約の違反としてカイリス国への侵略を再開。戦争が激化していきます」「二人の恋仲の噂は国内ではだいぶ大きくなってきているな。隣国にも噂が届くのは時間の問題か」 ライオネル殿下は唸る。現実問題、起こり得ることが容易に想像できる。「隣国の侵略の原因をどうにかできれば一番いいですけど……」「戦争が激化したとしても、俺がいれば抑止力になるはずだ。だが、俺は毒を盛られ、右下半身不随により戦場には立てなくなった。代わりに兄上が戦場で指揮を執るが、力及ばずに死んでしまう。兄上の死亡により国の敗戦が決まるわけだ」
last updateLast Updated : 2026-07-18
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62話 王族の機密事項

「魔王の復活についてそこまで詳しく記載されているのか……」「ここまではお聞きになっておられないのですか?」「魔王については王族のみにしか伝えられていない。それを知っていたから昔のお前はその話を濁したんだろう」 たしかに魔王についてはお母様ですら知らないかもしれない。「この文面に出てくる勇者の剣と、魔王封印の道具は現在どなたがお持ちになられてるんですか?」「剣は俺のモノだな。代々引き継いでる剣のことだろう。封印の道具についても兄上から俺が預かっている」「ではきっと、その剣はライオネル殿下が戦場に立てなくなった際、フィリップ殿下に手渡した可能性が高いですね」 戦えなくなって、せめて自分の剣を託したのだろう。「フリィップ殿下は死ぬ前に、ケイティに勇者の剣を託します。そして、ラルフさんにケイティを守るように指示していました。おかげでケイティは生き残り、勇者に剣を手渡すのです」 そして将来、勇者とともに大魔法使いとして魔王を討伐するのだ。「封印の道具は俺が妹に持たせたんだったな」「はい。妹様は生き残り、勇者に封印の道具を託します」「……いいか、いまから話すことも機密事項だ。共通の目的のために共有するが絶対に漏らすな」 ライオネル殿下は私に念を押してから声を低くした。「父と兄上だけが封印の魔法を使える。道具は緊急用に長い年月をかけて封印の魔法を込めたものだ。すぐに作れるような代物ではないし、永久に使えるものでもない」 うん、これ私聞いてよかったのかな? とっても国にとって重要な情報だ。「ということは、魔王が復活したのは王様とフィリップ殿下が亡くなったことが原因なのですか?」「そういうことになる」「ヴァレリアン帝国に侵略させる条件を満たさないことが一番ですが……ライオネル殿下が戦える状況であれば戦況がひっくり返ることはないのですね」「俺の部隊を倒せずにいたからこそ、ヴァレリアン帝国は今の休戦を望んだ。長期の戦争になるだろうが即座に魔王が復活することもないだろう。手の打
last updateLast Updated : 2026-07-19
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63話 占い師としての成果

 占い師としての知識を使う第一歩。私はライオネル殿下と校舎の裏にある庭園へ向かい、整えられた草の中に身を潜めている。「お前、兄上とケイティの魔法練習に入りたいならそういえば……」「違いますっ……! 一緒に居たら意味がないんですよっ」 そう、ゲームでいう恋愛イベントが起こるのは、二人きりの時に決まっている。そして、隠れて話を聞くイベントというのはゲームならず漫画でもよくあるシーンなのだ。まあ、普通はわざわざ隠れるんじゃなくて、偶然出会ってしまい慌てて隠れるとかのがそれっぽいんだけど。そこまで忠実にしなくてもいいでしょ。「ここで見守ることで今日、すごく重要な何かが動くんです。私の占いの腕は知ってますよね?」「……統計的な何かと言ってたが、こんなことしてるヤツはそうそういないだろう……?」「前世ではよくあることでしたので、そこはお気になさらず」 困惑するライオネル殿下は放っておいて、私はこの間魔法練習をした場所に視線を向ける。 フィリップ殿下とケイティが楽しそうに魔法を使っている様子が見える。ちなみにライオネル殿下にお高めの魔法道具を持って来てもらっているので、多少遠くても声が聞こえるわけで、あれ? これ完璧に覗き見だ。「見つかったらどうするんだ……」「そのために魔法道具持ってきてくれたんですよね?」 他にも気づかれにくくなる魔法道具とかちゃんと持ってきてくれている。ちなみに、こうやってわざと隠れてる場合、見つかる可能性は大いに高いのだけど、それは黙っておこう。 三人に対する罪悪感が芽生えたものの、頭の上を手で払ってから二人の行動に集中する。ケイティが魔法の手を止めて、横並びに座っている。「ケイティは本当に飲み込みが早いね」「ありがとうございます!」「やはり、私にはもう君に教えることはなさそうだよ……」 にこにこと話していたフィリップ殿下が、少し寂し気に微笑んだように見える。「あ、殿下もお忙しいですも
last updateLast Updated : 2026-07-19
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64話 第一王子と平民の恋心

「ケイティ……君が好きだ」「……フィリップ殿下。私は……平民です」 告白したフィリップ殿下にケイティは顔を伏せたまま、小さな声で応えた。フィリップ殿下はいつもの優しい笑顔ではなくて、真剣にケイティをまっすぐと見つめて言葉を紡いだ。「わかってる……ケイティ。私が王位継承を破棄したらどうする?」「え……」 立ち上がりそうになったライオネル殿下を慌ててひっぱって引き留める。「何やってるんですか、静かにしててくださいっ」「ぐっ……しかし……」 小声で注意するも、今にも飛び出しそうだ。飛び出したら怒られるどころじゃないので止めていただきたい。 私とライオネル殿下の小声の攻防をよそに、フィリップ殿下はケイティに言い募る。「私は、ケイティと一緒に居たい」「……ダメです。フィリップ殿下は王になるお方。私は平民。それに私は自分の魔法使いの力をわかっています。平民だけど、きっとここに居たら争いの種になるくらいの力があるのをわかってます……だから、旅に出ようと思っているんです」 フィリップ殿下の気持ちを受け止めたようにケイティは顔を上げて、目元を緩めて言葉を綴った。彼女の決意は重かった。「……それは覆らないのかい……?」「……私、この国が好きです。平民のみんなも笑顔で毎日過ごせてる。私の家族も、パンを買いに来てくれるお客さんも。それは王様のおかげで、フィリップ殿下にはその力があるじゃないですか」 ケイティはにこっといつのも笑顔を浮かべていた。かと思えばくしゃっと顔を歪めて泣きそうな表情になる。「本当は私だって……でも、ごめんなさい、私には身分不相応なんです。そこまで踏み込める勇気はないです。本当にごめんなさい」 綺麗ごとを並
last updateLast Updated : 2026-07-19
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65話 逃げようとしてるんです

 日も入らない建物の裏のベンチでケイティは泣いていた。私はそっと近づいてハンカチを差し出す。びくりと身体を跳ねさせて、真っ赤になった目で私を見上げてくる。「隣、いいかしら?」 返答は期待してなかったので、そっとケイティの隣に腰を降ろす。受け取ってもらえなかったハンカチでそっとケイティの目から涙を拭う。「なんで……ミシェル様が……?」「私の力魅せてあげるって言ったでしょ。今、貴女の傍にいなきゃいけないのがわかったから、私は居るの」 彼女の背中にそっと手を置いてゆくっりと撫でた。「ひっく……ミシェル様、わたし……」「わかってるから大丈夫よ。フィリップ殿下のこと、辛かったわね」「わたし、ずっと自分に言い聞かせてたのにっ!」 ケイティが倒れ込むように抱き着いてきたので、背中を優しく撫でながら相槌を打つ。「そうね、立場が難しいものね」「そうですよ! それにフィリップ殿下は誰にでも優しいじゃないですか、わたしじゃなくても綺麗なご令嬢たちがたくさんいますし、わたしは魔法の力しか、持って、ないっ」 落ち着くまで背中を撫でながらケイティの言葉を聞く。ぼろぼろ出てくる言葉と涙は、留まることを知らない。「だから、わたしじゃダメなんです。だから、私は距離を置くことしか考えつかなくて、だから、私はこの国を出てこうと思うんです」 もしかしたらケイティは隣国が攻めてくる前に旅に出る準備をしていたのかもしれない。それでも、フィリップ殿下とともに魔法で戦ったのよね。「そう、ケイティはもう旅に出ると決めているのね」「もう、ダメなんです。わたしの中で思ったこともない感情が溢れ出て、苦しくて……わたしは逃げようとしてるんです」「いいじゃない、全て試してダメだったら、何もかも放ってしまっても」 逃げるという選択肢は存在する。私も解決ができないなら逃げ出す選択肢を選ぶつもりだ。だから、ケイティが逃げても私は彼女が生きるために選んだ道だとしか思わない。
last updateLast Updated : 2026-07-20
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66話 貴方は大魔導士になる女よ

「できれば私も一緒に行きたいわね」 打算的な考えだった。ケイティはゲームの中でも生き残り、この国の歴史を語ってくれるキャラクターだ。そうであれば彼女とともに行けば私も助かる道が増えるのではないか。と、ただの打算的な答えが口をついただけだ。 でも、その一言はケイティの言葉を止めた。「……ミシェル様、説得力ないです」 ケイティは体を離して、くしゃっとした笑顔を浮かべる。涙の後で汚れた頬、真っ赤になった眼、乱れた髪という悲惨な状態なのに、その笑顔だけは儚く消え入りそうで、美しかった。「あら、私は本気よ?」 動揺しながらも、私は冗談ではないと主張する。「ミシェル様は諦める前に、どうにかしようとするじゃないですか。アウレリア様やライオネル殿下のことだって……」 私の言葉はケイティには届かなかった。諦めたらそこで何もかも終わってしまうという気持ちが心の隅をかすめた。前世から残っているしこり、縛りだったかもしれない。「だって、諦めても何も変わらなかった……もの」 諦めても苦しさはそこにあったから、死に物狂いで逃げたんだ。逃げるのは悪くなんかない。 ケイティは目を拭っていつものように目をきらめかせた。「わたし、ミシェル様を見習いますね……!」 諦め悪くフィリップ殿下にぶつかっていくのだろうか。たぶん、ケイティの性格上そっちの方がハッピーエンドに向かえる気がするわね。だって、そんな性格だもの。「私、ケイティはぶつかりに行ってる方が安心するわ」「へへ……でも、まだちょっと不安で……ミシェル様に占ってほしいな。って」 ケイティに占いをしてほしいといわれて、心の距離が近づいたようで少し嬉しくなった。「ええ、いいわ。身分なんて関係ない。フィリップ殿下の心を掴んだ貴方なら、二人で乗り越えればいいのよ。なんたって貴方は大魔導士になる女よ」 彼女自身にはっきりと告げた。大魔導士になってこの国を守ってほしいという気持
last updateLast Updated : 2026-07-20
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67話 メイド服でお手伝い

 ケイティと仲良くなる代償として、私は今メイドの格好をして王宮に来ている。 ケイティとは、生徒会に入って改めてフィリップ殿下と接する方向で話がまとまった。彼女と仲良くなれたことは良かった。翌日、ライオネル殿下に恨み言を言われたとしても、私にとってはプラスだった。 ライオネル殿下の恨み言に、王宮で手伝いをするということで話をつけて、今に至る。「では、お手伝いをさせていただきますね、ライオネル殿下」 目の前で書類に埋もれているライオネル殿下に挨拶をするも、怪訝そうな表情を返された。不満なのは、置いていった償いで貴方の手伝いをしなきゃいけない私なんですが?「書類整理を頼む前に、なぜお前はメイド服を着ている?」 どうやら服装がお気に召さなかったようだ。しかし、何も考えなしで王宮のメイドの服を借りたわけじゃない。「ああ、これですか? 侵入しやすい恰好をしてこいと言ったのは殿下ではありませんか」「お前を手伝いで呼んだのは、俺が倒れたという場所の確認をしてもらおうと思っただけだ」「なおさら最適じゃないですか。この格好であれば怪しまれずに王宮を闊歩できます」 言葉に詰まったライオネル殿下に追い打ちをかける。「それに、メイドとは何かを目撃しやすい服装――立ち位置なんですよ。私の前世では!」 メイドといえば家政婦。家政婦といえば有名な話があったのだから、きっと役に立つはずだ。だから、さっさと場所の確認をさせてほしい。「……お前、吹っ切れたな」 反論がまた飛んで来るかと思えば、ライオネル殿下は目元を緩めて苦笑し、私の現状を言葉にしただけだった。目を瞬いて、一瞬言葉を失ったけれど、私は腕を組んですぐにいつもの調子で答えた。「使えるものは使ってみようと思いまして。なんですか、普通のご令嬢が良いというのであればジュリアナ様を選べばよろしいのでは?」「泥船に乗る気はないし、お前だから信用してここまで入れているんだ」 皮肉に対しても軽く流された。赤い瞳はじっとこちらを見ていて、嘘でもおべっかでもなさそうだ。そこまで信じてもらえると、少しむずがゆい。しっかりと前世の
last updateLast Updated : 2026-07-20
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68話 実践

 ある程度、部屋を回りやはりライオネル殿下が倒れていたのはフィリップ殿下の寝室だという結論に達した。 私たちは、フィリップ殿下の寝室で詳細に検分をすることにした。「絵に記されていたのはこのテーブルです。窓際からの視点で、この角度でライオネル殿下は倒れていました」「そうだな、この席には基本俺が座ってるな。しかし、兄上が毒を入れるとは思えない」「その後戦死していることを考えると、フィリップ殿下には何のメリットもありませんしね」 王位継承権については二人で話がついているし、兄弟仲も悪くない。要するに、フリィップ殿下にライオネル殿下を毒殺する動機がない。「外部の人間でしょうか……」「そうだな。飲み物は厨房からメイドが運んできている。毒を入れるならこの部屋に来る前がチャンスだろう。ただ、毒見は厨房とこの部屋に運ばれてきてから二回、行われている。遅効性の毒は厨房の毒見で判明するだろう」「チャンスは厨房から運ぶ時ということですね。ですが、メイドが毒見をするのであればそのメイドが入れる可能性は低いですよね?」「ああ。城内を自由に行き来できる人間を徹底的に洗い出した方がいいだろう」 そこは私にはどうすることもできない分野だ。ライオネル殿下に頑張ってもらおう。今のところわかりそうなことはなさそうだけど……視点を変えれば何かわかるかな? 例えばそう、死んでたライオネル殿下の視点とか。 ええと、たしかこっちのアングルから倒れてるから、位置はこの椅子のところ。ここから倒れてみて……。「おまえっ――!」「――っ!?」 転ぶ真似をしようとして、力強い腕が私を受け止めた。いや、何してんの!? 瞠目しながら支えた本人、ライオネル殿下を見る。思ったより近くて体が固まった。「何やってんだ、お前……」「ちがっ、私は倒れてたライオネル殿下の視点を視たくてですね!」「だからってそのまま倒れようとするヤツがあるか……!」「倒れ方も実践してみたか
last updateLast Updated : 2026-07-21
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69話 いちゃつくなら

声の方を見れば、フリィップ殿下が入口で困った顔をしながら私たちを見ていた。「いちゃつくなら自分の部屋でしてほしいんだけどな」「違う!」「違います!!」 予想もしなかった言葉に私とライオネル殿下の声が重なった。 フィリップ殿下の登場で落ち着けた私は体制を整えてライオネル殿下から一歩引いた場所に立つ。今私メイドだった。フィリップ殿下に意見しちゃだめでしょ。「それで、レオとシルヴァレーン嬢はどうして私の部屋にいるんだい?」 あれ? なんで私だってバレてるの? ちゃんとメイドさんに変装してるのにっ!「それは……」 ライオネル殿下がどう言おうか悩んでいるが、腕の裾を引っ張って小声で問いかけた。「あの、なんで私バレたんでしょうか?」「は? いや、城内の人間もわかってただろ……」「え? 城内普通でしたが……?」「遠巻きにされてただろ」「え、あれってライオネル殿下を遠巻きにしてたんじゃないんですか!?」「俺とお前が一緒にいたからだっ」 思わず大声が出て口を塞ぐ。ライオネル殿下も負けじと声を張ってくるから、抑えても遅いかもしれない。 え、私バレてたの……? メイド姿でライオネル殿下に引っ付いてたって、バレてたの恥ずかしすぎない!?「はは、弟と仲が良さそうで安心したよ」「仲良くはない」「仲良くないです」「うーん……」 フィリップ殿下の言葉にまた私とライオネル殿下の言葉が重なる。フィリップ殿下は頬を掻いて苦笑いを浮かべた。 ライオネル殿下は咳払いをして、真剣に話を戻す。「これは公にはしたくないのですが、ミシェルが占いで俺が毒殺される未来を予見しました」 すべて占いで予見したことにするわけね。私の記憶については伏せる形かしら。「占いで? どこまで詳しくわかったんだ?」「俺が兄上の寝室。この椅子から倒れて死んでいるというだけの情報
last updateLast Updated : 2026-07-21
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