「社長!!」 「どうした?」 ノックもせずに、社長室に入ってきた芹沢に俺が尋ねた。 「桜井様が、救急車で病院へ運ばれたと連絡が……」 「どこの病院だ?すぐに車をまわせ」 「承知しました」 ここが会社であるが故、俺は平常を装ってはみたものの、内心は知英の事が心配で仕方なかった。数時間前は笑顔だった知英が、どうして、病院に運ばれたんだ?一体、知英の身に何が起こったのだろう。俺は今日の予定を全てキャンセルして、知英の元へ急いだ。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「芹沢、知英の容態は?」 「施設の職員の話によると、怪我をされたらしく、まだ意識がないと……」 「どうしてこんなことに」 知英に、もしもの事があったら、施設へ行くことを許した自分を俺は一生許せない。俺は知英の無事を祈った。 車を走らせること数十分。やっと、知英の運ばれた病院に到着した。俺はすぐに車から降り、知英の元へ走った。 「先程、運ばれてきた桜井知英はどこにいますか?」 「少々お待ちください」 俺は受付で知英の事を尋ねた。この数分の時間でさえ長く感じる。一刻も早く、知英の無事をこの目で確かめたい俺は気が焦るばかりだった。 「お待たせいたしました。桜井様は、5階の402号室にいらっしゃいます」 「ありがとう」 俺は礼を言うと、エレベーターで5階へ向かった。病室に居るということは、処置は終わったのだろう。だが、油断は出来ない。意識を失う程の怪我だ。とにかく、今は、一分一秒でも早く知英の顔が見たい。 エレベーターを降りると、402号室は目の前にあった。俺は静かに知英のベッドまで向かった。 「知英ちゃん」 「翼さん」 知英のベッドの横には、パイプ椅子に座った施設の職員が居た。 「あなたが連絡してくださったんですね。ありがとうございました」 「とんでもないです。桜井さんは、私を庇って怪我をしてしまって。本当に申し訳ございませんでした」 知英が職員を庇って怪我をした?一体どういう事だろうか? 「知英ちゃん、意識がなかったって聞いたけど……」 「痛みに耐えてたら、そのまま気を失ってしまって。気づいたら病院に居たの。でも、安静にしてれば良くなるって先生が言ってたわ」 「それは良かった」 俺は安堵の
Última actualización : 2026-09-16 Leer más