Todos los capítulos de 婚約破棄されたら、イケメン御曹司に拾われました: Capítulo 61 - Capítulo 70

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目には目を歯には歯を

翌日、俺は社長室で、近藤から送られてきた防犯カメラ映像を再生した。さすが近藤だ。仕事が早い。さて、犯人の顔を拝むとしようか。知英の話によると、デザイン画は鞄の中にクリアファイルに挟んで入れたと言っていた。出社してからデザイン画の紛失に気づくまで、一度もクリアファイルに触れていないとも話していた。しかし、知英のデスクは防犯カメラの死角にあった。そのため、知英の鞄からデザイン画を抜き取った証拠の映像は何処にも残っていなかった。俺が次の手を考えていると、社長室の扉がノックされた。コンコンコン「入れ」「失礼します」「芹沢、どうした?」「社長、小林が逃げました」「そうか」面白いほど、予想通りの行動をとる小林に、俺は笑いが込み上げた。それと同時に、逃げるということはやましい事がある証拠だ。トゥルルルルルルル……すると、絶妙なタイミングで近藤から電話がかかってきた。俺は通話ボタンを押した。「もしもし」「もしもし、桐生か?小林が逃げた」「らしいな」「おい、情報が早すぎだろ」「俺の部下は優秀なので」「まぁ、いい。小林は俺が捕まえる」「宛があるのか?」「ああ。愛人の家だよ。もう何年も続いてるから、部署内では暗黙の了解となってるらしい」話を聞くだけでも、小林という男がどれだけクズなのかが分かった。美味しい蜜だけを吸い、都合が悪くなったら逃げる。上手く逃げたつもりかもしれないが、近藤はこういう卑怯な人間が大嫌いなのだ。「桐生、二時間後にお前のホテルでいいか?」「ああ。俺は構わない。いつもの最上階の部屋を用意しておく。そこに小林を連れてこい」近藤と話を終えた俺は通話を切った。「芹沢、ホテルに向かう。いつもの部屋を予約してくれ」「承知しました」芹沢に指示を出した俺は、再び、防犯カメラ映像をみた。どこかに犯人の手掛かりがあるはずだ。俺はもう一度、映像を巻き戻した。些細なことでも見逃すな。知英の名誉を守るのだ。「みつけた」「社長?」「犯人が分かった」俺は深呼吸をし、湧き上がる怒りをなんとか鎮めた。今は我慢だ。犯人には、最高の舞台で、知英の手により破滅させる。まずは、雑魚を片付けるとするか。「芹沢、行くぞ」「はい」目には目を歯には歯を。知英を傷つけた者へ制裁を。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ホテルの部屋に着いた俺は
last updateÚltima actualización : 2026-08-24
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犯人は……?

「話します。全部。だから警察だけは……お願いします」 小林は泣きじゃくりながら、俺に懇願した。 「誰に頼まれた?」 「……安東岬です」 やはり、俺の予想は的中した。しかし、知英にとっては最悪な結果に違いない。慕っていた先輩にデザイン画を盗まれたと知った時、知英の心は壊れてしまわないだろうか。 「安東は言ってました。桜井知英さえ居なければ、自分のデザインが注目されるのに、と」 そんな理由で、知英の作品を盗み、壊したのか?自分が実力不足なことを棚に上げ、知英を逆恨みし、彼女を傷つけた。絶対に許さない。 「僕と安東は、3年前から男女の関係がありました。それもあり、彼女は僕に防犯カメラの映像の改ざんを依頼してきました」 「防犯カメラ映像では、桜井知英のデスクが死角になっていたんだが……」 「少々お待ちください。どなたかパソコンを貸していただけませんか?」 「芹沢。貸してやれ」 「承知しました」 芹沢は俺の指示に従い、小林にパソコンを渡した。それを受け取った小林は、早速、作業を始めた。 ─────数十分後 「出来ました」 「これは?」 「元の映像データです」 俺は木村からパソコンを受け取ると、再生ボタンを押した。俺は、映像が改ざんされていた問題の場所まで早送りした。すると、知英が席に立った隙に、彼女のバッグからデザイン画を抜き取り、そのまま、それをシュレッダーにかける安東の姿がハッキリと映っていた。 「近藤、このことはまだ公表しないでくれ」 「分かった。桐生に任せるよ」 「ありがとう」 俺は怒りを鎮めるために、もう一本煙草に火をつけた。しかし、一向に怒りが収まる気配は無かった。 「桐生社長、私は今から警察に行きます」 「そうか」 「なんて馬鹿なことをしたのか。3年間も家族を裏切り、会社を裏切り、女にそそのかされ、桜井さんの未来まで奪ってしまった」 俺は煙草の火を消し、小林の胸ぐらを掴んだ。 「言っとくけどな、桜井知英の未来は奪われてない。必ず、取り戻す。芹沢、連れて行け」 「はい」 小林は芹沢に連れられ、ホテルの部屋を出て行った。小林のこれからの居場所は刑務所だ。 「桐生、悪かった。今回のことは、社長である俺の責任でもある。本当にすまない」 「悪いと思うなら、俺に協力しろ」 「それはもちろん」 「小林は刑務
last updateÚltima actualización : 2026-08-24
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残酷な真実

「ただいま」 私は桐生の帰宅の速さに驚いた。スマートフォンの時刻を確認すると20時前だった。今朝、近藤社長と飲んでくると話していたが、予定が合わなくなったのだろうか。ひとまず、私は急いで玄関に向かい、桐生を出迎えた。 「おかえりなさい」 すると、桐生が四角い箱を手渡した。 「甘いもの一緒に食べよう?」 「でも翼さん、甘いもの苦手なんじゃ……」 「たまに食べたくなるんだよ。知英ちゃんは好き?」 「大好き。ありがとう」 私は桐生から受け取ったケーキショップの箱を、そっとリビングまで運んだ。 「翼さん、夕飯食べた?もし、まだなら簡単なもので良かったら作るけど……って、翼さん。どうしたの?」 リビングに来るなり、桐生は私を後ろから抱き締めた。甘いものが食べたいと言ったり、今日の桐生はいつもと違った。私は桐生の両手に自分の手を重ねた。 「俺は何があっても、知英ちゃんの味方だから」 「うん。私は翼さんを信じてる」 私は察した。きっと、私に良くないことを桐生は話そうとしている。近藤との飲み会を切り上げて帰ってきたこととも関係しているかもしれない。私は動揺を悟られまいと、二人分のコーヒーを淹れた。 「ケーキを食べながら話を聞くわ」 「分かった」 「翼さんは先に座ってて」 「うん」 私はリビングに向かう桐生の後ろ姿を眺めた。桐生の背中には、一体どれ程の責任と重圧がのしかかっているのだろうか。桐生の負担を少しでも軽くしたいと思うのに、私はいつも彼に助けられてばかりだ。 私は、トレイにケーキとコーヒーを乗せ、桐生の元へ運んだ。桐生はスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩め、パソコンの画面を立ち上げていた。 「お待たせ。翼さん」 「知英ちゃん、ありがとう」 桐生はチーズケーキを一口食べ、ブラックコーヒーを飲んだ。その間も、桐生の視線はパソコンの画面に集中していた。しばらくして、桐生は作業の手を止めて、私と向き合った。 「知英ちゃん、デザイン画を盗んだ犯人が分かった」 桐生の一言は予想はしていたが、実際に聞くと犯人に対する怒りが込み上げてきた。 「それで……誰なの?」 私は必死に怒りを鎮めながら、一語一句、絞り出すように桐生に尋ねた。しかし、桐生は犯人の名前を口に出すことを躊躇った。
last updateÚltima actualización : 2026-08-25
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背中に爪を立てて

「翼さん、食べにくくない?」 「全然」 「ならいいけど」 「知英ちゃんは、ここは嫌だ?」 「ううん、そういう訳では……」 あろう事か、私は桐生の膝の上に居た。桐生が私を離そうとしないのだ。私も先程、パニックを起こして桐生を拒絶してしまった手前、断ることは出来なかった。 「ね、知英ちゃん。知英ちゃんの食べてるショートケーキ一口ちょうだい」 「甘いけど平気?」 「うん」 私はフォークに一口分を乗せ、桐生の口元を見ながら食べさせた。しかし、唇に端に生クリームが付いてしまった。私はその生クリームを舌で舐めた。 「知英ちゃん、君って子は……」 「翼さん、どうしたの?」 「拒絶したと思ったら、無自覚で俺を煽る」 桐生はため息をついた。それと同時に、桐生の膝の上に座っている私に何かが当たった。流石に、それが何か私でも分かった。桐生を楽にしてあげたい。私は桐生から降り、彼のズボンのチャックを下ろした。 「ちょっと、知英ちゃん!」 「いやだった?」 「嫌じゃないけど……そんな事しなくていいから。今日、大変だっただろ?今夜は早めに休もう」 「そうやって、いつも私のことばかり優先して、翼さんは我慢してる」 私は桐生の目を見て言った。私と桐生は恋人だ。お互いに寄り添える関係でいたい。 「でも、知英ちゃん。今夜はしんどいだろ?」 「私、翼さんを感じたいの。独りじゃないって実感したい。だからお願い」 私は上目遣いで桐生に懇願した。あざといと言われようが、ずるいと言われようが、桐生が抱いてくれるのならそれでいい。私は下着の上から桐生のモノに触れた。 「くそっ、知英ちゃん。今日は優しくしたかったんだ」 桐生は私をソファーに組み敷いた。桐生の荒い吐息が耳にかかった。 「翼さんはいつでも優しいよ?ベッドでも」 「いつからそんなこと言えるようになったんだ?」 「私に教えたのは、翼さんでしょ?」 すると、桐生は張り詰めた糸が切れたかのように、私の身体を貪った。桐生の舌が私の全身を這う。舌の感触が気持ちよくて、私は全身をくねらせた。だが、桐生は一番欲しいものをなかなかくれない。早く桐生と一つになりたいのに、彼は私を焦らしてく。私は涙目になりながら、桐生を見つめた。 「そんな目で見るなよ」 「
last updateÚltima actualización : 2026-08-25
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俺の恋人

「ん……」 「知英ちゃん、おはよう」 目を開けると、ベッドサイドに桐生が居た。 「え!?翼さん。いつからそこに?」 「少し前。朝食ができたから、起こしにきたんだけど、寝顔が可愛くてつい見てた」 「ついじゃないよ//」 「着替えたらおいで?」 桐生は私の額にキスをすると、リビングに戻って行った。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 朝食を終えた私と桐生は、ゆっくりとコーヒーを飲んでいた。 「翼さん、今日仕事は?」 「リモートでいいかな?」 「もう!ちゃんと行かないと」 「じゃあ、知英ちゃんも一緒に行こう。俺、知英ちゃんの事が心配で……」 「でも、私が行ったら迷惑にならない?」 「全然。むしろ、仕事が捗る」 「そういうことなら、分かったわ」 安東の件で、桐生に心配をかけていることは事実だ。私は桐生の申し出を受け入れた。 「知英ちゃん、準備できた?」 「出来た」 スーツを身にまとった桐生は、見惚れる程、格好良かった。 「行こうか」 桐生は私の手を握り、颯爽と歩き出した。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「ねぇ、桐生社長。少し近くないですか?」 「たまにはその呼び方もいいね」 「そうじゃなくて……」 「知英ちゃんは、俺の隣で堂々としてて?」 私は桐生コーポレーションの入口を、桐生と寄り添いながら入った。案の定、社員全員の視線を浴びてしまった。 「桐生社長。少し私から離れてください。社員たちが私たちのことを噂しています。桐生社長の業務に支障が出たらいけませんので」 「分かった」 「ありがとうございます」 すると桐生は、私たちの噂をしていた社員の元へ歩いていった。 「そんなに俺たちのことが気になるか?」 「決して、そんなことは……」 「俺が女嫌いだと、誰から聞いたんだ。噂を宛にするな」 「は、はい。申し訳ございません」 「それから、彼女は俺の恋人だ。他に聞きたいことは?」 「……ありません」 「よし、業務に戻れ」 桐生の恋人宣言を聞いた社員たちの視線を感じた私は、思わず俯いた。すると、見覚えのある女性社員が私に駆け寄ってきた。 「桜井さん、今の聞いたわよ!」 「佐藤さん、おはようござい
last updateÚltima actualización : 2026-08-25
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あなたの役に立ちたい

桐生に連れられて、社長室に来た私は、彼に促されソファーに座った。それだけでなく、桐生は私にコーヒーを淹れてくれた。まさに、至れり尽くせりだ。 「翼さん、私に気にせず仕事してね」 「うん」 桐生は返事をしながら、私の隣でコーヒーを飲んでいる。私にべったりな桐生も愛おしい。 コンコンコン 「入れ」 「社長、須田様がお見えです」 「分かった。すぐ行く」 桐生はソファーから立ち上がり、スーツの前ボタンを閉めた。その途端、桐生の表情が変わった。 「須田……」 私はその名前を呟いた。この業界に精通していて、その苗字と言えば私の知っている人物かもしれない。だとすると、交渉は難航しているはずだ。 「ね、翼さん。須田様って、もしかして、須田文太様のこと?」 「え!?知英ちゃん、知り合い?」 「うん。知り合いというか、前の会社で仕事をした事があって、その時から親のいない私を孫のように可愛がってくれているの」 「あの須田様が?」 「そうよ」 桐生は信じられないという表情を浮かべた。業界で力を持っている須田は、金では動かない変わり者だと知られているため、桐生の反応も頷けた。 「もし良かったら、須田様との交渉を私に任せてくれませんか?」 「うん。知英ちゃんに任せるよ」 「ありがとう」 「芹沢、桜井さんを須田様の所へ案内してくれ」 「承知しました」 「知英ちゃん、これは我社にとって重要なプロジェクトだ。交渉が成立すれば30億の金が動く。頑張って」 「はい。必ず、成功させます」 今度こそ、桐生の役に立てる。私は須田の待つ会議室まで向かった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ コンコンコン 「失礼します」 私は会議室のドアを開けた。そこには、久しぶりに会う須田が居た。 「文ちゃん、こんにちは」 「おお!知英ちゃんか。何故ここに?」 「実は桐生コーポレーションのデザイン部で働くことになったの」 「そうだったのか。立ち話もあれだから、知英ちゃんも座って」 私は須田に促され、彼と向き合うように座った。そして私は早速、本題に入った。 「文ちゃん、また、遊んでるでしょ?」 「わしが?」 「うん。文ちゃんの遊びについてこれる人は私くらいよ?」 「確か
last updateÚltima actualización : 2026-08-25
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彼に寄り添う覚悟

須田との交渉を終えた私は、社長室に戻った。もうすぐ昼休憩になろうとしているにもかかわらず、桐生は多忙を極めていた。コンコンコン「はい」「芹沢です。桜井様、入ってもよろしいでしょうか?」「どうぞ」「こちら社長から桜井様にお届けするように仰せつかりました」「ありがとうございます」私は芹沢から、保冷バッグに入ったランチボックスを受け取った。そこにはメモが一枚入っていた。どうやら、桐生が木村に頼んで私のために昼食を用意してくれたようだ。その心遣いが嬉しかった。「桐生社長は、まだ忙しいのですか?」「はい。桜井様が須田様との契約を締結してくださったので、その業務に今日は丸一日かかりそうです」「そうなのですね」「桜井様、大丈夫ですよ。きっと、社長はもうすぐこちらに顔を出すはずです」私は無意識に不安が顔に出ていたようだ。芹沢にも気を遣わせてしまった。「芹沢さん、ありがとうございます」「いえいえ、私は何もしてませんよ」「知英ちゃん!」芹沢と話していると、背後から桐生の声が聞こえた。芹沢の言う通り、桐生は私が待つ社長室へとやってきた。「翼さん、仕事は?芹沢さんから忙しいと聞いたけど……」「少し休憩したら、すぐ戻るよ」「そう。お昼は食べた?」「まだ。食べる時間がなくて」私と話しながら、桐生は芹沢に目配せした。すると、芹沢は静かに社長室を退出した。 「私は平気だから、翼さんこそ少しでも休んで?」「うん、だからここに来た」桐生は私を強く抱き締めた。今日の桐生は、香水の香りに混じって、微かに煙草の匂いがした。「翼さん、どうしたの?」「知英ちゃん、君って人は、すごいことをやり遂げたのに、いつもと変わらず俺の心配ばかりするんだな」「当たり前でしょ?私は、翼さんの役に立ちたかっただけだから。翼さんだって、いつも私の事ばかり考えてくれるでしょ。私たちは、似た者同士ね」私は桐生に笑いかけた。すると、桐生は私の事を無言で見つめた。いつもと様子が違う桐生に、私は戸惑った。私は不安な面持ちで、桐生の顔を覗き込んだ。「翼さん……?」「知英ちゃん、俺の前ではもっとわがままになって」「どうして?」「知英ちゃんはいい子すぎるから」そう言った桐生は、いつもの優しい眼差しを私に向けた。「知英ちゃん、仕事に戻るね」「うん。応援してる」「ありがとう。今
last updateÚltima actualización : 2026-08-27
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嫉妬束縛

「知英ちゃん、俺に優しくしたらだめだよ」すると、桐生は私を社長室のドアに追い詰めた。桐生の吐息が私の耳にかかった。「翼さん、だめ……/」「俺の事、受け止めてくれるんだろ?」桐生の手が私の服の中に入ってきた。ここではだめだと頭では分かっていても、私は桐生を拒めない。「知英ちゃん、もっと嫌がって」そんな事を言われても、桐生に触れられて嫌なわけがない。それなのに、目の前の桐生は苦しそうな表情を浮かべた。「翼さん……」私は桐生を見つめた。桐生の瞳が揺れた。すると、桐生は俯きながら私から離れた。「ほんとに俺、だめだな……」桐生はその場に座り込んだ。私もしゃがんで、桐生の目線に合わせ、彼が話し出すまで静かに待った。「分かってるんだ。知英ちゃんが俺の事を想ってくれてるのも、俺のために頑張ってくれたことも。なのに、俺は、知英ちゃんが俺以外の男と仲良く話してるのを見るだけで、堪らなく苦しくなる。いつか、知英ちゃんが俺の前から去る日が来るんじゃないかって怖くなる」私は桐生を優しく抱き締めた。いつも、完璧で格好いい桐生が、今は、私の胸にすっぽり収まるくらい小さくなっている。「私はどこにも行かない。だって、私に居場所をくれたのは翼さんだから。私の好きな人は今もこの先もずっと翼さんだけ。他の人には興味ないわ」「知英ちゃん……」「だから、そんな悲しそうな顔しないで?」私は桐生に微笑みかけた。そして、桐生に手を差し伸べると、彼はゆっくりと立ち上がった。「翼さん、そろそろ戻る?」「ああ」「私に出来ること何かない?」「もう一度、抱き締めてもいい?」「うん」桐生は私を抱き締めた。私は桐生の胸に顔を埋めた。すると、桐生が私の髪を優しく撫でた。「知英ちゃん、愛してる」「翼さん、今は照れるから//」「でも今伝えたくて」「ほら、そろそろ仕事戻るんでしょ?」「うん、だけどここに居たいな」すっかり、いつもの調子に戻った桐生が私を抱きかかえ、社長室の椅子に座らせた。「ここは翼さんの場所だから。私が座ったらだめよ」「知英ちゃんは特別だから」そう言うと、桐生は私の唇にそっとキスをした。「翼さん///」「大丈夫。誰も見てないよ」「そういうことじゃなくて//」「ねぇ、やっぱり俺の仕事が終わるまでここで待っててくれる?」「うん、待ってる」「ありがとう
last updateÚltima actualización : 2026-08-29
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突然の訪問者

桐生の言うとおり、コーヒーはすぐに届いた。私の好きな甘めのカフェラテだった。桐生が頼んでくれたのだろう。私は毎日、桐生が座っている椅子に座り、カフェラテを一口飲んだ。そして、部屋中を見回した。桐生がいつも見ている世界を私は見た。だからと言って、桐生のために私ができることはない。ここに座って、ただ、コーヒーを飲むことしか出来ない自分が無力に思えて仕方なかった。その時だった。ガチャ突然、社長室のドアが開き、私は思わず立ち上がった。私は後ずさり、声を潜めた。「誰だ?」目の前の男性が私を睨みながら言った。高級感漂うスーツを身にまとい、腕時計も一級品だ。男性に尋ねられた私は返答に戸惑った。「どうして、ここに居る?」「それは……」相手が誰か分からない以上、私と桐生の関係を公にする訳にはいかない。すると、男性が私に近づき、腕を掴んだ。「部外者は出ていけ」「痛いっ、離してください」「分かった。出ていかないなら警備員を呼ぶ」どうしよう。このままだと本当に連れていかれてしまう。桐生に知らせたいのに、スマートフォンは鞄の中だ。身動きがとれない今、桐生への連絡手段がない。誰か助けて。私は心の中で叫んだ。次の瞬間、待ち望んだ人の声が聞こえた。「彼女を離してください」「翼、縁談を断ったと思ったら何処の馬の骨かも分からない女と居るのか。遊びなら今すぐやめろ」二人の会話から私は男性が、桐生の父親だと察した。桐生は父親との折り合いがよくない。私のせいで桐生に辛い思いはさせたくない。「いくら欲しいんだ?どうせ、お前も翼の顔と金目当てだろ?」桐生の父親からの言葉は、私を傷つけるには十分だった。私は悔しさのあまり、両手を握りしめた。「お金はいりません。それから、桐生さんは格好いいけど、それだけじゃない。彼のことをちゃんと見た事がありますか?」「知英ちゃん、俺なら大丈夫だから」「私が大丈夫じゃないので」私は桐生の父親を見た。相変わらず、私を見る目が冷たかった。すると、桐生が私を静止し、一歩前に出た。「父さん、俺は桜井さんの事を本気で愛しています。だから、彼女のことをこれ以上、侮辱したらどうなるか。父さんなら分かりますよね?」「お前!父親を脅すのか?」「家族にも容赦ないのは父さんもですよね?むしろ、俺はその残酷さを父さんに教わった」「くそっ、勝手にしろ」
last updateÚltima actualización : 2026-09-01
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分かっていても

コンコンコン 「はい」 「芹沢です」 桐生はノックをした相手が芹沢だと分かると、自ら社長室のドアを開けた。 「お待たせしました。保冷剤です」 「芹沢さん、ありがとうございます」 「お気になさらず。桜井様は桐生社長にとって大切な方ですので」 芹沢は私と桐生の顔を交互に見比べた。私は芹沢に動揺を悟られまいと、できるだけ平然を装った。 「知英ちゃん、それ貸して。俺がやる」 「ありがとう」 私は保冷剤を桐生に手渡した。 「芹沢、今日はもう帰っていいぞ」 「承知しました。社長、お疲れ様でした。桜井様もお大事になさってください」 「芹沢さん、ありがとうございます」 芹沢は私に微笑みかけた。いつも仏頂面の芹沢の笑顔を初めて見た私は、驚きを隠せなかった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「どう?冷たい?」 「うん。とっても」 桐生は私をソファーに座らせ、赤くなった腕を丁寧に冷やした。桐生のお陰で、痛みはほぼなく、赤みもひいてきた。 「翼さん、もう平気。痛くないわ」 「ほんとに?」 「ええ。赤くもないし」 すると、桐生は私の腕を冷やしていた保冷剤を机に置き、腕をそっと撫でた。今まで冷やしていたせいで、余計に桐生の体温を感じてしまう。 「よし、腫れてないな」 「だから大丈夫って言ったでしょ?」 「うん、だけど心配だったから」 心配性で、過保護な桐生が愛おしい。普段は、誰も寄せ付けないオーラを放っているにも関わらず、今の桐生の無防備な姿はギャップでしかなかった。 「さっきの話だけれど、お父様が言ってたことは間違ってないわ。その、私が何処の馬の骨かも分からないって……私、言われ慣れてるから。だから、翼さんはこれ以上、お父様と揉めないで」 「知英ちゃん、慣れたらだめだ。あいつは知英ちゃんに対して、最低なことを言った。だから、知英ちゃんは怒っていいんだ。我慢する必要なんてない」 桐生は私と向き合い、私の目を見て訴えた。 「だけど、私は親の顔を知らない。自分がどこで産まれたかも分からない。孤児なのよ。そんな私が翼さんの隣に居たらいけないの。私だってそんなこと言われなくても分かってる」 「知英ちゃん、俺を見て?」 「いや……今は顔を見られたくない」 私は話しながら、涙が次から次へと流れた。ただ、愛する人のそばに居た
last updateÚltima actualización : 2026-09-01
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