翌日、俺は社長室で、近藤から送られてきた防犯カメラ映像を再生した。さすが近藤だ。仕事が早い。さて、犯人の顔を拝むとしようか。知英の話によると、デザイン画は鞄の中にクリアファイルに挟んで入れたと言っていた。出社してからデザイン画の紛失に気づくまで、一度もクリアファイルに触れていないとも話していた。しかし、知英のデスクは防犯カメラの死角にあった。そのため、知英の鞄からデザイン画を抜き取った証拠の映像は何処にも残っていなかった。俺が次の手を考えていると、社長室の扉がノックされた。コンコンコン「入れ」「失礼します」「芹沢、どうした?」「社長、小林が逃げました」「そうか」面白いほど、予想通りの行動をとる小林に、俺は笑いが込み上げた。それと同時に、逃げるということはやましい事がある証拠だ。トゥルルルルルルル……すると、絶妙なタイミングで近藤から電話がかかってきた。俺は通話ボタンを押した。「もしもし」「もしもし、桐生か?小林が逃げた」「らしいな」「おい、情報が早すぎだろ」「俺の部下は優秀なので」「まぁ、いい。小林は俺が捕まえる」「宛があるのか?」「ああ。愛人の家だよ。もう何年も続いてるから、部署内では暗黙の了解となってるらしい」話を聞くだけでも、小林という男がどれだけクズなのかが分かった。美味しい蜜だけを吸い、都合が悪くなったら逃げる。上手く逃げたつもりかもしれないが、近藤はこういう卑怯な人間が大嫌いなのだ。「桐生、二時間後にお前のホテルでいいか?」「ああ。俺は構わない。いつもの最上階の部屋を用意しておく。そこに小林を連れてこい」近藤と話を終えた俺は通話を切った。「芹沢、ホテルに向かう。いつもの部屋を予約してくれ」「承知しました」芹沢に指示を出した俺は、再び、防犯カメラ映像をみた。どこかに犯人の手掛かりがあるはずだ。俺はもう一度、映像を巻き戻した。些細なことでも見逃すな。知英の名誉を守るのだ。「みつけた」「社長?」「犯人が分かった」俺は深呼吸をし、湧き上がる怒りをなんとか鎮めた。今は我慢だ。犯人には、最高の舞台で、知英の手により破滅させる。まずは、雑魚を片付けるとするか。「芹沢、行くぞ」「はい」目には目を歯には歯を。知英を傷つけた者へ制裁を。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ホテルの部屋に着いた俺は
Última actualización : 2026-08-24 Leer más