Todos los capítulos de 婚約破棄されたら、イケメン御曹司に拾われました: Capítulo 51 - Capítulo 60

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私の人生は私が決める

ワインが運ばれてくると、桐生は私のグラスに注いだ。 「翼さんは飲まないの?」 「うん。先日、飲みすぎたからね」 「あのこと、気にしてたの?」 「知英ちゃんに迷惑かけてしまったし。これまで一度も、酒で失敗したことなかったのに。それに、知英ちゃんを家に送り届けるまでがデートだからね」 「でも、私だけ飲んでしまって申し訳ないわ」 「それなら心配しないで」 すると、もう一本ワインがテーブルに運ばれてきた。そのラベルに私は見覚えがあった。 「あ!このワイン、八神さんのお店で頂いたわ。ノンアルコールワインなのに、とっても美味しかった」 「八神さん、気が利くね」 「あの時は私、怖くて震えてて。八神さんがこのワインをくださったの。そのお陰で、気分が少し落ち着いた」 桐生は私の右手に自分の手を添えた。 「あの時は本当にごめん。知英ちゃんを怖い目に遭わせてしまった。もう二度と、あんな思いはさせないから。必ず、俺が知英ちゃんを守るよ」 「ありがとう。だけど、翼さんは悪くない。それに、翼さんは私のためにあの人たちに復讐してくれた。それで十分よ。だから辛そうな顔しないで?」 私は桐生に微笑んだ。桐生は私のためなら、自分の命すらいとわない。傷つくことも恐れずに、相手をとことん追い詰める。私は桐生の狂気に満ちた姿も好きだ。むしろ、桐生の本質に触れた気がして嬉しくなる。桐生は底なし沼だ。彼に捕まったら最後、這い上がることはできない。 「知英ちゃんは、俺と居て幸せ?」 「幸せよ」 だからこそ怖くなる。もう二度と大切な人を失いたくない。桐生と私とでは、身分が不釣り合いなことは分かっている。私のせいで、桐生に迷惑をかけてしまうかもしれない。だけど、私は誰の言葉でもなく、桐生の言葉を信じると決めた。私のためならば、残酷になれる桐生を手放せるわけがない。 「俺も幸せ。あの日、知英ちゃんと出会えてよかった」 私はずっと疑問に思っていたことを桐生に尋ねた。 「どうして、あの日、私に恋人のふりを頼んだの?」 「それは……」 桐生は口ごもった。聞いてはいけないことを聞いてしまったかもしれない。私は慌てた。 「あの……話したくなかったら、話さなくて大丈夫だから」 「ううん、大丈夫。でも、知英ちゃんの気分を害したらと思うと……」 「私なら何を聞いても大丈夫」 私の
last updateÚltima actualización : 2026-08-20
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過保護に愛されて

「ちょっと、待って……翼さん/」 「待たない」 「んん……/////」 家に帰るなり、桐生は私を抱きかかえ、寝室のベッドに押し倒した。桐生が服を脱ぎ捨てると、鍛え上げられた上半身が露わになった。 「今日の知英ちゃんは一段と綺麗だ」 「んっ.....//」 「気づいてた?レストランでみんなが知英ちゃんに釘付けだったこと」 「そんな事ない……あっ/」 「知英ちゃんは俺のなのに」 桐生が私の首筋に吸い付いた。甘い痛みに私は耐えた。 「翼さん、私はあなたのものよ」 「知英ちゃん……」 今夜、桐生はいくつの痕を私に残してくれるだろうか。甘いキスと桐生が与えてくれる快感に溺れながら、今夜も私は彼に愛される。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「翼さん、もしかして、やきもち妬いてたの?」 「だって、知英ちゃんが魅力的過ぎるから」 すると、桐生は私の首筋についた痕にそっと指を這わせた。それだけなのに、痺れるような感覚が身体中に走った。 「それをいうなら、翼さんだっていつも格好よすぎるのよ」 「そうすれば、知英ちゃんが俺だけを見てくれるだろ?」 「そうじゃなくても、翼さんのことは見てる」 「あれ?今日の知英ちゃんは素直だ」 「もう!/」 私は恥ずかしさのあまり、布団を被った。 「知英ちゃん、ごめん。出てきて?」 「いや」 流石に幼稚過ぎるかもしれない。けれど、引っ込みがつかなくなった私は、しばらく、布団で隠れることした。すると、物音が全くしなくなった。桐生の声も聞こえない。私は心配になり、布団からそっと顔を出した。 「おかえり、知英ちゃん」 「翼さん、居た」 「居るよ。ずっと知英ちゃんの傍に」 私は起き上がり、桐生に抱きついた。素肌が触れ合うことにより、いつもより桐生の体温を感じた。やはり、私は桐生の腕の中が一番安心する。 「知英ちゃん、どうしたの?」 「翼さんがどこかに行っちゃったかと思って」 もう一人ぼっちは嫌だ。私は桐生の胸に顔を埋めた。すると、桐生が私を優しく抱き締めた。 「ずっとこうしてたいな」 「翼さん、明日も仕事でしょ?」 「そうだけど」 「私も来週から、職場復帰することになったわ」 「え!?」 桐生は私を抱き締めていた腕を離し、私と向き合った。 「今日、決まったから。話すタイミ
last updateÚltima actualización : 2026-08-20
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職場復帰

職場復帰の当日、私は桐生の車の助手席に居た。「翼さん、送ってくれてありがとう」「行ってらっしゃい。頑張って」「翼さんも」「仕事が終わったら、必ず連絡して」「はい。約束する」「それから、どんなに忙しくても昼食は食べて」「分かってるわ。大丈夫だから」桐生の過保護が止まらない。私は辺りを見回し、誰も居ないことを確認すると、桐生の頬にキスをした。「行ってくるね」「うん、行ってらっしゃい」私は車から降りると、桐生に手を振った。私は桐生に見守られ、久しぶりに職場へと向かった。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄私はエレベーターで、デザイン部のある4階に降り立った。「おはようございます。この度はご迷惑をおかけしました」 「桜井さん、身体はもう平気なの?」私に声を掛けてきたのは、入社以来、お世話になっている安東だった。「はい。もうすっかり。安東先輩にもご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」「こういう時は、お互い様よ。そのためのチームなんだから」安東は、私が入社した時から、親身になって接してくれていた。私が今、こうして働くことができているのは安東のお陰と言っても過言ではない。「本当にありがとうございます」「可愛い後輩ちゃんですもの。面倒くらいみさせてよ。ところで、桜井さんは社内コンペ提出した?」「今日、提出しようと思っています」「そう」「安東先輩は提出されましたか?」「ええ。私は昨日」「安東先輩のデザインは素敵なんだろうな」「そんなことないわよ」安東は謙遜した。そういう安東は、一昨年の社内コンペで最優秀賞を受賞した実力の持ち主だ。私は休養期間に溜まった仕事を片付けるべく、早速、仕事に取り掛かった。「桜井さん、コーヒー飲む?」「安東先輩、コーヒーなら私が淹れます」「ありがとう」「とんでもないです」私は席を立ち、給湯室へ向かった。給湯室には桐生の家にあるようなコーヒーメーカーはない。私は、カップにインスタントコーヒー入れ、湯を注いだ。私も安東もコーヒーに砂糖とミルクを入れる。私はよくかき混ぜたコーヒーをデスクに運んだ。「安東先輩、お待たせしました」「ありがとう」安東にコーヒーを届けた私は、デスクに戻り仕事を再開した。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄時間が経つのも忘れて仕事をしていた私は
last updateÚltima actualización : 2026-08-20
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盗まれたデザイン

昼食を食べ終えた私は、鞄に入れていた社内コンペのデザイン画を探した。だが、クリアファイルに入れたデザイン案は、鞄のどこを探しても見つからなかった。今朝、確かに鞄に入れた。職場に来てから一度も出していない。ということは、デザイン画が失くなる訳ないのだ。 「あれ……?ない……」 私はデスクの引き出しを確認した。もしかしたら、私が無意識のうちに片付けたのかもしれない。だが、引き出しを全部確認してもデザイン画は見つからなかった。 「桜井さん、どうしたの?」 私の異変に気づいた安東が、様子を見に来た。私は安東を近くに呼び寄せ、耳打ちした。 「実は、社内コンペに提出するデザイン画がなくなってしまって。探してもどこにもないんです」 「コンペの締切は今日の15時よ。急いで見つけないと。私も手伝うわ」 「安東先輩、ありがとうございます」 今の時刻は、13時30分。コンペの締切まであと1時間半しかない。私は安東の力も借りて、デザイン画を探した。 「ここにもないわ」 「こちらにもありません」 刻々と締切の時間は近づいていた。私は途方に暮れた。その時、私の頭で一つの可能性が生まれた。それが的中していたら、私は絶望するだろう。私はシュレッダーの前に立った。そして、床に粉々に裁断された紙をぶち撒けた。 私は裁断された紙を、ひとつずつ目を凝らしながら見た。こんなことをする人が、同じデザイン部に居るとは信じたくない。しかし、私の願いは見るも無惨に崩れ去った。紙の端に、私の描いたデザイン画のゴールドのネックレスの一部が見えた。これで確定した。このデザイン部の誰かが、私のデザイン画を盗み、粉々に壊したのだ。私はその場に泣き崩れた。 「誰が……こんな酷いことができるの……?」 「桜井さん……」 「コンペも間に合わない……」 今回の社内コンペは私にとって特別だった。愛する人のために、デザインしたジュエリーだった。私はそれすらも守れなかった。 「私のデザインを返して……悔しいよ……」 安東は何も言わずに、私を優しく抱き締めた。その瞬間、私の中で我慢していた感情が一気に溢れ出した。私はここが会社だということも忘れて、泣き崩れた。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「やめて、とらないで……いやー」 私は飛び起きた。すると、心配そうな表情で私の顔を覗き込んで
last updateÚltima actualización : 2026-08-21
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アマゾナイトの奇跡

病室に二人きりになったのを見計らって、桐生が私に尋ねた。 「知英ちゃん聞いてもいいかな?」 「なに?」 「倒れる程のトラブルって……」 「それは……」 「無理に話さなくてもいいから。体調が落ち着いてからでも」 桐生は私を気遣った。しかし、一刻を争う事態だ。何もしないまま、私の大切なデザインが誰かに奪われるのは耐えられない。私は深呼吸をしてから、事の経緯を話し始めた。 「私の社内コンペのデザイン画が、何者かに盗まれてしまったみたいで」 「え?」 桐生の表情が変わった。私はゆっくりとベッドから起き上がった。 「そのデザイン画が、シュレッダーで粉々にされて……」 もう泣きたくないのに、思い出すと声が震えてしまう。 「誰がそんな酷いことを……」 桐生は拳を握った。桐生の目に怒りが込み上げているのが分かった。 「社内コンペの締切は、今日の15時までなの。間に合わなかった……」 私は自分でいいながら、悔しさに支配されそうになった。犯人を捕まえて、デザイン画を取り戻すことが出来たらどんなにいいか。だけど、手掛かりが何も無かった。 「それにね、今回は翼さんのためにデザインしたの。だから何としても社内コンペに参加したかった。いい結果を出して、翼さんにお返しがしたかったのに、ごめんなさい」 「知英ちゃんは悪くない。知英ちゃんの無念は、必ず俺が晴らすから」 ただでさえ、桐生コーポレーションという大企業のトップとして多忙を極めている桐生なのに、私の事で、彼の手を煩わせてしまうことが申し訳なかった。 「でも、翼さんには迷惑かけれないから」 「迷惑なんて思ってない。知英ちゃんの大切なものは、俺にとっても大切なんだ。だから、それを取り返すのは当たり前だろ?」 「翼さん……」 「それから、この件が片付いたら、知英ちゃんは俺の会社においで?デザイン部で思う存分才能を発揮して欲しい」 私は桐生の言葉に驚いた。桐生コーポレーションと言えば、日本を代表する大企業だ。その会社のデザイン部は、国内のみならず、国外でも活躍しているデザイナーが多く在籍している。私もその一員になるというのか?そんな夢みたいな話があるはずない。 「翼さん、お話は有難いけど私では実力不足よ」 「どうして?知英ちゃんは、自分のデザインに自信がないの?」
last updateÚltima actualización : 2026-08-21
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暴走する嫉妬心

次の日、体調が安定した私は退院することになった。桐生から早朝に会議があるため、迎えには芹沢が向かうと連絡が来た。私は、芹沢が来るまでに朝食を食べ、手早く身支度を済ませた。 コンコンコン 「はーい」 「芹沢です」 「どうぞ」 私の返事を聞いた芹沢は、そっと病室のドアを開けた。 「桜井様、お迎えにあがりました」 「芹沢さん。お忙しい中、申し訳ございません」 「いえ、お気になさらず。荷物お持ちします」 「軽いので大丈夫です」 「いけません。社長からくれぐれも桜井様のことをよろしくと仰せつかっております」 相変わらず、桐生は過保護だ。しかし、私が断ると芹沢の立場が悪くなるかもしれない。私は芹沢に荷物を渡した。 「私、お会計してきますね」 「既に社長がお支払いしております」 「そうなのですか?」 「はい」 「すみません、少し電話を掛けてもいいですか?」 「どうぞ。私はロビーでお待ちしております」 私は通話が可能なブースに移動して、桐生に電話をかけた。 トゥルルルルルルルル…… 「もしもし」 「もしもし、翼さん。今、平気?」 「ああ。大丈夫」 「いつの間に入院費払ったの?」 「今朝。また申し訳ないって思ってる?」 「うん……」 「俺は知英ちゃんが、元気に家に帰ってきてくれる事が一番嬉しいから」 「分かった。ありがとう」 「うん、どういたしまして」 「仕事中に邪魔してごめんなさい」 「知英ちゃんならいつでもかけて?」 「そんなこと言って、今も会議中なんじゃない?」 「さすが。よくわかったね」 「早くお仕事に戻って。私も家に帰るから」 「うん。今日は定時で帰るよ。またあとで」 すると、桐生は電話を切った。声を聞いただけで桐生に会いたくなる。私はいつからこんなにも、桐生のことを好きになったのだろう。 「芹沢さん、お待たせしました」 「では、行きましょう」 「はい」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 車を走らせること、約20分。桐生のマンションに到着した。 「今日はありがとうございました」 「いえ、社長の大切な方は、私にとっても大切な方ですので」 「今の言い方、翼さんにそっくり」 「そうなのですか?」 「
last updateÚltima actualización : 2026-08-21
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反撃開始

車を降りてから、桐生と一言も話さないまま、部屋の前に来た。こんなことは初めてだ。私は桐生の横顔を覗き見た。 「翼さん、どうかした?」 「知英ちゃん、ごめん」 桐生は私からすぐに目を逸らし、部屋の中へと入っていった。私は急いで靴を脱ぎ、桐生の腕を掴んだ。 「言ってくれないと分からない。私、翼さんに何かした?」 「……知英ちゃんは悪くない。俺の問題だから」 「一人で抱え込まないで」 私は桐生を後ろから抱き締めた。 「俺は、あれだけ嫌ってた母親と同じことをしてる。知英ちゃんが俺の元から去っていくことが怖くて、縛り付けてる。芹沢が俺のことを裏切るわけないのに、知英ちゃんと話してる所を見ただけで、頭に血が上って、病み上がりの知英ちゃんにあんなことして……」 「私は嬉しいよ。そこまで私を愛してくれて。それから、翼さんは翼さんよ。他の誰でもないわ」 完璧に見えていた桐生の脆さに初めて触れた。私と同じように、桐生も心に傷を抱えて生きてきたのだ。それなのに、桐生はいつも私の事ばかり考えてくれる。桐生に縛られるのなら、それは私の本望だ。桐生の深く、重い愛を全て受け止める覚悟が私にはある。 「知英ちゃん……」 「安心して。翼さんの愛が重いことはとっくの前に気づいてたわ」 すると、桐生は振り返って私と向き合った。やっと、桐生の顔が見れた。私は桐生に微笑んだ。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 私と桐生は、リビングのソファーに並んで座り、私のデザイン画を取り戻すべく、今後の作戦を話し合った。 「まずは、出来るだけ早めに、知英ちゃんには辞表を提出してほしい。犯人にデザイン画を諦めたと思わせて、油断させるんだ」 「それなら、明日にでも出そうかしら」 「明日!?そんな体調で会社に行くの?」 「お医者様も体調は問題ないって言ってたし。それに上司に辞表を出すだけよ。お世話になった先輩と同僚に挨拶して、すぐ帰ってくるわ」 「それなら、俺が送っていく。頼むから一人では行かないで。まだ犯人も特定できてないし」 「分かった」 桐生にこれ以上、心配はかけられない。それに犯人が誰か特定できていない今、敵がどこに潜んでいるのかも分からない。桐生が傍に居てくれたら心強い。 「そういえば、どの部署にも防犯カメラが設
last updateÚltima actualización : 2026-08-22
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束の間の癒し

私は明日、会社に提出するための辞表を書いていた。まさか、自ら会社を辞める日が来るとは思ってもみなかった。「知英ちゃん、コーヒーどうぞ」「ありがとう」「書けた?」「ええ」会社を辞めることは逃げではない。これは、私の名誉を挽回するために必要なことだ。「知英ちゃん、近藤から連絡が来たよ。今から、防犯カメラの映像を送るって」「そう。私も見るわ」「無理しないで」「大丈夫。これは私が見ないといけないことだから」「分かった。知英ちゃんのタイミングで、再生ボタンを押して」私はマウスに手を置いた。クリックボタンを押したら、犯人と対面する。私は目を閉じ、深呼吸をした。「なにこれ……?」画面には犯人どころか、何も映っていなかった。そんなはずない。毎日、防犯カメラは稼働していた。この日のこの時間だけ、防犯カメラが故障したとは考えにくい。つまり、犯人が意図的に映像をすり替えたことになる。「くそっ」「翼さん、落ち着いて。きっと、他にも手掛かりはあるはず」「知英ちゃん、一つお願いがあるのだけど」「なに?」「防犯カメラの件は、俺に任せてくれないかな?」私は嫌な予感がした。桐生はまた、私のために危険をおかそうとしているのではないだろうか。もう二度と、桐生には傷ついて欲しくない。「知英ちゃん、大丈夫だよ。知英ちゃんとの約束は守るから」「翼さん……」桐生は今日も、私の考えなんてお見通しだったようだ。私は観念した。「絶対に危険なことはしないと約束して」「うん、約束する」「それなら、お願いします」私は桐生に頭を下げた。「知英ちゃん、顔を上げて?必ず、証拠を掴んでくるね」私の恋人は、誰よりも頼りになる私の相棒だ。「よし、今日はここまでにしよう。もうすぐお客さんが来るんだ」ピンポーン……「噂をすれば」桐生はオートロックを解除して、玄関にお客様の出迎えにいった。私も身なりを整え、待つことにした。「こんにちは。翼様、お久しぶりです」私はこの声の主を知っている。私は急いで玄関へ向かった。「木村さん、こんにちは」「知英さん、翼様から倒れたって聞いて飛んできたの」「そんな……申し訳ないです」「いいのよ。翼様がね、知英さんに栄養満点の料理を食べて欲しいからって私を呼んだのよ。知英さん、愛されてるわね」「木村さん、全部聞こえてますよ」私は木村と
last updateÚltima actualización : 2026-08-22
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幸運を願って

「美味しかったです。ご馳走様でした」 「知英さん、食欲があるみたいで安心したわ」 「木村さんと翼さんが、作ってくれた食事が美味しくて。コーヒー淹れてきますね」 私は立ち上がろうとした。すると、隣に座っていた桐生に止められた。 「知英ちゃん、コーヒーは俺が淹れるから。ゆっくり座ってて」 「私なら大丈夫。もう動けるわ」 「知英ちゃん、今日くらい俺に甘えて?」 「そういうことなら……」 「知英さん、ここは翼様のお言葉に甘えましょう」 木村の一声もあり、私はしばらくソファーで寛ぐことにした。リビングに残された私と木村は、あろう事か女子トークを始めた。 「知英ちゃんって、翼様のどこが好きなの?」 「え!?//」 私は、木村のド直球な質問に、耳まで熱くなるのを感じた。しかし、早く答えなければ、桐生がリビングに戻ってきてしまう。 「翼さんは、私自身をみてくれるんです。施設で育ったことをバカにしないし、私の夢を応援してくれる。いつでも、私を信じてくれるんです」 私は木村に話しながら、普段の桐生を思い出した。私を抱き締める腕は力強く、私を握る手は温かい。そんな桐生の事が私は大好きだ。 「木村さん?」 「ごめんなさい……感動してしまって」 「コーヒーお待たせ。って、木村さんどうしたの?」 桐生は目に涙を浮かべている木村に気づき、私に尋ねた。 「二人で話してたら感動したみたいで……」 流石に桐生の好きな所を話していたとは、恥ずかしくて言えなかった。 「へぇー。それで、何の話?」 「それは……」 「うん?俺に言えないこと?」 「そうじゃないけど……」 桐生は木村が傍に居ることもお構い無しに、ソファーに座っている私に近づいた。桐生が私に近づく度、木村の視線を感じた。 「話すから。あの……木村さんとは、翼さんの話をしてたの」 「俺の?」 「うん。翼さんの好きな所は?って/」 私は自分で言ったにも関わらず、恥ずかしくなった。桐生の顔をまともに見られない。 「なんだ、そういうこと」 すると、すっかり涙も止まった木村が桐生に言った。 「翼様、良い人を見つけましたね」 「ああ。俺には勿体ないくらい素敵な人だよ」 「若い二人の邪魔は出来ないわ。私はこれで失礼しますね」 早速、木村は帰り支度を始めた。私は玄関に向かう木村の腕を掴んだ。
last updateÚltima actualización : 2026-08-23
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決別

次の日、俺は会社に辞表を提出する知英を車で送った。本当は、知英を脅かす者がいる場所に一秒たりとも、彼女を居させたくない。しかし、責任感が強い知英は、自分で辞表を提出すると聞かなかった。知英の意思は尊重したい。俺は知英を会社の前で待つことにした。そして俺は知英を待つ間、近藤に電話をかけた。 「もしもし、桐生だけど。例の件はどうなった?」 「防犯カメラの映像をすり替えたのは、システム管理部課長の小林だ。なぜ、そのような事をやったのかは不明だが」 「近藤、そんなに簡単に小林を俺に売っていいのか?自分の会社の社員だろ?」 「姑息な真似をする奴は、俺の会社には不要だ。むしろ、俺の代わりに、お灸を据えてくれて感謝するよ」 「何を言ってるんだ?」 「え?」 俺の声音の変化に、長い付き合いの近藤は気づいたようだった。 「今回は、潰す。正当な方法で」 「ははっ、桐生が正当な方法で?あの、冷酷非道で有名なお前が?」 「約束したんだよ。無茶はしないって」 「女か?」 「ああ。近藤も知ってる。桜井知英だ」 「あー、なるほど。だから、今回の件をこんなに必死に調べてるのか」 「分かったなら、情報を全部俺に教えろ」 「分かった。桜井さんの作品を守ってくれてありがとう」 「お前に礼を言われる筋合はない」 「そうだけど……桜井さんの作品には可能性を感じるんだ」 近藤の見る目があることだけは認めてやろう。だが、知英は俺がもらう。俺は近藤に言った。 「たった今、桜井知英が辞表を提出した。受理しろよ」 「桐生、お前……」 「近藤だって、桜井知英の才能を認めてるんだろ?でも、知英は、窃盗事件に巻き込まれたんだ。自分の魂を込めて作ったデザインを同じ職場の誰かに盗まれた。そんな奴がいる場所で、同じようにデザインを生み出せると思うか?」 「それもそうだな。彼女の才能を無駄にはしたくない」 「だから、俺の会社で桜井知英を引き取る」 「嫌だって言っても、無理なんだろ?」 「ああ」 「分かったよ。辞表は今日中に受理する」 近藤は常識人だ。近藤の決断に俺は感謝した。 「それから、近藤にひとつ頼みがある」 「なんだ?」 「社内コンペの授賞式に、俺と桜井知英を招待してほしい」 「それは構わないが」 「恩に着る。詳しい話は、いつものバーでどうだ?」 「おお、い
last updateÚltima actualización : 2026-08-23
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