蒼真と付き合い始めてから、美月の日常は少しずつ変わった。 仕事へ行き、赤ちゃんの世話をして、母に助けてもらいながら毎日を過ごす。 そこに、蒼真と過ごす時間が加わった。 大きく何かが変わったわけではない。 それでも美月は、以前よりよく笑うようになっていた。 ◇ その日の午後、仕事を終えた美月は、カフェの更衣室でスマートフォンを確認した。 藤崎からメッセージが届いている。『お時間のある時に、一度お電話いただけますか。緊急ではありません』「……何だろう」 離婚後の手続きについては、ほとんど片づいている。 美月は着替えを済ませて店を出ると、駅へ向かう途中で藤崎へ電話した。『お疲れさまです、藤崎です』「朝倉です。メッセージ見ました」『ありがとうございます。今、お話ししても大丈夫ですか?』「はい」 藤崎の声はいつもどおり落ち着いていた。『拓也さん側の代理人から連絡がありまして』 その名前を聞いた瞬間、美月の足が止まった。「……何かあったんですか?」『大きな問題ではありません。今後のお子さんとの交流について、改めて希望を整理したいという連絡です』「ああ……」 美月は少しだけ力を抜いた。 離婚しても、拓也が赤ちゃんの父親であることまでなくなるわけではない。『それと、いくつか確認したい事項があるそうです』「確認?」『現在のお子さんの生活環境についてです。九条さんがお子さんと日常的に接触しているのか、美月さんと同居しているのか、今後再婚などの予定があるのか、といった内容ですね』 美月は眉を寄せた。「……そこまで聞いてきたんですか?」『はい。養育費や今後の面会交流との関係で確認しておきたい、という趣旨です』
آخر تحديث : 2026-09-22 اقرأ المزيد