毒の漂う荒野を抜け、馬群がたどりついたのは、切り立った岩山に囲まれた古い砦だった。 セラは、疲れた瞼を持ち上げて、砦の様子を見た。 セラがジェイドの帰りを待って過ごしていた要塞に比べると、ずいぶんと古く、小規模な造りだ。石造りの壁にはあちこちに裂け目があり、歳月の経過を感じさせる。 ジェイドは砦に到着すると、まっさきに馬を降り、セラをかかえて砦の中へと足を進める。急ぎはしても、揺れないよう気遣う仕草があった。 砦の敷地内には無数の男たちが溢れ返っている。みんな、忙しそうだ。緊迫した面持ちで入れ替わり立ち替わり、動き回っている。要塞でもみんな忙しくしていると思っていたが、ここではさらに緊迫した雰囲気があった。隣国との境界により近いからだろうか。 ジェイドは、セラをしっかりと両腕の中に抱えて、砦の奥へと足を進める。 連れていかれたのは、薄暗い奥まった場所にある小さな部屋だった。室内には最低限の古びた家具と、ぽつんと置かれた小さな固いベッドがあるだけ。 ジェイドによってベッドに静かに横たえられると、かたいベッドのひんやりとした冷たさが、熱に浮かされたセラの身体にじわりと伝わってきた。痛む右肩の熱を和らげてくれるようなその冷ややかさが、今は心地よかった。 すぐに後を追うようにしてレオンが静かに部屋の中へと入ってきた。彼は横たわるセラへ視線を落とすと、低い声で切り出した。 「……右肩にある魔道具を、外す必要がありそうだ」 その言葉に、ジェイドは眉をひそめ、セラの服をゆるめて右肩の傷口を覗き込んだ。 セラも、自分の肩の様子を確かめる。透明な糸のようなものが巻きついた肩は、ひきつれた傷跡だけを白く残して、他は赤みをおびて腫れている。 「…&he
Última actualización : 2026-10-25 Leer más