呪われた能力持ちの令嬢が、身代わりで向かった婚約先は、優しい獣の住まう宮 のすべてのチャプター: チャプター 91 - チャプター 100

120 チャプター

【第91話】耐えられるわけない

「セラ……、本気で言ってる?」  夜のしずけさに包まれた要塞の一室で、ジェイドは自分の耳を疑った。情けないことに、思わず声がうわずってしまう。 「はい。夜本に書いてあった、手や口を使って愛を与える方法を、最後まで実践してみたいです」 「……⁉」  返ってきたのは、少しの淀みもない、あまりにまっすぐな答えだった。  椅子に座る自分の前に、ひざをついて見上げてくるセラ。  ジェイドは思わず目を泳がせ、どう答えるべきか分からずに動揺した。身の危険を感じるような戦況でも、複雑な政治の駆け引きの最中でも、これほど狼狽したことは一度もない。おそらく自分の人生の中で、今この瞬間が最も緊張している。  今……セラは何と言った……? 手と口で……最後まで……?  脳裏に瞬時に浮かんだ光景に、ジェイドの頭の芯がカッと熱くなった。それと連動するように、ズボンの下で男としての本能が一気に跳ね起きる。熱く硬く膨らんでいくのを止められない。  足元から自分を見上げてくるセラの瞳は、大真面目だった。だがよく見ると、どこか楽しそうにこちらの反応を窺っているようでもある。  王都の白亜宮を出発して以来、セラとまともに触れ合う機会は全くなかった。完璧な準備を済ませて出立したとは到底言い難い。あわただしく駆り立てられるようにして、出発した。そんな状況の中、毎日夜遅くまで、部隊の調整やあらゆる報告書の確認に追われ、セラとゆっくり時間を過ごす余裕はなかった。  正直に言えば、ようやくこの要塞に辿り着き、自分の部屋でセラが甲斐甲斐しく身体を拭いてくれるときも、やわらかな
last update最終更新日 : 2026-10-05
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【第92話】要塞の日常

 山を越え、武骨な要塞に身を寄せてからというもの、セラの新たな日常は目まぐるしい忙しさに覆われていた。  白亜宮での日々も目まぐるしく忙しかったと感じていたが、あれは、今思うと穏やかで静かな日々だった。それも、遠い昔のことのように思える。この前線の要塞では、とにかく何をするにも人手が圧倒的に不足していた。セラも、侍女のリタも、護衛のレオンも、休む間もなく朝から晩までなにかしらのために動き回っていた。 「セラ様、次の包帯が洗い上がりました」 「ありがとうございます、リタ。こちらに置いてください」  石造りの作業部屋で、セラたちは積み上げられた布の山に向き合っていた。血や泥を洗い落とし、煮沸消毒された大量の包帯を、端からきっちりと固く巻き直していく。地味だが現場では欠かせない作業のひとつだった。  最前線で負傷した兵士たちがここまで担ぎ込まれてくると、要塞内で迅速に応急手当が施される。傷が浅い者はそのまま戦線へ戻り、自力で歩くことも叶わないような重傷者は、さらに後方へと送り返される。  作業部屋のすぐ外を、緊迫した声とともに担架が通り過ぎていく。セラは巻き途中の包帯を強く握り締めながら、ただ無事を祈るように一時目を閉じた。  ジェイドは、毎日朝早くから要塞の外へと出ている。  最前線へ赴いて剣を振るっているわけではないと聞かされていたが、それでもセラは、彼が無事に城門をくぐって戻ってくるまで、一日中心配で胸が押し潰されそうだった。  ジェイドの側についていけたら……。  そうは思うが、迅速な騎馬による移動を中心とする部隊に、乗馬を覚えたばかりのセラが同行できるはずもなかった。要塞に残り、自分の与えられた仕事をこなしながら帰りを待つ——それが、今のセラにできる唯一のことだった。 
last update最終更新日 : 2026-10-06
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【第93話】覚悟の先

 その日は、強い風が吹いていて、妙にそわそわとする日だった。  いつものように作業部屋で包帯を巻き、負傷兵の手当てを手伝いながら、セラは何度も窓の外へ視線を向けていた。どんよりと重い雲が垂れ込めている。吹き付ける風が、がたがたと窓を激しくたたくたびに、びくりとさせられる。  陽が傾き始めた頃、要塞の城門が開く音が響いた。いつもより早い帰還だ。胸を撫でおろし、ジェイドを出迎えようと部屋を出たセラだったが、回廊を駆けてくる足音の異様な乱れに、足が止まった。  現れたのは、ジェイドの補佐官を務める男だった。全身泥と煤に汚れ、その顔色は青い。 「セラ様……」  息を切らし、崩れ落ちるように膝をついた補佐官の姿に、となりにいたリタが息をのむ。セラはおそろしい気持ちを握りつぶすように手をぎゅっとやり、補佐官の言葉を待った。 「殿下は……ジェイド殿下は、敵の襲撃にあい……お戻りにはなれません」  頭上から冷水を浴びせられたような衝撃が、セラを襲った。視界が一瞬歪む。 うしろに控えていたレオンが、低い声で問う。 「被害状況はどうなっている? ジェイド以外の者はどうした」 「他の者は……見張りのために残した一部をのぞき、全員、要塞まで撤退しています」 「ジェイドに何かあったんですね」  セラがそう問うと、補佐官は青い顔のまま答える。  視察の途中、突如として伏兵が現れたという。それ自体の数は多くなく、撃退できるはずのものだった。しかし、敵がジェイド率いる部隊めがけて投げ込んできたのは、尋常ではない数の魔道具だった。 
last update最終更新日 : 2026-10-07
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【第94話】黒い渦の先へ

 湿った冷気を含んだ風が、容赦なく頬を撫でていく。  セラはレオンのうしろにくっつくようにして馬に跨がり、彼の広い背に庇われるようにしてジェイドのもとへ向かっていた。先導するのは、ジェイドとともに戻るはずだった補佐官だ。戻ってきた部隊は、そのまま取って返すように、ジェイドのいる場所へと馬を走らせている。  要塞を出てしばらく進むと、足元は急激にぬかるみ、馬の足取りを重くさせた。  あたりの風景は、殺風景だった。ぽつりぽつりと枯れかけた木が不気味に生えているが、どれも葉はすくなく、幹も枝も焦げたようにくろずんでいる。  荒れた地に吹き付ける風が、土を舞い上げている。  さらに奥へ進むと、ぬかるんだ岩場の陰に、小さく固まって待機している騎馬の一群が見えた。部隊から残されたものたちだった。  レオンがそこへ馬を近づけ、騎乗したまま大きな声で聞いた。 「殿下は?」  問いかけられた兵は、辛そうに顔を歪め、岩場のむこうを指差した。 「あの瘴気のうずの中心です。瘴気がこくなって、もはやお姿を確認することはかないません」  兵の指し示す先に、黒くうごめく塊があった。 いいや、塊ではない。 あまりに濃い瘴気が、はっきりと黒く形をつくりあげ、うねるように形をかえながら、渦をまいている。  見渡す限りの荒れた岩地の中に、ぽっかりと、禍々しく不自然な塊がある。 地表を覆い尽くしている、異様な黒い霧——まるで巨大な暗雲が地表をおおっているかのような、禍々しい光景だった。うずを巻いている。とぐろをまく蛇のように、ゆっくりとうごめいていた。  ねっとりと重い嫌な空気が、ここにもある。 
last update最終更新日 : 2026-10-08
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【第95話】闇の中

 うねる黒い瘴気の嵐の中に足を踏み入れた瞬間、世界からあらゆる光と音が奪われた。  視界は塗りつぶされたように暗く、不快な冷気と不気味な魔力の粒子が身体にまとわりつく。普通の人間であれば、この場に踏みとどまることすらできずに、生命力を削り取られて倒れてしまうのかもしれない。  セラは、瘴気を吸い込んでしまわないよう、よくよく注意した。  自らの身体にまとわりつく黒い瘴気を静かに内側へと取り込む。ときおり、取りこぼした瘴気を息と一緒にすいこんでしまって、せき込みそうになる。  顔の前に手をかざして、そこから集中的に瘴気の魔力を取り込む。  体内に吸収された異質な魔力は、セラの内側で、一瞬だけ冷たい不快感をもたらしたあと、かっと身体を熱くさせる。不思議に、満たされるような感覚。慣れてくると、あたたかな湯につかったような心地にもなる。  セラは、ゆっくりと歩きながら、周囲の瘴気を少しずつ吸い上げていった。そうすることで、わずかに自分の周囲の空間だけが、瘴気から守られ確保される。  その時だった。  地鳴りのような音。 闇の奥深くから凄まじい咆哮が響き渡った。  大きな獣が吠えている。 ジェイドだ。  それは空気を引き裂くほどに荒々しく、おそろしく怒りに満ちた憎々しげな声に聞こえた。かつて黒曜宮で聞いたどんな声よりも、人間としての感情をことごとく塗り潰されたかのような、野性的な響きがあった。 「……」  セラは、ジェイドの名を呼ぼうと口をあけて、だが、すぐにとじた。胸元をぎゅっと掴む。  あの優しいジェイドが、今は完全に正気を失い、ただ目の前のすべてを壊し尽くそうとする破壊
last update最終更新日 : 2026-10-09
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【第96話】嚙み砕かれた恐怖

 いったいどのくらいの時間がたったのだろう。  いくつもの魔道具を探し出し、その内側に潜む悪意の回路を強引に解体し続けてきた。絶え間ない緊張。過剰に魔力のかたまりを取り込み続けたせいで、歩き続けるのも億劫なほど、セラは疲労していた。  喉はカラカラに乾ききっている。 手で口元を瘴気からさえぎりながら、荒い息を吐き出した。  散漫になりはじめた集中力を研ぎ澄まし、周囲の気配を探ってみる。  あんなにも暗闇のそこら中に渦巻いていた嫌な魔力の吹き出し口は、もうすべて消え去っていた。残された魔力の出所は——ただひとつだけ。  ジェイドだ。  彼はさっきから、いくらか動き回っている気配はあるものの、大きく移動する様子はなく、ほとんど同じ場所に留まっているようだった。  この瘴気の渦の中心に、彼はいる。  周囲の魔道具はすべて壊したはずなのに、あたりを覆う黒い瘴気は一向に減る気配がない。  魔道具によって刺激され、ジェイドの身体の内側で再び勢いを増した呪い。それをセラが直接引き取らない限り、魔道具を壊しただけでは、瘴気をおさえることはできないのかもしれない。  行こう。 ジェイドのもとに。  セラは乾いた喉をごくりとやって、まっすぐにジェイドがいるであろう方向へと足を進めた。  ジェイドに近づくにつれて、瘴気は恐ろしいほどに濃くなっていく。密度の高すぎる魔力の気配は、もはや霧というより粘度の高い毒のようで、セラは思わず取り込みきれずに激しくせき込んだ。胸の奥が焼きつくように痛む。それでも、歩みを止めるわけにはいかなかった。  前方の闇が、ふっと割れた。 
last update最終更新日 : 2026-10-10
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【第97話】奪われた光

 朦朧としているセラの耳に、大きな音が響く。  爆裂音。 強く何かがはじけるような音。  煙だ。 急激に煙が、あたりを包む。  馬が駆ける蹄の音も聞こえた。 いくつもの足音も。  視界が奪われる中、ジェイドが咄嗟に身を投げ出し、その身体で泥と血にまみれたセラをすっぽりと包み込むように庇った。彼の荒い息遣いが耳元で響く。  煙は、いくつかの塊で、風にあおられながら、あたりを包んでいくようだった。  無数の荒々しい足音が近づいてくる。  煙の隙間から現れたのは、十数人の男たちだった。要塞の兵とも、王都の騎士とも異なる見覚えのない服装——異国の衣服を纏った敵の伏兵たちだった。彼らは正気を取り戻したばかりのジェイドを取り囲むと、手にぎらりと光る長剣を構え、狙いを定めて一斉に襲いかかってきた。  ジェイドは、すぐにセラを背後に守って、応戦する。 「ジェイド……っ」  喉が焼きついたようにかすかな掠れ音しか出ないが、とっさに声が出た。  ジェイドは魔獣の姿から戻ったばかりの状態で、手元に剣はないようだった。  ジェイドが丸腰の状態でかまえ、迫り来る最前列の男の攻撃を最小限の動きでかわす。襲いかかってきた男の手首をすばやくつかんで捻り上げ、剣を奪い取った。あっというまに刃を返し、別の方向から襲いかかってきた刃を硬質な音とともに弾き返す。  ジェイドの身のこなしは、無駄がなくしっかりとしている。  だが、相手が多すぎる。 敵の男たちは、ジェイドだけでなく、セラに対しても距離をつめようと
last update最終更新日 : 2026-10-11
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【第98話】なじみのない部屋

 深い暗闇の底から浮上するように、セラはゆっくりと目を覚ました。  頬に触れているのは、肌触りのよい上質な布地。背に感じるのは、雲の上にいるかのようなふかふかとした柔らかい感触だった。ゆっくりと重い瞼を何度か瞬く。眩しい。しばらくすると、あたりの様子が視界に飛び込んでくる。  石造りの頑丈な壁。天井には繊細な彫刻が施されており、大きな窓からは澄み渡る青空が見えた。窓から差し込む日差しはあたたかそうだ。時間はおそらく昼時だろう。  ここは……どこ……?  セラはぼんやりとした頭で周囲を見回した。  見覚えのない部屋だった。冷たく殺風景だった要塞の、あのジェイドと一緒にいた部屋ではない。白亜宮のセラの部屋でもなければ、黒曜宮の部屋でもない。だが、置かれている木製のクローゼットや上質な絨毯といった調度品の数々は、どこか白亜宮や黒曜宮で過ごしていた頃を思わせる、洗練された品格を漂わせていた。  暖炉に火がぱちぱちと燃えている。 清潔であたたかな部屋だ。  身体を動かそうとして、セラは小さく息を呑んだ。  右肩に、ずしりと重い痛みが走る。噛みちぎられそうになり、骨まで砕かれたような、あの絶望的な衝撃を思い出す。  そう、たしか、レオンに連れられて……。  あれから、どれくらい時間がたったのだろうか。 右肩の痛みは、あの場で感じたような視界が白く染まるほどの激痛ではなく、どこか痺れたような鈍い痛みに変わっていた。  おそるおそる、自分の右手へと意識を向ける。 ぴくりとも動かなかったはずの右手が、ほんのわずかだが動いた。指先は、完全に自由にとはいかないが、ゆっくりと動かせた。わずかに感覚が戻
last update最終更新日 : 2026-10-12
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【第99話】裏切り

「話す前に、傷の様子を確認しようね」  キャンディは歌うような軽い調子でそう言うと、セラに拒む隙を与えず、楽器をつまびいていたしなやかな手で、セラの身体をそっとベッドへ倒し込んだ。 「あ……」  逆らおうにも右腕は満足に動かず、左手で軽く押し返そうとしたものの、キャンディの力は思いのほか強かった。彼はセラが着せられている薄い布地の服に手をかける。胸元を結んであわせている紐をあっという間にほどき、セラの肩をはだけさせると、右肩を覆っていた白い包帯の端をつかみ、手際よく解いていく。  露出した右肩を見て、セラは目を見開いた。  そこには、破れた皮膚や痛々しい傷口を覆うように、いくつもの透明な糸のようなものが縦横無尽にめぐらされていた。まるで繊細なクモの巣が、複雑に傷口を縛り上げ、固定しているかのようだった。  皮膚は無理につなぎあわせたようになっているが、肩の形は、正常な形に戻っているような気がする。 「うん、経過は順調そうだね」  キャンディは満足そうに頷くと、細長い指先でその透明な糸にそっと触れた。すると、彼の指先から怪しく澄んだ光が溢れ出し、糸を伝って傷口へと吸い込まれていく。彼の瞳の色と同じ、美しい紫がかった青い色の魔力だった。  キャンディが手元を見つめながら言う。 「これはね、治療のための魔道具だよ。とっても高価で、使える者も少ない高度な魔道具なんだ。良かったねセラ姫、国一番の魔術師であるぼくがいて。じゃなきゃ、いまごろ右腕とはおさらばだったよ」  キャンディは誇らしげに微笑み、まるで幼子に言い聞かせるように優しく言った。紫がかった青の魔力が傷口に染み渡ると、重く痺れるような痛みが、すうっと和らいでいく感覚があった。 「国一番の&
last update最終更新日 : 2026-10-13
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【第100話】求知の狂気

 セラは、ベッドの上に横になり、二人の男を交互に見つめた。 二人の真実をさらした男たちの会話が、セラを置き去りにしたまま淡々と交わされる。 「セラ姫も目覚めたんだし、きみは王妃様のところに報告に戻ったら?」  キャンディが、まるで明日の天気でも尋ねるような軽快な調子で言った。対するレオンは、組んでいた腕を解くと、不機嫌そうに鼻を鳴らす。 「おい、手ぶらで帰れるわけがないだろう。王妃様はうたぐり深いお方なんだからな」 「それもそっか。まあ心配しないで、公式な文書を用意させるよ、お偉いさんがたがね。約束のものは半分しか受け取れなかったけど」  肩をすくめてからかうように言うキャンディに、レオンの苦々しい視線が向けられる。 「お前たちがおのぞみのジェイドの死体を持ち帰れなかったのは、そっちの手駒がひ弱すぎたせいだろ。おれがいなきゃ、どっちも手に入ってなかったね。王妃様はお怒りだろうな」 「それは……残念ながら、そう。ちゃんと書類も褒美も用意させるから、気をわるくしないでよ。王妃様によろしく言っておいてね。まあ、お偉いさんがたは動くのが遅いから、書類が届くまではここで手伝ってよ。人手はどこでだって足りていないんだから」  二人の口から当然のように飛び出す『王妃様』という言葉、そして『ジェイドの死体』というおそろしい響きに、セラの胸が激しく脈打った。  王宮で渦巻いていた不穏な気配。あの優雅なお茶会の中心にいた王妃が、隣国と通じ、継子であるジェイドの命を狙っていた。そして、セラを側で護衛していたレオンは、最初から王妃の手先としてセラやジェイドを監視し、手引きしていたのだ。  すうっと血の気が引き、冷たい足枷をはめられたような感覚に襲われるセラを前に、レオンはどこか苛立ちを滲ませた声で言った。&nbs
last update最終更新日 : 2026-10-14
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