「セラ……、本気で言ってる?」 夜のしずけさに包まれた要塞の一室で、ジェイドは自分の耳を疑った。情けないことに、思わず声がうわずってしまう。 「はい。夜本に書いてあった、手や口を使って愛を与える方法を、最後まで実践してみたいです」 「……⁉」 返ってきたのは、少しの淀みもない、あまりにまっすぐな答えだった。 椅子に座る自分の前に、ひざをついて見上げてくるセラ。 ジェイドは思わず目を泳がせ、どう答えるべきか分からずに動揺した。身の危険を感じるような戦況でも、複雑な政治の駆け引きの最中でも、これほど狼狽したことは一度もない。おそらく自分の人生の中で、今この瞬間が最も緊張している。 今……セラは何と言った……? 手と口で……最後まで……? 脳裏に瞬時に浮かんだ光景に、ジェイドの頭の芯がカッと熱くなった。それと連動するように、ズボンの下で男としての本能が一気に跳ね起きる。熱く硬く膨らんでいくのを止められない。 足元から自分を見上げてくるセラの瞳は、大真面目だった。だがよく見ると、どこか楽しそうにこちらの反応を窺っているようでもある。 王都の白亜宮を出発して以来、セラとまともに触れ合う機会は全くなかった。完璧な準備を済ませて出立したとは到底言い難い。あわただしく駆り立てられるようにして、出発した。そんな状況の中、毎日夜遅くまで、部隊の調整やあらゆる報告書の確認に追われ、セラとゆっくり時間を過ごす余裕はなかった。 正直に言えば、ようやくこの要塞に辿り着き、自分の部屋でセラが甲斐甲斐しく身体を拭いてくれるときも、やわらかな
最終更新日 : 2026-10-05 続きを読む