All Chapters of 首狩り兎のダンジョンチューバー滅殺日記: Chapter 1 - Chapter 10

58 Chapters

第1話 サキュバス(?)を助ける

「げひゃひゃひゃ! こんな美人ちゃんを捕えたぜぇ!」「ひょひょひょ! この細いうなじがたまりません」「ぼ、ぼ、ぼかぁお尻のお肉を少しずつ削って自分に食べさせてあげたいんだなあ」「げひゃひゃひゃ! てめぇの企画はいつもトチ狂ってやがるなあ」「ひょひょひょ! しかし、それは再生数爆増間違いなしですぞ」「て、て、て、照れるんだなあ」 ちっ、ゲスどもが……。 俺は心中で舌打ちをした。 捕まっているのは若いサキュバスか。 薄い身体。背中の翼は折られている。 細い手足は結束バンドで縛られていた。 あどけない顔は恐怖と絶望に染まっている。 配信者どもは三人。 ひとりはモヒカンに棘の付いた肩パット。 大剣を背中に負っている。 ひとりは眼鏡に黒いローブ。 長い杖は魔術杖か? 最後はぶくぶくと太った男。 白い神官衣を身にまとっている。 周囲を飛んでいるカメラドローンは無視していい。 あれは撮影とやらをしているだけで戦闘力はない。「げひゃひゃひゃ! それじゃおまたせしましたー! いまからこの美人ちゃんのケツの肉を削って焼肉パーティをはじめます!」「ひょひょひょ! 柔らかくて美味しそうですなあ」「や、や、焼肉のタレも持ってきたんだなあ」 どうやらじっくり観察する暇はなさそうだ。 俺はぴょんたんぴょんたんとサキュバスのもとへ駆けた。「げひゃひゃひゃ! おやぁ、ウサたんまで来ちゃいましたよぉ?」「ひょひょひょ! ダンジョンウサギの毛皮は高く売れますぞ」「も、も、もふもふしてから、首をバキッと折りたいんだなあ」 込み上がる吐き気に耐えつつ、ぴょんたんぴょんたんと進む。 そう、俺は無害なダンジョンウサギだ。 配信者どもに無邪気に近寄り、ぶち殺される間抜けな兎だ。 そう装って、俺は距離を詰める。「げひゃひゃひゃ! ほらほら、ウサちゃん。保存食あげるよぉ」「ひょひょひょ! きれいなお水もありますぞ」「や、や、優しくなでなでしてあげるんだなあ」 ぴょんたんぴょんたん――あと4歩。 ぴょんたんぴょんたん――――残り2歩。 ぴょんたんぴょんたん――――――いま!!「げひゃひゃひゃ! 世界が逆さまに見えるぜえ!?」「ひょひょひょ! 私は真横に見えますぞ」「め、め、目が回るんだなあ」 地面に転がった三つの生首が、人
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第2話 インキュバスちゃん、バズる 

【悲報?】血まみれ☆オレンジロードが全滅した件www【朗報?】1 名無し@モン虐あいつらのモン虐、愛がないから正直嫌いだった2 名無し@モン虐>>1愛のあるモン虐とはwww3 名無し@モン虐>>1つか、ソース出せよ4 名無し@モン虐>>3検索弱者に教えてあげるねttps://xxxxxxx.maze/xxxxxxx/s1024984/video9825 名無し@モン虐>>4情弱ですまん助かる6 名無し@モン虐素直にされると困るwww7 名無し@モン虐きれいに首すっ飛ばされてるなあ8 名無し@モン虐きれいといえばサキュバスたん萌え萌え9 名無し@モン虐いまどき萌え萌えとかいう老害10 名無し@モン虐>>8あれ、インキュバスじゃろ?11 名無し@モン虐>>10バカジャネーノ12 名無し@モン虐>>10目ん玉腐ってる?13 名無し@モン虐>>10あんなかわいいインキュバスがいてたまるか!って、マジだインキュバスだわ14 名無し@モン虐>>13ソース15 名無し@モン虐あ、続きは有料なのか16 名無し@モン虐>>15詳しく17 名無し@モン虐インキュバスちゃんが全裸水浴び18 名無し@モン虐!?!?!?!?!?!?!?!?19 名無し@モン虐流出版きぼんぬ20 名無し@モン虐割れ厨はタヒね21 名無し@モン虐マジだ超でけぇwww22 名無し@モン虐何がでかいの?23 名無し@モン虐ナニがでかいの24 名無し@モン虐ゴクリ……25 名無し@モン虐マジだwww俺の3倍はあるwww26 名無し@モン虐>>25短小乙27 名無し@モン虐>>25強くイ㌔28 名無し@モン虐>>253倍なんて見栄張るなよ生きるのがつらくなるぞ?29 フタナリーナマジでこの子すごいね超そそられるんだけど飼おうかな?30 名無し@モン虐コテハン降臨www31 名無し@モン虐>>29オトク様www32 名無し@モン虐>>29オトク様www33 名無し@モン虐>>29オトク様www34 名無し@モン虐オトク様って何よ?35 フタナリーナ可愛い女の子モンスター=オトク可愛い女の子モンスターにちんこがついてる=もっとオトク
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第3話 ちーんこちんこちんこ男の娘

「ちーんこちんこちんこ男の娘♪ お股の 間に ぶらー下がるー♪ とってーも オトクな 男の娘ー♪」 私は陽気に歌いながらダンジョンに潜っていた。 配信者パーティ『血まみれ☆オレンジロード』が全滅したのは12層だ。 Wikiを見る限り、あいつらの平均レベルはおよそ50。 そんな浅層で死ぬとは……モン虐にハマりすぎて鍛錬を怠っていたのだろう。 モン虐の対象はたいてい弱いモンスターだ。 私こと、フタナリーナはそんな油断は犯さない。 犯すのはオスだけだ。 オスの人間型モンスターを捕らえ、それを調教することで生きてきた。 おかげさまでチャンネル登録者数は十万人を突破した。 ダンジョンチューブを通じて流れるみんなの抑圧された性欲が、私に力を与えてくれる。 みなぎる力が、私の股間をさらに熱く屹立させる。 うふふ、それにしてもあのインキュバスちゃんはとてもよかった。 絹糸のような金髪。 まだ男とも女とも言えない幼い肢体。 そして股から垂れる逸物。 アレの先端をそっと指先で撫でてあげたら、彼はどんな表情になるのだろう。 後ろから犯しながら、アレの竿をしごいてあげたらどんな声で鳴くんだろう。 興奮が、止まらない。 劣情が、加速する。 肉欲が、愛欲が、性愛が、本能が、煩悩が、衝動が、欲情が熱狂が熱情が情火が私の魂を焼く。 思わず、股間に手を伸ばす。 怒張した陰茎を撫でながら、陰嚢を取り除いて作ったそれに指を挿れる。 おかずは配信画面に流れるコメントだ。 見た目は美少女である私の自撮りは人気が高い。【親指舐めて】 いいだろう。 じゅぷじゅぷじゅぷ。【脇を見せて】 この変態め。 いいだろう。【好きって言って】 それはお断りだ。 私が好きなのは男の娘だけだ。【ちんこ切ってきました!】 それなら好きだ。 あとでDMを送ろう。「死ね」 ああ、またアンチか。 流れるようにブロックを……指が動かない。 視界が反転する。 何だこれは? 石畳に頭を打ち付ける。 自分の胴体を見上げる。 配信で稼いだ金で徹底的に作り替えた身体だ。 ちょうど手のひらで収まる胸に、蜂のようにくびれた腰。 両足を揃えれば隙間の出来ない太もも。 すらりとした曲線を描くふくらはぎ。 ふふふ
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第4話 黄金戦士、おしっこを語る 

【聖水】インキュバスたんハァハァ【降臨】1 名無し@モン虐浴びたい2 名無し@モン虐>>1ガチ勢www3 名無し@モン虐>>1つか、黄金水出せよ4 名無し@モン虐>>3あげるね5 名無し@モン虐>>4オマエのじゃねーんだわwww6 名無し@モン虐フタナリーナ、死んだね7 名無し@モン虐俺の性癖をこじらせた責任を取ってほしい8 名無し@モン虐ま、ぶっちゃけ雑魚っしょ9 名無し@モン虐>>8底辺のひがみwww10 名無し@モン虐>>8悔しかったら登録者十万人達成してこい11 名無し@モン虐>>9>>10うるせーバーカ!まだ5人だよ!!(´;ω;`)ブワッ12 名無し@モン虐>>11正直すまんかった13 名無し@モン虐せんせー!>>9 君と >>10 君が>>8 君を泣かせました!14 名無し@モン虐スレ常連の馴れ合いうぜえ15 名無し@モン虐わかる16 名無し@モン虐>>14なら来んなよ17 名無し@モン虐>>16そういうノリだと過疎るよ?18 名無し@モン虐自治厨キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!19 黄金戦士めっちゃいい色だね。喉越しよさそう。20 名無し@モン虐あっ21 名無し@モン虐あっ22 名無し@モン虐あっ23 名無し@モン虐やべえやつ来たな24 名無し@モン虐ゴクリ……25 名無し@モン虐>>24誰が上手いことを言えとwww26 黄金戦士見た感じだけど、尿中食塩濃度は0.8%くらいかな?かなり理想的。27 名無し@モン虐理想とは…28 名無し@モン虐なんで見ただけでわかるんだよwww29 黄金戦士ひとつずつ答えるね。>>27だいたい、お味噌汁とかスープとかの塩分濃度が1%前後。これが人間の体液よりもちょっと濃いくらいで、いわゆるほどよい塩味って感じになる。もうちょっと濃い目が好きな人も多いかな?それで0.8%っていうと結構な薄味。生理食塩水の塩分濃度が0.9%って言えば伝わりやすいかな?だから、かなりあっさりでごくごく飲めるタイプだと思う。>>28これについてはすまん。ぶっちゃけ、経験と勘によるところが大きい。色とか、飛び散り方で大体わかるようになっちゃったんだよね。初心者が簡
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第5話 尿という名の人生

 ――尿。 それは小便、小用、小水、少水、いばり、ゆばり、屎尿、おしっこ、まる、しーばい、しーしー、聖水、黄金水……などと様々な呼び名を持つ。 単語の多さは、すなわちその文化圏における関心を示す。 たとえば、北米イヌイットでは「白」を示す言葉が17種あるそうだ。 白い雪に囲まれた生活の中で、「白」の差異が明確に、細緻になっていったのだ。 何が言いたいかというと、日本人はおしっこにとても深い関心を持つってことだ。 僕はフェアリーの尿道にストローを挿し、それを飲みながらダンジョンに潜っていた。 フェアリーはダンジョンに咲く花の蜜を吸って生きている。 だからおしっこの糖度も高く、甘くまろやかだ。 だけど、量が少ないのが難点だな。 あっという間に吸い尽くしてしまった。 僕はフェアリーをぎゅっと握り潰して捨てた。 潰すともう少し出るんだけど、血が混じって味が濁るんだよね。 それに、今日の本命はあのインキュバスだ。 見た目は人間の年齢にすると十歳くらいかな? 小学三年生だ。 僕がこの道に目覚めるきっかけをくれた、幼馴染のサッちゃんを連想させる。 あれは下校途中だった。 僕の実家は田舎で、公衆トイレなんてどこにもなかった。 だから、下校途中で催せば、男子も女子も関係なくそのへんの道端で致すのだ。 けど、男子と女子とではちょっと違う。 僕みたいな男子はそのへんのブロック塀にひっかけちゃうけど、女子はちゃんと草むらに隠れるのだ――ということをあの夏に知った。 通学路を歩いていたサッちゃんは、「ちょっと急用」と言って駆けて行った。 ハンカチを落としてたから、僕はそれを拾って追いかけた。 サッちゃんはなぜか草むらに入っていった。 そしてしゃがみこんだ。 サッちゃんの通学帽が草むらからちょんと出ていた。 僕はハンカチを持って草むらに入った。 草いきれの中に、香ばしい匂いが混じっていた。 つま先を何かが濡らした。 サッちゃんは、しゃがみこんで顔を真っ赤にしていた。「ハンカチ、落としたよ」 僕はしゃがみこんだサッちゃんにハンカチを差し出した。 レースの入った、白いハンカチ。 サッちゃんは、しゃがみこんだまま動かなかった。 じょろじょろと、水が流れる音がしていた。「最低ッ!」 音がやんだら、サッちゃんはパン
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第6話 はじめての共同作業

 轟音とともに戦棍が頭上を通り過ぎる。 顔面すれすれに振り下ろされる。 床が砕け、ダンジョンが揺れる。 壁が砕け、クレーターができる。「もう、ちょろちょろ逃げないでよ」 俺が必死にかわしているのに、黄金鎧の野郎は余裕の声だ。 フルフェイスの兜のせいで表情は見えない。 しかし、スリットから見える眼光に焦りの色はなかった。(アルプのやつ、ちゃんと逃げたか……?) 致命の連撃をなんとかかわしつつ、背後に目をやる。 アルプの姿はない。 俺の言うことを聞いて、ちゃんと逃げてくれたようだ。「おい、ドンガメ鎧。そんなちんたらされたんじゃ欠伸が出ちまうよ」 「うーん、僕はSTRメインで伸ばしてるからね。多少遅いのは認めるよ」 挑発してみたが、効果はなさそうだ。 続く連撃にも乱れや焦りは表れない。 俺はぴょんたんぴょんたんとステップを刻みながら、やつを誘導してく。 この破壊力、一撃でももらえばゲームセットだ。 命がけの鬼ごっこがはじまっていた。「そういえばさ、あのインキュバス君をかばってるみたいだけど、時間を稼いでも無駄だよ?」 今度は鎧野郎から口を開いた。 バカでかい戦棍を振り回し続けてるくせに、呼吸に乱れはない。 それだけでVITも相当なものだとわかる。「ステータスとは関係なく、僕は鼻が利くんだ。1キロ先のおしっこの匂いもかぎわける。このダンジョンなら、同じ階層にいる限り絶対に見逃さないよ」 おしっこ……? こいつは何を言ってやがるんだ……。 一瞬の動揺。 耳の先端を戦棍がかすめ、血混じりの白い毛が舞う。「ああ、もう。【さっさと仕留めろよ】とか【インキュバスたんを追えよグズ】とか。観る専は気楽でいいなあ。実際やっていると大変なんだからね? あー、同接どんどん減ってるじゃん。すぐやっつけるから待っててよ」 ああ、この戦いも配信されているのか。 コメントに対応するほどの余裕もある。 腹立たしいが、認めよう。 こいつは俺よりも数段格上だ。 だが、SPDだけは俺に分がある。 牽制の攻撃を挟みつつ、徐々に目的に誘導する。 ああ、クソ硬え。 牙がボロボロだ。 戦果は鎧の表面についた僅かな引っかき傷のみ。 この鎧、一体何で出来てやがるんだ? 間一髪で
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第7話 †漆黒の暗黒騎士ダークネスブラック† 

【朗報】黄金戦士、溺死www【&朗報】1 名無し@モン虐あれっておしっこの泉だったの?2 名無し@モン虐そうだよ3 名無し@モン虐>>1 >>2色から察するに、回復の泉だろ4 名無し@モン虐ボケにマジレスする間抜け野郎が見つかったぜ5 名無し@モン虐ぺろっ・・・これはおしっこの味!6 名無し@モン虐>>5 なんで知ってるんだよwww7 名無し@モン虐でもぶっちゃけさ指についたやつを舐めちゃったことがある人は多いと思うんだ8 名無し@モン虐悔しいけど否定できない9 名無し@モン虐血まみれ☆オレンジロードフタナリーナ黄金戦士モン虐コテハンがばたばた死んだねえ10 名無し@モン虐あいつらはモン虐の評判落としてたからな助かる11 名無し@モン虐モン虐の評判とはwww12 名無し@モン虐配信者の最底辺!それがモン虐の誇り!13 名無し@モン虐誇ってんじゃねえよw14 名無し@モン虐黄金戦士のチャンネル登録数ってどれくらいだっけ?15 名無し@モン虐この前77777記念配信してた16 名無し@モン虐約7万かあ17 名無し@モン虐>>16それを言うなら約8万18 名無し@モン虐どーでもえーがな19 †漆黒の暗黒騎士ダークネスブラック†あのサキュバスってどこにいるんですか?20 名無し@モン虐あなたの心の中にいるよ21 †漆黒の暗黒騎士ダークネスブラック†あの、真面目に質問してるんすけど(#^ω^)22 名無し@モン虐過去スレ見ろよ無能23 名無し@モン虐つか、どんだけ黒いんだよwww24 名無し@モン虐†漆"黒"の暗"黒"騎士"ダークネス""ブラック"†( ー`дー´)キリッ25 名無し@モン虐こんなんさすがに笑うわwww26 †漆黒の暗黒騎士ダークネスブラック†ふざけてるやつは舐めんなよ誰かちゃんと答えろよいつまでも下手に出てると思うなよ?27 名無し@モン虐求めよ……さらば与えられん……って思っちゃってるぴよぴよ世代28 名無し@モン虐欲しいものは自分で勝ち取るんだよ!29 名無し@モン虐>>21 の時点でもう下手じゃねえんだよなあ30 名無し@モン虐「いつまでも下手に出てると思うなよ?」まで実質1レス31 †漆黒の暗黒騎士
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第8話 玩具修理者

 ぼきり、ぼきり。 一本ずつへし折る。 ぼきり、ぼきり。 歯科用ペンチで丁寧に。 すべての歯を取り除けたら、指で口腔を撫でる。 生硬く、ぬるぬると、滑らかな凹凸。 それは歯茎の感触。 俺の名は田中一平。 またの名を†漆黒の暗黒騎士ダークネスブラック†。 またの名っていうか、こっちがオレの本名みたいなもんだ。 チャンネル登録者数は4千人。 桁が二三個足りてない気はするが、ま、世の中が追いついてないんだな。 俺のセンスは凡人には早すぎる。 この作品はどうしようか。 抜いた歯を唇に埋め直す……凡庸過ぎる。 額に並べる……もう一息何か。 そうだ、額に歯で『犬』と描こう。 この世界の人間はほとんどが犬だ。 政府の、企業の、上司の、両親の、教師の、友達の、世間の、常識の、普通の、空気の、規範の、約束の、法律の、倫理の、義理の、仁義の、信義の。 そういうものの、奴隷だ。 だからオレは奴隷を創る。 だからオレは奴隷を遣う。 だからオレは奴隷を攫う。 オレは奴隷じゃない。 自分の意志を持つ狼だ。 黒く濃密な、何色にも塗りつぶされない漆黒だ。 だからオレは、†漆黒の暗黒騎士ダークネスブラック†なのだ。 イヌどもが、オオカミであるオレを侮ることなど許さない。 喉笛を食い破り、オレの奴隷に変えてやる。 田中一平だった頃のオレを馬鹿にした連中はだいたい済んだ。 小一のクラスメイト7人。 小二のクラスメイト9人。 小三のクラスメイト18人。 小四のクラスメイト37人。 小五のクラスメイト35人。 小六のクラスメイト38人。 中一のクラスメイト34人。 中二のクラスメイト40人。 中三のクラスメイト41人。 教師、両親、親戚、コンビニ店員、その他諸々合わせて105人。 数え忘れがなければ、ぜんぶで364人。 もうひとりでキリのいい数になる。 残りのクラスメイトをダンジョンで探してもいいが、少しマンネリな気がしていた。 記念すべき365人目は特別な獲物がいい。 そんなときに見つけたのが、あのインキュバスの動画だ。 高級ドールのような細い金髪。 陶磁器人形のような白い肌。 フランス人形のような透き通る瞳。 背中に生えた小
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第9話 死闘屍闘

 異形。 異形。異形。 異形。異形。異形。 異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形。異形―― 異形の群れ。 八ツ目の首を、七ツ腕の首を、六ツ足の首を、五ツ鼻の首を、四ツ耳の首を、三ツ頭の首を、二ツ口の首を、切り落とし、切り落とし、切り落とし、切り落とし、切り落とし、切り落とし、切り落とす。 くそ、牙の切れ味が悪い。 血脂と腐肉が絡んでいる。 黄金野郎との戦いで錆びた牙は、まだ治っていない。「ああうぁァああがぁぁああオぉォォおおぁぁぁアアああァ!!」 絶叫。 ペストマスクの野郎が突っ込んでくる。「オレがっ! オレのっ! 作品をッ!! 壊すなァァァあああ!!」 ペストマスクが巨大なペンチを振り回す。 こいつが死体繰りか。 魔法使いは総じて身体能力が低い。 俺はぴょんたんとバックステップで大振りのペンチをかわす。 体勢を崩したペストマスクに、ぴょんたんと飛びかかる。 ペストマスクの首が、湿った音を立てて石畳に落ちる。「これで片付いたな。この手の魔法は術者を殺せば――」「ヴォーさん! うしろ!!」 がちゃり。 ペンチの閉まる金属音。 一瞬前まで俺の頭があった場所。 咄嗟に前転していなければ、ザクロのように潰れていただろう。 ペストマスクの胴体が、でたらめにペンチを振り回している。 頭をもがれた虫のように。「ああうぁァああがぁぁああオぉォォおおぁぁぁアアああァ!!」 石畳のペストマスクが、奇声を発し続けている。 死にかけの蝉のように。「くそっ! てめえまで反死者にしてやがるのかッ!」「ヴォーさん、どうしたら!?」「北が薄い! そっから抜けるぞ!」「わ、わかった!」 アルプが黄金兜をめちゃくちゃに振り回しながら走る。 あの鎧野郎の兜を紐で繋いだ即席フレイルだ。 それが半分皮を剥かれた反死者の顔に直撃し―― どじゅう、と煙を上げた。 どじゅう、どじゅう、どじゅう、どじゅう、どじゅう。 兜が命中するたび、そこが焼け焦げ煙を上げる。 腐った肉が焼ける臭い
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第10話 迷宮歯医者

「これ、あいつらも落っこちてこないの……?」「安心しろ。あの落とし穴は一日に一度しか動かない。次の夜明けまでは大丈夫だ」「よかったぁ……」 不安げに天井を見上げていたアルプが、へなへなと崩れ落ちる。 俺もそうしたいが、アルプを不安にさせるわけにもいかない。 後肢に力を込めて踏ん張る。 それにしても、あの反死者の数は馬鹿げていた。 正確にはわからないが、百体近くはいたんじゃないか? おまけに奇妙な改造までされている。 魔法使いと近接職は単純に比較できるもんじゃないが、あの黄金鎧と近い実力者だと感じた。 このダンジョンに、そんな上級配信者がやってくることは少なかった。 何か、異変が起きている。 それが配信者どもを引き寄せている。 深部でマナ鉱山でも見つかったか? あるいは、レジェンダリーのドロップでもあったのか? ダメだ。 考えてもわからない。 情報が少なすぎる。 そんなことより、今できることをやるしかない。 俺は、ぴょんたんと歩きはじめた。「それじゃ、行くぞ」「うん! でもどこに?」 不思議そうな顔をするアルプに、俺は答える。「歯医者に行くのさ」 * * *「あらぁーん、おひさしぶりね、ヴォーの兄さん。わっちの胸が恋しくなったでありんすか?」「ンなわけがあるか。歯を診てもらいに来たんだよ」「んもーう、そんないけずなところもステキでありんす♡」「歯医者に用事っつったら歯を診てもらう以外ねえだろうが……」 俺は白衣の女に抱きしめられていた。 メロンみたいにバカでかい乳房が暑苦しい。 これだから、歯医者は嫌なんだ……「それでン、どの歯が悪くなったでありんすか? 奥歯でありんすかねエ」「牙だ」「は? 牙が?」 なよなよと身体をくねらせていた女が、真顔になって背筋を伸ばす。 その白い額には、赤黒い血管が浮き出している。「おい、わっちのしつらえた牙がどうこうなるわけねえだろうが。コバルトクロムにヒヒイロカネとオリハルコンを混ぜ込んで、ダマスカス仕立てにした逸品だ。<自己再生>もたっぷり付与してる。ケチつけに来たんなら叩き出すぞこのクソウサギ」 ああ、これだから歯医者は嫌なんだ……「クレームじゃねえ。そい
last updateLast Updated : 2026-07-13
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