All Chapters of 首狩り兎のダンジョンチューバー滅殺日記: Chapter 41 - Chapter 50

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第39話 江戸時代にネット掲示版が出現するときはこんな感じです

 斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬った。斬って斬って、斬りまくった。 葛飾大観、という雅号を名乗った。 葛飾大観の真紅と言えば知らぬものはいなくなった。 妻を斬った。娘を斬った。郎党を斬った。門人を斬った。町人を斬った。渡世人を斬った。女郎を斬った。棒手振りを斬った。夜鷹を斬った。飛脚を斬った。大工を斬った。噺家を斬った。花魁を斬った。役者を斬った。 そんな画業三昧の末、ある日ふと、刀が止まった。 画想が降りて来ぬ。 蔦屋重三郎からは矢の催促がある。 やれどこそこの大名から引き合いがあった。 やれどこそこの公家から是非にと頼まれた。 やれどこそこの坊主が本尊にしたいと言っている。 焦る。 焦りが募る。 いつかのように、白紙の襖の前で正座をする。 ぐにゃりぐにゃりと視界がゆがむ。 白紙の襖に文字が浮かび上がる。════════════════════════════【今日も】インキュバスたん、(*´Д`)ハァハァ 47【まったり】1 名無し@モン虐今日はぼろんなかったなあ2 名無し@モン虐いいかげんテンプレに入れとけやttps://xxxxxxx.maze/xxxxxxx/s1024984/video982・・・・・・════════════════════════════ 見慣れぬ文字が青く光っている。 誘われるように、指で触れる。 すると、金髪の童女が奇天烈な装いのものたちに折檻される絵が映った。 絵は色鮮やかで、動き、音まで聞こえてくる。 美しい。 まるで天女のようだ。 しかし、これで男の子だと云う。
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第40話 波動斬牙:斬撃伝導

 ついに出会えたインキュバスたんに、刀を振るう。 ガキンと、刃が止まる。 見れば、銀色の牙。 長い牙を持つ兎が、それがしの刀を止めていた。 この沸き立つ創作意欲を妨げるとは…… 畜生の分際で! こんな畜生に創意は要らぬ。 決まったふうに刀を振るい、決まったふうに体を動かす。 火花、火花、火花火花火花火花火花。 ことごとく受けられる。 なんと生意気な畜生よ。 刀を高い八相に構える。 薩摩の示現流……とか言ったか。 受け太刀不能の一打必殺の構えだ。 それがしはこれで、三つ重ねた兜を割ったことがある。 畜生はぴょんたんと前後左右に小刻みに跳んでいる。 なんともうっとうしい。 間合いを測っているつもりか。 左様な子供だましなど通じるものか。 畜生の後ろ肢に力が込められるのが見える。 畜生が銀の牙を輝かせながら跳んでくる。 決まったふうに、刀を振り下ろす。 刀が牙とぶつかる。 これで真っ二つ―― ――と、ならない。 剣先から奇妙な感触が伝わってくる。 波のようなうねりが、刀から、手から、腕から、肩から、そして首―― 世界が、急に高くなった。 それがしが、落ちていく。 視線の先には、いつもの作務衣を着たそれがしの身体。 首のない、それがしの身体。 それがしの身体は首がなく。 血の噴水を吐いていて。 びくりびくりと痙攣しながら。 いくつもの、いくつもの絵を描いて。 どうっ、と倒れた。 * * *「ふう、はじめて試したが、なんとかなったな」「すごいや、ヴォーさん! いま、何をしたの?」「ああ……あれはだな――」 スキル<波動斬牙>の応用だ。 防具を無視して斬撃を内部に通す……ってのがあのスキルの基本だが、それはつまり、斬撃を伝導させられるってことだ。「さっきのは、やつの刀を通して、首まで斬撃を通したんだ」「へえー! すごい! ボクにもできるかなあ」 アルプがはしゃいで短剣を素振りしている。 すっかり腰が入るようになったし、脇も締まっている。 隙のないいい動きだ。たいしたもんだ。「そういえば、技の名前はないの?」 ふと思い出したように、アルプが聞いてくる。 名前……そんなのは考えたことがなかったな。<|波動斬
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第41話 ああいうきれいな男の子のですね 口の周りをべろべろ舐め回すんですよ 

【武士道とは】インキュバスたん、(*´Д`)ハァハァ 52【死ぬこととと見つけたり】1 名無し@モン虐サムラーイちぇすとでごわす2 名無し@モン虐ちょっと言っている意味がわからないが3 名無し@モン虐モン虐言っている意味がわからないやつの方が多い説4 名無し@モン虐一理ある5 名無し@モン虐百理ある6 名無し@モン虐理屈で考えてるうちは半人前よぉ7 名無し@モン虐正気にては大業ならず8 名無し@モン虐あかりたんも言ってたなw9 名無し@モン虐けもんも言ってたぞ10 名無し@モン虐フタナリーナも言ってた11 名無し@モン虐元祖は誰なんやろなあ12 名無し@モン虐そんなことより新しいインキュバスきゅん成分をよこせや13 名無し@モン虐ほれttps://xxxxxxx.maze/xxxxxxx/s1024984/video200614 名無し@モン虐>>13GJ口の周りをべったべたにしてるインキュバスきゅん(*´Д`)ハァハァ15 名無し@モン虐このふかふかのやつ美味そうなんだけど何食べてんの?16 名無し@モン虐焼きまんじゅうだな群馬名物肉まんのまんの部分だけにタレ塗って焼いたような食い物17 名無し@モン虐なにそれ絶対うまいやん18 名無し@モン虐インキュバスきゅんの口の周りのべったべたをぺろぺろしたいんご19 名無し@モン虐>>18それは引く20 名無し@モン虐>>18それは引く21 名無し@モン虐>>18それは引く22 名無し@モン虐モン虐2年生のワイ、いまだに住人の感覚がつかめない23 ピーピング亀吉>>18あの、そういうの見たいです24 名無し@モン虐おおっと、ここで亀吉の登場だッッ!!25 名無し@モン虐亀吉パイセン、どういうところが刺さったのかひとつ教えを願います26 ピーピング亀吉はい、すみませんそれじゃ、アレなんですけど汚いおっさんがですねあっ、悪口のつもりじゃないですよああいうきれいな男の子のですね口の周りをべろべろ舐め回すんですよ男の子は気持ち悪くて口をぎゅっと結んでるんです快楽堕ちとかは絶対ないです気持ち悪いだけですからで、タバコ臭い唾液にべちょべちょにされるんですよもう涙目ですでも男の子は男の
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第42話 有象無象がごちゃごちゃしてても撮れ高がない

 ――眼になるか? そんな声が聞こえたのは、小学校の女子トイレだった。 旧校舎のトイレはくみ取り式で、そのまま中に入れるのだ。 じっと上を見上げていたら、ぐにゃりと視界が歪んだ。 しゃがみ込んでいた仁美ちゃんが、きゃっと悲鳴を上げて立ち上がった。 おしっこが足にかかって慌てているみたいだ。 ああ、それが見たい。 便槽の中からじゃ、上の様子は見えないんだ。 ――眼になるか? また、謎の声。 眼になるってどういうことだろう? わからないけど、それになりたい気もするし、それだけじゃつまらない気もする。 ――面白い。ならばこうしてやろう。 頭痛。 目の奥がみちみちと痛む。 視界がどんどんくっきりしていく。 左右の眼球が自由に動かせる。 指が壁に張り付く。 便槽の壁を這う。 するする登る。 仁美ちゃん。 太ももを拭きながら、怯えてる。 トイレの壁を這う。 天井に張り付く。 仁美ちゃん。 へたり込んで、自分のおしっこでスカートを汚してる。 仁美ちゃん。 四つん這いで逃げていく。 オラは天井を這う。 仁美ちゃん。 トイレットペーパーがしっぽみたいに付いてる。 仁美ちゃん。 膝まで下げてたパンツのせいで上手く動けない。 仁美ちゃん。 旧校舎から外に出る。 仁美ちゃん。 ひゅーひゅーと息をしている。 仁美ちゃん。 新校舎が見当たらなくて困ってる。 仁美ちゃん。 手近に下り階段を見つける。 仁美ちゃん。 パンツを上げて、階段を降りていく。 仁美ちゃん。 泣いている。 仁美ちゃん。 しゃくり声を上げている。 仁美ちゃん。 猿みたいな怪物に襲われる。 仁美ちゃん。 必死に両手を振り回す。 仁美ちゃん。 組み伏せられる。 仁美ちゃん。 仁美ちゃん。 仁美ちゃん。 仁美ちゃん。 仁美ちゃん。 オラはダンジョンの天井に張り付いたまま、あふぅとため息をついて、絶頂した。 * * * あれから何年が経っただろう。 ダンジョン震災が起きて、地上がめちゃくちゃになって、オラの目がカメラドローンになって、配信者を撮るようになって、オラも配信者で。 よくわからない。 でも、そういうのにこだわるのはやめた。 オラは、オラの撮りたいものを撮るだけだ。【はーい
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第43話 最前列が全滅しました。第二陣、確保願います。後衛は支援魔法を

 盾。盾。盾。盾。盾。盾。盾。盾。盾。盾。 盾の群れが押し寄せてくる。 牙を突き立て斬撃を伝導す。 ぼろぼろと首が落ちていく。 アルプは血を操って曲がった刃物にしている。 盾を迂回して切りつけている。 また新しいスキルに目覚めていたようだ。「やめなされ、やめなされ。よそ見はやめなされ」 魚じじいはうしろで腕を組んで観戦している。 相変わらず表情は読めないが、声は楽しそうだ。 いい加減にしやがれ。「おい、じじい! テメエも手伝え!」「ほぉっほぉっほぉっ、まだ団子が腹にたまっておってのう」「やかましい!」 頭にきたので、せき止めていた流れを変える。 じじいの方に配信者が向かうようにしてやった。 下手をすると俺が囲まれる危険もあるが、あのじじいだけ高みの見物ってのは納得がいかねえ。「仕方がないのう。腹ごなしの運動でもするかの」 魚じじいが掌底を放つと、数人の配信者がまとめてぶっ飛ぶ。 ったく、最初からマジメにやりやがれってんだ。【最前列が全滅しました。第二陣、確保願います。後衛は支援魔法を】 盾持ちの雑魚を蹴散らしたら、今度は素手の集団が迫ってくる。 全身がきらきらとマナの光を帯びている。 さっきの雑魚どもよりも数段格上。 そのうえ、<筋力増強><速度向上><防御硬化>といったバフを受けているようだ。 だが、そんなものは関係ねえ。 盾持ちよりもやりやすい。 伝導すまでもなく、首をすっ飛ばしていく。 アルプも武器を短剣に持ち替え、一振りごとに首をすっ飛ばす。 じじいも手刀で配信者どもの首をすっ飛ばしている。【えー、魚人がかなりの高レベルのようです。後列B班のみなさん、左翼に加勢してください】「ほぉっほぉっほぉっ。やめなされ、やめなされ、こんなじじいに構うのは」 そんなことを言いながら、魚じじいの声には喜悦の色が混じっている。 正円の目玉が戦いの愉しみに濡れている。 手刀で首を跳ね飛ばし。 掌底で胸を陥没させ。 足刀で胴を両断し。 踵で顔面を潰す。 俺も負けちゃらんねえな。 俺はじじいやアルプのように器用じゃねえ。 牙を振るう。 牙を振るう。 牙を振るう。 牙を振るう。 ひたすらそれだけだ。 ひたすら足元に生首をためていくだけだ。【えー、B班、C班の方が全滅しまし
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第44話 市ヶ谷臨時政府広報よりお知らせです 

【モン虐民】インキュバスたん、(*´Д`)ハァハァ 59【大量虐殺】1 名無し@モン虐だがモン虐は滅びぬ何度でも蘇るさ!2 名無し@モン虐目が、目がぁぁああ3 名無し@モン虐40秒で支度しな!4 名無し@モン虐モン虐民が死んでも、わたしは元気です5 名無し@モン虐なんでモン虐民すぐ死んでしまうん?6 名無し@モン虐それにしてもインキュバスきゅんも強くなったねえ7 名無し@モン虐血まみれ☆オレンジロードに捕まっていた頃がなつかしい8 名無し@モン虐いまだったら瞬殺だろうな9 名無し@モン虐みんなが付け狙うから鍛えられたんやねつまりインキュバスきゅんはモン虐民が育てた10 名無し@モン虐あながち間違いとも言えないのがなあ11 市ヶ谷臨時政府広報当該インキュバス(識別名称イ=九號)に対し魔王認定が行われました。◯月△日より勇者小隊による駆除作業を実施します。当該ダンジョンにアタック予定のある方は、日にちを変更するなどのご協力をお願いします。分析によりますと、イ=九號はテイマータイプです。強力なラミアとマーマンの使役が確認されております。見かけた際は決して近寄らず、当局までご連絡ください。いつもご協力いただき、誠にありがとうございます。12 名無し@モン虐なんぞこれ?13 名無し@モン虐政府広報やろ14 名無し@モン虐だからそれがなんぞってなんで市ヶ谷なん?15 名無し@モン虐国会議事堂とか首相官邸とかまとめて消えたやんんで、市ヶ谷の自衛隊が臨時政府を名乗った16 名無し@モン虐正確には防衛省な名目上トップは防衛大臣だけど実質、陸上幕僚監部が指揮を取ってる17 名無し@モン虐ほえー18 名無し@モン虐はえー19 名無し@モン虐ふえー20 名無し@モン虐そんで、魔王認定って何なん?21 名無し@モン虐魔王に認定されたってこと22 名無し@モン虐それはわかるわw魔王に認定されるってどういうことかって聞いとんねん23 名無し@モン虐人食い熊に名前がつけられて駆除対象として山狩りが行われる的な24 名無し@モン虐勇者小隊ってのは?25 名無し@モン虐小人さんの軍隊親指くらいの兵隊さんがちょこちょこ走るの26 名無し@モン虐なにそれかわいいかよ2
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第45話 部下には<ゴム人間>と<ピアニスト>が配属された

 199X年X月XX日、その異変は起こった。 レーダー網が機能しなくなり、GPSも無効になった。 無線通信そのものは生きているが、他基地との連絡がつかなくなった。 緊急事態と判断し、ヘリを飛ばして周辺を偵察した。 北東には東京ドームがあったはずだが、中東風の巨大な宮殿がそびえていた。 西には新宿御苑があったはずが、広大な砂漠が広がっていた。 東の皇居があったはずの場所は火山が火を吹いており、国会議事堂や首相官邸のある永田町は底も見えない谷となっていた。 駐屯地の中には奇妙な穴ができた。 地盤沈下などによるものではない。 階段があり、明らかに人工的なものだった。 一小隊でその穴を調べることになった。 特殊作戦群の一員であった私が隊長に選ばれた。 そこは奇妙な野生生物で溢れていた。 現実には存在しない、物語の中にしかいないはずの怪物たち。 89式5.56mm小銃をマガジンが空になるまで撃ち込んでも倒れない巨人。 01式軽対戦車誘導弾を叩き込んでもびくともしない恐竜。 軍事の常識が通用しない怪物たちに我々は苦戦した。 そのうちに、ガソリンも弾薬も切れた。 ヘリも戦車も小銃も火砲もすべてただの鉄くずに成り下がった。 しかし、穴に挑まなければならない状況に変わりはない。 どういうわけだか、穴の中には資源がある。 食料や安全な水、煮炊きに使える燃料などが手に入るのだ。 ナイフや銃剣、スコップを手に穴に潜る。【お、軍人さんがおるやん】【軍人じゃなくて自衛隊やな】【一緒やろw】【ミリオタきんもw】 隊員たちが「コメント」と呼ぶ幻覚が見えはじめた。 ダンジョンリンクなるインターネットのようなものが情報機器に表示された。 ダンジョンポイントというものと引き換えに物資を売る行商人も現れた。「まいどー。メルカト寺院のもんです。入信してくれはったらご信者さん割引がつきまっせ」 行商人の男は、彫りの深い整った顔立ちをしていた。 推測だが、中東系だろうか。 売るものは普通の小麦粉やパン、香辛料などの食料品をはじめ、筆記具や衣料などの日用品、雑誌やゲームなどの娯楽品、振りかけるだけで傷が治る液体など多岐にわたった。 到底、現実とは思えない出来事の連続だった。 だから、現実離れした発想が出てきたのだと思う。「我々は、市ヶ谷臨時
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第46話 たこ焼きを食べていたら勇者に襲われる世界線

 ほふほふと湯気を吐きながら、俺たちは魚じじいの持ってきた土産を食っていた。「あっふ!? ほぐむぐほむ……あっついけど、おいしいね!」「あふっ……ああ、旨いな。何て料理だこれは?」「ほぉっほぉっほぉっ、たこ焼きじゃよ。最近メルカト寺院の行商が売り出したものじゃな」「メルカト?」 アルプが不思議そうな顔をする。 そうか、そういやアルプはまだ会ったことがなかったな。「商売の神を祀る連中だ。モンスターも人間も関係なく商売をしてる」「へえ、お買い物ができるってこと?」「そういうことだ。ダンジョンポイントと引き換えだがな」「ダンジョンポイント?」「俺も詳しいことはわからねえが、配信の視聴者数が多いほどもらえるもんだ」 俺は耳でカメラドローンを指す。 ったく、飯食ってる様子まで撮って何が面白れぇんだ?「ボクって、ダンジョンポイント持ってるのかな?」 アルプが頬に手を当てて小首をかしげる。 ああ、ソースで汚れちまってるじゃねえか、ったく仕方がねえ。 それを前足で拭ってやりながら続きを教える。「ステータスオープンって言ってみな」「ステータスオープン?」 アルプの声とともに、半透明の文字列が空中に投影される。 所持しているダンジョンポイントはこれに表示されるのだ。「ここに表示されるのがアルプの持ってるダンジョンポイントだ」「うーん? これってどれくらいなんだろう?」 アルプがまた首をかしげている。 数字の読み方ぐらいは発生してすぐわかるようになるもんだが、慣れていないのかもしれない。 代わりに読んでやろうとステータスウィンドウを覗き込む。【209,813,54 5,312】「んん……?」 数字が折返しになっている。 なんだこりゃ、こんなの見たことがねえぞ?「ほぉっほぉっほぉっ、なんじゃヴォーよ。数字に弱いのは治っておらなんだか」 固まっている俺の後ろから、魚じじいが覗き込む。 魚じじいの手からたこ焼きがぽろりと落ちた。「いちじゅうひゃくせんまん……いちじゅうひゃくせんまん……」 魚じじいがウィンドウに指を当てながら数えている。 俺もその指を追いながら桁を数える。 思わず何度も数えてしまう。 そして、俺とじじいの声が揃う。「「に、にせんおく……?」」「にせんおく? それってどれくらいなの?」 アルプが
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第47話 ゴームゴムゴムゴム! オレのピストルパンチをかわすなんて、やるゴムねえ

 初手、大男が投げた黒い塊が飛んでくる。 グランドピアノ。 バカでかい。 何百キロあるかわからねえ。 そんな巨塊が宙を走ってくる。「やめなされ、やめなされ。楽器を投げるのはやめなされ」 魚じじいが前に出る。 両手でピアノを受け、ぐるりと回って投げ返す。 大男が何事もなかったようにそれをキャッチする。【ピアノ投げるのかよwww】【やめなされと言いつつ自分も投げるスタイル】【テクニシャンと思わせて、実は両方パワータイプ?】 コメントが流れていく。 気がつけば、カメラドローンが何十機も集まっていた。 よほどの高レベル配信者か?「うわっ!? 腕が伸びてきた!?」「ゴームゴムゴムゴム! オレの拳銃パンチをかわすなんて、やるゴムねえ」 アルプが悲鳴を上げ、横に飛んだ。 長い腕を持つ男の拳が石畳を砕く。 まだ百メートルは離れてるぞ。 腕が伸びるスキル持ちとか、そういうのか?【出たwゴム人間w】【効かないねえ……ゴムだから!】【どん!】 わけのわからねえコメントが流れる。 うっとうしい。 集中できねえだろうが!「これより、魔王討伐任務を開始します。周辺配信者のみなさまは、決して現地に近寄ろうとせず、安全な場で配信をご覧ください」【もう始まってるんだがw】【近寄るな!絶対に近寄るなよ!】【台風の日に田んぼを見に行っちゃうやーつ】 剣を携えた男が、俺に向かって駆けてくる。 凄まじい速度。 鋭い殺気。 俺も地を這うように跳ぶ。 斬撃が横を通り過ぎる。 石畳が次々に割れていく。【おお、さすがは勇者】【チートジョブだけはある】【これで魔法も使えるんだからタチが悪い】 魔法……!? 背筋に悪寒。 うしろに大きく跳ぶ。「<霹靂顕現>!」 青白い閃光が視界を包む。 さっきまで俺がいた地面が黒く焦げる。 剣の男の魔法スキルか! 雷属性とはまた厄介だ。 受けられねえし、範囲も広い。 大きく動いてかわすしかない。【いまの魔法なに?】【勇者専用の雷魔法】【出どころが見えなかったな】【やっぱ勇者はチートやわあ】 勇者、そうか、こいつが勇者か。 俺の一族を根こそぎ殺していったのも勇者だという。 同じ勇者じゃないんだろうが、腹の奥でチリチリと火が燃えるのを感じる。
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第48話 たぶんこれが最強のイワナ坊主だと思います

 儂は50層の地底湖で発生した。 生まれたときから老爺だった。 坊主が着るような袈裟をまとっていた。 冷たい水中を自由に泳ぎつつ、地上でもとくに不自由はなかった。 あの変わった首狩り兎に出会ったのはいつだったか。 地底湖に毒を流し、水棲モンスターを大量に殺そうとした配信者がいた。「やめなされ、やめなされ」 と声をかけようとすると、配信者たちの首が落ちた。 ただでさえ丸い儂の目が、さらに丸くなった気がした。「ほぉっほぉっほぉっ、儂が手を下すまでもなかったの。若いの、感謝するぞい」「うるせえ、俺の好きでやってることだ」 数珠を持つ手で両手を合わせると、その兎は後ろ足で耳をかいた。 どうやら照れているらしい。「それじゃ、邪魔したなじいさん」「待て待て、礼をしておらん。これから飯を炊くところだったのじゃ。馳走をさせてほしいのう」「メシをたかりに来たわけじゃねえ」「ほぉっほぉっほぉっ、そうか。残念じゃのう。魚沼産の銀シャリなのじゃが」 兎の耳がピンと立つ。 どうやら気に止まったようだ。 鍋を火にかけて飯を炊く。 その間に、ぽつぽつと話を聞く。 どうやら、生まれたばかりのときに一族を配信者に虐殺されたようだった。 ダンジョンのモンスターの出自は2種類がある。 ひとつは儂のように、瘴気溜まりから自然発生するもの。 もうひとつは両親から生まれてくるもの。 兎は後者だった。「お主、種族は首狩り兎じゃろう? もっと浅層にいるものだと思っておったが」「そんなもん、誰が決めた?」 握り飯をむさぼりながら、兎が答える。 赤い瞳がぎらぎらと輝いている。 首筋に寒い風が走った気がした。 これは、面白い。「お主、ダンジョンポイントはわかるか?」「あ? なんだそりゃ?」「ステータスオープンと唱えてみよ」「はあ?」「いいから唱えるのじゃ」「なんだそりゃ……まあ、いい。<ステータスオープン>」 空中に透明な文字板が現れる。 そこに表示されたダンジョンポイントはわずか62。 駄菓子のひとつもろくに買えない額だった。「なんだこりゃ? 斬れねえし、触れねえ。何より邪魔だ」「ああ、これはじゃな――」 ダンジョンで発生するモンスターには、こうした基本的な情報はあらかじめ刷り込まれている。 しかし、親を持ち、血肉を持つモンスタ
last updateLast Updated : 2026-07-13
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