ボクは、生まれたばかりだ。 生まれたばかりで、何もわからないまま3人組に捕まって、羽を折られた。 これからひどい目にあうんだ……と泣きそうになったとき、3つの首が落ちた。 ――おい、お嬢ちゃん。大丈夫か? ボクは女の子と間違えられてたらしい。 それからぴょんたんと跳ぶ背中を追いかけて、青く光るきれいな泉についた。 ――あんた、インキュバスかい?「うん」と答えたけど、本当のところはわからない。 ボクは何にも知らないし、何にもわからなかった。 ヴォーさんは、そんなボクに色んなことを教えてくれた。 ヴォーさんがいなければ、ボクはとっくに死んでいたのだと思う。「俺は手出しも口出しもしない。一人でやってみろ」 ヴォーさんは、出来ないことは言わない。 ボクにできると信じているから、一人でやれって言ってるんだ。 だからボクは、2本の短剣を握りしめて前に立つ。 目の前からは、ギャリギャリと石畳を削りながら進むきれいな女の人。 削っているのは奇妙な武器。 よく見えないけど、たぶん小さな刃がぐるぐる動いてる。 防具らしいものは見えない。 人の顔をたくさんつなげたような変な服を頭からかぶってる。 でも、油断しちゃいけない。 魔法がかかっているかもしれないし、服の下に別の防具があるかもしれない。 これも、ヴォーさんが教えてくれたこと。「愛っ! 愛ですのねっ!?」 女の人が武器を振り上げて襲いかかってくる。 とっさに身体を引いてかわす。「愛っ! 愛っ! 愛っ! 愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛っっ!!」 かわす、かわす、かわす。かわすかわすかわすかわすかわす。 大きく身体が泳いだ隙を狙って短剣を振るう。 右の肩を切り裂いた。 でも手応えは少し。 たぶんかすり傷。「あああああああああああああああああ愛っ!? タカシの愛がっ!? タカシっ!? タカシィィィイイイ!?」 女の人は、狂ったように武器を振るう。 ボクはそれを必死で避ける。 武器が石畳や壁を削って火花を散らす。 その隙にボクは短剣を振るう。「ヒロシがっ!? カナメがっ!? ユウゾウがっ!? ヒロミがシゲルがヨシヒコがミツルがノリユキがジュンイチがマサキがタクトが教父様がっ!?」 浅手を負わせるたび、女の人が狂う。 武器を振るう速度が上がる。 ボクは嵐に翻
Last Updated : 2026-07-13 Read more