王族、及び王党派貴族への嫌がらせを開始してから数ヶ月が経った。 戦闘員も30人まで増員しており、我らがジャークダーの成長は順調である。 お父様から改めて話がしたいと呼び出されたのは、そんなときのことだ。 やばい、さすがに予算使いすぎたかな……。戦闘員全員の給与に全身タイツの費用、キルレイン様コスチュームの再現にもかなりの金がかかった。お抱えの魔道具技師も私が依頼したアイテムの開発で手一杯みたいだし、甲冑師もフル稼働状態である。 「イザベラよ、作戦はなかなか順調なようだな」 叱られる覚悟をして執務室に入った私を迎えたのは、予想外に上機嫌なお父様の声だった。「はい! お父様のご支援のおかげで、作戦は順調に進んでますの!」「うむ、連日の宴席への遅刻、落書きなどもあって王家とその飼い犬どもはすっかり笑いものよ。この父も、がらにもなく宴席で噂話を楽しむようになってしまったわ」 ガッハッハ、と顎髭をしごきながら豪快に笑うお父様。 ヴラドクロウ家は質実剛健を以って旨とする家風だ。華美なパーティや益体もない噂話などは好まないのだが、そのお父様がこんなことを言うくらいだから、作戦はかなり効いているのだろう。「でもお父様、わたくしからこんなことを言うのもなんなのですが……予算の使いすぎということはないでしょうか?」 気になっていることは自分から先に尋ねることにした。 お父様が上機嫌なうちに、話しづらいことをさっさと済ませてしまおうという目論見である。「金のことなら気にするな。今年は小麦の出来がよくてな。それに黒百足殿の仲介ではじまった南方交易も軌道に乗っておる。なんなら作戦がはじまる前よりも当家の財政は潤っているほどだ」 黒百足こと、裏町の顔役であるニシュカは協力者としてお父様にも紹介済みである。もともとシノギとして南方との密貿易があったらしいのだが、禁輸品の中には「なんでこんなものが禁止なの?」と疑問なものが多かったのだ。 麻薬のたぐいはともかく、サンゴやシナモンやらが禁輸だったのはわけがわからん。高くなるけど他の国を経由すれば輸入できるし。たぶん、ずっと昔に決まってそれがなんとなく続いてきたのだろう。 お父様は議会に働きかけてそれらの品目の禁輸を解き、ニシュカがすでに築き上げていた交易網を借りて正式な商売として大々
Dernière mise à jour : 2026-07-13 Read More