Tous les chapitres de : Chapitre 41 - Chapitre 43

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第41話 侍女パルレは見た!(後日談)

 ヴラドクロウ家の使用人、パルレ。 長女イザベラ・ヴラドクロウの付き人であり、幼い頃は遊び友達として、長じてからは侍女として仕え続けている。姓がないことからもわかるとおり、彼女は平民の出だ。魔物に襲われた村の生き残りで、ヴラドクロウ家に拾われて育ったのである。 イザベラは昔から破天荒な性格だったが、例の婚約破棄があってからさらに一皮むけた……というかはっちゃけていた。それまで以上に無茶をするようになったし、「トクサツ」とかいうよくわからないことについて語り出すと止まらなくなった。 ショックで変になってしまったのか……と心配したこともあったが、無茶苦茶ではあるものの話を聞くと理屈は通っているから余計に不思議だった。 事実、『プロジェクト・ジャークダー』は大成功を収め、ハレム王家を追い出してこの国の女王に君臨してしまったのだから恐れ入ると言うほかない。 ……しかし、いまのパルレにとって一番の関心事はそんなことではない。「キルレイン陛下! 頼まれていた書類できたっす!」「うむ、ありがとう」「あとついでに街で評判のお菓子を買ってきたっす! 休憩にどうぞっす!」「お、おお、すまないな。あとで頂くとしよう」「すっすすっす」と奇妙な口癖が抜けない全身黒タイツはマサヨシだ。 ジャークダーの平戦闘員だったのだが、イザベラは詳しく語ってくれないが、先の戦で大手柄を挙げたらしい。そのうえ、物覚えがよく読み書き計算もあっという間にマスターした。 そのため、いまでは女王の筆頭補佐官として働いている。生真面目な性格でみんなに好かれており、古参(といってもせいぜい数ヶ月の差だが)の戦闘員たちもマサヨシの大出世を心から祝っていた。 ……そして、そんなこともパルレにはどうでもいい。 パルレはティーワゴンを押して執務室に入った。「お嬢様、お茶を淹れてきました。そろそろ休憩におやつでも……あら、マサヨシさん、いらしてたんですね! わあ、お土産のお菓子まで! よかったら一緒にお茶をいかがですか?」「えっ、いいんすか? キルレイン様は忙しいんじゃ……」「お嬢様もかまいませんよね?」「あ、ああ、もちろんかまわんぞ。ちょうど小腹が空いてきたところだ」 イザベラが真っ赤な顔をぶんぶんと振っている。 十年以上仕えてきたが、こんな表情のイザベラを見るのははじめて
last updateDernière mise à jour : 2026-07-13
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第42話 もしも前世がヒーローだったら(IFエンド)

※IFエンドです。 最終決戦で思い出した過去がもし〇〇だったら……というやつ。 プロット段階では候補として存在していた世界線となります。 本編とは矛盾する部分が生じますが、細けえことは気にすんな!の精神でお願いします。───────────────────■イフエンド:前世は正義のヒーローでした 幾千、幾万の魔物たちが王都に押し寄せている。 その光景に、頭の芯が灼かれるような既視感をおぼえる。 ――そうだ……あれは、ジャークダーとの最終決戦のあと…… 私は、ジャークダーとの決戦を終えて、ジャスティスイレブンを辞めた。 ジャークダーはたしかに人類に仇なす悪だった。 しかし、決してわかり合えない存在でもなかったはずだとわかってしまったのだ。 ジャークダーにはジャークダーの正義があり、そして仲間同士の友情もあった。 あのマサヨシという戦闘員が、キルレインを身を挺してかばったところで、私は、私の殉じる正義に確信を持てなくなってしまったのだ。 本部にジャスティスバングルを置き、誰にも告げずに行方を眩ました。 身分を詐称し、地方都市のスナックで働きはじめた。 水商売ははじめてだったが、お客さんには意外に可愛がられた。 そのうち常連客のひとりから「うちで働かないか」と誘われ、小さな広告代理店に入社した。 慣れないデスクワークには苦労したが、体力だけは自信がある。 必死で仕事に食らいついた。 そのうち、とある企画を任された。 全国で活躍する正義のヒーローたちのグッズ企画の案件だ。(ここでも正義のヒーローか……) 思わず苦笑いしてしまったが、社運のかかったプロジェクトらしい。 社長に恩返しするためにも、私は寝食も忘れて各地のヒーローについて研究し――ているうちに、すっかりオタク化していた。 それまでずっと「中の人」だったから気が付かなかったが、一歩引いて外から眺めていると、私がかつて信じていた正義もそう捨てたものではなかったらしい。 そして数は少ないが、ジャークダーにもファンがいたことを知った。あの戦いで散った彼らの想いに共感するものがいたのだとわかると、なぜだか救われた気がした。 SNSでぽつりぽつりと彼らの思い出をつぶやくと、意外にも反響を呼んだ。 悪の秘密結社としては異例なことに、ジャークダーのグッズも大量に作られた。そ
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第43話 もしもきれいなネトリーだったら(IFエンド)

※IFエンドです。 第33話で語られた事件の際、もしもネトリーが踏みとどまっていたら……という場合のストーリーです。 婚約破棄すら発生しない、まるきり別の世界線としてお楽しみください。───────────────────■イフエンド②:きれいなネトリー 警戒心なんて欠片もないマリアンヌの背中。 ネトリーの視界の端に、折れた木の枝が映る。 拾う。 重い。 硬い。 マリアンヌの背後に立つ。 枝が、振り上げられない。 そのまま、固まる。  背後の気配を感じたマリアンヌが振り返った。「どうしたの、ネトリー? 水が冷たくって気持ちいいよ!」「えっ!? あ、ええと、なんでもないよ。それより、手がかりもないところでそんな風に顔を洗ってたら落っこちちゃうよ。ほら、これを杖にして」 拾った枝をマリアンヌに差し出すと、彼女は「ありがとう! でもそれはネトリーが使って!」と断った。 ネトリーは枝を泉に突き刺し、それを掴みながら片手で顔を洗う。 本当だ、冷たくて気持ちがいい。 沸かさずに飲んだって大丈夫そうな水だ。 顔を洗うたびに、何かが流れ落ちていく。 目の腫れが引いていく。 さっぱりした気持ちで立ち上がると、マリアンヌがハンカチを貸してくれた。 * * * ――数年後。貴族学校にて。「きゃー! ネトリー、ひさしぶりー!」「ちょっ、マリアンヌ! 抱きつかないでよ! 田舎者だと思われるじゃない!」「いいじゃない、田舎者なんだし」「私はライブラで1年以上も暮らしてたの! 王都なんかよりもずっと進んだ街なんだから」 貴族学校の門を潜ったネトリーに、薄紫色の髪をした少女が飛びついてくる。 学術都市とあだ名されるライブラの神学校で主席となったネトリーは、留学生として貴族学校に編入することになった。 ネトリーの専門は農学だ。3年前の魔虫の被害で王国が被った被害は甚大だった。実家や、故郷の村々を守るために、この世界の農業を改善したいと思ったのだ。 前世で農業をしていたわけではない。ライトノベルでノーフォーク農法だとかなんだとかを読んだことがある程度で、そんな知識が役立つわけもない。ゼロからの積み上げだ。 今回の留学は、そんな研究姿勢が耳に入ったとある大貴族からの推薦でなったことだ。王家を除けばこの国で一番の権勢を誇るその貴族家は、
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