夜の採石場跡地。 演台に立つ私の眼前には、大勢の戦闘員や怪人がひしめいている。 私は東方の酒で満たした盃を片手に持ち、それを高々と掲げた。「それでは、アホボン王子の廃嫡を祝って、かんぱーい!」『イーッッッ!!』 音頭に合わせて一斉に祝杯を上げる。 例の裁判から1ヶ月後、イログールイの廃嫡が正式に決定され、弟のシキマーが王位継承権第1位に繰り上がった。シキマーはシキマーで評判が悪く、さっそくアホボン2号というあだ名が広まりはじめている。平民の悪口というのはひねりがない分、かえって破壊力が高い。「ははは、まさか2年とかからずここまで至るとはな。この父も……いや、この将軍怪人オトーサマーも鼻が高いぞ!」「ふふふ、すべてはオトーサマーの助力あってのこと。まったくかたじけない」「「はっはっはっ!」」 今日は採石場跡地の秘密基地でのパーティだ。 今回は特別ゲストも招いている。ひとりはお父様。家伝の鎧にさまざまなオプションパーツをくっつけた衣装を身にまとい、将軍怪人オトーサマーとして参加している。 これまで姿は現さなかったが、別働隊を率いてジャークダーの活動を影から支えていた……という設定である。侍女怪人ジージョ・レディに続くオリジナル怪人の第二弾だ。名前が安直なのは、私がつい「お父様」と呼んでしまいそうなので、それを誤魔化すためである。「旦那も嬢ちゃんも、何を遊んでるんだい」 暗赤色の甲冑に身を包む、長身の女怪人がジョッキを片手にやってきた。 昆虫の百足を連想させる鎖を全身に巻き付けた彼女の名は百足怪人センチピードレス! 昭和としては非常に珍しい、日焼けした長身の女性モデルを採用したことでも話題となった悪の女幹部のひとりだ。鎖の隙間から見える褐色の肌が非常にセクシーである。うむ、モデルと言い、衣装といい、パーフェクトな出来栄えだ。 なお、中の人はニシュカである。「おお、百足殿。なかなか似合っているではないか」「なんだかんだ旦那もノリノリじゃねえか。血は争えないってやつかねえ」 ニシュカが私とお父様を交互に見比べる。 そうか、特オタの遺伝子はヴラドクロウ家に伝わるものだったんだな。ひょっとしたらお父様も前世の記憶を引き継いでいたりするかもしれない。折を見て聞いてみるか。 なお、百足怪人センチピードレスは将軍怪人オトーサマ
Dernière mise à jour : 2026-07-13 Read More