「ご主人、もう1.2度左です」「こう?」「照準合いました。ミリーさん、お願いします」「了解です!」 ドン! と音がして銃口から弾丸が発射され、竹林に隠れていたトカゲゴブリンの眉間に穴が開く。うむ、ビューティホー。 わたしとミリーちゃんはいま、竹で組み上げられた物見櫓の上にいる。エルフ村のあちこちに立てられていて、外敵が襲ってきたときに弓矢で反撃するためのものだ。「まったく、見事な腕前だな。我々エルフの弓でもこうはいかんぞ」「いや、マーシャルさんが風を停めてくれているおかげです」 わたしたちの他にもうひとり、マーシャルさんが物見櫓に立っている。狙撃の成功率が高まるよう、風の精霊術でサポートしてくれているのだ。 エルフ村からの脱出が容易ではないとわかって、わたしたちが考えた作戦がこれだった。逃げるのは難しい。相手の戦力がわからない以上、総出で討って出るのも博打。となれば確実に相手の戦力を削っていくしかないだろう。 幸いにして、わたしたちには高性能索敵装置と狙撃に適した魔法銃がある。わたしがセーラー服君の指示に従って照準を合わせ、ミリーちゃんが魔力を流して発射するという分業で狙撃を行っているわけである。 物見櫓からの狙撃はエルフたちも試みていたそうなのだが、弓矢ではどうしても初速が遅く、少し距離が離れるとかわされたり防がれたりして十分な戦果を上げられなかったとのこと。 魔法銃は一丁しかないが、一射一殺で仕留められているので効率が段違いだ。まだはじめて数時間も経っていない作戦だが、もう二十体以上のトカゲゴブリンを仕留めている。「正確には二十三体ですね、ご主人。これで推定敵戦力の4から5%は削れたものと思われます」 はいはい、曖昧なカウントですみませんね。セーラー服君が正確に数えてくれるので助かっておりますよ。 敵戦力についてはあくまで推定であるので過信はできないが、当てずっぽうというわけではない。まず、この村で戦力として数えられるエルフは150名ほど。敵が力押しで攻めてこないということは、それを一気に揉み潰せるほどの戦力はないはずだ。 地球での話だが、「城攻めには3倍以上の兵力がいる」と言われている。もしそれを相手が踏まえているのであれば、精々400体から500体程度なのではないだろうか。この世界でも似たような格言があるら
Last Updated : 2026-07-13 Read more