大ゴブリンの緑色の皮膚が内側から押し上げられたように波打ちはじめる。皮膚が盛り上がるたびに、ウロコが松かさ状に逆立つ。「ごれ゛……おま゛……なにを飲まぜだ……?」「ちょー強くなるおクスリぃー」 関節までぶくぶくと膨らんだ大ゴブリンが、緩慢な動きで浅黒女に掴みかかる。浅黒女は余裕をもってそれを避け、数回飛び退いて距離を置く。「強くなるけどー、代わりにすんごくおバカになるみたいー。じゃー、あーしはこんなところでしっつれーい」「ぎざ……謀ったな゛……」 浅黒女が壊された北門に向かって走り去っていく。 大ゴブリンはそれを追って一歩、二歩と進み、膝をついた。排水溝から水が逆流したような音が喉から鳴っている。四つん這いになり、そらから背骨が折れるのではないかと思うほどに背を反らす。脇腹がひび割れ、引き裂け、しわだらけの赤い肉が露出した。 古代魚のエラを思わせるそれは規則的に脈動し、例えようもない色の粘液を垂れ流す。さらに背を反り、バキバキと硬いものが折れる音が響く。大ゴブリンの腹が割れ、中から内臓がこぼれだす。あふれた腸はビクビクと震えると、あちこちに無数の腫瘍が生じ、幼児が粘土で作ったような、かろうじて人面に見える何かを無数に形作った。 ついに大ゴブリンの後頭部と臀部が接触する。両手が地につき、腹を天に向けた四足の生物のような姿となった。胸が真ん中から割れて肋骨が飛び出し、尖った先端が不規則に四方に向けられたままゆらゆらと動いている。 割れた胸の奥から赤い何かが飛び出し、周辺に倒れていたトカゲゴブリンの死骸を引き込む。まるで昆虫を捕らえるカエルのようだ。数体の死骸を体内にしまい込むと、無数の肋骨が内側に折りたたまれ、ごりぼり、べちゃぐちゃと汚い音を立てる。「うべぇ……うめ゛……うめ゛ぇぇぇ……」 逆さまになった大ゴブリンの顔が喜悦に歪む。本来、口であった部分から大量の涎があふれ、頭頂に向かって垂れ流される。 トカゲゴブリンの、そして同じく倒れたエルフの戦士たちの死骸を次々に取り込み、背側に二つ折りになった大ゴブリンが肥大化していく。激昂したエルフたちが次々に矢を打ち込むが、人面つきの腸が振り回され、それを叩き落とす。 形状こそまるで違うが……これは選考会の馬頭ゴブリンと同じ現象だ。どういうわけだが知らないが、ボルデモンの
Last Updated : 2026-07-13 Read more