「あー、天王寺さん。今日は女子会なので、女子だけでよろしくやってるので、そういうことでひとつよろしくお願いします」「そう堅苦しいこと言うなよ! オレとみさきの仲じゃないか!」 どういう仲だよ。わたしはお前を木槌でぶん殴った記憶しか残してないぞ、意図的に。 空気を読めない熱血イケメンが椅子を引っ張ってきてわたしとミリーちゃんの間に割り込もうとする……が、ミリーちゃんが強烈な肘打ちを入れて熱血イケメンをブロックした。焼酎ハイボールのジョッキを取る動作でカモフラージュしていたが、これは完全に狙っている。さすがはミリーちゃん、さすミリ。「おっと、ごめんな! ぶつかっちまった。でもこいつを落とさなくってよかったぜ。せっかくだから差し入れに持ってきたんだ!」 熱血イケメンが掲げた片手には、真ん中を太い骨が貫通した馬鹿でかい肉が握られていた。あー、これ、酒場に入る前に屋台で売ってるのを見かけて買おうかどうか悩んだやつだ。ビジュアル的にはザ・マンガ肉である。 ただ、さすがにこれを食べたら他のものが入りそうにないと思って断念した一品である。酒場に他で買った食べ物を持ち込んでいいのかという日本的常識が邪魔したのもある。店員さんも咎める様子はないし、持ち込みはとくに問題ないようだ。「火牛っていうここらへんでしか育たない家畜の肉なんだってさ! オレもこっちに来るのははじめてだし、せっかくだからみんなで食おうと思ってよ!」 肉の存在に気がついたミリーちゃんがそそくさと空間を空ける。おーい、ミリーちゃん、食い気より大切なものはないのかい? 熱血イケメンはミリーちゃんが譲った空間に椅子を滑り込ませると、「ありがとな!」と白い歯を輝かせたスマイルと共にどっかり座った。ついでにテーブルの中央にあったサラダの皿にどっかり肉も載せる。ふむー、悔しいが、ビジュアル的にはたいへん素晴らしい。 どうして熱血イケメンが南方にいるのかといえば、武術大会準優勝……認めたくはないが、人気的には優勝の実績をもって王国正規軍への就職が無事にかなった結果なのだ。 通常であれば準騎士やら騎士見習いやらとして礼儀作法から叩き込まれるそうなのだが、その高い戦闘力を買われていきなり正騎士に抜擢され、今回の偵察部隊へ組み込まれたらしい。まぁ、実際強いしね。道中でも変身しな
Last Updated : 2026-07-13 Read more