「むっはー! おいしそう! どうしてさっきは作ってくれなかったんですか!」 眼前のナポリタンによだれを垂らしつつ、トウカが文句を言う。 右手にフォーク、左手にスプーンを持って戦闘準備は万端だ。「レギュラーメニューじゃねえからだよ。レバーだって本当はレバニラ用の仕込みでえ」「むむむ、どうしてメアリーちゃんたちだけ特別扱いなんですか!」「お、おう。トウカ、マジで言ってるならさすがのあっしも引くぞ。こいつらァどう見たってオメェより何歳も年下じゃあねぇか」 トウカは首を回して黒い少年と白い少女を見る。 二人とも、どうやら小学校高学年からせいぜい中学に入ったところだ。 トウカはだらだらと汗をかきながら、フォークとスプーンをカウンターに置いた。「じょじょじょ、冗談ですよ! そそそ、それで、どうしてレバカツなんて作ったんです? 子どもには食べにくいんじゃないですか?」「ああン? だからカレーで味付けしたんだろうよ」「そうじゃなくて、そもそも他のものを作ってあげれば」「栄養バランスだよ。え・い・よ・う・バ・ラ・ン・ス。お嬢ちゃんは貧血でふらついちまったみてえだし、小僧の方も青っちょろい顔しやがってよう。どう見たって血が足りてねえだろうが。レバーはな、鉄分が多い上に吸収率も高い。貧血の予防にぴったりなんだよ」 その言葉を聞いたレヴナントがキッとリョウコをにらみつける。「血が足りぬだと……我を愚弄するか!」「なんで血が足りねえと馬鹿にしたことになるんだよ。まあいいや。ほれ、お嬢ちゃんも食えそうだったら味見してくれよ」 リョウコはレヴナントの怒声を聞き流し、横になっているメアリーに声をかけた。 それに対してメアリーは弱々しい声で応じる。「うっ、うう……。でも、わたくしはこんなものを食べるわけには……」「あー、しゃあねえな。おう、トウカ。冷める前に先に食っちまえ」「えっ、私が!? あっ、あっ、でも、せっかく作ってくれたお料理ですもんね。け、決して私が意地汚いわけじゃないですよ? リョウコさんを気遣って食べるんですからね!」「ごちゃごちゃうるせえなあ。いいからとっとと食いやがれ」 リョウコに促されたトウカが、ナポリタンの山にフォークを突き込み山肌を削り取る。具材を巻き込みながらぐるりぐるりと麺を絡め取り、口いっぱいにそれを頬張った。「むっはー!
最終更新日 : 2026-07-13 続きを読む