「リョウコ様、このたびはありがとうございましたの。ご恩は必ずお返ししますわ」「くくく、これは借りにしておいてやる。いつか相まみえるその日までな!」「おいおい、ちょいと待ってくれよ。せっかく来たんだからメシくらい食っていきなって」 レヴナントがぶわっとコウモリを発生させて消えようとするのを、リョウコが引き止める。「ちょうど試してる最中の料理があってなあ。味見をしてくれると助かるんだよ」「なっ、リョウコ様のお手伝いができるのですか! それならばぜひ!」「くくく、そこまで言うのならば味見とやらをしてやろう。これで借りはひとつ返したぞ」 とある事件がきっかけで、メアリーはリョウコに心酔し、隙あらば弟子入りしようとしている。 そしてレヴナントは主君が心酔するリョウコをライバル視しているのであった。「それでどんなお料理を作るんですか?」「それは出来てのお楽しみ……ってほどのもんでもねえな。カツ丼だよ」「カツ丼? カツ丼ならもうメニューにあるじゃないですか?」「それにもうひと工夫したいっつう話だ」 新作料理の味見と聞いて、よだれを垂らしているのはトウカである。 このところ、暇さえあれば間田木食堂に入り浸っているのでレギュラーメニューは一通り食べてしまっていたのだ。「ま、まずはスタンダードなカツ丼からだな。食べ比べてもらうのが一番わかりやすいだろうよ」 そう言ってリョウコは冷蔵庫から豚のロース肉を取り出す。 包丁の先で筋を切り、肉たたきで伸ばしたらまた肉を寄せて整形した。両面に小麦粉をはたき、卵液にくぐらせたら荒く挽いたパン粉をぎゅうっと押し付けていく。「そういえば、パン粉はふんわりつけるって聞いたことがある気がするんですけど、リョウコさんはぎゅぎゅって押し付けるんですね」「フライの揚げ方にも色々あるからなあ。あっしは衣が厚めに付いてる方が好きだからこうしてるが、薄衣にするならもっと細かいパン粉をふわっとつけた方がいいな。天ぷらなんかだと揚げてる途中に衣を垂らして、大きくするやり方もあるぜ」「へえ、揚げ物にも色々あるんですねえ。あれ、でもリョウコさんのお店は天ぷらってやってないですよね。なんでです?」「うちは揚げ油にラードを入れてるからな。ラードはうっすら甘くて香ばしいからとんかつやらフライには向くんだが、天ぷらだとくどくなっちまう。サラ
最終更新日 : 2026-07-13 続きを読む