翌日からは、まるで地獄のようだった。 鳥が鳴き始めるよりも早く、頭痛が僕を眠りから引きずり出す。 こめかみの奥で、鈍い鐘を打ち鳴らされ続けているような痛み。それだけならまだ耐えられた。けれど実際には、そこへ尋常ではない倦怠感と、眼球の奥を直接握り込まれるような痛みが重なってくる。 地獄、という言葉を使わずにこの状況をどう言い表せばいいのか、僕は知らない。 一連の流れは、あの日からずっと同じだ。まず、身を起こすことさえままならない。布団が水を吸った綿のように重く、自分の身体までその一部になってしまったんじゃないかと錯覚する。 ――御霊見を発現した反動です。 美琴はそう言っていた。言っていたけれど、これほど酷いものだとは夢にも思っていなかった。 どうにか布団から身体を引き剥がし、洗面台の前に立つ。 鏡の中では、瞼の下に酷い隈が沈んでいた。夜の色をそのまま塗り込めたような、濃い影。僕は毎朝、それを指で一度なぞって確かめる。まだ、あるな──と。まるで消えない痣の安否確認だ。 顔色からは血の気が抜け落ちて、鏡の前に立っているこの人物は本当に自分なのかと、疑わしく感じるほどだった。 そんな生活を、どうにか続けること四日。 明日はようやく土曜日。今日さえ乗り切れば、美琴とともに風鳴トンネルへ向かえることになる。 その約束だけを杖にして、僕は重たい身体を引きずって支度を済ませ、家の扉に鍵をかけた。「うっ……」 途端、白い光が真正面から突き刺さった。 僕の家は高台に建つマンションの一室で、扉を開ければちょうど正面から朝日を受ける造りになっている。 本来なら、朝の光を浴びて自然に目を覚ませる、ちょっとした自慢の立地だった。扉ひとつで一日が始まる、そういう部屋だったはずなのに。 今の僕には、この光を心地いいと受け止める余裕なんて、どこにも残っていなかった。 。❀ 𓂃𓈒𓏸 。❀ 𓂃𓈒𓏸 。❀ 𓂃𓈒𓏸 教室にたどり着くと、翔太の次に友達歴が長い男――立花春雪が、僕の顔を覗き込むようにしてやってきた。「お! 少しは隈……良くなった、か……?」 まさかの疑問形である
Terakhir Diperbarui : 2026-08-08 Baca selengkapnya