All Chapters of 恋の才能 ~年下御曹司はバリキャリ女の私にご執心!?~: Chapter 11 - Chapter 20

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これは恋なのか? Page2

 それとこれとは話が違うんじゃない? と思いながらも、私は曖昧に頷く。彼が言っているのはあくまで恋愛的な意味であり、私が言いたいのは仕事においてというところなので、ちょっと話がズレている。「私が言いたいのはそういうことじゃなくて。あなたも社会人なんだから、無愛想でいるのはマイナスにしかならないってことよ。たとえば取引先へ挨拶に行った時、担当者の方が女性でもあなたは無愛想にふるまうの? 私が言っているのはそういうことよ」 私は二十センチ近い身長差がある長身の彼を見上げ、社会人の先輩として彼を諭そうとした「そんなことはないですけど、この会社の中だとそれは関係ないんじゃないですか? いくら僕でもTPOくらいはわきまえているつもりです」「それでも、よ。彼女たちは同じ会社で働く仲間でしょ? ましてや、あなたはここの社長のご子息。つまり、いつかはこの会社の経営に携わることになる人なのよ。そんな人が、女子社員に対してそんな態度でいいと思ってるの?」「それは……。でも、僕にとっては茜さんが特別な女性なんです。これがどういう意味か分かるでしょう?」「……」「僕は、茜さんのことが好きなんです。もちろん先輩として尊敬もしてますけど、一人の女性としても、恋愛対象としてあなたを見てるんです」「…………あの、それってこんなところで言うことかな? 私、どう返事していいか分からないんだけど」  筺の中で二人きりなのをいいことに(途中の階からは誰も乗ってこない)、愛の告白とも取れる発言をした彼に(……というか、これはもう告白以外の何ものでもないと思うけれど)、私は開いた口が塞がらない。「茜さん、僕は本気ですよ。だから茜さんも、僕と付き合うこと、少し考えてみてくれませんか? 下着姿を見せた仲じゃないですか」「〜〜〜〜っ!」 それを言われてしまうとぐうの音も出なくなり、私の顔は真っ赤になった。このエレベーターの中に他の人が誰も乗っていなくてよかったなと思う。 もしかしたら、私はとんでもない人物に弱みをにぎられてしまったんじゃないだろうか……。「……それ! ホントに誰にも言わないでよね!? 言ったら絶対に、私はあなたと付き合わないから!」「言わない、って約束したじゃないですか。僕は茜さんを脅すつもりもないですし、嫌われたくもない
last updateLast Updated : 2026-07-31
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これは恋なのか? Page4

「――この度は、当方の不手際で御社には大変なご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」 「申し訳ございませんでした!」  〈東亜商事〉で社長室に通された私と堀内くんは出されたお茶も飲まず、応接スペースのソファーで向かいに腰を下ろしている東社長とこの件の担当者である寺川さんとおっしゃる男性に開口一番お詫びした。 東社長はともかく、寺川さんは女である私が上司としてついてきたことをちょっと不快に思われているようだった。多分、「どうして女のくせにこんなに偉くなっているんだ」とでも言いたいのだろう。いつまでもアップデートできていない昭和脳なのがバレバレである。 「今後はこのような間違いがないよう、再発防止を徹底して参ります。資料の数字の誤りにつきましては、修正して本日お持ち致しましたのでご確認をお願い致します。――堀内くん」 「はい。こちらが、修正版の資料でございます。どうかご確認下さい」  彼がおずおずと差し出した修正版の資料を受け取った寺川さんは、それをパラパラとめくってうん、と大きく頷かれた。 「……はい、これでけっこうです。君もまだ若いから、多少のミスには目をつぶりますがね。今後はこのようなことがないよう、気をつけて下さいよ」 「はい。本当に、申し訳ございませんでした」 「寺川様、この度は本当に申し訳ございませんでした。上司の私から
last updateLast Updated : 2026-08-02
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これは恋なのか? Page5

「そうよね……。だとしたら、私のしたことってただの出しゃばり?」  冴島くんの言っていることは正しい。ともすれば、室長ではなく私が堀内くんと一緒にお詫びに来たのは筋が違うということになるのではないだろうか。 『そんなことはありませんよ。確かに筋は通していないかもしれませんが、堀内くんは茜さんが一緒についていったことでホッとしたでしょうし。自分が犯したわけでもないミスで理不尽に謝らなければならないという苦行にも耐えられたでしょうからね』 「うん……、確かにそうみたいね。私は上司としての仕事を当たり前にしただけなんだけど」 『その〝当たり前のこと〟ができない上司が多いんです。でも、あなたは違いますよね。自分可愛さに部下に責任を押し付ける上司が多い中で、あなたはキチンと傷ついた部下をフォローしている。茜さん、あなたのような人こそ上に立つのにふさわしい人だと僕は思いますよ』 「え……、そう? ありがとう」  堀内くんが隣にいるのに、電話口の冴島くんの声はいつものクールな感じではなく熱っぽい。私だけに見せる、あのデレの部分がダダ漏れだ。 『……とにかく茜さん、堀内くんにも伝えて下さい。「自分には責任のないミスまで、わざわざ被る必要はない」と。室長が上司だからといって、おかしいと感じたことまで言いなりになる必要はないとね。――では、お帰りをお待ちしております』  彼は一つ大きく咳払いをすると、普段のクールな調子に戻ってそれだけを一気にまくしたて、一方的に電話を切ってしまった。私に返事をする隙すら与えずに。 「…………切れちゃった」 「あの、尾崎チーフ。冴島さんは何と?」 「堀内くん、あなたに伝言。『
last updateLast Updated : 2026-08-03
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これは恋なのか? Page6

「冴島さんですか? あの人、基本無愛想ですよね。さっきも言いましたけど、尾崎チーフ以外の女性ににこやかにしてるところ、僕も見たことがないです。いつも冷静で真面目で仕事ぶりは誠実そのものなんですけど、掴みどころがないというか、何を考えてるか分からないというか」 「なるほど……。あなたからは彼がそういうふうに見えてるってことね。受付嬢の二人にも訊いてみたんだけど、概ね同意見だった」  やっぱり私以外の人から見たら、彼は冷静で真面目だけれど何を考えているか分からないように見える、というのが共通の印象らしい。 「……あの、チーフ? 今の発言で、僕がこの先不利益を被る……なんてことは?」 「大丈夫よ、本人には言わないから。あくまでここだけの話にしておくって約束するわ」  この話が冴島くんの耳に入った時のことを想像して真っ青な顔になった彼に、私はそう言った。初めからこんな話、冴島くん本人に伝えるつもりなんてなかったのだ。 「はぁ~、よかった! あの人、社長のご子息ですし、監査みたいなこともしてるじゃないですか。しかも、誰に対しても容赦ないって評判ですし。だから、この話があの人の耳に入って機嫌でも損ねたら、僕クビになっちゃったり減給されちゃったりするんじゃないかって心配で……」 「いくら何でも、こんなことくらいでで処分はないでしょ。冴島くんのこと、そんなに怖いかな」 「だって次期社長ですよ? その
last updateLast Updated : 2026-08-04
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本気の恋と、ライバル登場!? Page1

「――ただいま戻りました」「おかえりなさい、茜さん。堀内くんも。朝からお疲れさまでしたね」 堀内くんと二人でオフィスに戻ると、最初に出迎えてくれたのは冴島くんだった。にこやかに……とまではいかないけれど(私ひとりではなく堀内くんも一緒だからだろう、多分)、クールながらも爽やかな笑顔で私たちに労いの言葉をかけてくれる。「冴島くん、さっきはありがとう。……室長は反省してそう?」「一応、僕の前では反省しているように見えましたが、それは僕が社長と筒抜けだからでしょうね。本当の意味では反省なんてしていないんじゃないでしょうか」「でしょうね。あの人はそういう人だもん」 彼の予想どおりの答えに、私も彼と一緒になって肩をすくめた。「冴島さん、僕からもお礼を言います。本当にありがとうございます」「勘違いしないでくれ。僕は君を庇ったわけじゃないからね。そもそも君は何も悪くなかったんだし、上司が部下にミスを押し付けるなんてことは会社組織としても許されることではないから、僕は父に報告したまでだ」 ……またまた、冷血漢ぶっちゃって。私は内心彼にそう呟いた。彼はただのツンデレさんだ。その証拠に、ぶっきらぼうなようでもその言葉の内には彼の優しさが滲み出ているのだから。「冴島くん、素直じゃないんだから。ホントはお礼言われて嬉しかったくせに」「茜さん、余計なこと言わないで下さい!」 彼とはデスクが隣同士なので、彼だけに聞こえるようにこっそり言うと、小声で抗議が飛んできた。 さあ仕事をしようとデスクの上を見ると、外出前に山のように積んであったファイルがない。あれを全部チェックしてまとめるのが私の仕事なのに。「――あれ? 出る前にここにあった書類のファイルは?」「ああ、それなら茜さんがいない間に僕がやっておきましたよ。茜さん、予定外の外出までしてお疲れかなと思いまして」「ホントに? ありがと、冴島くん。助かるー!」 すでにまとめてあって、だいぶ数が少なくなったファイルを差し出された私は、お礼を言って受け取った。「後は室長に確認してもらって決裁をもらうだけになってますが、その前に茜さんもご自身でチェックされた方がいいと思います。堀内くんの件もありましたし」「うん、そうさせてもらうわ。まぁ、冴島くんのことだからミスはないって信じてるけどね
last updateLast Updated : 2026-08-05
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本気の恋と、ライバル登場!? Page2

「――あらら、そんなことがあったの? 朝から大変だったね」  本社ビルの二十階にある広々とした社員食堂でお昼を食べ始めた私は、あの話題は避けてまずは今日の午前中の出来事を真優に話した。 ちなみに今日のメニューは豚の角煮定食で、真優はチャーシュー麺。ウチの社食は外部委託だけれど、メニューは豊富で価格は安いのが特徴である。 「その遠藤って室長、なんかムカつくよね。でも社長に報告がいってざまぁって感じ」 「……真優、声が大きいって。本人に聞かれたら……、って来てるわけないか」  私は彼女を窘めたけれど、遠藤室長が今日は社食ではなく外でランチだと言っていたことを思い出してホッと胸を撫で下した。危ない、自分で自分の足元を掬われるようなことをするところだった。 「それにしても、やるじゃん。冴島くんって社長の御曹司でしょ? あんたのところの部署だけじゃなくて、秘書室とか他の部署の幹部たちも彼にビクビクしてるみたいよ。彼に睨(にら)まれたら自分の首が飛ぶ、って」 「そんな、死神みたいに……。でもね、彼、私にだけはすごく優しいのよ。今日だって私がいない間に私の仕事、代わりにやっといてくれたし。それに……」 「それに?」  真優に続きを促され、私はあのことを話さないわけにいかなくなった。ええい! こうなったら乗りかかった船だ! 「先週の金曜日の夜、冴島くんと一緒にバーに行って飲んでたみたいなんだけど。しこたま酔っ払ったみたいでね、翌朝目が覚めたら彼の部屋のベッドにいたの」  本当は下着姿でいたのだけれど、そこは私の名誉のためにも伏せておくことにした。 「…
last updateLast Updated : 2026-08-06
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本気の恋と、ライバル登場!? Page3

「言ったよ。これはあくまでウワサで聞いただけなんだけど。実は彼ね……、婚約者がいるらしいのよ」「こ……っ、婚約者ぁ!? 私知らないわよ、そんな話! 初耳!」 真優からの爆弾発言に、私はパニックに陥りかけた。あの(私以外の)女性に興味なさそうな冴島くんに、婚約者? 何かの間違いじゃないだろうか?「茜、ちょっと落ち着きなって。婚約者っていっても、親が勝手に決めた相手らしいよ。いわゆる〝許嫁〟みたいな感じでさ、冴島くん本人は迷惑してるみたい。まぁ、セレブの世界じゃあるあるだよねぇ」「あー……、なるほどね。そういうことか。ちなみに相手ってどんな女なの?」「なんか取引先の大企業のお嬢さまで、大学出たばっかりの小娘だって。腰かけで父親の会社手伝ってるらしいけど」「つまり、世間をナメきってるわけね。話聞いただけで鼻につくセレブ臭がプンプンしてくるわ。あー、ヤダヤダ」 その彼女って、冴島くんのもっとも嫌うタイプの女なんじゃないだろうか。彼が好きなタイプは、私みたいにキチンと地に足がついて自立している女性だそうだ(「自分で言うな」とツッコまれそうだけれど)。「でも、世間の男たちってそういう女がいいんだろうね。なんで自分たちは平気で仕事を優先させるくせに、女が仕事を優先させると『可愛げない』とか『俺と仕事とどっちが大事なんだ?』とか言ってくるんだろ? なんかおかしくない?」「それってあんたの実体験だよね? 結局、男って女を家庭に縛り付けて自分たちは好き勝手したがる生き物なんだろうね。だからあんたみたいに自立した女は生意気だって思うんだよ。ホント、昭和から何も変わってないわ。……って、ウチのお母さんが言ってた」 真優のお母さんも、今でもバリバリ働くキャリアウーマンだ。でもお父さんの方がそういうところが気に入らないらしく、しょっちゅう夫婦ゲンカが絶えないのだとか。「もう時代は令和だっていうのに、いい加減アップデートしてほしいよね。……でも、冴島くんは私みたいに男に媚びない、自立した女性が好きなんだって」 それは彼が平成生まれだから、というだけではないと思う。あの社長にしてこの子あり、というか、ご両親の教育方針がよかったからだろう。 ちなみに社長の奥さま――冴島くんのお母さまも、この会社の執行役員に名を連ねているスゴい女性である。「茜
last updateLast Updated : 2026-08-07
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本気の恋と、ライバル登場!? Page4

「――よし、終わったぁ!」  プリントアウトした書類を束ねてホッチキス止めし、ファイルに収めたところで、私は思いっきり伸びをした。時刻は七時十五分。冴島くんが少し手伝ってくれたので、残業は思っていたよりも早く終わった。 「お疲れさまでした、茜さん。思ったより早く片付きましたね」 「冴島くんが手伝ってくれたおかげよ。ありがとう。――あ、社長に連絡した時、怒られなかった?」  彼は社長――お父さまの忘れ物だという眼鏡(ちなみに老眼鏡らしい)を取りに戻ってきただけだったのに、私が残業していることを知ってわざわざ手伝うために「帰りが遅くなるかもしれない」とお父さまに連絡を入れてくれたらしいのだけれど。 「はい、大丈夫です」 「よかった。……あ、お腹すいたでしょ? よかったら、これから一緒にラーメンでも食べに行かない? 私がご馳走するから」  さっきから、二人ともお腹がグーグー鳴りっぱなしだ。私はまだ夕飯を食べていないので当たり前だけれど、冴島くんもそうだったのか。 というか、このお坊っちゃんは普段からラーメンなんて食べるのだろうか? ちょっと気になる。 「ラーメン……ですか? 僕も好きですけど……」  ……食べるんだ。というか好きなんだ。彼、意外と庶民的かもしれない。 それにしても、男女二人で初めて食事に行くのにラーメン屋さんなんて……。彼もきっとこう思ったはずだ
last updateLast Updated : 2026-08-08
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