「――ねえ、冴島くん。あの……、昨夜……は何があったの? 私はどうして下着姿で、この部屋で寝てたの?」 私が彼を問い詰める口調は、無意識に鋭くなる。万が一彼と何かあったとしても、その事実を受け入れるのを脳が拒否しているからだ。「そんなに突っかからなくても、僕と茜さんとの間には何もありませんでしたよ。あなたが下着姿なのは、言い方は悪いですけど勝手に酔っ払って『暑い~』って服を脱いでたからですし。この部屋に連れてきたのは、住所を訊いてもワケの分からないことを言っていたから仕方なくこの部屋に……というだけなんで」「…………」「何ですかその目は? ホントですって」「……じゃあ、どうして笑ってるの? どうせ私の下着姿、色気ないなって思ってるんでしょう?」「…………まぁ、思ってますけど。スタイルいいのにもったいないなぁって」 彼のその言葉に、わたしは思わず赤面する。「スタイルがいい」なんて今まで何度も言われてきたはずなのに、どうして冴島くんから言われるとこんなに胸がザワつくのだろう?「私、金属アレルギーなの。高校生の頃にブラのホックで背中が思いっきりかぶれて飛び上がるくらい痛くなったことがあって。それ以来ホックも金属のワイヤーも入ってないスポーツブラしか着けられなくなったの。アクセサリーも指輪以外は着けられないし。ホントに面倒くさい女でしょ?」 それでも今まで、恋愛経験がなかったわけじゃない。彼氏だってできたことはあるけれど、歴代の彼氏からの評価はこうだった。「色気がない」、「可愛げが無い」、「プレゼント選びが面倒くさい」。 最初の二つに関しては私自身にも自覚はあるし、言われても仕方ないと思っているけれど。「プレゼント選び云々」に関しては知ったこっちゃねえわと言いたい。そんなの、あんたたちの想像力が欠落しているからでしょ? 金属アレルギーだって好きでなったんじゃないわよ! そんなことまで私のせいにするな! と。「そうですか……。金属アレルギーなんですね。つらいでしょうね。でも、そんなの、茜さんは何も悪くないじゃないじゃないですか。そんなことで『面倒くさい』なんて思っちゃダメですよね。少なくとも、僕はそんなふうに思いませんから」「冴島くん……」 彼は本当に、どこまでいい人なのだろう。私が今まで悩んでいたことを、「私のせいじゃない」
Last Updated : 2026-07-22 Read more