視点はロイに戻る。 はー、興味深い体験だったな、クールウンも終わり、食堂で一人水を飲んでいると、女性陣が戻ってきた。店主から、エールは後回しにして、まず水を飲むことを勧められたので、そのようにしている次第だ。「よお、どんな感じだった?」 水差しとコップを渡しながら、例によって、すでに鎧姿のパティに尋ねる。ほんと、蒸れないのそれ?「面白い体験でしたー。もう、喉がカラカラですよ~」 皆、一斉に水を呷る。「じゃあ、食事を頼むとするか」 先ほどアニタと呼ばれた女性が傍を通りかかったので、シェフのおすすめとエールを注文する。 さて、どんな物が出てくるか。 ◆ ◆ ◆「お待ちどうさまですー。ロールキャベツですー。うちの自慢なんですよー」 ややあって、店主が料理を手にこちらへやってきた。 料理は、湯気立つコンソメスープに浸かったロールキャベツ四巻きと、黒パンにチーズ、そしてお待ちかねのエール! さあ、まずはエールだ! 乾杯し、一気に呷る! 爽やかなのどごし、豊かなコク。ああ、染み渡る。砂漠に水が注がれ、そこから緑が広がっていくような感覚だ。 続いて、ロールキャベツをいただくとしよう。 ぎゅっとキャベツを噛みしめると、ほどよく柔らかい歯ごたえに続く、キャベツのほどよい甘味。さらに、ひき肉のほろほろした感触とともに、豊かな肉汁がじゅわりと広がる。ああ、実にほっとする味。暖炉のぬくもりを体現したような温かさだ。 そして、ここでパンと洒落込もうじゃないか。ふかっとしたほどよい食感に、ライ麦の素朴な味わいがマッチしている。北の大地ここにあり。 トドメにチーズ。何しろあれだけ旨い牛乳から作られるチーズなのだから、当然こいつも抜群に美味い。牛乳のときからさらに進化したコクとクリーミィさが、実に豊かだ。 いやあ、堪能した。これで明日もまた頑張れそうだ。 ◆ ◆ ◆ 翌朝、依頼者である市の庁舎に赴いた。受付で依頼票を見せると、市長室へと通される。市長のお出ましとは、結構でかい話のようだな。 ノックして、依頼を受けに来た冒険者であることを告げると、入室許可が降りた。 中に入ると、シックで品のいい調度で飾られた室内の向かいで、眼鏡で中肉中背の中年男性が、書類にサインをしているところだった。彼が市長だろう。「かけてくれたまえ」
Last Updated : 2026-07-22 Read more