All Chapters of 後悔?そんなの勝手にすればよろしくて?〜悪女と呼ばれた公爵令嬢は絢爛に返り咲く〜: Chapter 41 - Chapter 43

43 Chapters

40.再会

「ごめんね、二人とも。心配かけちゃったわね」 そう言って目を細めて笑うコノーテの表情は、昔と変わっていなくて。「お姉様……っ!」「コノーテッ!」 アーベリアとディーンは堪らず叫ぶと、コノーテのもとへと走った。 勢いのまま胸の中に飛び込んだアーベリアを、コノーテはしっかりと抱き留める。「大きくなったわね、アーベリア。お母様に似ているわ。美人さんに成長したわね」「お姉様、生きておられたのですね! 良かった……本当に良かった――」「あぁ、本当に……。本当に良かった……」 目尻に浮かんだ涙を何度も指で拭ったディーンは、気になったことをコノーテに訊いてみた。「だが、今までどこにいたんだ? 私は……その、てっきり――」「ディーン、あなた声がガラガラで酷いじゃない。喉を傷めちゃったの? あとで喉によく効く薬草を処方してあげるわ」「あ、ありがとう……」 コノーテは頷くと、言葉を続ける。「あのね……実は私、今までずっと記憶喪失だったの」「記憶喪失っ!?」 コノーテは、目を見開き驚く二人を見て苦笑する。「えぇ。十二年前のあの時、崖に追いつめられた私は、護衛騎士さん達の声を聞いたの。『勇気を出して、崖から飛び下りて。大丈夫、必ず助かります』って。確かに頭に響いたその声に、私は迷わず崖から飛んだわ。そして川に落ちたの。その衝撃で記憶を失ったみたいで、川岸に倒れていた私を助けてくれた老夫婦のもとでお世話になって暮らしていたの」「そんなことが……」「護衛騎士さん達は、最後の最期まで私を助けてくれたわ……。記憶喪失のまま暮らしていたけれど、一か月前くらいかしら……この子が私のもとへ飛んできたのよ。その懐かしい姿を見て、今までの記憶をすべて取り戻したの。この子のお陰ね」 コノーテの肩の上で、氷の鳥が恥ずかしそうに羽根の先で頭を掻いた。「十二年前の子と大きさが違っていたから、ディーンがまた私を想って作ってくれたんだ、生きていたんだってわかって、本当に嬉しかった。すぐに連絡したかったけど、村の人達の薬草作りに忙しくて連絡できなかったの。あの村、年配者ばかりだから……。そんなある日、ラハンさんが村にやってきたのよ。私が昔作ったクッキーを持ってね」「まぁ、お義兄様が?」「うん、そうだよー。毒草に関しては、専門家の『薬草師』に訊いた方が早いと思ってね。そしたら
last updateLast Updated : 2026-09-16
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41.惨めな最後

 アーベリアの言葉に、センダンとルマーサは目に見えてホッとした表情を浮かべる。 しかし、続けられた彼女のそれに、二人は再び〝絶望〟を味わうことになった。「あなた方をそう簡単に死なせはいたしませんわ。【打ち首】なんて苦しむ暇もないではありませんか。死んで楽になるなんて、わたくしが絶対に赦しません。あなた方には、この国のために死ぬまで働いてもらいます。娯楽もなく自由もなく、おしゃれも買い物もできない、毎日地獄のような過酷な環境の中で、朝から晩まで年中無休、汗水流しながら一生労働してください。牢にいる時間が勿体ないですし、判決後すぐに働いてもらいます。泣いても喚いても無駄ですわ。この国の元王族として、国民の皆様のお役に少しは立てるのだからありがたく思いなさい」 いつも穏やかに微笑んでいた彼女の、今まで見たことのない冷めた表情と冷えたエメラルドの眼差しが、センダンとルマーサを無意識に凍えさせる。 二人は、当たり前だが一度も働いたことはない。もちろんライラックもだ。 国の最高位である自分達が、一般民と汗を垂らしながら働く―― それは、彼らにとって〝屈辱〟以外の何ものでもなかった。「……ふ……フザけるなっ! 誰がそんなことするかっ! 生意気な小娘――いや、〝極悪女〟め! この国の王であるワシがここで成敗してくれるわ!!」「アナタ、アタクシも加勢するわっ!」 センダンが咆哮したかと思うと、隠し持っていた短剣を取り出しアーベリアに襲いかかった。 ルマーサも懐から扇子を取りそれを広げると、鬼の形相で掴みかかってくる。「……本当に馬鹿な奴らだ。手に負えないな」 イグニスが小さく息を吐く。 彼は動こうとしなかった。これから起こる彼らの〝末路〟を知っているからだ。「――ねぇ? アンタ達さぁ、ボクの可愛い義妹に刃を向けてるの? あぁ……いけないなぁ。いけないねぇ、そんなことしちゃ。そんないけない愚か者には、オシオキが必要だねぇ?」 センダンとルマーサのすぐ後ろで低音の声が聞こえ、二人は心臓が飛び出るほど驚き足が止まった。 瞬間、強烈な回し蹴りが二人に直撃し、その身体が見事に吹っ飛ぶ。「グェッ!」「ギャッ!」 カエルが潰れたような声を出した二つの身体は、バルコニーの手すりの上を軽々と飛び越え――「ギャアアァァッ!!」「ヒイイィィッ!!」 センダンと
last updateLast Updated : 2026-09-20
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42.遠い空の彼方へ

 ラハンの問いかけに、アーベリアはしっかりと頷く。「えぇ。バセロルト公爵家は、この国で一番の権力を持つ貴族です。お義父様がその場にいらしたら、全員お義父様の顔色を伺って、義娘であるわたくしに何も言えず従うでしょう。ただし、それは表面上――上辺だけです。それではこの国を良くしていけませんわ。お義父様のいない状態で、わたくしに真の忠誠を誓う貴族を、わたくし自身の力で作らなければいけません」「うん、そうだね。でもキミならきっとできるよ。イグニス、ちゃんとアーベリアを護るんだよ」「あぁ」 真剣な顔つきで頷いたイグニスに、ラハンはにこやかな笑みを向けると、バルコニーの手すりに手をかけた。「じゃあ、ボクは行くよ。明日頑張ってね、二人とも」「はい、お気を付けて。本当にありがとうございました、お義兄様」「助かった、兄上」 ラハンは糸目のままヒラリと手を振ると、手すりを飛び越えバルコニーの反対側に出る。 そして華麗に地面に着地すると、軽やかな足取りで去っていった。「地上からここまで結構な高さなのに……。すごいな、ラハン殿は……。ここに現れた時も、下から一気にジャンプしてきたとか……? いや……そんな、まさかな……」「ディーン、それ半分合ってるわ。ラハンさんは私を抱えて、お城の壁を走ってバルコニーにあがったのよ。あの人、一体何者なの? 垂直な壁を走るなんて、とても人間業(わざ)とは思えないわ。人の皮を被った仙人様かしら?」 コノーテの言葉に、イグニスとアーベリアは『言い得て妙』と納得したのだった。「お姉様はこれからどうされるんですの? このお城に住んでくださるのなら大歓迎ですわ」「お誘いは嬉しいけど、私がお世話になっている村に戻るわ。私の薬草を必要としてくれる人達がいてね。記憶喪失で不安だった私に、色々と親身になってくれた人達だから、少しでも恩返しがしたいの」「そうですか……。寂しいですけれど、わかりましたわ」 眉尻を下げて微笑むアーベリアを、コノーテは優しく抱きしめる。「大丈夫よ。ちょくちょく様子を見に来るから。それに、呼んでくれればすぐに駆けつけるわ。絶対にね」「……はい。ありがとうございます、お姉様」「コノーテ、私も君についていっていいか?」 ディーンの突然の申し出に、三人は彼の方を振り向いた。「私が城に残ったら、私を使って君から王位を
last updateLast Updated : 2026-09-24
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