「ごめんね、二人とも。心配かけちゃったわね」 そう言って目を細めて笑うコノーテの表情は、昔と変わっていなくて。「お姉様……っ!」「コノーテッ!」 アーベリアとディーンは堪らず叫ぶと、コノーテのもとへと走った。 勢いのまま胸の中に飛び込んだアーベリアを、コノーテはしっかりと抱き留める。「大きくなったわね、アーベリア。お母様に似ているわ。美人さんに成長したわね」「お姉様、生きておられたのですね! 良かった……本当に良かった――」「あぁ、本当に……。本当に良かった……」 目尻に浮かんだ涙を何度も指で拭ったディーンは、気になったことをコノーテに訊いてみた。「だが、今までどこにいたんだ? 私は……その、てっきり――」「ディーン、あなた声がガラガラで酷いじゃない。喉を傷めちゃったの? あとで喉によく効く薬草を処方してあげるわ」「あ、ありがとう……」 コノーテは頷くと、言葉を続ける。「あのね……実は私、今までずっと記憶喪失だったの」「記憶喪失っ!?」 コノーテは、目を見開き驚く二人を見て苦笑する。「えぇ。十二年前のあの時、崖に追いつめられた私は、護衛騎士さん達の声を聞いたの。『勇気を出して、崖から飛び下りて。大丈夫、必ず助かります』って。確かに頭に響いたその声に、私は迷わず崖から飛んだわ。そして川に落ちたの。その衝撃で記憶を失ったみたいで、川岸に倒れていた私を助けてくれた老夫婦のもとでお世話になって暮らしていたの」「そんなことが……」「護衛騎士さん達は、最後の最期まで私を助けてくれたわ……。記憶喪失のまま暮らしていたけれど、一か月前くらいかしら……この子が私のもとへ飛んできたのよ。その懐かしい姿を見て、今までの記憶をすべて取り戻したの。この子のお陰ね」 コノーテの肩の上で、氷の鳥が恥ずかしそうに羽根の先で頭を掻いた。「十二年前の子と大きさが違っていたから、ディーンがまた私を想って作ってくれたんだ、生きていたんだってわかって、本当に嬉しかった。すぐに連絡したかったけど、村の人達の薬草作りに忙しくて連絡できなかったの。あの村、年配者ばかりだから……。そんなある日、ラハンさんが村にやってきたのよ。私が昔作ったクッキーを持ってね」「まぁ、お義兄様が?」「うん、そうだよー。毒草に関しては、専門家の『薬草師』に訊いた方が早いと思ってね。そしたら
Last Updated : 2026-09-16 Read more