All Chapters of 聖女の身代わりとして死ぬ運命だったけど、どうしてか俺は成り上がって終末世界で無双しています: Chapter 61 - Chapter 70

78 Chapters

061 予期せぬ事態に

 フィオナが王城に間借りしてから二日。 俺たちはまだ適切な関係を守っている。彼女のことも守ろうと誓った俺であるが、やはり踏み込む勇気が足りていない。 まあそれで、俺は父上ことシルヴェスタ王陛下に呼び出されていた。色々と悩ましい問題を抱えているというのに、一体何の用事だろうな?「ルカ、お前は何という馬鹿な行いをしたのだ?」 開口一番、俺は馬鹿だと罵られている。  父上、そんなことは重々承知しておりますけれど、俺だって精一杯に王子を演じているのですがね?「何事でしょうか? 俺が何をやらかしたというのです?」 まるで意味が分からない。  フィオナとはまだ何の関係もないのだ。馬鹿な行いといわれても、ピンと来るはずがない。「分からんのか? お前は聡明な人間だと考えていたのだがな……」 嘆息する父に俺は小首を傾げている。まるで想像できないのは父上が話すように俺が馬鹿だからかもしれない。「フィオナ殿下に側室を要求しただろう?」 言われて気付く。  そういや婚約早々に俺はリィナのことが好きだと言ったのだ。それでフィオナが提案をした。リィナを側室にしてはどうかと。「皇王陛下は激怒されたようでな。本日予定されていたグラハム教皇への報告も取りやめとなった」 まるで言葉がない。弁明の余地すらなかった。 やはり俺は馬鹿なのだろう。順追って伝えるべき話を二段飛ばしにした結果、王国として救世主として最悪の展開を招いている。「つまり婚約は白紙に戻された」 俺は目先のことばかり考えていたんだ。  つまりイステリア皇王陛下の心証まで考えていなかった。一人娘を嫁がせるというのに、いきなり側室を要求するのは明らかに間違いだ。即座に撤回されるのは自明の理である。「あれ程までに器量の良い姫君が第二王子で構わないと仰ったのだぞ? お前は何を考えている?」「父上、俺は本心を告げただけです。リィナを愛していると……」 弁明など意味を成さないのは分かっている。だけど、俺は伝えておきたい。俺
last updateLast Updated : 2026-09-12
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062 窮地にあって思う

 お父様に婚約破棄を命じられ、わたくしは失意の中で帰国の途に就いております。 全てを伝えたことを後悔するしかない。側室については、わたくしが提案したことですのに。「フィオナ様! 上空にドラゴンが飛来しております!」 溜め息ばかりついていたわたくしに、後方の車列から大きな声が届く。 え? ドラゴンってなんですの?  飛来ってどういうことです?「嘘っ!?」 大空を覆うような影。途轍もなく巨大な影が上空から迫っていました。 どう考えても、わたくしたちの車列を狙っている。荒野を真っ直ぐに伸びる街道には、わたくしたちしかいないのですから。「姫様の馬車を前に! 兵は下車をし、足止めを!」 瞬時に近衛兵のアンナが命じます。  足止めとはそのままの意味なのでしょう。あれ程までに巨大な魔物を討伐できるはずもないのです。「アンナ、わたくしにできることはございますか!?」「殿下はこのまま乗車していてください。兵たちがどれだけ持つのか不明です。出来る限り、距離を取ります。見逃される可能性にかけるしかありません」 どうやら兵たちが助かる見込みはないみたいです。アンナは彼らを犠牲にして、わたくしを逃すつもりのよう。「わたくし、精霊術の力を女神様より与えられておりますの!」「殿下は戦闘経験などないでしょう? 付け焼き刃の戦法でどうにかなる相手ではありません。自重してくださいまし」 一瞬のあと、後方に火柱が立ち上りました。  それはまるで炎の壁。足止めをするという数台の馬車は瞬く間に焼かれています。「これは……?」 何という運命の悪戯でしょうか。  お父様に帰国を命じられていなければ、今もわたくしはクリステラ王城にいたのです。好きになった人の隣で笑っていたことでしょう。「ルカ様……」 意図せず涙が零れてしまう。  わたくしは命じられたから帰国したわけではなかったのです。お父様に考え直してもらうよう、わたくしの想いを洗いざらいぶつけるつもりでした
last updateLast Updated : 2026-09-13
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063 再び交差する運命

「間に合えぇぇっ!!」 俺は火球を吐くファイアードラゴンに飛びかかっていた。戦法とか考えていなかったけど、一刻の猶予もなかったんだ。「クソがぁぁっっ!」 力一杯に愛剣を振り下ろす。  それ以上、火球を吐くんじゃねぇ。てめぇの先にいる人は大切な人なんだよ!「フィオナァァアアア!」 颯爽とドラゴンの眼前に立つ。  俺はようやく追いついていた。彼女がまだ生きているうちに参戦できたんだ。「ルカ様!?」 とりあえずは良かった。  俺は謝罪を並べるつもりだったが、この場面でできる償いはそれじゃない。「逃げろ! 俺が時間を稼ぐ!」「嫌ですわ! わたくし、貴方様にまた会いたいと願っていたのです!」 まったく上手くいかねぇな。俺は恐らく時間稼ぎしかできないってのに。 俺には烈火無双があったけれど、ファイアードラゴンに対しての効果は限定的。火属性である烈火無双はトドメを刺すまで至らないはずだ。「フィオナ、俺は君に謝りたい。酷く傷つけたことだろう」「そんな!? わたくしこそ申し訳ございません! 必ずやお父様を説得しますから!」「その必要はねぇよ。もはや俺たちはここまでだ。早く馬車を動かせ……」 再びドラゴンに斬りかかっていく。せめてフィオナが逃げ切れるまで。  俺は消し炭になったとして、剣を振り続ける必要がある。ただ贖罪のためだけに。「ルカ様、援護します!」「駄目だ、逃げろ! 近衛兵、馬車を動かせぇええ!」「貴方様を置いて、逃げたくありません!」 何て聞き分けの悪い姫君なんだ。 俺は最善を選択している。今回に限り、間違いはない。  だから、声を張るんだ。強情な姫君に言いきかせるように。「逃げろっつってんだろ!!」  ◇ ◇ ◇  わたくしは怒鳴られていました。  流石に戸惑う。わたくしも戦いたいと考えていますのに。「殿下、ルカ
last updateLast Updated : 2026-09-14
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064 ファイアードラゴンとの戦闘

 ようやくと俺の願いが通じたらしい。フィオナを乗せた馬車が動き始めていた。「さてと、このトカゲをどうすっかな……」 何度も斬り付けたけれど、ダメージはしれている。決定的な手傷を負わせるのにはレベルが低すぎた。 一瞬のあと、ファイアードラゴンが火球を吐く。  それを喰らえば俺は天に還るはず。確実な死が待っているだけだ。しかし、簡単に失っていい命なんか持ってねぇよ。「ブレイブシールド!」 即座にレベル30で覚えたブレイブシールドを使用。  光の盾は難なく火球を受け止めている。ゲームにおいて、とても使い勝手の良かったこのスキルは現実世界でも効果抜群のようだ。「どちらも決め手がねぇな? トカゲちゃん、ここは痛み分けってことにしない?」 問いかけるも無駄なことだった。火球を無効化されたというのに、ドラゴンは大きく咆吼している。 まいったな。戦意は俺よりも充分らしいぜ。「ちくしょう!」 再び斬りかかっていく。  せめてレベル40になれば攻撃スキルを覚えるというのに、今のレベルは36。バフ効果スキルしか俺は使えない。「リィナがいたら勝てただろうけど……」 やはりソロプレイは難易度が高い。しかも弱っちいものだから、ファイアードラゴンに勝てる見込みなどあるはずもなかった。 ま、現状を嘆いても仕方ない。可能な限りに斬り付けてはドラゴンが去って行くのを待つだけだ。 単調な攻撃だったマステルにはカウンター攻撃が有効であったけれど、巨大なファイアードラゴンに対して俺は適切な攻撃方法を持っていない。「そういや、賢者はどうなってんだ?」 ずっと勇者にしていたけど、俺はここで賢者の中身を見てみることに。  シリウスは戦闘向きではなかったものの、何かしら戦う手段があるのかもしれない。「ステータス!」 走り回りながら、俺は賢者にジョブチェンジしてみる。恐らくは幾らか戦わなければ、今のレベルに見合ったスキルを覚えないはずだ。「うおっ!?」 戦闘
last updateLast Updated : 2026-09-15
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065 フィオナの決意

 わたくしは皇都ミラグレイスまで戻ってきました。  道中はずっと泣き続けたわけですが、今はもう気持ちを切り替えています。「お父様!」 無作法にもノックすらせずに、お父様の執務室へと入ります。「おお、フィオナ。戻ってきてくれたか!」 暢気な顔を見ると、流石に苛っとしますわね。  わたくしは愛する人に命を助けられ、逃げ延びてきたというのに。「お父様のことは大嫌いですわ!」 ずっと言いたかった。わたくしの気持ちを確認することなく、破談にしてしまうなんて。 急に戻れというものだから、ルカ様が犠牲になったのです。「藪から棒に……。どうしたというのだ?」「どうしたもこうしたもありませんわ! お父様が戻れと命じたから、ルカ様が犠牲になったのです!」 そもそも側室に関しては、わたくしが許可したのです。お父様がしゃしゃり出る必要なんてございませんの。「ルカ殿下が犠牲? 一体どういう話なんだ?」「わたくしは帰路において、ファイアードラゴンに襲われたのですわ! 大半の兵を失った頃、ルカ様が追いかけてくださり、わたくしたちを逃がしてくれたのです!」 一部始終を説明する。  強大な火球を吐くファイアードラゴンの出現から、ルカ様の登場まで。 たった一人でファイアードラゴンの相手をし、わたくしたちが逃げる隙を作ってくれたことを。「なんと……。それはまことか!? たった一人で竜種と戦ったというのか!?」「皇国の誰に同じことができましょう? わたくしはやはり彼のことが好きです。そもそも言い付け通りに戻ろうとしたわけではなく、婚約破棄の撤回を求めようと帰ってきたのですわ」 頭を抱えるお父様。そりゃそうでしょうね。  話し合うことなく一方的に婚約を破棄した結果が、同盟国の王子殿下を死に追いやったわけですから。「お父様は出来る限りの賠償を願いますわ。あと、わたくしはもう誰とも結婚いたしません。一生涯純潔を守りたいと存じます」 困惑するお父様ですが、言いたいことは
last updateLast Updated : 2026-09-16
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066 騎士

 王都クリステラへ到着すると、もう夜になっていた。朝から何も食べていない。流石に腹が減って死にそうだぜ。「ま、何か作ってもらえるだろ……」 王族が住まう王宮殿であれば、24時間いつでも料理人が待機している。申し訳なくも感じるけれど、金貨くらい手渡しておけば喜んでもらえることだろう。「ルカ様!?」 クリステラ王城へと入るや、俺は使用人たちに囲まれていた。 そういやフィオナを追いかけるところまでしか知らないのだっけ。こんなにも遅くなった理由は分からないよな。「心配かけた。でも何の問題もない。それより腹が減ったから王宮殿に行く」 どうしてか行列ができてしまう。使用人たちは全員が俺のあとを追いかけてくるのだ。 そんなに心配だったのか?  俺はただの第二王子なのに。 王城の回廊を進み王宮殿に入る頃、俺は再び声をかけられていた。「ルカ様!」 その声は愛しのリィナ。振り向かずとも彼女が現れたのだと分かる。「リィナ、まさか君も心配してたのか?」「当たり前です! もしかしてイステリア皇国まで向かわれたのかと思いました」 ああ、そういうことか。確かに夜まで戻らなければ、心配くらいするわな。「とりあえず飯にする。リィナもついてくるか?」「もちろんです。私には弁明を聞く権利があるはずですもの」 弁明ね。心配をかけたのは事実だが、俺は謝罪が必要なことをしでかしたつもりはない。 まあしかし、ずらずらと俺の後をつけてくる使用人たちを見ると、かなり大事になっていたのは明らかだ。鬱陶しいから解散して欲しいのだけどな……。 ぶっちゃけると王宮殿は王族以外の立ち入りが禁止されているのだけど、どうしてか全員が俺の後をついて食堂まで来てしまう。 衛兵も止めようとしないって、どうなってんだよ? 行列には構わず、俺は適当に何か作ってくれと頼む。使用人用のテーブルへと座って料理が完成するときを、ただひたすらに待っていた。「あのな、俺はもうどこにも行かん
last updateLast Updated : 2026-09-17
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067 愛の結末

「騎士はリィナ・セラ・サンクティアに……」 俺の希望はそれだけだ。ゴツい大男なんかを付けられてたまるかっての。「いやお前、リィナは……」「父上、どうせお目付役でしょう? リィナは発作の頻度も高くなっていますし、皆が俺を心配するのと同じで、俺も目を離したくない」 発作が出るたびに薬を呑まなきゃいけない。  人知れず倒れたなんてことにならないように、俺の側に置いておきたいんだ。 嘆息しつつも頷く父上。どうやら俺の希望を汲んでくれるらしい。「分かった。騎士はリィナに任せよう」 一瞬のあと、全員が拍手をしてくれる。  元より皆が俺たちの気持ちを知っているんだ。既にフィオナとは破談になったし、何の縛りもなくなった。「陛下、私はそのような大役をお受けできません!」 ところが、一人だけ反対している。もちろん、それはリィナ本人であった。「リィナ、お主はルカを制止するだけだ。ルカの暴走を止められる人材が他にいるか? 儂は適切な人選だと考えておる」 父上に言われてしまってはリィナも受諾するしかない。断り続ける不敬は彼女も分かっているだろうし。「承知しました。殿下の安全を第一に考え、職務に邁進したいと存じます」 再び拍手が巻き起こる。  近衛騎士リィナ・セラ・サンクティアの誕生を全員が祝福してくれたらしい。「さて、全員解散だ。ルカの食事が冷めてしまう。気苦労をかけたな」 父上が手を叩くや、全員が後ろ髪を引かれながらも食堂をあとにしていく。 残されたのは俺とリィナ。恐らく父上は気を利かせてくれたのかもしれない。「殿下、本当に私で良かったのですか?」 飯を食べ始めた俺にリィナ。もう決まったことだというのに、彼女はまだ葛藤しているのかもしれない。「脳筋ゴリラに付きまとわれるなんて嫌だからな」「いやでも、少なからず安全だと思いますけれど……」「くどい。俺はリィナが良い。俺の側にいろ」 父上だって誰がなっても一
last updateLast Updated : 2026-09-18
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068 初夜 ~思いを告げて~

 私たちはまだ愛し合っているんだ。再び私は殿下の愛を聞かされていました。 病気さえなければと思う。何事もなければ、既に結婚していたかもしれないのです。 互いが互いを愛している。なのに私と殿下はすれ違っていく。私の命が途切れたあとも、彼の人生は続いていくから。「私も殿下を愛しています」 気持ちを伝えるくらいは許して欲しい。  私だって未練があるんだもの。本当に良くしてくれる殿下に対して嘘など言えるはずがないわ。それに未練を残して死霊化してしまうなんて馬鹿なことだもの。 気持ちを伝えるだけ。  私はそう考えていましたが、思わぬ話を聞かされることに。「リィナ、あとで俺の寝室に来てくれ……」 えっ? それってもしかして? 瞬時に婆やの金言を思い出す。男性は直接的な目的を告げることなく、遠回しに要求する生き物なのだと。「ででで、殿下、わたわた、私を……?」 何を口走っているのかな。私って取り乱しすぎ。でも、今回に限っては勘違いじゃない。 殿下は私を求めている――。    私は確信していました。夜に寝室まで呼び寄せる理由が他にあるはずもないのだから。「皆まで言うな。今夜は少し冷えるだろ? 俺のベッドを暖めてくれ」 やはり濁して要求しているのだわ。  婆や、ありがとう。おかげで私は殿下の欲求に気付けたみたい。「承知しました。熱くなりすぎて眠れなくなっても叱らないでくださいね?」 私も濁して答えています。きっとこれが大人の遣り取り。婆やが話していた夜の駆け引きに違いない。「待ってるよ。君が俺の全てだ……」 あ゛あ゛あ゛あ゛っ!  私はこんな今も女として見てもらえている。  正直にフィオナ殿下のご尊顔を拝見したときには太刀打ちできないと考えていたのに。「末永くとは申し上げられません。しかし、今宵くらいは愛でてくださいまし」 百点満点じゃない?  ひょっとして私は夜の女王なのかもしれない。完璧な受け答え
last updateLast Updated : 2026-09-19
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069 強い生き方

 私は朝を迎えていました。  婆や曰く、朝チュンと呼ばれるものです。 本当に私は女としての使命を果たしてしまったらしい。「凄すぎた……」 昨夜は想像を絶する戦いだったのです。  聞いてはいましたが、苦痛というよりも幸せを感じました。私は愛する殿下に寵愛を受けたのですから。「毎晩、求められるかもしれない……」 私の身体が持つのかどうか不安。いや、ベッドの上で死んでこそ真の女だと婆やが言っていたもの。望まれる全てを受け入れてこそ、女ってものよ。「リィナ……?」 殿下も目覚めたみたい。 寝ぼけ眼の殿下はとても可愛らしい。凛々しいお顔も良いけれど、こんな寝ぼけた殿下も最高よね。 まだ眠そうだというのに、殿下は私の髪に触れる。それはもう優しく誘うように。「殿下、今晩もだなんて……」「俺、そんなこと言った!?」 急に飛び起きるルカ殿下。ああ、裸体をあまり見せつけないでくださいまし!  私、まだ目のやり場に困ってしまうのです。「リィナ、俺は君のことを愛している。だから、無茶をするつもりはない。君の体調が良いときに少しで構わないんだ……」「あれが少しなのですか!? だったら目一杯はどうなってしまうのですか!?」 頭がパンクしそう。もし仮に昨夜が殿下にとって、物足りない夜であったのなら。 恐ろしいわ。やはり男性は夜に豹変するのね。 まるで魔物と対峙しているような感じだった。最低でも危険度三等級はあったのに、あれ以上があるだなんて信じられないわ。「落ち着けって。俺は……」「落ち着いてないのは、殿下の股間ですわ!」 朝から求められるなんて……。  でも、私は既に殿下の愛人と化したのよ。いつでも如何なる時でもお求めに従うだけ。「どうぞ……」「いやいや、これは朝だからだよ! まあ、体調が良いなら今晩も頼めるか……?」 ほらね?  殿下は何だかんだ言って、私を求めているのよ。
last updateLast Updated : 2026-09-20
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070 パワーレベリング

 俺とリィナは朝からクリステラの街門を出ていた。  言いつけ通りに騎士を付けたのだから、好きにしても構わないだろうと。「殿下、どこまで行くのです?」 既に王都が遠く霞むほど遠出している。当然のこと目的があってのことだ。「北にある森へ向かってるんだ……」 リィナは驚いている。  街道を外れていたのは分かっていただろうが、馬を駆る俺が目指している場所が森だと知って。「森で……ヤるのですか!?」「昨日のことは忘れろ!」 今もまだ昨晩のことを引き摺っているらしい。どうもリィナには衝撃的すぎたようだ。「レベル上げだよ。レベル上げ!」 要はリィナを鍛えるため。魔国との大戦に向けて、彼女のレベルを上げなければならない。「情事のレベル上げ!?」「ちげぇぇよ!!」 しばらくは夜に囚われたままなのかもな。まあ、リィナが昨日の夜を良く思ってくれるのなら有り難いけれど。「フィオナ殿下と破局しただろ? だから、リィナが戦えるくらいにレベルを上げなきゃならない。もうフィオナ殿下や錬金術士の力を借りられないんだ」 恐らく、この世界線で皇国側の戦力は期待できない。何しろ破局した皇女殿下だけでなく、錬金術士ミリアも皇家のメイドなのだから。 フィンについては最初から期待できないし、俺とリィナで世界を救うしかなくなったのだ。「セラ様が仰っていた未来ですか?」「ああ、俺たち二人で世界を救済する。覚悟はできているか?」 リィナは聖女であるけれど、剣術も嗜むアタッカーでもあった。レベルさえ上げておけば、彼女なら戦えると思う。「死後に残るはずの未練は昨晩なくなりました。いつでも私は戦えます」「助かる。矢面に立つこともあるんだ。騎士学校へ入るまでにレベルを50くらいまで上げておきたい」 基本的に最強スキルを覚えるレベル100になれば楽にクリアできる。フィオナがいないことを考えると、少しでも100に近づけておく必要があった。「今はまだ12ですけど……」「とりあえず、俺が瀕死に追い込む。リィナがトドメを刺せ」 馬を走らせた俺たちは王国の北部に拡がる大森林へと到着。早速と剣を抜き、魔物を捜し始めた。「殿下、大丈夫ですかね?」「問題ない。ファイアードラゴンなんかそうそう現れないし」 俺は自身の悲運を過小評価していた。  雑魚であるワーウルフとかワーラビットとか
last updateLast Updated : 2026-09-21
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