レインから返事が届いたのは、ベルナから戻って四日後だった。 いつもの封筒より、少しだけ重かった。 開けると、三枚の紙が入っていた。 一枚目は、学院の状況報告だった。 薬屋の第三者データが魔法師団長に提出されたこと。団長が「継続的な観察が必要だ」と言ったこと。クロヴェル派の「魔法による補助があってこそ」という主張が、データの前で少しずつ根拠を失いつつあること。 二枚目は、ベルダンの件への返答だった。 数字が動いたこと、ベルダンが続けると決めたことへの短い評価。「情報を届けて、判断を委ねる。それがお前らしい」という一行があった。 三枚目を開いた。 エリナへ 『あなたにとって重い時はどういう時か』と聞いてくれた。答えるのに、少し時間がかかった。考えていた。 正直に書く。 俺が重いと感じるのは、自分の力が足りないと気づく時だ。 魔法の力は、俺にはある。適性はⅤ階で、使えない魔法はほとんどない。でも、それとは別のところで、足りないと感じることがある。 例えば、今回のクロヴェルの動きに対して、俺は学院の中でしか動けない。王都の政治に直接介入する立場ではない。師匠に頼むことはできるが、俺自身が動ける範囲は限られている。 その限界を感じる時が、重い。 もう一つ。 孤児院で育った。知っていると思う。両親がいない。家族と呼べる人間が、長い間いなかった。今も、厳密にはいない。師匠は近いが、家族ではない。 魔法の才能があったから、学院に来られた。学院では評価される。でも、評価されることと、誰かに知っていてほしいと思うことは、違う。 お前が『ルナが猫を貸してくれた』と書いた話を読んで、少し考えた。相手に知っていてほしいから書く、と俺は言った。それは本当だ。 俺も、お前に知っていてほしいことがある。 でも、何を知っていてほしいのかを、まだうまく言葉にできない。あることは確かだ。 一年後の約束を、覚えている。あと五ヶ月を切った。 重い時の話を、聞いてくれてあ
Last Updated : 2026-08-27 Read more