Semua Bab 御曹司の俺が正体を隠してレンタル彼氏を試したら、まんまと本気になった話: Bab 11 - Bab 20

39 Bab

塁の闇

俺と塁は駅のベンチに並んで座った。塁を引き止めたものの、俺に何かできる訳ではない。自分の無力さを痛感した。「次のお客さんまでどれくらいですか?」「あと一時間」この言葉を発した塁の表情は、見ていられないくらい苦しそうだった。塁を苦しめているものを取り除きたい。だが、それが何かも俺には分からなかった。「そんなに苦しそうな顔をしている塁さんを帰したくない」「俺、どんな顔してる?」「すごく辛そうで、壊れそうに見えます」「んはっ、智也さん。俺、こう見えて結構強いんですよ。そんなにヤワじゃない」塁は笑ったけれど、その笑顔すら痛々しかった。俺はそんな塁をどうしても見ていられなかった。「塁さん、俺の前では無理して笑わないで」俺は座っている塁を優しく抱き締めた。すると、驚いた様子で塁が顔を上げた。「ごめんなさい。契約違反ですよね」「ううん、違う」塁は答えた。俺は塁の頬にそっと触れた。これ以上はだめだ。本当に後戻り出来なくなる。そう思うのに、塁を目の前にすると俺の想いは止まらなかった。俺は塁の唇に触れるか、触れないかの所まで近づいた。「これは契約違反?」「ううん」塁の吐息を至近距離で感じた。あと少しの距離が俺たちを阻む。だが、この距離が俺を現実に引き戻してくれる。「俺からしたらセーフ」「え……?」すると、塁は俺の頬にそっと触れた。塁が俺だけを見つめていた。次の瞬間、塁は俺の唇にそっとキスをした。「俺、今からお客さんを抱きに行くんだ」俺は、塁にかける言葉が見つからなかった。何を言っても違う気がして、俺は何も言えなかった。「俺は智也さんにキスできるような人間じゃないのに……智也さんは俺と関わるべきじゃない。今日のデート楽しかったです。ありがとう。延長料金は頂かないので、俺たちこれで終わりにしましょう」「俺は……」何か言わなければ、塁が行ってしまう。もう二度と塁に会えないかもしれない。俺はもっと塁を知りたい。これで終わりなんてそんなの嫌だ。俺は拳を握り、俺に背を向けて歩いている塁に向かって叫んだ。「待って!塁さん!」俺は塁の元へ走った。そして、塁を後ろから抱き締めた。「どこにも行かせません」「智也さん、もう時間なんだ」「塁さんを行かせたくないんです。俺が塁さんの時間を全部買えたら良かったのに」今の俺にはその力がない事が悔しかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-08-17
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塁からの着信

俺は無気力のまま帰路についた。風呂に入ることもせず、ベッドに寝転んだ。そして、ぼんやりと天井を眺めた。今頃、塁は誰かを抱いている。俺に触れた手が別の誰かに触れている。そんなこと初めから分かっていた。なのに、どうしようもなく苦しくなる。俺に嫉妬する資格なんてない。だけど、塁が触れる相手は俺だけがいい。俺は塁に触れられた唇を指でなぞった。今すぐ、塁に会いたい。会って塁を抱き締めたい。どこにも行くなと言いたい。だけど、俺にそれを言う資格はない。俺はスマホートフォンを握り締めながら、塁からの連絡を待った。しかし、何時間経ってもスマートフォンは鳴らなかった。やはり、俺では塁を繋ぎ止めることができなかった。そう悟った時、俺の目から一筋の涙が頬を伝った。トゥルルルルルル……「あれ、寝てた。あ!スマホ」俺は眠い目を擦りながら、机に置いてあるスマートフォンを手に取った。画面を確認すると塁からの着信だった。俺は慌てて通話ボタンを押した。「もしもし」「もしもし、智也さん。夜中にごめん。寝てたかな?」「大丈夫。連絡ありがとう」塁が俺との約束を覚えていてくれた。それだけで、俺の目は完全に覚めた。「今、塁さんになんて声を掛けたらいいんだろう?」「お疲れさま、とか?」「それならお疲れさま」「ありがとう。だけど、今日は出来なかったんだ」「ん?」俺は塁に問いかけた。「抱けなかった。それで、智也さんの声が聞きたくなった」不謹慎だと分かっていても、俺は嬉しかった。「塁さん、俺に連絡をくれてありがとう」「智也さんが友達としてって言ってくれたから」「うん」「でも、俺、甘え過ぎだな」「そんな事ない。今どこに居るの?」「○○ホテル。今日は泊まっていいって。客は帰ったけど」数時間前、俺は塁を客の元へ行かせることしか出来なかった。だからこそ、もし次があるなら、塁を一人にしないと決めていた。「塁さん。今から行くから。そこで待ってて」「でも、もう夜中だし。智也さんに申し訳ない」「俺が塁さんに会いたいんだ。友達なら心配もするだろ?塁さんを一人にさせられない」俺は電話越しに必死に訴えた。俺は塁の返答を静かに待った。「……分かった。待ってる」「今すぐ行くから。あと15分待ってて」俺は通話を切り、慌てて部屋を出た。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-08-30
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今夜はひとりで居たくない

シャワーの音が聞こえる。俺はベッドに寝転んで、塁が戻ってくるのを待った。勢いでホテルまで来てしまったが、今夜、俺は塁と同じベッドで寝るのだろうか。いや、無理だ。俺には出来ない。我に返った俺は、自分がとった行動に頭を抱えた。20年間、恋をする暇など無かった。御曹司としての教養や振舞いを叩き込まれ、父親の言いなりだった俺に恋など不要だった。そんな俺が、初めて惚れた相手が塁なのだ。しかも、塁は訳ありで、難易度が高すぎるイケメンときた。恋愛経験皆無の俺には為す術がなかった。俺はじっとしていられず、枕を抱き締め、ベッドを行ったり来たりしていた。「智也さん、何してるの?」「塁さん!?」恥ずかしい所を塁に見られてしまった。穴があったら入りたいとはまさにこの事だ。「智也さん、驚きすぎ」「だって、塁さんが……/」「俺が何?」「ちょっと、近いです//」風呂上がりの塁は、バスローブ姿で俺に顔を近づけた。塁の火照った上半身が、バスローブの隙間から見えた。俺は塁の裸体を直視出来ず、咄嗟に視線を逸らした。「智也さんと居ると飽きないな」「え?」塁は何事も無かったかのように、濡れた髪をバスタオルで拭き始めた。俺と違い塁は、誰かとホテルに泊まることも慣れているのだろう。俺だけ、余裕がなくて馬鹿みたいだ。そこで俺はそっと塁に近づいた。「ん?智也さん。どうしたの?」「髪、乾かします」俺は塁からドライヤーを受け取ると、彼の髪に優しく触れた。「智也さん、くすぐったい」「折角、綺麗な髪だから丁寧に乾かそうと思って」「そんなに綺麗かな?傷んでない?」「全然。俺、何度も染めてるから髪傷んでて」「それなら、俺が使ってるシャンプー使ってみる?美容師さんに勧めてもらったんだけど、これが良くてさ。次に会う時、持っていこうか?」「あ、うん。ありがとうございます」塁の口からさりげなく零れた〝次〟という言葉に、俺は過剰に反応してしまい、塁への返答が素っ気なくなってしまった。塁は俺とまた会うつもりでいてくれている。それが嬉しくて、今すぐ塁を抱き締めたい衝動に駆られた。俺はドライヤーのスイッチを切り、手から離すと後ろから塁を抱き締めた。「嫌なら言ってください」「ううん。智也さんなら嫌じゃないよ」「良かった」「智也さん」「どうしましたか?」「今夜はひとりで居たくない」俺は
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-04
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塁には敵わない

「智也さんは頑固だな。折角、忠告してあげたのに」「だって、塁さんは俺が初めて一緒に居たいと思ったひとだから」俺は後ろから塁を抱き締めたまま言った。塁に顔が見られない分、いつもより素直に言葉が出てきた。「俺、告白されてる?」「こ、こくはく!?」全く無自覚だった俺は、塁の言葉に動揺し、思わず彼を抱き締めている腕を離した。俺の発言が、世間一般的に告白と思われる事実に驚きを隠せなかった。「智也さん、動揺しすぎ」「だって、塁さんがそんなこというから……」「ごめんね。でも、ありがとう。嬉しかった」塁は俺の頭を優しく撫でながら微笑んだ。そして今度は、塁が俺を抱き締めた。「智也さんと居ると落ち着く。このまま寝そうだ」「寝ていいですよ」俺は塁の背中をトントンと叩いた。「智也さんも一緒に寝よ?」まさかの展開に俺は固まった。塁と同じベッドで寝る勇気は俺には無い。俺には好きな人と同じベッドで眠るなんてハードルが高過ぎるのだ。しかし、そんな俺の不安を他所に、塁は俺を軽々しく抱きかかえ、そっとベッドに寝かせた。「智也さん、なんで隠れるの?」「それは、塁さんの顔が近いから/」「智也さんを近くで見たいからね」俺の顔が赤くなるようなことを、平気な顔して塁は言った。甘い言葉に慣れていない俺は、塁の一言に心を乱される。「智也さん、出てきて?」塁の甘えた声が、俺の耳に届いた。思わず俺は、布団から顔を出した。すると、塁が嬉しそうな顔で俺を見た。塁は友達だ。俺は何とか自分を抑えようと必死だった。「智也さん?」だが、俺の決意は呆気なく崩れ去った。俺は何も言わず、そっと塁の頬に触れ、そのまま彼の首筋を優しく撫でた。「んっ、」塁の吐息が俺の耳にかかった。ここで止めなければ、俺は塁と一線を越えてしまうかもしれない。「智也さん……」塁に名前を呼ばれ、我に返った俺は彼に触れていた手を離した。そして、俺たちは見つめ合った。触れなくても、互いの想いが伝わりそうなその距離で、俺と塁はどちらともなくキスをした。「塁さん//」「ん?」「これ以上は……俺たち友達でしょ?/」「智也さんを見てるとしたくなる」「もうだめ//寝ますよ///」俺は照れ隠しに、塁に背を向けた。恋愛慣れしている塁と、恋愛初心者の俺。気を抜くと、塁のペースに流されてしまう。「智也さん。もうしない
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-05
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月が綺麗だ

塁は寝たのだろうか?俺は深夜にも関わらず、目が冴えてしまった。そもそも、好きな人と同じベッドで眠るなんて俺には無理な話なのだ。「智也さん、起きてる?」「起きてます」塁の問いかけに、俺は答えた。「俺、今、すごく智也さんとしたい」突然の塁の言葉に、何と言っても正解ではない気がして、俺は答える事が出来なかった。「って、ごめん。忘れて」「塁さんは、どうして俺としたいんですか?」俺の脳をフル回転させて絞り出した言葉が、ありきたりなこれだった。「理由は分からないけど……」「そうですか」「智也さん、怒らないの?都合のいいこと言うなって」「俺、今まで恋愛したことがないんです。誰かを好きになった事もない。だから、そういう時もあるのかもなって思いながら聞いてます」「そんなこと言ったら、智也さんに色々教えたくなっちゃうよ?」塁が色っぽい笑みを浮かべて言った。俺は思わず頬を赤らめた。「でも、塁さんに教えてもらえるなら、それもいいかも……/」「ねぇ、本気で言ってる?」「俺はいつも本気です。塁さんの前で嘘をつく余裕はないから」俺は恥ずかしさのあまり、塁と目を会わせることが出来なかった。「今夜だけは、嘘でも嫌だって言って欲しかった」「え?」「智也さんを俺だけのものにしたくなるから。今、俺は智也さんの優しさに漬け込んで、智也さんとして、このよくわかんない感情を抑えようとしてるずるい奴なわけで……」「塁さんなズルくない」俺は塁の目を見て言った。「どうしてそう思うの?」「俺に正直に何がしたいかも、どう思っているのかも伝えてくれたから」俺は塁に微笑んだ。「なんでそこで笑うんだよ」塁が泣きそうな声で言った。「僕の前では、嫌なことも忘れて、塁さんに笑って欲しいから」俺はこの歳まで、誰かを好きになったこともなければ、他人に興味すらなかった。そんな俺が、塁と出会い、彼に恋をした。叶うことのない想いだけれど、せめて、塁の居場所になりたい。この時、俺はどんな塁でも受け止めると心に誓った。「塁さん、こっち来て?」 俺は塁を自分の胸に引き寄せた。俺の胸にすっぽりとおさまる塁が愛おしかった。「智也さんの心臓の音がする」「うるさいでしょ?」「ううん、落ち着く。俺も生きてるんだなって実感できる」「塁さん、今日はゆっくり寝ましょう。俺がいます」俺は塁の
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-05
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レンタル彼氏は誰かの彼氏

俺は朝日の眩しさで目を覚ました。 「おはよ、智也さん」 「おはよ、塁さん。もう起きてたんだ」 「智也さんのお陰でよく眠れたからね」 「そっか、良かった」 俺は眠い目を擦りながら起き上がった。そして、俺は顔を洗い、歯を磨いた。塁はというと、髪のセットも終えて、帰り支度を進めていた。俺はそんな塁に問いかけた。 「塁さんは今日も仕事?」 「うん。午前中から常連さんと」 「そっか」 塁の仕事はレンタル彼氏。それ故、今日も別の人の彼氏になる。頭では分かっているのに、俺の胸は張り裂けそうだ。なぜ、こんなに近くに居るのに、俺は塁の恋人ではないのだろうか? 「智也さん、仕事が終わったら会える?」 「え……」 俺は塁の言葉に驚き、思わず聞き返した。 「ごめん。無理ならいいんだ。智也さんも学校とバイトで忙しいだろうから」 「会えます。俺も会いたい!」 俺は前のめりで答えた。 「ほんと?嬉しい。ありがとう。夕方には仕事が終わると思うから、また連絡するね」 「はい。待ってます」 さっきまでの憂鬱な気持ちが、塁の一言であっという間に晴れていく。今の俺と塁は、金で繋がった関係ではない。それだけで十分だ。俺は欲張りになりそうな自分を戒めた。 例え、塁が他の誰かの恋人になったとしても、一日の最後に帰る場所が俺でありますように。ホテルの部屋を出る塁の背中を見送りながら、俺は願った。 俺は一人、ホテルのベッドに寝転がった。さっきまで隣で眠っていた塁の残り香がした。それだけで、恋しくて、会いたくなる。 今頃、塁は俺の知らない人の彼氏になっているのだ。食事をして、手を繋いで、買い物をして完璧な彼氏を演じているに違いない。 考えるだけで、胸が苦しくなる。塁にとってレンタル彼氏は仕事だ。頭では分かっているのに、俺以外の人に笑いかけている塁を想像するだけで耐えられない。これが人を好きになるということなら、俺にとっては苦しさでしかない。俺は、塁の連絡を待つことしかできない自分の無力さに嫌気がさした。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ どれくらいこうしていただろう?気づけばホテルのチェックアウトの時間になっていた。俺は慌てて、帰り支度を済ませるとホテルを出た。 塁からの連絡はまだない。俺は、スマートフォンを握りしめたまま、昼間のホテル街を一人で歩いた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-05
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あなたが好き

俺はホテルから電車を乗り継ぎ、家に帰ってきた。今日は大学の講義もアルバイトも休みだ。塁と会えるのは夕方の予定なので、俺はシャワーを浴びることにした。風呂から出ると、俺はアルバイト代をつぎ込んで買った服に袖を通した。塁と会う時は、格好いい俺でいたい。俺は最近買ったヘアアイロンで、髪を入念にセットした。〝俺なんか〟という言葉で誤魔化し、努力をしようともしなかった俺を塁が変えてくれた。人は変われる。見た目も、中身も。変われるかどうかは、自分次第なんだということも塁が教えてくれた。今日は塁から〝会いたい〟と言ってくれた。好きな人に必要とされる事が、こんなにも嬉しいということを俺は初めて知った。トゥルルルルルル……その時、俺のスマホが鳴った。「もしもし」「もしもし、俺だけど仕事終わったよ」「今どこに居ますか?すぐ行きます」俺は家を飛び出し、塁の元へ走った。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「塁さん!!」俺は息を切らしながら、塁の元へ駆け寄った。「智也さん、慌てなくてもよかったのに」「少しでも早く塁さんに会いたくて」「ありがとう」塁は俺を見て微笑んだ。だが、その表情はどこか疲れているようにも見えた。「ね、智也さん」「どうしましたか?」「俺に自由はないのかな」「塁さん……」今夜の塁はとても弱って見えた。きっと、何かあったに違いない。俺はこのまま、塁を独りになんて出来なかった。「俺の家、ここから二駅なんです。もしよかったら、そこでゆっくり話しませんか?」「智也さんの家行っていいの?」「はい。俺たち友達でしょ?」俺は塁の手を握り、駅へと向かった。「お邪魔します」「狭いけど、ここに座ってください」俺は塁に一人掛けのソファーを勧めた。「ありがとう」「飲み物は、コーヒーでいいですか?」「うん」俺はインスタントコーヒーをマグカップに入れ、お湯を注いだ。「どうぞ、熱いから気をつけて」俺はコーヒーの入ったマグカップを二つ、リビングの机の上に置いた。塁はゆっくりとコーヒーを喉に流し込んだ。そして、意を決したかのように俺に言った。「智也さん、俺たち友達やめよう」「え……?」俺は言葉を失った。「俺、さっきまでお金の為にお客さんを抱いてた。それなのに、智也さんの家に上がり込んで、智也さんと一緒に居たいと思ってる」「それ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-06
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それぞれの決意

塁は俺の突然の告白に言葉を詰まらせた。「塁さんを困らせたい訳じゃないんだ。ただ、俺は塁さんの居場所になりたい。だから、もう会わないとか言わないで」すると、塁は俺に抱きついた。「智也さん……」俺の名を呼び、塁は俺を見つめた。「俺、話つけてくるから」「え?」「堂々と智也さんと一緒に居られるように」塁の言葉を聞いた俺は悟った。塁がひとりで全てを背負おうとしていることを。「塁さん、俺にも何かできることない?」俺の力なんてたかが知れてる。そんなこと俺が一番分かっている。だけど、どうしても聞かずにはいられなかった。「今夜、一緒に眠ってほしい」「それはもちろん」「それだけで俺は幸せだよ」俺は塁の笑顔を見ながら、自分の無力さを悔いた。「ベッド狭くないですか?」「狭い方が智也さんの近くに居られるから、嬉しい」俺と塁の間に穏やかな時間が流れた。例えそれが、かりそめの幸せだとしても、俺は今夜の事をこの先も忘れないだろう。 「おやすみ、塁さん」本当は寝たくない。一分一秒でも長く塁と居たい。気を抜いたら涙が溢れてしまいそうだ。「智也さん、必ず会いに来るよ。約束する」塁は俺の胸に顔を埋めたまま言った。塁の表情は見えなかった。「分かりました。待ってます」俺は気の利いた言葉をかけることが出来なかった。その変わり、俺は塁を力強く抱き締めた。言葉がなくても、気持ちが伝わればいいのに。しかし、夜は容赦なく、俺たちを闇の中に引きずり込もうとする。だとしても、俺は塁の為なら何度でも抗ってみせる。俺にとって塁は自分以上に大切なひとだから。必ず、塁を救い出す。俺は心に誓った。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄俺は朝の日差しで目を覚ました。智也は俺をしっかりと抱き締めたまま眠っていた。俺は智也を起こさないように、そっと彼の頬に触れた。当分、会えなくなる愛しい人の寝顔を俺は眺めた。まさか、客に本気になるとは思わなかった。なのに、智也は容赦なく俺の中に入ってきて、俺を掻き乱した。だけど、それが嫌ではなかった。そして、ある時気づいた。智也の前では俺は笑えることを。それから智也を好きになるまでに時間は掛からなかった。だけど、智也はあくまで俺の客として振る舞い続けた。だから俺の事は好きじゃないと思っていた。せめて友達になれればと思い、智也に提案し、受け入
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-06
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塁の物語

俺の母親は、夜の世界の女だった。そこで、出会った男と恋に落ち、俺が産まれた。母親は男の愛人だった。 その母親も俺が中学一年生の時に他界した。天涯孤独となった俺を迎えたのは、母親の不倫相手、つまり、血の繋がった実の父親だった。そして、この男は、夜の世界では名の知れた人物だった。 俺は広い屋敷に、数人の家政婦と共に生活することとなった。専属の家庭教師による指導。身に付けるものも一級品ばかり。俺はここで、最高の教養を叩き込まれた。 時は過ぎ、18歳の誕生日を迎えた俺に父親はこう言った。 「お前の母親の残した借金が1000万ある。お前が稼いで俺に返せ。それまで、塁、お前に自由はない」 この時、俺は悟った。これまでの俺への教育は全て、俺を最高の商品にする為だったのだと。父親に俺への愛情など微塵も無かった。分かっていたつもりなのに、その事実は俺の胸の奥に重くのしかかった。 それからの俺は、父親から解放される為に、身体を売って、お金を稼いだ。幸いにも、培った教養と、生まれ持った容姿が役に立った。 そして、その生活を始めて数ヶ月が経った頃、俺は父親が経営するホストクラブの常連客である、すみれという女性に出会った。すみれはいつも大金をホストクラブで使い込んでいた。 俺はすみれとの接触をはかった。そして俺は、すみれがホストクラブから出て来たタイミングを見計らい声を掛けた。 「お姉さん、俺を買わない?」 すみれの返事はイエスだった。すみれは、人気女優だった。けれど、性に奔放で、俺とのセックスに溺れていった。こうして、すみれは俺の太客になった。 「ねぇ、塁。何歳になった?」 「20歳だよ」 「出会った時は、18歳だったのに」 「いつもありがとうございます」 俺はすみれから札束を受け取った。 「私のモノになれば、今の5倍。いや、10倍は払うわよ」 「俺、身体は売っても、心は売らないから」 俺は笑顔ですみれに告げた。 「あーあ、いつもの言われちゃったわ」 「すみません」 「この世界に居て、ブレない塁が好きよ」 そう言うと、すみれは俺の上に跨った。そして、自らゆっくりと腰を沈めた。 「あ……あんっ///」 長い髪を乱しながら、すみれは腰を振りまくった。俺はその光景をただ眺めていた。 俺の地獄はま
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-07
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塁の自由

あのひとは、俺が母親の借金を返さない限り、俺を自由にはしないだろう。まだ、母が残した借金は500万円も残っている。俺の事を金ヅルとしか思っていない父親と一日でも早く縁を切りたい。 だが、俺にはどうすることも出来ない。このままでは、もう二度と智也と会うことはできないかもしれない。俺は自分の運命を呪った。 トゥルルルルル…… 「もしもし」 「もしもし、私、すみれだけど」 すみれは人気女優であるが、性に奔放で、俺を飼っている女性だ。 「朝早くに珍しいね」 「撮影前に連絡したくて。今夜、時間ある?」 「うん、大丈夫」 「よかった。いつもの部屋に21時で」 「はーい。待ってるね」 すみれは、用件だけ告げると電話を切った。結局、変わろうとしても俺は変われない。今夜も俺は、金の為に身体を売る。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ すみれとの約束の時間の30分前に、俺はホテルの部屋に入室した。すみれに飼われる時は、毎回、同じホテルの同じ部屋を使っている。いつものベッドに、見慣れた天井が視界に入った。 俺はベッドに寝転ぶと、ふと、智也のことを思い出した。智也は今頃、何をしているのだろうか? 俺が何も言わずに部屋を出ていったことを怒っているだろうか?それとも、心配をかけてしまっているだろうか?俺の頭は、智也の事でいっぱいだった。智也に会いたい。そして、俺を抱き締めてほしい。 その時、聞き慣れたヒールの足音が近づいてきた。すみれが来た。俺は一瞬で現実に引き戻された。そして、俺は目を閉じ、すみれの理想の塁を呼び起こした。大丈夫。俺なら出来る。俺は自分に言い聞かせた。 「お待たせ、塁」 「すみれさん、お疲れ様です」 俺はいつもの様に、すみれを優しく抱き締めた。そして、すみれの唇にそっとキスをした。 「ふふっ、潮時ね」 「どうしたの?」 「塁、その事に一番気づいてるのはあなたでしょ?」 すみれは俺の目をじっと見た。今、俺が何を考えているのか見透かされそうで怖かった。けれど、俺はすみれの瞳から目が逸らせなかった。 「私ね、塁が私にも誰にも興味がないっていう冷めた目が気に入っていたの。なのに、こないだから、優しくなっちゃって。あなたも人並みだったのね」 「すみれさん?」 「だから、塁にこの仕事は向いてない。さっさと辞めて、私みたいなず
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-07
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