俺は500万円の小切手を握りしめ、父親の元へと向かった。やっと、父親から解放される。父親と話がついたら、真っ先に智也に連絡しよう。そして、今度こそ、俺の想いを智也に伝えたい。 「塁さん、社長は今、お取り込み中でして……」 父親の秘書の丸山が、俺を制止しようとした。相変わらず、父親は仕事中でも女性に手を出していた。そのだらしなさに虫酸が走った。しかし、俺はお構い無しに思い切り部屋の扉を開けた。 「おい、楽しみの邪魔をするな」 「昼間から盛ってるなよ。ね、君も出てってくれる?」 俺は、父親の相手の女性を外に出るように促した。これで邪魔者は居なくなった。すると、先に口を開いたのは父親だった。 「お前が支払い以外に俺に会いに来るなんて珍しいな」 「だから、今日も支払いにきたんだよ」 俺は、500万円の小切手を父親の机に叩きつけた。 「母さんの借金はこれで全部返済した。だから、俺はこの仕事から足を洗いたい。俺を自由にしてくれ」 俺は父親の目を見て訴えた。 「塁、俺がお前ほどの商品を手放すわけがないだろ?その為に、幼少期からいくらお前につぎ込んだと思ってる」 しかし、金の亡者の父親には、俺の言葉は届かなかった。俺はまた、鳥籠から飛び立つタイミングを失ってしまった。 その時だった。 コンコンコン 誰かがドアを三回ノックした。 「失礼します」 それは、何度も聞いた心地よい声だった。しかし、ここに智也が居るはずがない。俺はとうとう幻聴まで聞こえるようになってしまったようだ。智也に会いたい。だが、その願いはもう二度と叶わない。 「塁さん、待たせてごめん。迎えに来たよ」 「智也さん……?どうしてここに?」 「話しはあとで」 スーツを身にまとった智也は、別人のように格好良かった。俺は状況を把握できず、その場に立ち尽くした。 「丸山、何してる。警備員を呼べ!」 父親の怒鳴り声が部屋中に響いた。 「丸山!!」 「丸山さんなら今日から僕の秘書になっていただきました」 「は?何を言ってる?」 「申し遅れました。私、湊智也と申します。本日、あなたの会社を買収しました。よって、今日から私がこの会社の社長です。その席、どいてくださいますか?」 智也が俺の父親を冷徹な目で見下ろした。それでも
Terakhir Diperbarui : 2026-09-07 Baca selengkapnya