家の中でWeb会議が始まる。今日は小説の締切に間に合ったのでそれの添削も含めての打ち合わせだった。ちなみに私はある編集部の元編集長が見てるので結構厳しい。最初は私を拾ってくれた恩人だったけど、大体3~4回はボツにされる。私は今回の作品を既に5回も全てボツにされてボロボロだった。何十万文字のガラクタの上に私は立っている。それだけ、幾つものメディアが私に期待している証拠なのだ。「おー!お疲れさやちゃん。」「編集長〜お疲れ様でーす!」「ばーか、今俺は常務だよ、敬語使え敬語。」ちなみに会議中はお互いシラフでないのも2人だけのルールだった。年齢差は恐らく20以上離れてるのに本当にフランクである。「どーよ、調子は〜。」「ねぇ〜今回まじで厳しくない?」「うるせえよ、お前さんの映画化した翼の折れた天使の興行収入覚えてるか?」「んなもん覚えてるわけないよ〜。」「35.2億円だよ。お前はその金額を背負ってるんだ。お前はそれを越えなきゃいけないんだよ。」「生きづらいよ。私はただ酒を飲んで書きたいだけなのに。」「いや、それがプロだからな。それで……さっきのやつ見たぞ〜。」そう言って、編集長(常務)はダルそうにパソコンをカチカチと触り私の送った小説を開く。「うん……なんつーか、身近な人に感謝を覚えたような感じがするな。相変わらず難しい言葉ばっか使うけど、登場人物が恋愛を通して成長する過程と身近な存在に感謝するところはすごくいいと思う。若年層には刺さるだろうな。」それを言われてドキッとする。編集長はこのようにただの文面でも私の気持ちを的確に汲み取っていく。「うん、とりあえずはこの方向で進めよう。物語の方向性さえ決めればあとは自由に書いても大丈夫だぞ。」「ほんと?じゃあ、1回書いたら通るかな?」「んなわけねえだろ馬鹿野郎。多分何回はボツ出すからな。」「こ……この鬼め……。」「いいじゃん、俺はお前と世界を動かすなら鬼でも悪魔でもなるよ。お前はその方がいい作品を作るんだ。」まあでも、今の名声は確実にこの男のおかげである。正直ぐうの音も出ない。「へ……編集長!最後に相談いいかな!」「あ?なんだ。」「その〜いまね……同居人と喧嘩して家出してて、どうすれば仲直りできるかなーって。」「……切っていいか?」「待って!お願い〜!もう10年の中じ
Última actualización : 2026-10-04 Leer más