クリスマスの時期になると、どこに行ったってクリスマスソングが流れる。ジングルベルーとかイニッシュアメリクリスマスとかなんかフレーズが耳に留まってしまう。「ねえ!直輝くんはなにかしたい事ある?」「お……俺?」愛さんがクリスマスのリズムに乗りながら少しステップを踏むように歩いている。きっと苦手意識がなければカップル感覚でこの時間を過ごせるのだろう。でも、今の俺にはそんなもの楽しむ余裕はなかった。「……何がしたいんだろうね。」「あはは!ちょっと疲れてるんじゃん!どうしたの?」彼女は突然距離を近づけて上目遣いでこちらを見ている。可愛い……のだがなにか含みがあるようで冷や汗さえ感じる。笑顔なのに目が笑ってなくて、抱きしめたら折れそうな程に小柄なのにどこか余裕で、黒髪なのに妙に色にコントラストを感じていた。「直輝くんのいいところ!」「え、なに急に。」「優しくて誠実で、努力家でユーモアがあるところ!」そういって、彼女は俺に指を指す。その奇妙な言動でさえ、都会の人は目に留めようとしない不思議なマジックが俺たちだけの閉鎖空間をつくる。「そして、悪いところは……無理し過ぎてるところかな。」「…………。」図星だった。あまりにも的を得ていて、俺は何を言うべきかわからなかった。「私の事苦手なの知ってるよ?でも……今の君は崩れそうだよ。一人になったら突っ走って転んでしまいそう。今も君は自分の無力さに打ちのめされてる。」「じゃあ!俺はどうすればいいんだよ!」俺は無意識に少しだけ怒りを顕にしてしまった。ズバズバと自分の事を言われて妙に心地よくない。「俺……目の前で大切な人を亡くして、時折夢に出るんだよ!直人が……死を決意しながらも、ちょっと死ぬの怖いな……なんて顔してたんだぞ!俺は10日近く助けられるチャンスがあったのに……何もしてやれなかった!!もう嫌なんだよ、後悔するのは!!」きっと何言ってるかわからない。だって、あれが現実なのか夢なのか確信すらないからだ。でも、俺にとっては残るものがあった。決意と同時に……やはりどこかで後悔してる自分がいるんだ。「ううん、きっとそれは直輝くんは悪くない。」「なんでそう言えるんだよ!」「もしお父さんが自分の命を優先したり、2人とも助かったら今の直輝くんは……どうなると思う?」「……え。」堂々と
Last Updated : 2026-09-13 Read more