All Chapters of 僕のお母さんは△▽女優: Chapter 281 - Chapter 290

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完璧弟と白衣の姉と 5話

神社の歴史のある自然は整備されていて、所々が御神木として大切にされてるようだった。「姉ちゃん?」私は、気に突然耳を当てる。私は知っている、おおきな木は下から水を汲み上げる……いわゆる生きてる音がするのだ。私は、この音が好きだった。「わわ!姉ちゃんが木に発情した!?」「……うっさい。」「ごご……ごめんて、その拳を下げてよ。」「……木の音、知らない?」「あ、木からなんか聞こえるんだね!どれどれ……。」凛もその静かな音を聞いて目を閉じると、確かに音が聞こえたのか目をキラキラとさせていた。「すげぇ!めっちゃ神秘的!うおおー、これなら良いデザインが描けそうだ!」「……まーた仕事。」凛は本当に仕事が好きだ。恐らく仕事とプライベートの境界線がないほど好きなのだ。いや、私も人のこと言えないけどね。私たちは正宮 豊受大神宮を見ると、そこには綺麗な新しい木で建てられた神社があった。地面は玉砂利でできていて、それだけでもほかの神社とはひと味もふた味も違う。他にも3つほどの別宮があって、神社なのにまるで1つの迷路のように広く迷いそうでもあった。凛は難しい顔をしてよく見ている。「昔からある建築って昔からあるのに長持ちするの不思議だよな。俺生きる世界が違ったら宮大工もやってみたかったかも。」「……そんなに簡単じゃないかも。」「だよね!歴史のある建造物だから、建てた人の意図も汲めなきゃ建てられなそう。木の扱い1つにしてもこだわってるらしいから、尊敬するよ。」私たちは一通り外宮を歩いてはたくさんのことに驚かされる。自然、建築……そして雰囲気、どれを取っても一流の一言に尽きる世界だった。私も興味を駆り立てられたけど、凛はデザイナーという職業病もあってか深く考えていた。そして、しばらく私たちは外宮を出る。次は内宮を見に行くために、凛がタクシーを呼んで内宮を目指す。凛はタブレットを開いてはデザインをすぐに描き上げていて、どこまでもプロなのだと思い知らされた。「そういえば、この神社アマテラスを祭る神社だっけな?」「……ごめん、神話はソシャゲ止まり。」「あはは!姉さんらしいや!」「……あ、そういえば天照にはスサノオって弟がいた気が。もしかして、凛と同じシスコンだったりして。」「誰がシスコンだよ。」え、自覚ないの?すると凛は得意げに指をク
last updateLast Updated : 2026-09-11
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完璧弟と白衣の姉と 6話

私たちは内宮を歩いていった。様々な建築を見てはゆっくりと話すことを繰り返すばかりだった。たまに凛が歴史の背景などを語り、それをボーっと聞くばかりでどこか上の空だった。なぜ上の空か少し考えたけど、答えはひとつだった。「……凛、お腹すいた。」「確かに!そろそろ飯にする?」「……うん、肉食べたい。」「あはは!姉ちゃんはしょうがないな〜。何食べたい?すき焼き?ステーキ?」「……すき焼き。」「了解!いくつかピックアップはしてたから予約しとくね!」そう言って凛はタクシーを呼びつつ、すき焼きが食べれるお店へと進んでいく。タクシーの中でも彼はバリバリと仕事をこなし、まさに生産性の鬼と言わんばかりの行動力を発揮していた。そんな時、彼が突然電話がかかり少し憂鬱そうな顔をしていた。「げ……。」「……どうした?」「上司からだ。」「……出ていいよ。」「んー、ちょっといいかな。」上司から10コール以上の電話があるのだが、明らかに嫌そうな顔をしていた。凛はまだ若いのもあって悩み事とかあるのかな?「……上司苦手?」「ああ、なんかね……怖い。」凛の様子をみると明らかに少し怯えてるようでもあった。なんというか、瞳孔が小さくなりその話題をするのも嫌そうだった。しばらくして、凛は社内チャットで連絡するのだけど、また電話がかかってくる。どうやら少し自分勝手な性格をしてるようでもあった。やがて、すき焼きのお店の前に到着すると凛はお会計を済ませて大きなため息を着いた。「……大丈夫?」「うん、なんとか……。とりあえずランチの後に折り返す旨を伝えたよ。」「とりあえず、食べるか。」「そうだね!」私たちはお店に入る。その店は畳が一面に敷き詰められてあって、個室がある。それだけでも敷居が高いというのに凛はそこは金銭的に余裕があるのか涼しい顔をしていた。しばらくすると中居さんみたいな和服の女性が私たちの前で牛脂を鍋に乗せて脂を馴染ませてから、牛肉を焼き始める。牛肉特有の餌くささは無く、しっかりと肉の香りが広がる。その後にタレを入れて、春菊や焼き豆腐、しらたきやネギを加えて煮込んでいた。「ここからこの砂時計が落ちてからお召し上がりください!」「「はーい。」」そして、女性は礼儀正しくお辞儀をしてから私たち二人の空間ができる。すると、少し顔色の悪い凛
last updateLast Updated : 2026-09-11
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完璧弟と白衣の姉と 7話

冬の太平洋は強く波を打ち付けて、それが小さなしぶきとなって時折こちらに降り掛かっている。ここは、伊勢神宮ともうひとつの人気スポットの夫婦岩という場所である。この場所は神社のある岬と、2つの岩がしめ縄で結ばれている。周りには熟年の夫婦や若い女性グループなど多種多様な人が集まっていることからも知る人ぞ知る隠れた名所なのだ。それが夕焼けに染まった空と少し乱れた水平線がハーモニーを奏でるようだった。「あー、なんか……すごいところに来ちゃったね。」「……うん、意外と私自然好きかも。」凛は妙に黄昏ていた。きっと先程上司の件をまだ引きずっていたのだろう。意外と器用で立ち回れるようで、メンタルが弱いところはまだまだ可愛らしい一面だなと感じてしまう。私は、彼の手を引いて前に進む。「え、姉ちゃん?」「……気にしない、気にしない。」自分の心のうちを読まれたと思ったのか彼は赤面してしまったようだった。朝とは真逆である、彼に手を引かれるのではなく私が手を引いていた。そして、また強くなみが打ち付けて身体に水しぶきが打ち付ける。「……昔の凛は、確か泣き虫だったね。」「やめてくれよ。……あれから変わろうとしたから。」ふと、その動作に追憶が脳裏をよぎる。凛は昔は体が小さく、私に泣き疲れてはこうして夕陽とかを見つめていた。私は、立場が逆転したと思ったけどやっぱりこの男の姉だった。やがて岬の鳥居に着いてお参りをする。お参りしながら、妙に過去の後悔がフラッシュバックするようだった。親と口論になって、研究職をつづけて……そして教授をぶん殴り、孤立して……妙に私の人生とは諦めと挫折がまるで焼肉の網の焦げカスのようにへばりついて、取れる術すら知らなかった。でも、今はこうして許している。それはこの最愛の弟が私の手を引いてくれたからだ。私は私自身を許すことができた。それが今の最大の収穫かもしれない。「なんか、姉ちゃんいい顔するようになった。」「……そうかな?」そう、今私には唯一気にかけてくれてる凛がいる。それだけでもすごく幸せだ。自暴自棄になって男に身を委ねていたけど、本当に求めていたのはこういった心を満たせる信頼だったのかもしれない。「……凛、私は未だに研究職のことを引きずっていたけど、今はこの教師というステージを頑張るよ。」「俺も!今の仕事
last updateLast Updated : 2026-09-11
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完璧弟と白衣の姉と 8話

私たちは各々で急いで仕事を終わらせる。とはいえ、私はこんなこともあろうかと朝イチに仕事を全て終わらして手持ち無沙汰ではあったのだが、松本先生と宮島先生は微妙に仕事が残っていたのでそのフォローをしていた。「……宮島先生、確か小テストの答案を作っていたよね。3組だから34部印刷すればいい?」「うん!お願い!」「……松本先生は、部活動の申請書類の承認だったよね。部費精算の所は小さい申請だけ承認しておく。」「ああ〜ほんとありがとうございます!」私はこういう場面で能力が光る。研究職してた時もこうやって他の人のタスクを把握しながら品質保証の人とかと戦ってたな……なんて思い出す。私にとっては2人の仕事は手に取るようにわかる。大事な場面は彼女らにやらせて、私でもできそうな所は片手間でやっておけば終わる。みるみるうちに2人の仕事は片付いてしまって2人とも驚いていた。「……終わったね。」「いや、ほんとあんた……いつもはアレだけどこういう時ほんと仕事早いわね。」「……宮島先生?いつもはアレって……?」妙に引っかかる物言いだ。最近確かに彼女の横でストレス発散で下ネタを連発していたけどそれが悪かったのだろうか?「佐々木先生……いや、師匠!」「……松本先生はなんか金魚のフンみたいになってるし。」私たちは見事に仕事を終えて、私の自宅へと足を運ぶことになった。楽しみにしてたし、サービス残業なんてもってのほかだ。私はそう思いやり残したことのない綺麗なデスクを立ち上がり、コートを羽織ってみんなと部屋を出た。☆☆ピッマンションのオートロックが空くと警備員さんが帽子に手を当てて会釈をする。そして、高級マンションはまるでホテルのごとくマット付きフローリングを歩いてエレベーターを登っていった。「え?あんたの家こんなに豪華なの?」「すごい……私ですらボロアパートなのに……。」2人は私の家の様子を見て驚いていた。私は得意げにふふんと鼻を鳴らし2人を案内していた。「あんなにパチンコ行ってるのにどこからそんなお金が。」おいそこ、痛いとこつかないで。私は自宅の扉をあけて、2人を入れた。「あ!いらっしゃい!」扉を開けると……凛がエプロンを着て私たちを出迎えていた。「い……イケメンだ……!」「え、宮島先生彼氏いたんですか……?」宮島先生と松本先生が絶
last updateLast Updated : 2026-09-11
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完璧弟と白衣の姉と 9話

ずず……コーヒーをすする音がする。今は女子会(約1名男性)を開催していて、私たちは会話に花を咲かせていた。「そういえば〜!最近松本先生は例の男性とはどうなの?」「うっ、私に聞きますか……。」宮島先生が松本先生に絡み出す。でも今は1番ネタが多そうなのが彼女なので私も興味はあった。「まあ……その……先日小田原でデートはしましたけどその際にお付き合いはしましたね。」「ついに!あんたもやったわね!」凛と宮島先生は拍手をしていて祝福ムードだ。私も合コンで惨敗してたり、気の迷いでホストに行っていた彼女を知ってる分私も嬉しかった。ウブな反応が可愛かったので少しいじりたくなってしまう。「……それで、どこまでしたんだい?お嬢さん。キスとか?それとも〇〇?〇〇〇?」ガツン後半放送禁止用語を連呼したら宮島先生に頭をぶたれた。「ちょっと!付き合いたてだからそんなことしてるわけないじゃない!恋愛には段階が必要だもんね!松本先生!!」「え……あ……う。」松本先生は赤面して明らかに雌の顔をしていた。くそう……可愛いなこいつ。「あの松本先生よ!多分キスだってこれからよ!」すると、松本先生はあさっての方向に目を逸らしていた。もしかして……「……松本先生、もしかして。」「は、はい!!?」「……致した?」すると、彼女は頭に血が登りすぎたのかボンと爆発したかのようにフリーズしていた。おいおい、やることはやってるのか。「え……?マジ……?」空気が静まり返っていた。この娘、もう少しポーカーフェイスを覚えた方が良いと思う。「……そういう宮島先生は最近はどうなの?」「ちょ!?次は私?」ちょっといじりすぎたと反省しつつ、次は宮島先生にスポットを当ててみる。なんせ、合コンの幹事をいつもしてるから引く手あまたもいいところだろう。「私、マジでないわよ。」「……え?」しかし、彼女は毅然としていた。まあでも予想通りだった。彼女は社交的なものの結構相手を選ぶので酔った勢いでいたした所は見たことがない。それはそれで少し寂しいのだけれど、まあでもいつも通りで何よりだった。「……じゃあ、次は私。」全く、最近の小娘はまだまだ経験が足りないと思う。私の大人なエピソードを聞いて是非とも参考にしてもらおう。「あー、あんたは大丈夫よ。」「……え。」言おうと思
last updateLast Updated : 2026-09-11
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完璧弟と白衣の姉と 10話

部屋はカーテンで完全に暗闇になっている。私が自然に目が覚めてしまったのは恐らく昨日早く寝すぎたのと小さな雨音が妙に耳に入ったからだろう。昨日は何故あんなに不機嫌になってしまったのか、1日ぐっすり眠ると私はもう言語化できないほどフラットになっていた。リビングに行くと凛は居なかった。少し焦ったが私はラインで今日は仕事を早出すると連絡があった。朝ごはんでトーストを焼いた。でも、ちょっとだけ焦げてしまった。コーヒーを淹れた。でも、お湯の温度が高すぎて苦かった。「……私、凛がいないとこんなに何もできない。」ちょっと自分の無力さに打ちのめされそうだった。とりあえず、やることも無いので私は学校に行く。☆☆学校の人間関係は、ぶっちゃけ言って結構苦手だ。「……おはようございます。」「……。」職場に馴染めてないのか、挨拶をしても返してくれない。いつもは気にしなかったけど、妙にそれも切なくさえ感じてしまう。おそらく原因は私にあるのだろうけど、それを知る由もない。私はとにかく問題集をつくったり、とにかく効率を求めた。「佐々木先生!ここのテストの範囲違いますよ!」「……え、聞いてないです。」「いや!ほかの先生には伝えてあるんですよ!ちょっと注意が足りてないんじゃないですか?」「……すみません、すぐ修正します。」このような感じで、私は周りにコネクションが無いので微妙な変化に対応できない。というか、後出しになってやっと伝わるのだ。情報共有の仕組みもままならないな……なんて行き先のないストレスが溜まってしまう。私は急ピッチで問題の範囲を修正した。なのでリカバリーはできるのだけど、この変化の多すぎる状況が私にとって酷くノイズに感じてしまう。私はひとり立ち上がり喫煙所にてタバコを吸った。電子タバコの少し甘みのある香りとニコチンが肺を見たし少しだけリラックスするのを感じる。「……私って社会向いてないのかな。」そんな弱音を吐いて、ぼんやりと落ち葉の山をぼんやりと眺める。そして、昼飯も食べずに仕事をして私は今日は憂鬱な気分で仕事を終えてしまう。☆☆1日はあっという間だった。凛や宮島先生たちに絡めば私のモノトーンの世界は彩るのは分かっていたけど、妙に変なプライドが私にはあった。そう、凛だっていつかは私を離れなきゃ行けない時が来るし、私
last updateLast Updated : 2026-09-11
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完璧弟と白衣の姉と 11話

帰り道の公園は妙に湿気が多くかつ、いつもより気温が高いのが影響したのか霧が濃かった。少し気は紛れたけど、凛に心配かけすぎたかもしれない。ラインが幾つか通知を貯めるほど私は彼に会う後ろめたさが強くなって、公園で1人ベンチに腰掛けていた。思えば私はたまにひとりになりたい時は、いつもここにいた気がする。今月は既に12月、もう今年も終わりかけというタイミングで私は時の過ぎ去りの速さを痛感していた。「私……来年は30になるな。」20代最後の1年がもう少しで終わりかけなことに気がつく。定職らしき定職にも就かず、適当に生きて適当に死ぬ。どうにも回転の早すぎる頭は先の不安を駆り立てていた。そして、ひとつの疑問にまとまっていく。私、このままでいいのかな?なんて……。すると、1人の女性が隣のベンチに座るのを見つける。金髪で、私と同い年か少し上くらいの女性だ。どうやら、ジョギングの最中だったらしい。「あー!つかれた!でも全然痩せる気がしない!」独り言がでかい……。そんなに太ってるのかと女性を見ると全くそんなことはなかった。スタイルはいい方で痩せる必要あるのか?なんてツッコミたくなる。でも、私は妙にその女性の容姿を見てピンと来てしまった。「……あ……あの!!」「うわ!?びっくりした〜!」女性はあどけない表情でこちらを見つめていた。肌は褐色で、どこか自信に溢れたその表情には覚えがあった。そう、かつて世界の理不尽さに悶えた時に私が夢中になった伝説のAV女優、橘遥香にそっくりな女性が目の前にいたのだった。「こんな時間に人居たんですね!もしかしてお取り込み中でした?」「……いえ、そんなことは無いです。」女性はにこやかに私に近づいてきた。私とは違う、まるで太陽のように明るく、そして温かい雰囲気はインタビューの彼女そのものだった。「……あの、知ってる女優さんに似ていたので。」まだ確信は持ててなかったので、いきなりあなたAV女優ですか?なんて聞けなかったので私はジャブ程度に彼女に聞いてみると思いのほかそれが彼女に衝撃を与えていた。「え!?私の事認知されてる方ですか?嬉しい!男性は多いけど女性はあんまりいないから……!」どうやらドンピシャだったらしい。予感が確信に変わって先程まで霧がかってる白黒の世界が妙に夜景に代わり少し彩るように見えてしま
last updateLast Updated : 2026-09-11
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完璧弟と白衣の姉と 12話

いつもの見慣れたマンションに行くと、少しだけ心拍数が上がるのを感じる。凛があれだけ心配してるので多分帰ったら怒られるだろう。1歩、また1歩と歩くと少しだけあることに気がついた。「……あれ、このマンションこんなにカラフルだったっけ?」ここ数日で私の世界は妙に目に刺激を感じていた。世界が白黒に見えていたのが妙に沢山の色に溢れかえったことに気がついたのだろう。そう思いエレベーターのボタンを押して自分のいる階層へと到着する。いつもの見慣れた道、何度やったであろう動作で私は恐る恐る帰宅する。「……ただいま。」すると、凛はリビングで作業していた。私がいること自体に強く驚いていたのでかなり心配をかけてたんだろう。「姉ちゃん!どうしたんだよ!連絡しても全然帰ってこないから心配したんだぞ!」「……ごめん。」「とにかく……お腹すいた?」「……うん。」「わかった!ビールかなんか飲む?」「……飲みたい。」いつも通りの会話。凛はいつも通り優しくて、頼れる存在だった。テーブルにご飯が並べられている。今日はカレーライスだった。お互いにカレーを食べてはビールを飲んでその美味さに下を鳴らしていた。でも、凛は少しだけ心配の糸が切れたのかちょっと怒っていた。「……ごめん、いつも。」「いいけど……また黙って抱えたまま家出される方が辛かった!」いや、ホントおっしゃる通り。凛が宮島先生とか松本先生と仲良くしてるところが自分の知らない所を隠されるとか思っていたけど、私も私でやりたい放題していて、面目ないの一言に尽きる。「………昨日、凛が宮島先生たちと仲良くなるのは嬉しかったけど、ちょっと寂しかった。」そう言うと凛はキョトンとしてクスって笑っていた。「え?姉ちゃん?もしかしてヤキモチ妬いていたの?」「……うっさい。」「なんだ、そういうことか!姉ちゃん可愛いとこあるな。」ちょっとイラッとしたけど、でも実際その通りだったので私は返す言葉もなかった。「……でも、プチ家出してね。そっから考えたら、まだまだ私には凛が必要だった。」「うん。」「……凛、いつもありがとう。こんなに情けない私だけど、まだ一緒にいていいかな。」「うん、もちろん。姉ちゃんがちゃんと自分の足で立てて、きちんと姉ちゃんを受け入れてくれる人ができるまでは居ていいからね。」凛は優しく
last updateLast Updated : 2026-09-11
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直輝と決意とクリスマスイブ 1話

修学旅行から2週間……晴れてる日の冬はどうも身体が冷え込んでいく。きっと地熱が宇宙の果までも飛んでいき、帰ってそれが冷え込ませているのだろう。俺、天野直輝は実の父である工藤直人と出会い、そして失う経験をした。あれがなんだったのか、未だに理解はできないまま身体だけは動いていた。「どうした、なおっち!お前医学部目指すならこの程度でへばるなよ!まだまだ勉強時間足りてねえからな!」「わ……分かってるよ、龍。」俺は、親友で医学部を目指す不良の虎ノ門龍にだけ、俺の夢を伝えた。母の死を感じた、そして父の死を目の当たりにした。そんな俺に、やっと夢ができた。俺は医者になりたい、目の前の命を助けられるような……そんな医者になりたいと彼に伝えた。それから毎日、俺は龍に医学部に向けた受験勉強をビシバシと教わっていたのだ。「よし、一旦休憩だ!」「りょ……了解。」俺は家に龍とマンツーマンで勉強をしていた。コーヒーを淹れお互いに一息つく。最近勉強自体はしてたけど、こんなに本腰入れるとは思わなかった。でも、医学部って低くても65は偏差値がないと入れないから当たり前と言われれば当たり前である。「すまん、ここ数日ほんと勉強に付き合ってもらって。」「なーに!俺は嬉しいよなおっち!まさか、俺と一緒に医学部行きたいなんていうとはな!」龍は先程の鬼の形相ではなく友達としてにこやかな笑顔を見せる。思えば初対面の時は彼の暴君ぶりには驚かされてばかりだった。「でも、医学部って結構大変なんだな……。」「当たり前だよ!こちとら10時間以上勉強に費やしてるからな!学ぶってことは時間を担保しないとどうしても身につかないもんだぜ。」「お前……なんで不良やってるんだよ。」明らかに問題行動を起こしてばかりの不良の発言とは思えない。でも、だからこそ彼を頼ったところもある。実際龍は既に模試を受けたところ偏差値70台であればB判定以上をバンバン取っていたから、医者になる才能はあるのだ。「よし、なおっち!次はジョギングだ!」すると、龍は突然立ち上がる。俺はその様子に追いつけずキョトンとしてしまう。「え、勉強じゃないのか?」「あんのな〜お前はまず、集中力が足りなくて、その前段階で体力が無さすぎるんだよ!」ぐうの音も出ねえ……龍は口調こそ荒いけど本質をズバズバ言うし妙に論理的
last updateLast Updated : 2026-09-13
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直輝と決意とクリスマスイブ 2話

ピピッ!タイマーが鳴り俺は机に突っ伏して力尽きてしまう。時刻は21時を回っていて、本当にずっと勉強していたんだなと後から疲労の感覚だけがそれを物語っている。「よし!終わりだな……どうだ?俺の医学部向けドラゴン塾は!」「な……名前にツッコミどころ満載だけど、いつか学習塾開けるよ、龍。」龍はずっとハイテンションで罵倒……もとい叱咤激励をしながら俺はひたすら勉強をしていた。相変わらず彼は勉強のロジックを熟知していて医学部の入り方もしっかりと捉えている。「にしてもよ〜、偏差値60でこの学習度はちょっときびいよな。」「え、医学部ってそんなに高いのか?」「なおっち!夢はキチンとハードルを確認してから走った方がいいぞ?日本最低でも65はないとほぼ無理だ。」「65!?」うちの学校で成績が良い方になっていたから可能性あるかなと思ったけど完全に井の中の蛙だった。本当に1年であげることができるのだろうか?すると、龍は笑っていた。「おい!簡単にはその夢諦めさせねえからな!俺にどうしてもなりてえっつったんだからよ!ビシバシいくぞ!」「……うん、それくらいで頼む。」「んじゃあ、俺はそろそろ帰るわ……お疲れさん!」そういって龍は家を出ていく。急に緊張が解れたのか俺は天井を一点に見つめていた。すると、突然ドアをノックする音が聞こえた。「お疲れ様〜!ご飯作ったけど、食べる?」「ああ……うん、食べるよ。」そう、この人は俺の母ちゃんの天野遥香。相変わらずの童顔と金髪で天真爛漫な雰囲気を出している。つい先日までガンを発症して、手術したとは思えないほど母ちゃんはいつも通りまで戻っていた。俺は1階に降りては晩飯を食べる。今日の晩飯は野菜炒めと麻婆茄子だった。ナスはしっかりとトロトロになるまで煮込まれているので食欲を掻き立てられる。「……うまい。」「いやー!すごい頑張ってたね!どう?医学部行けそう?」「我ながら結構難しい目標を立てた気がする。」そう言うと、母ちゃんはちょっと苦笑いしていた。直人はなぜ学校にいなかったのかやっとわかった。本当に頭がいいやつって学校じゃなくて独学で勉強に充てた方が効率がいいのだ。「まあ、母ちゃんは直輝を応援してるから……やりたいようにやっていいからね!こちとら金はいくらでもあるんだから!」金という単語で母親がAV
last updateLast Updated : 2026-09-13
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