握りしめていた手から、ゆっくり力を抜いた。声は自分でも驚くほど静かだった。「わかった。この写真にしよう」航介は一瞬、目を見開いた。こんなにあっさり折れるとは思っていなかったようだ。沙耶はすかさず航介の腕に絡みつき、その腕を軽く揺すった。「航介くん、やっぱりやめよう。結菜、嫌そうだし、私のせいで二人の仲が悪くなるのは嫌だから」沙耶はいつもそうだ。物分かりのいいふりをして、さりげなく傷ついたように見せる。航介はすぐに眉をひそめ、沙耶の手の甲を軽くたたいた。「何が気に入らないんだ?沙耶が俺たちの仲間に入れてくれなかったら、結菜は俺と知り合うことすらなかったんだぞ」一言一言が、耳の奥を鋭く刺した。パソコンの画面に大きく映し出された三人の写真を見つめた。沙耶は淡い色のドレスをまとい、まぶしいほど晴れやかに笑っている。航介は沙耶のほうへわずかに顔を向けている。その目には、隠しきれない優しさがにじんでいる。端に立つ私は、場違いなエキストラのようだった。スマホで決済用のQRコードを読み取り、写真代を支払った。「撮影データは全部メールで送ってください。この写真をウェルカムボードにして、ほかはそちらにお任せします」そう告げて背を向け、スタジオのガラス扉を押し開けた。航介が追ってきて、私の手首を乱暴につかんだ。「また何を拗ねてるんだ?沙耶はわざわざ付き添ってくれたんだぞ。沙耶に八つ当たりするなよ」その手を振りほどく。声は少しも揺れなかった。「別に怒ってない。あの写真を使うって言ったでしょ?」航介は言葉に詰まり、不機嫌そうに顔をしかめた。「本当に納得してるんだろうな」沙耶がコーヒーを両手に持ち、小走りで追ってきた。「航介くん、結菜、喧嘩はやめて。二人のコーヒー、買ってきたよ」一杯を航介に、もう一杯を私に差し出した。航介は温かいカップにカップスリーブをつけてから、沙耶に返した。「胃が弱いんだから、冷たすぎるものは飲むな。こっちのホットを飲めよ」当然のように、今度は私を見た。「結菜はそっちのアイスでいいよな。冷たいものでも平気だろ」沙耶の手元で湯気を立てるラテを見つめた。シロップは少なめ、エスプレッソは1ショット追加。私がいつも頼むラテだ。航介が私に押しつけたのは、ア
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