بيت / 恋愛 / 裏切りには、裏切りを / Chapter 11 -الفصل 20

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30 فصول

第11話

――やがて、成良と楓己は付き合い始めた。私もいつしか二人の関係を受け入れられるようになり、そのうち三人で以前と変わらず、友人として付き合うようになった。そして私は、最初から本気で彼を求めていたわけではないのだと、自分に言い聞かせた。その数か月後、理安と出会った。理安は私に夢中だった。誰もがそう言った。ぞっこんで、私の言いなりで、完全に心を奪われていると。「彼が紗世を見る目を見て。贈り物も、車もすごいでしょう」「紗世が外出しているときは、帰ってくるのを待ちながら、ずっとドアを気にしているのよ」......周囲からは、いつもそんなふうに言われていた。私は彼に夢中だったわけではない。当時から、それは自分でも分かっていた。それでも理安を愛し、大切に思っていた。彼が何度も「君が俺のすべてだ」と言うから、私も彼を自分のすべてだと思った。それを疑う理由など、何ひとつなかった。私が身につけるものは、すべて理安が買った。靴も、バッグも、クローゼットに並ぶワンピースも、私は一度も自分で代金を払ったことがない。すべて彼が選んだ。彼には確かな審美眼があり、私の服装についても明確な考えを持っていた。もっと肌を隠すべきだ。露出を控えるべきだ。人妻にしては、服装が色っぽすぎる、と。私は変わった。それが愛なのだと自分に言い聞かせた。夫を愛する妻なら、夫の望みに合わせるものだと思った。敷地に並ぶ頼んでもいない何台もの車も、彼が選んだ服で埋め尽くされたクローゼットも、私が研究所で働きすぎだという絶え間ない小言も、すべて私を大切にしている証拠なのだと思い込んでいた。理安は毎日のように贈り物をくれた。欲しいものは何でも与えられるのだから、私には働く必要などないとも言った。研究所へ行けば疲れてしまい、妻が疲れ切っていては誰のためにもならないと、優しい口調で諭した。彼はいつも、初めから決めているかのような話し方をしていた。私は週に1度だけ研究所へ行くようになった。それが月に2度になり、やがて、時間を作れたときにしか行かなくなった。朋花も、成良も理解してくれた。もっとも、その頃には成良の心はすでに私たちから離れ始めていた。――私たち三人が出会ったのは、大学1年のときだった。微生物学の実習で、偶然同
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第12話

もし、あの夜成良が席を立たなかったら。すでに私と目を合わせていた彼の邪魔をせず、そのまま座っていたら。今頃、私は別のベッドで目を覚ましていたのだろうか。別の女になっていたのだろうか。この2年間は理安のものではなく、私自身のものだったのだろうか。私はその考えを振り払った。――もう、どうでもよかった。男を愛するのは終わり。信じるのも、自分を相手の好みに合わせるのも、もうやめる。楓己は自分の居場所ではない。彼は快楽と復讐、そして最後に理安が見せる表情のための存在だ。それが終われば、さよならを告げる。私は楓己から、必要なものだけを得る。そして理安にすべてを知られるときが来たら、何年もかけて私にしてきたことと同じように、彼にも自分がちっぽけな存在だと思い知らせてやる。笑いそうになった。けれど、笑うには疲れすぎていた。私は目を閉じ、部屋が暗闇へ沈んでいくに任せた。眠りに落ちる直前、最後に浮かんだのは楓己の口元に描かれた曲線と、「また連絡する」と告げたときの声だった。――目を覚ますと、すでに夕方だった。窓が夕日に染まり、オレンジ色に輝いている。腹の虫が大きな音を立てた。私はほとんど一日中眠っていた。あれほど徹底的に使われた身体が、ようやく必要としていた休息を得られたのだ。起き上がり、身体を伸ばした。どんな感覚だったか忘れていたほど、気分がよかった。夕食を作り、キッチンのカウンターに立ったまま食べた。自分でも驚くほど食欲があった。本物の空腹だった。身体を心ゆくまで使い切ったあとに訪れる、あの空腹感だ。食事を終えてから、スマホを確認した。不在着信がさらに増え、メッセージも3件届いている。私は呆れて目を回し、理安に電話をかけ直した。「今までどこにいたんだ?」傷ついた夫を演じる、聞き慣れた声だった。「午後からずっと連絡が取れないから、心配したんだぞ」「ごめんなさい......眠っていたの。最近ずっとよく眠れなくて、今日はとうとう限界だったみたいで」「具合が悪いのか?俺が今すぐ家に――」「ううん、大丈夫。ただ疲れているだけだから」「顔を見せてくれ。君の顔が見たい」理安がビデオ通話へ切り替えた。彼は通話するため、バルコニーへ出ていた。白い手すり、画面の隅に映
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第13話

きっと楓己が私に会いに来てくれたのだ。彼は待ちきれなかったのだろう。これから彼はこの家へ入り、壁に理安との結婚写真が飾られた玄関ホールで、私の身体に触れる。そして私は、それを受け入れる。心臓が飛び出しそうになりながら、ドアを開けた。だが立っていたのは宅配業者だった。制服姿の男が、伝票と細長く平たい箱を持っている。私の顔から笑みが消えた。「花房紗世様ですか?」「はい」「こちらに受領のサインをお願いします」私はサインをした。配達員の背後へ目を凝らす。車寄せ、門、門の外の通り。何も、誰もいない。別の車も、サングラスをかけた男の影も、楓己の姿もなかった。自分がおかしくなり、危うく笑いそうになった。箱を家の中へ運び、キッチンのアイランドカウンターへ置く。送り状には、一言だけ記されていた。【ゲームのパートナーへ】。私は動きを止めた。ほんの一瞬、理安からだと思っていた。彼は出張中、よく贈り物を送ってきたからだ。謝罪のための贈り物。罪悪感をごまかすための贈り物。今となっては、あれが最初から何のためだったのか分からない。けれど、これは違う。箱を開けた。丁寧に折り畳まれた薄紙の上に、一通の封筒が置かれていた。封筒を持ち上げると薄紙が左右に開き、その下からドレスが現れた。赤。今の私のクローゼットには、もう存在しない赤だった。私はドレスを取り出した。上質な生地だけが持つ、ずっしりとした重みがあった。スリットは太ももの半ばまで深く入り、胸元は隠すつもりなど初めからないように大胆に開いている。値札を見なくても、どれほど高価なドレスなのか分かった。結婚してからずっと、理安にドレスを買い与えられてきた私は、縫い目に込められた金額の重みを知っていた。私はその場に立ち、ドレスを手にしたまま考えた。どこにでもいる平凡な会社員が、どうしてこんなドレスを買えるのだろう。けれど、その疑問はすぐに頭から追い払った。今は答えなど欲しくない。ただ、このドレスが欲しかった。寝室の鏡の前まで運び、身体に重ねてみた。縦に流れる深紅のライン。脚へ深く入ったスリット。露出した鎖骨と肩。鏡の中には、しばらく目にしたことのなかった私がいた。その隣には、理安と結婚して2年間を過ごしてきた私がい
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第14話

会場となったのは、料金表など存在しないようなホテルだった。車寄せへ入った瞬間、それが分かった。案内板のあるバレーパーキングの受付さえなく、グレーのスーツを着た男性が無言で私の鍵を受け取った。このドレスを着た女が、乗ってきた車を盗んだはずはないと信じているようだった。自宅で招待状を開いたときのことを思い出した。厚く上質な金色のカード。主催者の欄には、「DHホールディングス」と記されていた。私は長い間、その名を見つめた。DHホールディングスは国内最大にして、最も裕福な企業だった。誰もが同席することを望みながら、ほとんど誰にもその機会が与えられない。地位を持ち、慎重に人脈を広げ続けてきた私の夫でさえ、こうした催しでは、どうにか関係者の近くに立つ資格を得られるかもしれないというほどの存在だった。けれど、あの楓己が?平凡な会社員が、どうしてDHホールディングスのパーティーへ招待されたのだろう。それだけでなく、なぜ私に渡すための招待状まで持っていたのか。このパーティーの運営に関わっているのだろうか。それともホテルの従業員なのか。あるいは、招待状を2枚受け取れるほど上の立場にいる管理職で、その貴重な1枚を私に使うほど愚かな男なのだろうか。家にいるときも答えは出ず、ここへ来ても分からないままだった。私の招待状には、同伴者を一人連れてきてもよいと記されていた。楓己は自分の招待状を持っているため、私の同伴者になる必要はない。ほかに連れてこられる相手は朋花だけだったが、彼女を誘うことはできなかった。朋花を連れてくるなら、楓己について説明しなければならない。まだ誰にも、楓己のことを話す準備はできていなかった。だから、一人で来た。入り口の警備員に金色の招待状を見せた。二人とも笑顔を見せず、客を拒むために雇われたとしか思えないほど屈強な体格をしていた。二人はカードを確認し、次に私を見る。そして、中へ通した。美しいと感じたのは、久しぶりだった。こんなふうに、自分の意志で美しくなろうとしたのも久しぶりだ。2年間、私は「妻に許される美しさ」を決めつける男のために服を選んできた。その男にとっての美しさとは、胸元がより高く、裾がより長く、私自身が少しでも見えない服のことだった。けれど今夜は、自分の手でメイクをした。濡
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第15話

――あの二人は、旅行中ではなかったの?理安がいかにも優しそうな顔で私とビデオ通話をした、あのバルコニーのあるリゾートにいるはずではなかったの?これまでにも、こんなことがいったい何度あったのだろう。何度のパーティーに、二人で出席したのだろう。別の街で商談をまとめていると告げた夜、理安は車で40分しか離れていない場所にいて、成良の腰へ手を回していたのだろうか。二人は、自分たちの秘密が絶対に露見しないと信じ切っていた。何よりも、それが腹立たしかった。平凡でちっぽけな紗世が、こんな場所に入り込むことなど絶対にない――そう確信していたから、二人は用心することすらやめたのだ。堂々と二人揃って会場へ入り、まるで恋人同士のように振る舞っている。そして何よりも許せず、思わず顎に力が入ったのは、成良のドレスだった。黒いドレスは胸元が深く開き、スリットは高い位置まで入っていた。背中も腰の下まで大きく露出している。成良は息を呑むほど美しく、それでいてひどく扇情的だった。それなのに、理安は何も言わない。成良を腕にまとわりつかせたまま、余裕と誇らしさを浮かべ、会場の向こうにいる誰かへ笑いかけていた。もし私があのドレスを着ていたら、車の中ですぐに小言を言われていただろう。そんな服を着れば、私がどんな女に見えるのか。それを見た人たちが、夫である彼をどう思うのか――理安はいつものように、頬へ手を添え、悲しげに微笑みながら優しく言い聞かせたはずだ。そして家に帰る頃には、私は自分から着替え、心配してくれたことに感謝していた。――ふしだらだ。品がない。これは君の立場にふさわしい服ではない、紗世。理安はまさに、真っ当な理由をつけた身勝手な二重基準そのものだった。しかも二人には、完璧な隠れ蓑があった。それこそが、この裏切りの巧妙なところだ。成良のSNSは、私との友情を伝える投稿で埋め尽くされていた。【姉妹同然の親友】【魂の片割れ】【大学時代からの親友】食事の時や研究所で撮った写真、私の結婚式で撮影した写真まで投稿されている。この会場にいる人の中にも、成良と紗世は本当の姉妹同然だと思っている者がいるだろう。だから今夜、理安と成良が一緒にいるところを誰かに見られても、疑われることはない。献身的な夫と、誠
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第16話

心臓が止まったかと思った。文字を入力しかけた親指も、その場で固まった。私は顔を上げた。楓己が演台へ向かって歩いていた。身にまとっているのは黒いスーツだった。会場にいる誰のものとも違い、彼のためだけに仕立てられた一着で、第二の皮膚のように、その身体へ自然になじんでいる。そして首元には、見覚えのある赤いネクタイが、隙のない結び目で締められていた。私のドレスと同じ赤。色合いまで、寸分違わず。私は口を開いたが、声は何ひとつ出てこなかった。楓己は堂々と演台へ上がった。押し寄せる拍手にも笑顔を見せず、そんなものを必要ともせず、ただ雑音が収まるのを待つように静かに立っていた。「皆様、こんばんは。DHホールディングスの会長を務めている、堂本楓己です」その瞬間、会場が割れんばかりの歓声に包まれた。堂本楓己。DHホールディングスの会長。国内一の大富豪であり、世界でも指折りの資産家。これまで誰にも写真を撮られたことのない幻の男が、私と揃いの色をしたネクタイを締め、10メートルほど先に立っている。私が自らベッドへ招き入れた楓己。雨の中で、目の前もはばからず泣いた相手。決まった給料を受け取り、机に向かって仕事をする、静かで平凡な暮らしを送る男だと思っていた。どこか気の毒にさえ感じ、私に与えてくれる快楽と、ささやかな復讐に役立つという理由だけで、しばらく関係を続けようと決めていた――あの楓己が。――どうして?ここは本当に、現実?楓己は話し続けていたが、その内容はもう耳に入らなかった。言葉がすべて私の耳から通り過ぎていく。私は彼の手を見ていた。ゆっくりと確信に満ちた動きで、話に合わせて身振りを交える手。私の腰に痕が残るほど強くつかんだ、あの手。鏡の中で見つけたその痕へ、感触を確かめるように自分の親指を押し当てたことまで思い出す。国内有数の富豪たちに囲まれながら、私はあの手が自分に何をしたのかを克明に思い出し、顔が熱くなるのを感じていた。そのとき、ある言葉だけが耳へ届いた。「......ヘリックス研究所」私はようやく我に返った。「ヘリックス研究所を、DHホールディングス財団による研究助成の第一号に選定いたしました。助成額は6750億円です。DHは今後、ヘリックスと提携し、その研究成果を数十万
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第17話

両脚が鉛のように重かった。それでも、私は無理やり足を動かした。片足を踏み出し、続いてもう片方を前へ出す。静まり返った会場を、決して私を逃がそうとしないスポットライトに照らされながら進んでいった。会場中の人々が私を見ている。これほど大勢の視線を一度に浴びたことなど、今まで一度もなかった。その重圧が、手のひらで胸を押さえつけるようにのしかかってくる。――転んでは駄目。何があっても、彼のところへたどり着くまでは絶対に転ばないで。そう自分に言い聞かせながら、ようやくステージの前へたどり着いた。楓己が手を差し出した。私はその手を見つめたあと、自分の手を重ねた。楓己は私を引き寄せ、階段を上がらせた。その動きは、実際にこうする前から、頭の中で何百回も繰り返してきたかのように自然だった。私が演台の前へ立つと、拍手が鳴り響いた。どこか遠い場所から聞こえてくるような、空虚な音だった。私は演台の両端をつかんだ。手のひらに触れる木材は冷たかった。肩を露出した赤いドレス。挑発するかのように深く開いた胸元。腰のすぐ下まで太ももをあらわにするスリット。この瞬間になってようやく、このドレスに込められた本当の意味を理解した。隣には楓己が立っていた。堂本楓己――国内最大の企業を率いる会長。私の研究所を。資金もなく、誰からも顧みられなかった小さな研究所を、彼が選んだ。6750億円を、約束してくれた。それほど重大なことを、私は会場にいる人々と同時に知らされたのだ。目を眩ませるスポットライトを浴び、何百人もの顔が私たち二人へ向けられた、この場で。身体が先に動いてしまい、頭がまだ現実に追いつこうとしていたとき、客の中から一人の声が響いた。「紗世?」もう聞きたくないと思うようになった音ほど、はっきり聞き分けられる。私は人混みの中から彼を見つけた。彼はようやく私の存在に気づいたのだ。彼の顔を三つもの表情がよぎったが、結局どれにも定まらなかった。「紗世」理安だ。その瞳の中では、困惑と、それよりも暗い何かがせめぎ合っていた。理安はスーツ姿の男たちや、きらびやかなドレスをまとった女たちを押しのけ、ステージへ向かって進み始めた。けれど、ほとんど前へ進めなかった。ステージの両端に広がる暗がりから、何人もの男たちが
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第18話

私は反射的に後ずさった。「これは......」「マジックミラーだ」私が恐れていたことを言い終えるより先に、楓己が答えた。「外からは鏡にしか見えない。ここは俺専用の部屋だ。俺からは会場にいる全員が見えるが、向こうから俺たちの姿は見えない」まるで水槽の中を眺めるように、周囲にパーティー会場を見渡せる部屋の中央で、私は楓己を見つめた。「楓己さんが、DHホールディングスの会長なのね」囁くように言った。「......あの正体不明の会長が......」彼は人差し指を上げ、私の唇へそっと押し当てた。肌は温かく、一晩中頭から離れなかった香水の匂いが鼻をくすぐった。「今は快楽だけを考えろ」楓己は静かに告げた。「話はあとだ」彼が顔を寄せてくる。唇に吐息が触れ、私はゆっくりと目を閉じた。けれど、楓己は寸前で動きを止めた。「ああ......」小さく囁いた。「口紅を崩すわけにはいかないな」私が何かを言い返すよりも、口づけてもらえなかった失望が胸を貫き終えるよりも早く、彼の唇が首筋へ触れた。私は息を呑んだ。顎の下の肌に触れる唇は熱く、膝から力が抜ける。楓己は私の手を放し、腕を腰へ回して強く抱き寄せた。ズボン越しにも、彼がどれほど硬くなっているのか分かった。それが私の腰へ強く押し当てられている。「楓己さん......」名前を呼んだつもりだったが、口から漏れたのは喘ぎ声だった。「静かに」彼は首筋へ唇を触れたまま囁き、歯先で肌をかすめた。「ここは俺に任せてくれ」楓己は口を開いたまま、熱い口づけを首筋へ何度も落としながら下りていった。私はもっと差し出すように頭をのけぞらせ、彼はそれに応えた。舌先が鎖骨をなぞると全身が震え、私は両手で彼の肩をつかんだ。楓己がドレスの胸元を引き下ろす。布地が滑り落ち、胸が冷たい空気にさらされた瞬間、その瞳に濃い欲望が浮かんだ。「きれいだ、紗世」かすれた声で言った。「何度触れても、きっと満足できない程に」彼は顔を伏せ、乳首を口に含んだ。私は声を上げ、背中を反らした。濡れた熱い舌が敏感な先端を円を描くようになぞり、そのまま強く吸い上げる。瞼の裏で光が弾けるほどの刺激だった。もう片方の胸も手のひらで包み、親指で乳首を擦る。身体の奥はすでに濡
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第19話

私は唾をのみ込んだ。口から出た声はかすれ、切実な欲望に満ちていた。「もっと舐めてほしい」楓己はゆっくりと、どこか邪悪な笑みを浮かべた。「いい子だ」彼は私の両腿を押し広げ、顔を伏せた。赤いレースのTバック越しに、熱い吐息が触れる。薄い布地を通してもその温もりが伝わり、私は息を止めて待った。全身の神経が、張り詰めた弦のように緊張している。楓己が、レース越しに秘部へ口づけた。私は息を呑み、腰を彼の顔へ押しつけた。クリトリスの真上へ口づけられると、あふれた愛液が染み込み、布地はたちまち濡れていく。舌がレースへ押し当てられ、そのまま上へゆっくりとなぞられると、私は切なげな声を漏らし、身体の下にある革張りのソファを強くつかんだ。「好きだ」秘部へ唇を寄せたまま、くぐもった声で囁いた。「こんな小さな布越しに君を味わうのも、これから俺の手で脱がせると思うのも、たまらなく好きだ」楓己はTバックの端を歯でくわえ、横へずらした。濡れた秘部へ冷たい空気が触れ、私は身体を震わせた。けれど次の瞬間には、彼の口が直接重なり、呼吸の仕方さえ忘れた。平らにした舌が、入り口からクリトリスまで、割れ目に沿ってゆっくりと滑っていく。何か月も待ち続けてようやくありつけた食事を堪能するかのように、じっくりと意図的に私を味わっていた。私は彼の顔へ腰を擦りつけるように動かした。楓己は両手で太ももをつかみ、閉じないように押さえたまま、舌を這わせ続ける。「ああ......」吐息を漏らし、頭を後ろへのけぞらせた。楓己がTバックを脚へ引き下ろすと、私は腰を浮かせて手を貸した。そのまま脱がせると、彼はそれを鼻先へ近づけ、ゆっくりと息を吸い込んだ。私は激しく脈打つ胸を押さえることもできず、その姿を見つめていた。楓己はTバックを丁寧に畳み、脇へ置いた。「すごくいい匂いだ」そう言って、残っていたもう一方のハイヒールも脱がせた。そして再び口づけられた瞬間、私は何も考えられなくなった。舌がクリトリスの周りを、焦らすようにゆっくりと回る。私は声を上げ、彼の髪へ指を絡ませた。敏感に膨らんだ突起を口に含まれ、強く吸い上げられる。瞼の裏で光が弾け、私は腰を彼の顔へ押しつけながら、その刺激に翻弄された。「楓己さん......お願い......」彼
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第20話

楓己が異議を唱えかけた。「メイクが......」「大丈夫。化粧直しならバッグに入っているから」私はクラッチバッグへ手を伸ばし、コンパクトを取り出してサイドテーブルへ置いた。それから、まだ震えている脚で立ち上がり、ドレスを床へ滑り落とした。赤い布地が足元に広がり、私はそこから一歩踏み出した。楓己の視線が、胸から腹部、そして太ももの間にある三角形の茂みへと下りていく。彼が唾をのみ込み、喉を動かすのが見えた。私は楓己をソファへ押し倒した。彼は抵抗せず、片時も私から目を離さなかった。その前に膝をつき、ベルトへ手を伸ばして、ためらうことなく留め具を外す。ズボンから解放された彼自身が、太く硬く、重たげにそそり立った。私は根元を手で包み、一度ゆっくりと撫で上げた。次の瞬間、私は彼を口に含んだ。楓己は長く低い呻き声を漏らし、私の髪へ手を差し入れた。口の中をいっぱいに満たす彼自身を深く受け入れ、舌を裏側へ押し当てながら、喉の奥までのみ込んでいく。頭を上下させ、手で根元を刺激すると、舌の上で彼が脈打つのを感じた。「あぁ、紗世......そのままで......」私は頬が窪むほど強く吸い上げた。目には涙がにじんでいる。彼を味わいたかった。私が彼に何もかも分からなくされたように、楓己が理性を失うところを感じたかった。腰が跳ね、温かく塩気のある先走りが、最初の一滴となって舌の上へ落ちた。楓己の身体が大きく震え、私の髪をつかむ手に力がこもった。「出る......」張り詰めた声で告げられ、私は間一髪で口を離した。腫れた唇と濡れた顎のまま、楓己を見上げる。「まだ駄目。中に入れたいの」楓己は両手を腰に添え、私を立ち上がらせると、ズボンを完全に脱ぎ捨てた。私は彼の膝へまたがった。太ももで腰を挟み、濡れた秘部を硬くなった彼自身へ押しつける。二人の間へ手を差し入れ、先端を自分の入り口へ導いた。そして、ゆっくりと彼の上へ身体を沈めた。少しずつ入ってくる太さに、内側が押し広げられていく。盛り上がった筋も浮き出た血管も、身体を開いて彼を受け入れるたびに、すべて鮮明に感じ取れた。楓己が呻き、私も喘いだ。視線が重なった次の瞬間、彼の手が後頭部へ回り、強く引き寄せられた。唇が激しくぶつかり、乱れた、切実で完璧
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