王立警備隊の男が掲げた捜索許可証には、学院長代理と王宮記録局の印が並んでいた。 ティルヴァンの署名はない。 生徒会室の扉の前で、リディエラは封書の末尾まで目を通した。捜索対象は学院内の個室と私物保管箱。目的は東棟で検出された毒物と同種の薬品、容器、購入記録の発見。立会人として女性教員か侍女を置くこと。押収品は品名と発見場所を記載し、本人へ控えを渡すこと。「捜索を拒むつもりはありません」 許可証を男へ返す。「ただし、ユディト先生か、私付きではない女性職員を立ち会わせてください。持ち出す物は、その場で一覧にしてください」 男は僅かに眉を上げた。「ご自身の侍女では不足ですか」「私を恐れている者に、私の不利益となる証言を求めるべきではありません。反対に、私へ忠実な者だと判断されれば、記録そのものを疑われます」「承知しました。学院事務官へ手配させます」 警備隊は先に女子寮へ向かった。 硬い靴音が階段の奥へ消えていく。廊下に残ったのは、リディエラと、生徒会室から出てきたセフィランだけだった。 ティルヴァンは証言書の再確認を始め、ヴァルシェは剣へ手をかけた件について騎士科長のもとへ出頭する。ミレシアは気分が優れないとして、別の侍女に付き添われて休憩室へ移った。「お一人で向かわれるのですか」 セフィランの声は、陽だまりのように柔らかかった。 廊下の高窓から入る午後の光が、淡い金茶の髪へ薄い輪郭をつくっている。胸元の聖印が歩くたびに揺れ、衣服へ触れて微かな音を立てた。「警備隊が先におります。立会人も来ます」「そうではありません」 彼はゆっくり首を横へ振った。「心細くはないのかと、お尋ねしたのです」 責める色はない。 庭園での行為を非難するでも、毒物について問いただすでもない。ただ、疲れている者を見つけ、休む場所を差し出すような声だった。 過去のリディエラなら、その一言だけで足を止めていただろう。 身体に残る記憶の中で、セフィランはいつも最後に現れた。 母エネファから王妃教育をやり直せと命じられた日。ティルヴァンに予定を変更され、理由も知らされなかった夜。ミレシアを責めたことで皆から遠巻きにされた礼拝堂。 誰もが去ったあと、彼だけが静かに隣へ座る。「おつらかったのでしょう」 そう言われると、リディエラは自分を理解する者をようやく
آخر تحديث : 2026-08-06 اقرأ المزيد