それから俺たちの元には、ぽつぽつと依頼が舞い込むようになった。 ポムの予想通り、防衛都市の周辺にある村は、基本的に辺境伯の〝行政の加護〟から取りこぼされている。 井戸は分かりやすい例だが、生活に密着した大事なライフラインであるにも関わらず、掘るとなったら村が総出になっても解決はされない。 だから依頼主はみな、どこか必死さはあれど、ちょっと諦めている気配があり、うまくいった時はだいたいものすごく感謝される。 一番ワケがわからんのは、スカーレットが毎回ついてくることだ。 クロワールから見張ってろと言われてのことらしいが、どっちかっていうと、行きと帰りのブランシュ嬢の見送りと出迎え目的な気がしなくもない。 まあ、あの声、あの顔で「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」を言ってもらえるのは、俺だって嬉しいので、気持ちはわからなくもないが。 未だ顔を見て「ただいま帰りました」と言えない自分の意気地のなさには呆れる。 最近では、ポムの後に〝おかえりのハグ〟をしてもらえるようになった。 スカーレットが妬みの混ざった視線を送ってくるのがちょっと気持ちいいのだが。 反面、そこでブランシュ嬢にギュッとされると、柔らかいボディの感触と鼻をくすぐる良い匂いに、緊張のあまりピシッと固まってしまうのだ。 するとスカーレットが、憐れみというか同情というか、とにかくうんうん頷きながらにやあっと笑うのがものすごくムカツク。「タイガ! 今回はすごいよ!」 ポムが、嬉しそうに言った。「なにがすごいんだよ?」「うん。今回は今までと違って、大きめの依頼だから! 上手く行けば元金の二割ぐらいは返せるかも!」「金貨二枚かっ?! そいつぁ、すげえな!」 返事は、俺じゃなくてスカーレットがした。「別に、スカに感心されたくなんてないんですけど〜」「俺はこれでも、ポムが借金完済出来るといいと思ってんだぜ」 耳を寝かせて不機嫌に言ったポムに、スカーレットはふふんって顔で返した。 まぁ、ポムが……ではなく、ブ
Last Updated : 2026-08-17 Read more