「まぁ、ポムが? それはあの子にしては、随分親切ねぇ……」「えっ?」 ブランシュ嬢が、まさかの奴隷肯定派? と思ってびっくりしていると、彼女は困ったように笑った。「ごめんなさいね。でも、防衛都市は、審査がかなり厳しいのよ」 そう言って、ブランシュ嬢が説明してくれたところによると── 有事の際、防衛都市は逃げてきた者を誰彼構わず受け入れてくれるのだが、それはあくまで〝第一壁の内側〟までだ。「第二壁は市民の命と財産を守るものだから、資格がないと非常時でも中には入れてもらえないの」「ちなみに、第二壁が崩れたら、辺境は陥落したとみなされるよ」 ポムが付け加えた。「でも……、街の真ん中に壁が……ありますよね?」「あれは辺境伯様のお城よ。お城の地下には周辺一帯を壊滅させる、大規模魔法を発動させるための魔法陣があるの。第二壁が破られるような事態になったら、それを使って王都に被害を出さないのが、辺境伯の仕事なのよ」「お城の壁は、その魔法が発動するまでの時間稼ぎなんだって」「……すごく気軽に、コワイ話してません?」 そんなヤバイ土地に暮らしていて、なんで平気なんだ……と思ったが。「壁は頑丈に作られているし、滅多なことで壊れたりはしないわよ」 と、軽く返された。「近隣の村人でも、市街に入るためには手続きと審査を受けなければいけないのだけど。審査は最短でも一年は掛かるの。身元がよくわからない〝難民〟だと、降りない可能性もあるのよ」「えっ? でも……、俺はすんなり通してもらえた……よな?」 ブランシュ嬢を正面から見ると眩しすぎるので、俺は泳がせた目線をポムに当てる。「そりゃ〜、タイガが僕の〝財産〟とみなされたからでしょ〜」「奴隷は個人の持ち物だから、市民の財産として第二壁が守るべき対象になるの」
Last Updated : 2026-08-13 Read more