All Chapters of 触れたものの過去がわかる彼女と触れられても全く困らない俺: Chapter 21 - Chapter 30

60 Chapters

21どこに触れてもらっても構わない

瞳は、断られることを覚悟で言った。もちろん、ダメ元だ。この話は、流星にメリットがない。知らない人と同居して、相手は家賃の負担も出来ないのだから。流星の表情が固まり、困ったような顔を見てしまった。お世話になった人になんて顔をさせてしまったのか……失敗した……言うなら朝ごはんの後だった。ご飯を作ったことで喜んでいる人に対して、断りにくい話をするのは卑怯だ。ダメ元と思って膨らんでいた気持ちが、シューっと音を立てて萎んでいくのを感じる。「はは……ご、ごめんなさい。とても過ごしやすくて、こんなにぐっすり眠れたのは久しぶりすぎて……」人の良心につけ込む真似をしてしまった自分に嫌気がさす。「なんだろう。大川さん、とってもいい人すぎちゃったんです。だから、ダメ元で言ってみただけなので気にしないで」「……あ、ええと……」流星が必死に言葉を選ぼうとして、口元に手をあてて固まっている。これでは、やってることは、母と一緒だ。自分に幻滅する。「本当に……私ってば、困らせちゃってごめんなさい。あ!この朝ごはんは打算ではないですよ。あ、少し打算かな。私もご飯にありつけるって思ったんだから」茶碗にご飯をよそい、味噌汁を二人分入れて机に運ぶ。ごはんの温もりと、お椀から流れる味噌の香りが、再び空っぽになった胃を刺激した。「あの……君をここに置いていいかがわからないんだ。俺も昨日、久しぶりに人と一緒に過ごす生活で楽しかった。ただ、出会い方が知っての通り、事件絡みだ。あの日はプライベートの扱いだから、関係ないって言えば関係ないけど、君は俺と一緒に事件に巻き込まれた被害者でもあるから……その……」一生懸命に言葉を選ぼうと
last updateLast Updated : 2026-09-25
Read more

22 カメラの先の彼女

一方で、朝出勤するため、瞳と別れた後の流星は――玄関のドアを閉めた瞬間、ドアを背にまだ激しくバクバク動いている胸に手を当てて「鎮まれ、俺」と言い聞かせる。彼女からまさか同棲を申し込まれるとは思わなかった。昨夜から今朝にかけてのことを思い出す。彼女がいる生活ってああなのか?昨日は笑ったり、困ったり、涙ぐまれたり、どうやって気持ちに寄り添おうか迷ったりして。夜なんて、通り過ぎたらふんわりボディソープと入浴剤の桃の香りがしてさ……ああ、パジャマ姿可愛かったなあ……ああいう自然なのがいいんだ。朝だって、ご飯とお味噌汁の香りに目覚めるなんて。そう思った瞬間、先ほどの朝食の風景が頭を過ぎる。ここに居させて欲しいという言葉を撤回して、何事もなかったように過ごそうとする瞳の姿を思い出した。そういうのを男性に見せるのは世間ではあざといと言われるんだろうか?なんだろう?そうには見えないけど……何せ自分も女性慣れしてないから、お前は騙されやすいんだと言われたらそうにも思える。首を捻りながら、エントランスを抜ける頃には、なんでここにいたいという言葉に、もっと気が利いたことを言えなかったんだろうと後悔が襲ってくる。明るい声で「上の許可だけ貰ってくるよ」で良かったよな?はあーっ……自分にくだらないツッコミを入れるほど、瞳の無理やり笑おうとすると引き攣る頬を思い出し、もっといい対応があっただろうと情けなくなる。流星は、通勤に小型バイクを活用していた。迷いを断ち切るように、いつも通りバイクに跨り渋滞の中に突入していく。いつもより職場まで快適に進める気がするのは、たった一晩だが自分の生活が潤ったからだと思った。それもしばらく経つと、今度はそのバイクから伝わる振動から急に現実感が押し寄せてくる。今朝までのこと
last updateLast Updated : 2026-09-26
Read more

23 彼女さえいなければ

「なるほど……それで流星のところに住まわせてもらえないかといったわけか」久保田は、瞳が再び流星の前に現れたことを聞いて、唇を僅かに震わせた。「かわいそうなことをしてしまった……」「久保田課長、それは俺も一緒なんで自分を責めないでください。だから、なんとか力になってあげたいんです。彼女、このままでは生きていく選択肢がない気がして……」色々な人に追いかけられて、住所が固定できず、学がないから定職にもつけない。結局、毒親と言われる人と同じ人生を歩もうとしている。では、強かとか、生きていく力が強いとかというと、大家に追い出されるし、昨夜も遠慮がちだし……今朝だって、お前のせいで行き場がないんだからここにいると言ってもいいのに押し切ろうともしない。あの歳で全てを諦めているようにすら見える。どこかでこの悪いループを断ち切ってやらないと、先日雑居ビルに連れ込まれそうになったように良い結末が待っていない。そういう危機感があった。「お前のその言い方だと、家に住まわせてやりたいということか?」まさか、本当に?と体をのけぞらせ、久保田は困惑した声で聞いた。「ずっと……とはいかないでしょうが、住所を固定して、夜の商売と占い以外で食べていく方法を探した方がいいと思います。今は、週刊誌などで再び顔が出てしまって、なかなか仕事がもらいにくいでしょう。それは、俺の責任でもあるし……」あの日、川村がついてきていることに気づかなかった。自分が、すり替えた遺留品でミスをしてしまい、次の事件を引き起こした。助けを呼ぶために、コーポで大きな声で騒ぎを起こしてしまった。そのどれにも、瞳の過失はない。「ただ、今日一日彼女の様子は確認しています。家の中の貴重品を探ったり、合鍵を作ってないかは気になるところなんで……」そう言って、再び掃除機の
last updateLast Updated : 2026-09-26
Read more

24 彼女を信用できない

やがて、久保田は考えるように唸りながら、スマホから視線を外す。「もしお前が彼女が信用できると思って、ほとぼりが冷めるまで彼女を家に置いてもいいと思うんだったら、上司の俺の許可をとった、もしくは相談してそうすることにしたと言っていい」「えっ?でも久保田課長、なにかあったら責任問題じゃないですか?」流星は、そこまで前向きに了承してくれると思わなくて、困惑を隠せなかった。むしろ、何勝手なことをしてくれているんだと雷をもらう覚悟だったのだから。「退職を早めることになったと言っただろう。もう辞表は出して、来月末には退職だよ。辞めるんだから、許可をもらったわけだから、責任も何もないさ。お前だって、この時点の上司に相談はして筋は通した。お互い問題ないだろう?」ふふっと微笑む久保田の目は、すべてを終えたような、穏やかな目だった。「あと、私も彼女と会いたいんだよ。もちろん、今回の件でお詫びもしたいのだが、実はかつての上司が探偵事務所を開いていて退職後は私もその仕事に従事することが決まっているんだ」「探偵事務所?」警察関係者が、辞めた後に警察が関わってくれないような案件や、裁判に使う証拠集めなどで探偵を始める話は聞いたことがあったが、まさか久保田課長がするのか? 退職金も手に入るだろうし、悠々自適な老後が過ごせそうだけどな。 流星は、困惑した顔になり、久保田にどう言う反応をするべきか迷っていた。「意外かい?私の上司だから、所長とはいえもう年で動けないし、依頼は多いらしくて一緒に手伝ってもらえないかと言われていてね。それでなんだけどね」久保田は、ふと穏やかだった顔つきから、真顔になって座りなおす。「彼女に仕事がないならどうかな。殺人事件は探偵事務所にはないと聞くし、紛失したものを探したり、不倫の証拠集めが大半だって言われたんだけどね」「不倫ですか?あまりなまめかしいものが目の前で展開されるのはどうなんだろう?もちろん、今の不安定な状態よりはいいと思いますけど……」少し不安を覚え、そのまま気になったことを告げてみる。「いや、不倫の証拠ってそうい
last updateLast Updated : 2026-09-27
Read more

25 初めての楽しい時間

流星は久保田に、瞳が合鍵を持っていなくなったことを告げた。「買い物じゃないのか?」「お金が厳しい上に、世間からの視線を気にする彼女が、今、外に出る理由が思い当たりません。もしかしたら、合鍵を複製されている可能性もありますし、信用できるかどうか彼女と話をしないことには分かりません」あとは、机に何を書いていたのか。カメラからは確認できない。アプリは音声をオンにすると、こちらの音も聞こえてしまうため映像のみでは何も判断できなかった。「無事ならいいのだが……」久保田がそう呟くと、流星はうっと言葉に詰まる。合鍵を使って外に出たとして、どこに行ったのだろうか。今朝の事を思い出してみる。たしか……上司に相談してみるからって伝えたよな。その返答ってどうだった?待ってるとは言わなかった。居させて欲しいと言って、俺が渋った後は気にしないでくれと何度も話してなかったか?まさか……「久保田課長、もしかしたら俺を気遣って出ていったかもしれません。合鍵は、鍵をかけるためだけに使ったのかも……」真っ青になって、定時と共に退庁する。バイクをぶっ飛ばしたい衝動に駆られるが、速度は守らねばならずイライラが募る。「あーっ!もう!なんで俺、警官やってるんだよ。」警官が速度オーバーで捕まるなんてあってはならない。だから、速度が上げられずイライラが最高潮。せめて、その辺りを瞳が歩いていないか確認する。もしいれば彼女なら目立つはずだ。だが、あの黒髪の瞳を見ることはない。「瞳さん!」到着と同時に、バイクを投げ捨てるように止めて、玄関を開けようとした時、ドアに金属が重なるようなシャリっという音を感る。ドアの備え付けのポストを見ると中にあの合鍵が入っていた。それを見て嫌な予感がする。あの時合鍵に触
last updateLast Updated : 2026-09-28
Read more

26 楽しかった時間が消えてしまう

合鍵をポストに入れ、家を出た瞳は路頭に迷っていた。行き先がないという意味ではない。「困った。道が……分からなくなってしまった……」もう、流星といた家もどこにあったかも分からない。「やっぱりあれは夢だったということか。現実の世界に戻ってきたみたい。というか、今ここどこ?」なぜ、家を出たのか?流星が困った顔をして「やっぱりここにいるのは困るから出ていってくれる?」と言うのを聞きたくなかったからだ。あの楽しかった時間を大切にしたかった。美味しいご飯を食べて、雑談をして、何も嫌なものを見ることがなくて、温かい寝袋で満天の星空と温もりを感じながら眠る。その楽しかった記憶が、頼むから出ていってくれという記憶に変わったら、すべてが悪い記憶に変わってしまいそうな気がした。だから美しく立ち去った……と言えば聞こえはいいが。「道がわからなくなるとは思わなかったわ。駅から家に行くまでは地図で調べたけど、家から駅に行く方法は調べてなかったのよ」迂闊だったと反省する。行きは大家に家を追い出されて、流星に一言物申したくてやって来た勢いがあった。目的に向かっていくのは、わからない道でも目指すものがある勢いでなんとかなる。だが、今は勢いどころか行く先までない。「全く見覚えがない。ここはどこよ?」昨日冷静に行動が出来ていたなら、駅から流星の家まで目印になるような建物を覚えようと考えたはずだ。「そうだ!能力を使ってみよう!」能力を電信柱に使ってみる。「うん、私が昨日ここを歩いてないということは分かった」それだけ?必要な時に使えない役立たずな能力だわ。「でも、駅に行った後どうする気なのか自分でも決めてないのよね。電車に乗る?東と西どちらに行こうかしら?」貴重な金を使うなら、ネットで住み込みの仕事を探して移動した方がいい。駅前まで出たら、ネットカフェぐらいはあるだろう
last updateLast Updated : 2026-09-29
Read more

27 これで逃げられない

「熱中症だそうだ。少し落ち着いたから、点滴が終わり次第帰っていいと。脱水でふらついて、どこかに頭をぶつけたのではないかということだ。本人も錯乱していたしね」久保田の言葉に流星は顔を曇らせる。救急外来は、熱中症患者で溢れていた。今日は、急に気温が上がったから体調を崩した人が多いらしい。入院にさせてくれるかと思ったが、もっと重度の人のために空けておかなければならないのだろう。「私は支払いをしてくるよ」久保田は立ち去り、流星はぼんやりと横たわり、天井を見ている瞳に声をかけた。「瞳さん、一緒に暮らそう。久保田課長にも許可をもらって、今夜はそれを伝えるつもりだったんだ」「…………」「どうして出ていったの?待っていて欲しかったよ」「迷惑を……おかけしました……」瞳は、目を閉じていたがその目尻からは涙が流れ落ちた。流星はどうしたらいいかわからなくなる。今日から同棲をしても、涙を拭う関係ではない。急いでズボンのポケットからハンカチを取り出した。「病院は嫌なものばかり見えちゃうよね。あの……良かったら俺のハンカチ握っておく?何もないから……もちろん涙も拭けるよ」片手は、ただでさえ前の病院の点滴の跡が残っているのに、更に新たな針が刺され痛々しい。流星は、手に触れないようにもう片方の手の指にそっと自分のハンカチを握らせた。「ハンカチの過去を見てみる?あ、でも俺がトイレで手を拭いたり汗を拭いたから汚いか!ごめん、涙は拭いちゃダメだ」冷静に自分の行動を振り返ったら、トイレでアプリを広げて瞳を見たし、やばいんじゃないか?いや、ズボンポケットに入れたから何も見えない……見えてくれるな!だが、返答がない。ハンカチを握ってそのまま眠りに落ちたらしい。その弱った瞳を
last updateLast Updated : 2026-09-30
Read more

28 誰も聞いていない独り言

抱え込むなと言われても…… 人に自分の事情を話したことはほぼない。話したとしたら母の愛に訴えるだけだが、それも無視されるかお前が悪いと言われて終わる方が多かったと思う。それでも、話した方が、楽になることなんてあるのだろうか。でも、何も経過を話さず、ノコノコと戻ってきてしまった。 少しはここまでの経過を伝えなければならないのではないか。瞳は、恐る恐る口を開いた。「昨夜ここで過ごした時間は今まで生きてきた中で一番幸せな時間でした……」だが、そう語りだした瞬間―― 昨夜の幸せな時を思い出し、瞳の目からボタっと床に涙が落ちる。「体調がまだ戻ってないから横になりながら話そう」流星にベッドに行くように言われ、少し身が固くなる。これは……やはりそういうことだろうか。 同居する代わりに相手をしろと。瞳は、もう力なくただそこに横たわる。 だが、その上からやってきたのは、流星の手でばさっと掛けられたタオルケットだった。「ここからは独り言だから……誰も見ていない。話、続けて」その声がタオルケット越しに聞こえてくる。そのタオルケットは昨日の寝袋とは違い、彼の香りが漂ってくる。どうしたらいいのか、視界が遮られて流星の反応が見えない。 だから、自分が話すことで相手がどんな反応を示すのか分からず不安になっていく。だが……同時に、誰も私の反応も見ていない。それも安心材料な気がする。 瞳は、独り言のように言葉を呟いた。「もし、大川さんに困った顔されて出ていってほしいと言われたら昨夜の幸せな時間が相手を困らせてしまう時間に変わるとそう思ったんです」そこまで言うと、自分でコントロールできないぐらい喉が震えてくる。 しゃくり上げそれを耐えようも息を吸うと、タオルケットの流星の香りが鼻に突き抜ける。 すると、また感情が昂ってしまい嗚咽を漏らす状況が続いた。その時、タオルケット越しにポンポンと優しく軽く叩く刺激があり、ハッとする。
last updateLast Updated : 2026-10-01
Read more

29 俺も一緒に悩む

黙り込んでしまった瞳の前に、流星は素麺の入ったザルを置いた。そして、麺つゆの入ったガラスの器二つと薬味のワサビチューブと海苔を淡々と用意する。「ごめん、独り言だって言ったのに追い詰めた。ただ言いたかったのは、どんなことがあったとしても瞳さんがそんな目に遭う理由にはならない。俺はそう思う」流星のその表情は変わらなかったが、声に込められた思いは強い意志を放っていた。「それは……普通に考えたらそうかもしれませんけど、私は普通ではなくて、相手も普通ではない能力のせいで酷い目にあったわけで……」瞳はそっと唇を噛み締める。石を投げられる理由にはならなかったのかもしれない。でも、川村の子供は、私のせいで家庭がめちゃくちゃになった。「君と俺の出会いを覚えている?君に会いに行ったのは誰?依頼したのは誰?家を追い出されたのは誰のせい?俺だよね。では、君が怪我をしたのも俺のせいかと言われたら、申し訳ないけどそれは俺のせいではない。やった奴が悪い」「それは……そうなのかもしれないけど……」川村の息子は、被害者だ。父親は、母を裏切って不倫していた。更には、その相手とその子供を殺害して普通に過ごした挙句、犯人とバレるとさらに罪を重ねて、一方的に逃亡した。でも、瞳が能力を使わなければ……川村が犯人だと能力を使って突き止めなければ、川村は今も平然と過ごしていたのだろう。不仲な家族だったとしても、このように世間から白い目で見られることはなかったに違いない。「相手を恨めないんです……というより、私しかきっと恨む場所はないと思うから……」川村の息子は、父親のせいで虐められていた。この後は引っ越すかもしれない。私のように転々と、みんなから騒がれたらまた転居して……それを、繰り返すのかも。私が関与したことで、私と似たような苦し
last updateLast Updated : 2026-10-02
Read more

30 見ているけれど見ていない

「川村の……息子か……」瞳が浴びているシャワーの音を聞きながら、流星はぽつりと呟いた。そんなに狭い街ではないのに、まさか息子と出会ってしまうなんて……川村の家の状況は考えてなかったな。自身も被害者であるが、家族に何の落ち度もないことを知っているので特に何も感じてはいなかった。だが、川村の妻側はどうだろうか?夫が懲戒免職になり、上司である久保田も対応に追われフォローは出来ていない。その夫は行方不明で、離婚届にサインをくれなければ離婚もできない。更には夫の過去の不貞、殺人、新たな殺人未遂と罪が明らかになり、マスコミにも追われる。妻が混乱するのは当たり前だ。子供へのフォローまで手が回らないし、子供も母親を見ていたら相談できないよ……その子が虐められているのを見て守ろうとした。でも、その子にお前のせいだとその怒りを全てぶつけられてしまった瞳の動揺は相当なものだろう。どうやって彼女の受けた痛みを分かち合っていけばいいんだろう。ちらっと浴室の方向に目を向け、シャワー音を意識する。今日は疲れた気持ちなど微塵もなかった。倒れはしないか、気分が悪くなっていないかと意識が自然と緊迫する。瞳の額の傷も気になる。額は数針縫うほどで、十分被害届を出せる案件だ。相当な勢いで石をぶつけられたのではないか?死ぬことはないが、しばらく髪が洗えないので不便さもある。本来こんな苦労をする必要はないはずなのに。流星は浴室に向かって声をかけて無事を確認する。「瞳さん……大丈夫?俺は視界に入らないところにいるから、部屋の涼しいところでパジャマに着替えて……」「は、はい……」むしろ今日は瞳の方がオロオロしている。昨日と形勢逆転だな。
last updateLast Updated : 2026-10-03
Read more
PREV
123456
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status