「すまなかった。まさか川村が犯人とは思わなかった」流星は、事件の詳細をC県で聞かれた後、職場に戻って来た。 遺留品持ち出しの話は伏せておき、そっと元の棚に戻したから大丈夫だろう。軽く息を吐いたが、今置かれている状況を冷静に考える。自分は、20年前の一家殺人事件の件で、上司から頼まれて有名な千里眼の女性に会いに行きヒントをもらおうとした。 しかし、その女性が、ホシだった川村の行動を言い当ててしまい、犯人だった川村から襲われた。これだけだと特に自身に何かの処罰が下されることはない。そんなのに頼るなんてどうなんだ?という批判的な目とやっぱりあの女本物なんだという驚きの声が突き刺さるだけだ。むしろ、プライベートの時間を使って行ったものであり、気の毒だと言う同情の声の方が多かった。逆に、久保田はそのようなところに部下2名を行かせて、しかもそのうちの1人が犯人で、部下と民間人を襲うという前代未聞の事を起こし、微妙な立場となっていた。「久保田さん、退職を早めるんじゃないか?」そんな声を聞いて、流星は気の毒になったが、何もできない。だが、久保田本人は周囲の声はあまり気にしていないようだ。妻を早くに亡くしてからは、一人で家にいるのが嫌で仕事をしているようなものだと話していた。 少しでも長く警察に留まりたいという思いもなさそうだった。若い頃は、久保田も仲間たちと夜の街を飲み歩くことや、女性と遊ぶ店に繰り出すこともあったようだが、それらもやめたらしい。 派手な遊びもしないなら、老後のお金もたくさんあるのだろう。流星も、お金に困らない生活をしてみたいものだと考えた。ただ、流星も夜の街には出ない派だ。 以前、勤務地の交番が夜の街の中にあった。 色んなトラブルを見てからは、プライベートで間違えても行きたいとは思えない。顔見知りも多い。久保田の未来は、自分の未来だろうか?そんなことを思いながら、話を続けていく。「私の命令で恐ろしい目にあわせてしまった。これが職務だ
Last Updated : 2026-09-18 Read more