翌日、今日はじめて俺は水汲みを命じられた。場所は墓川に渡された地図にある。結構近かった。この近くの川から取っていたらしい。ラストフィナーレの影響は甚大だったが、実はいいことも少しだけあった。 それは火山によって灰が舞い、大地が崩れ、台風が世界をかき混ぜた結果、川の水が浄化されたのである。勿論生水だからそのままは飲めないが、濾過すれば飲めるシロモノにはなってくれた。 俺はバケツに水を汲み、それを樽の中に入れる。この樽はリュックになっていて、満タンになったら背負うというものだ。しかしこれが重い。凄まじく重い。とてもまともに歩けない。 しかもこれを何往復もしなければならないのだから、はっきり地獄である。 重さは六十キロくらいあるだろうか。特にスポーツ経験のない俺にとってこの重さは相当堪え、一歩歩く度に背中がミシミシと嫌な音を立てるほどだった。 そんな帰宅途中のこと。 「おーい、春弥ー」 いずみが俺のもとへ駆けだしてきた。 「あ、いずみ。仕事は終わったの?」 「ううん、サボリサボリ」 いずむは手を後ろに組み、ぶんぶんと首を振った。ぺろっと出した舌が妙に可愛い。 俺は呆れたようにため息をつく。 「……墓川怒るよ」 「だから内緒。あはは」 「……ふふ」 なんというか、いずみは俺にとってかなりの癒しだった。 控えめに言ってもこの世界にはろくでもないやつが多すぎる。墓川ですら、正直あまり評価できない点も多い。 しかしいずみは違った。いずみの明るさや優しさ、屈託の無さは俺の疲れ切った心をどこまでも癒してくれて、それこそかつての世界ですらこれほどの安らぎは得たことがない。 正直、いずみと一緒なら元の世界に戻れなくてもいいかな、とさえ思うことがある。 それくらい俺にとってはいずみの存在は大きくて、だからこそ彼女を失わないように、俺はいつも紳士的に振る舞うのだ。 かっこ悪いところを魅せたくないから。 ガキ臭い見栄だけど、でも、仕方ないよな? 「これから私、子供たちと一緒に遊ぼうと思ってるんだ。実はさっきトラ
Last Updated : 2026-09-06 Read more